ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース   作:宇宙刑事ブルーノア

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第83話『謎めいた歩兵、ラスプーチンです!』

『ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース』

 

第83話『謎めいた歩兵、ラスプーチンです!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

弘樹とサンショウウオさんチーム達の援護で、プラウダ&ツァーリ機甲部隊の包囲網から脱出した大洗機甲部隊。

 

フラッグ車と護衛車両がプラウダ戦車部隊を惹き付けて逃走を続ける中………

 

合流した弘樹達を含めた主力部隊が、敵フラッグ車の撃破に向かう。

 

廃村の中に隠れていた敵フラッグ車を発見を発見するみほ達だったが、そこでツァーリ歩兵部隊とIS-1が襲い掛かる。

 

大洗歩兵部隊とサンショウウオさんチーム、アリクイさんチームが足止めを引き受け………

 

みほ達あんこうチームとカバさんチームが、逃げる敵フラッグ車を追跡するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第5回戦・試合会場………

 

北緯50度を超えた、雪の降り頻る雪原地帯………

 

敵戦車部隊を引き連れて逃走中のフラッグ車であるアヒルさんチームとその護衛のウサギさんチームとカモさんチーム………

 

「………そこです」

 

と、その最後尾でフラッグ車をガードしていたウサギさんチームのM3リーを、IS-2に乗り換えたノンナが照準に捉えた。

 

122ミリ砲が火を噴き、放たれた砲弾が放物線を描いてM3リーのエンジン部を直撃!!

 

M3リーはエンジン部から炎を上げ、戦列から落後。

 

脇に逸れて停車したかと思うと、白旗を上げる。

 

「ウサギチーム、走行不能!」

 

『皆さん無事ですか!?』

 

梓がすぐに撃破された事を報告すると、沙織の心配する声が返って来る。

 

「「「大丈夫で~す!」」」

 

「メガネ割れちゃったけど大丈夫で~す」

 

「…………」

 

桂利奈、優希、あゆみ、あやがそう返事を返し、紗希もボーっとした様子は相変わらずだが大丈夫そうである。

 

「カモさん! アヒルさんをお願いします!!」

 

「了解! ゴモヨ! パゾ美! 風紀委員の腕の見せ所よ!!」

 

「「ハイ!!」」

 

そして梓がみどり子にそう通信を送ると、今度はカモさんチームがアヒルさんチームの盾となるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、窪地の中に在る廃村では………

 

逃げる敵フラッグ車を、あんこうチームのⅣ号とカバさんチームのⅢ突が猛追跡する。

 

「カチューシャ隊長! こちらフラッグ! 発見されちゃいましたぁ、如何しましょう? そちらに合流しても良いですか? てか、合流させて下さいぃっ!!」

 

逃げる敵フラッグ車の車長が、訛った口調でカチューシャへと指示を請う。

 

『ニェート! 単独で広い雪原に出たら良い的になるだけよ! 随伴歩兵も居ないのよ!!』

 

しかし、カチューシャは怒声気味の声でそう返してくる。

 

『ほんの少しの時間さえ頂けたら、必ず、仕留めてみせます』

 

と、IS-2で今度はカモさんチームに狙いを定めているノンナが、通信回線にそう言って割り込んで来る。

 

『と言うワケだから! 外に逃げずにチョロチョロ逃げ回って時間稼ぎして! 頼れる同志の前に引き摺り出したって良いんだから!!』

 

「りょ、了解しましたー!」

 

敵フラッグ車の車長はそう返すと、自車をある方向へと向かわせる。

 

そこには、包囲網を敷いていた時からフラッグ車の護衛に付いて居たKV-2の姿が在った!

 

そのKV-2の脇を、敵フラッグ車が擦り抜けると、KV-2が前進し、Ⅳ号とⅢ突の前に立ちはだかる。

 

「来た! ギガント!!」

 

かつてドイツ軍の部隊をたった1両で食い止めたと言う逸話を持つ街道上の怪物、KV-2を見てエルヴィンがそう声を挙げる。

 

「大丈夫!」

 

しかし、みほは少しも取り乱さずにそう言い放つ。

 

直後にKV-2が発砲!

 

轟音と共に152mmの榴弾が主砲から吐き出される!

 

だが、Ⅳ号とⅢ突は僅かに横に動いて回避。

 

「停止!」

 

直後に停止し、主砲をKV-2へと向ける。

 

「KV-2は次の装填まで時間が有るから落ち着いて!」

 

「ハイ」

 

みほがそう言う中、照準器を覗き込んでKV-2を見据える華。

 

そう、強力な榴弾砲を装備するKV-2だが、その榴弾の重さと分離装薬式と言う砲弾構造の為、次弾装填に非常に時間が掛かると言う致命的な弱点を持っていた。

 

先程の初弾を外してしまい、随伴歩兵も居ないKV-2に為す術は無い。

 

「もっとも装甲の弱い所を狙って………」

 

「撃てぇっ!!」

 

みほの号令が飛ぶと、Ⅳ号とⅢ突は発砲!

 

砲弾は其々、KV-2の車体下部と砲塔基部に命中!

 

KV-2から黒煙と共に白旗が上がると、Ⅳ号とⅢ突はその脇を擦り抜けて、フラッグ車の追跡を続けた!

 

『大洗、KV-2をアッサリと撃破ぁっ!!』

 

『いや、初弾を外したのはKV-2にとって痛いミスでしたね』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、ツァーリ歩兵部隊と戦闘中の大洗歩兵部隊は………

 

「ぐあっ!?………」

 

「コレでまた1人………」

 

ニキータから逃れ、別の森の中へと潜み直した飛彗が、ツァーリ歩兵を1人ヘッドショットしてそう呟く。

 

既にその射線上には、何人ものツァーリ歩兵が全てヘッドショットで倒され、戦死判定を受けていた。

 

「うわぁっ!?」

 

「あっ!?」

 

とその時、敵の狙撃で、大洗歩兵隊員の1人が倒されるのを目撃する。

 

「クッ! 敵も森の中から狙撃を………」

 

すぐに森の中をスコープ越しに覗き込む飛彗だが、敵の狙撃兵の姿は見つけられない………

 

「やはり敵の方がカモフラージュは上手ですか………」

 

「ほう? 狙撃兵か」

 

「!?」

 

そこでそう言う声がして、飛彗が慌てて振り返ると、そこには火炎放射器を構えたデミトリの姿が在った。

 

「! マズイ!?………」

 

「焼け死ぬが良いっ!!」

 

飛彗が飛び退く様に移動を始めた瞬間に、デミトリは火炎放射器から火炎を放つ!

 

「うわわわっ!?」

 

火炎がすぐ傍を掠め、焼け焦げた様な匂いが飛彗の鼻を刺激する。

 

炎は森の木々へと燃え移り、炎上させる。

 

「! コレだ!」

 

すると飛彗は、その燃え上がった木々を見て何かを思い付く。

 

「コッチです!」

 

そしてデミトリに態と姿を見せながら逃げ始める。

 

「馬鹿め! 炎からは逃れられんぞっ!!」

 

デミトリはその飛彗を追い掛けながら火炎放射を続ける。

 

火炎はドンドン木々を焼いて行き、森一帯へと広がって行く。

 

遂には森林火災となって、森全てを炎上させた!!

 

「!?」

 

コレは堪らないと、潜んでいたツァーリ狙撃兵達が慌てて森の中から飛び出して行く。

 

「そこです!」

 

「!?」

 

「?!」

 

と、その飛び出して来たツァーリ狙撃兵達を、飛彗が次々とヘッドショットで仕留めて行く。

 

「ぬうっ!? しまった!?」

 

自分の火炎が利用された事に、デミトリは思わず声を挙げる。

 

「………まあ良い。ならば戦法を変えるまでだ。イグニッション! ファイヤーッ!!」

 

しかし、デミトリはそう言ったかと思うと、ロケット弾の推進装置で再び飛翔!

 

飛彗の頭上を取ったかと思うと、酒瓶の様な物を投げつけた!

 

「!?」

 

反射的に、その酒瓶の様な物を撃ち抜く飛彗。

 

途端に酒瓶は大爆発!

 

「!? うわぁっ!?」

 

ガラス片が雨の様に飛彗へと降り注ぐ。

 

如何やら、中に液体燃料が詰まっていた様である。

 

「く、う………」

 

戦死判定は辛うじて免れたが、重傷を負ったと判定した戦闘服が、飛彗の動きを著しく制限する。

 

「フフフ………その状態で私の炎から逃れられるかな?」

 

「クウッ………」

 

上空から火炎放射器を構えるデミトリに、飛彗は苦い顔を浮かべるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃………

 

雪化粧狙撃部隊に誘導されていた弘樹は………

 

(! 森が途切れる………)

 

遂に森から抜け出し、大きな石橋が掛かる凍った池の前へと出る。

 

その途端に、雪化粧狙撃部隊からの狙撃がピタリと止んだ。

 

「此処へ誘い出すのが狙いだったのか………」

 

「その通り………そして此処が君が最期を迎える場所となるのだよ。舩坂 弘樹」

 

と、弘樹がそう呟いた瞬間!

 

池の対岸の方から石橋の上に、ラスプーチンが姿を見せる。

 

「ラスプーチン………」

 

警戒しながら、四式自動小銃を構える弘樹。

 

「フフフ………英霊よ………神の名に於いて、再びあの世へ戻して差し上げます」

 

慇懃無礼な態度で、ラスプーチンもシモノフPTRS1941を構えてそう言う。

 

「その手の台詞は厭きるほど聞いて来た………」

 

弘樹がそう言い、両者は互いに獲物を向け合った状態で膠着状態へ縺れ込む。

 

「「…………」」

 

睨み合う両者の間に会話は無く、戦場の音までもが遠ざかって行く様な感覚を覚える。

 

と、その時………

 

流れ弾と思わしきロケット弾が、凍った湖に落ちて爆発!

 

派手に水柱を上げて、氷塊を撒き散らした!

 

「「!!」」

 

その瞬間に!!

 

弘樹とラスプーチンの対決の火蓋は切って落とされた!

 

シモノフPTRS1941を発砲するラスプーチンだったが、読んでいた弘樹は横に飛ぶ様にして避ける。

 

「!!」

 

そして、四式自動小銃に銃剣を着剣すると、一気にラスプーチンに向かって突撃した!!

 

(接近戦に持ち込めば!………)

 

ラスプーチンを狙撃兵と思った弘樹は、一気に近づいて接近戦に持ち込む腹の様だ。

 

だが………

 

「フフフ………」

 

「!?」

 

ラスプーチンが不気味に笑みを浮かべた瞬間、弘樹は『何か』を感じ取り、即座にバックステップを踏む!

 

その直後!

 

弘樹の眼前を、銀色の閃光が掠め、銃剣を装着していた四式自動小銃が弾き飛ばされ、凍った湖の氷に突き刺さった!

 

「!?」

 

「ほう………今のを見切りますか…………大したものですね」

 

そう言うラスプーチンの手にはシモノフPTRS1941ではなく、ロシア製の刀剣………『シャスク』が握られていた。

 

「………狙撃兵じゃなかったのか」

 

「『狙撃兵もやっている』………と言うのが正しいですかね。色々と多忙な身でしてね」

 

弘樹の言葉に、シャスクの刀身を撫でながらそう返すラスプーチン。

 

撫でられた刀身が、不気味に輝く。

 

(………一筋縄では行かんか)

 

そう思いながら、弘樹は腰に下げていた英霊の柄に手を掛けるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

再び、大洗機甲部隊のフラッグ車であるアヒルさんチームの八九式と、それを護衛しているカモさんチームのルノーB1bisは………

 

「そこです………」

 

八九式の後方を走っていたカモさんチームのルノーB1bisに、ノンナのIS-2が放った砲弾が直撃!

 

ルノーB1bisは火を噴き、回転しながら静止し、白旗を上げる。

 

「あと1つ………」

 

遂に護衛車両が居なくなってしまったアヒルさんチームの八九式を照準器越しに見つめながら、ノンナがそう呟く。

 

「カモチーム、撃破されました! アヒルさんチームの皆さん! 健闘を祈る!!」

 

「「「「ハイ!!」」」」

 

カモさんチームのみどり子からの報告を聞き、アヒルさんチームは単独での逃走を続行する。

 

そのアヒルさんチームの八九式に、プラウダ戦車部隊の砲撃が容赦無く浴びせられる。

 

砲弾が次々に至近距離へと着弾し、八九式の車内には断続的に振動が走る。

 

「も、もう駄目かも~~、うええ~~~~」

 

恐怖の余り、あけびが思わず泣き声を挙げる。

 

「泣くな! 涙はバレー部が復活したその日の為に取って於け!」

 

「! ハイ!」

 

しかし、典子にそう叱咤され、すぐに気を取り直す。

 

「大丈夫! こんな砲撃! 強豪校の殺人スパイクに比べたら、全然よね!」

 

妙子もそう言って、皆を鼓舞する。

 

「そうね。でも、今はココが私達にとっての東京体育館。或いは代々木第一体育館!」

 

「「「「そ~れ、それそれ~~~っ!!」」」」

 

そして忍がそう言うと、全員で掛け声を挙げるのだった。

 

と、その瞬間に1発の砲弾が八九式の行く手に着弾!

 

爆風で八九式の車体が前側から持ち上がり、引っ繰り返りそうになる。

 

しかし、塹壕を超える為に後部に装備されていた橇のお蔭で、持ち直す事に成功する。

 

『危ない危ない、アヒルさんチーム! このまま撃破されてしまうのかぁっ!!』

 

『今回ばかりはちょっと危ないですよぉ』

 

その様子を、ヒートマン佐々木とDJ田中が熱の入った様子で実況するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、その頃………

 

フラッグ車を追撃しているあんこうチームとカバさんチームは………

 

「みぽりん! カモさんチームもやられたって! もうアヒルさんチームだけだよ!」

 

「分かってる!」

 

沙織からの報告を聞きながら、敵フラッグ車を視線で追うみほ。

 

しかし、元々雪上での走行に慣れているプラウダのフラッグ車は、障害物の多い廃村の中を巧みに走り回り、中々距離を詰められない。

 

「くうっ! 追い付けん!」

 

「回る砲塔が欲しいっ!!」

 

カバさんチームのⅢ突でも、エルヴィンとカエサルがそう声を挙げる。

 

(急がないと………皆が!)

 

みほの心に、徐々に焦りが生まれ始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

廃村地帯の森の中………

 

「オラァッ! 喰らったれいっ!!」

 

そう言い放ち、ニキータの胸目掛けて右の拳を振るう大河。

 

しかし………

 

「フ~~ン………」

 

「!? ん何ぃっ!?」

 

胸に真面に大河の拳を食らったと言うのに、ニキータはニヤリと笑って平然としている。

 

「ぬううっ! もう1発ぅっ!!」

 

すると大河は、続け様に左の拳を振るった。

 

「フフ~~ン………」

 

しかし、コレも真面に入ったにも関わらず、ニキータはダメージを受けた様な様子を見せない。

 

「クウッ! こんのおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーっ!!」

 

大河はそのまま、拳の猛ラッシュを繰り出す。

 

拳が次々に、ニキータの身体へと叩き込まれる。

 

「フフフフ~~~ン………」

 

だが、それでもニキータは平然としている。

 

「コ、コイツ!? 人の姿した戦車とちゃうんかっ!?」

 

ニキータの並外れた頑丈さに、大河は思わずそんな事を言う。

 

「うがああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!!」

 

とそこで、ニキータが獣の様な咆哮を挙げると、大河の首を片手で締める!

 

「ごはっ!?………」

 

「うおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーっ!!」

 

更に咆哮を挙げたかと思うと、何とそのまま大河を片腕だけで持ち上げた!

 

「うがああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!!」

 

そのまま大河を、近くに在った岩に向かって投げつけるニキータ。

 

「ぐおあっ!?」

 

大河は背中から岩に叩き付けられ、雪の上に落ちる。

 

「ゲホッ! ゴホッ!………化け物めぇ………」

 

「フフフフ~~~ン………」

 

咳き込みながら大河がそう言い放つと、ニキータは攻撃的な笑みを浮かべて、ゆっくりと大河に向かって近づいて行く。

 

「チイッ! 調子に………乗んなやぁっ!!」

 

とそこで大河は近くに落ちていた丸太を掴み、ニキータの頭に向かって思いっきりフルスイングをかます!

 

「!?」

 

流石にコレは聞いたのか、ニキータは仰け反る。

 

「よっしゃあっ! もう1発!!」

 

返す刀で、再びニキータの頭目掛けてフルスイングを繰り出す大河。

 

しかし………

 

「うがああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!!」

 

ニキータはフルスイングされた丸太を、両手で抑え込む様に掴む!

 

「!? ん何ぃっ!?」

 

大河が驚きの声を挙げた瞬間………

 

「うおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーっ!!」

 

何とニキータは、丸太をまるで新聞紙の様に握り潰した!

 

「!? うおおっ!?」

 

「うおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーっ!!」

 

思わず大河が距離を取ると、ニキータはまたも獣の様な咆哮を挙げる。

 

「ホンマに化け物や………コイツは………」

 

そんなニキータの姿を見て、大河の頬に冷たい汗が流れるのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

凍った池に掛かる大きな石橋の上にて………

 

「せやああっ!!」

 

気合の掛け声と共に、上段に構えた英霊を振り下ろす弘樹。

 

「フフフ………」

 

しかし、ラスプーチンは不気味に笑いながらまるでスライド移動の様に横へと動いて、弘樹の斬撃を回避する。

 

「!?………」

 

それに驚きながらも、弘樹は素早く斬り上げで追撃する。

 

「…………」

 

だがコレも、ラスプーチンは軽く身体を仰け反らせただけで回避する。

 

「!?」

 

直後に嫌な予感を感じ、弘樹はその場から飛び退く。

 

途端に、すぐ目の前を、シャスクの刃が掠めた!

 

「まだ終わりではありませんよ」

 

と、ラスプーチンは続け様に突きを繰り出し、回避行動中の弘樹を狙う!

 

「!!」

 

弘樹は迫って来たシャスクの刃に、英霊を側面から当てる様にして突きを反らす!

 

シャスクの刃は、弘樹の顔のすぐ横を通り過ぎる!

 

「ハアッ!」

 

「フ………」

 

それに動じる様子も見せずにすぐさま横薙ぎに英霊を振るった弘樹だが、ラスプーチンはまたもスライド移動の様に後退し、斬撃をかわす。

 

(何だ、あの動きは? 奴は人間なのか?)

 

英霊を構え直しながら、ラスプーチンの得体の知れなさにそんな事を思いやる弘樹。

 

『うわぁっ!? 今の結構近かったよ!?』

 

『キャプテン! そろそろ限界です!!』

 

『追い付かれちゃう!』

 

『誰か助けてぇーっ!!』

 

「!!」

 

とそこで、通信回線にアヒルさんチームの悲鳴が響き渡る。

 

「如何やらそちらのフラッグ車も終わりの様ですね。むざむざ生き恥を晒して負けるのも悔しいでしょう。その前に片付けてさしあげますよ」

 

その通信が聞こえた様子のラスプーチンは、そう言ってシャスクの刃を不気味に発光させる。

 

「………やはり保険を使うしかない様だな」

 

だが、弘樹は余り動じる事なく、そんな事を呟く。

 

「保険? 一体何の保険だと言うのですか? 今この状況を引っくり返せる手立てなど………」

 

「ある………」

 

「何?」

 

「此方大洗機甲部隊とらさん分隊長、舩坂 弘樹! 支援要請!」

 

ラスプーチンの言葉を遮って弘樹はそう言い、通信機を手にするとそう言った後に、こう付け加えた………

 

「『ジェリコのラッパ』を鳴らせ! 『悪魔のサイレン』を響かせろ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オマケ1・むせる感じの次回予告(あの声優さんの声で脳内再生して下さい)

 

敵の血潮で濡れた翼。

 

ソ連人民最大の敵と人の言う。

 

北緯50度の会場に、第二次大戦の亡霊が蘇る。

 

独ソ戦、東部戦線の空に、

 

無敵と謳われたカノーネンフォーゲル。

 

情無用、命無用の鉄翼兵。

 

この命、金10万ルーブル也。

 

最も高価なワンマンアーミー。

 

次回『急降下爆撃です!』

 

魔王、戦車に向かうが本能か。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オマケ2・劇場版嘘予告

 

去る3月15日、大洗の海楽フェスタにて、劇場版ガルパンの新情報が公開されました。

 

その中で、新ビジュアルが公開されましたが………

 

それが戦車の残骸が並んでいるのを背景に、みほがボコを抱いて悲しげな様子で立っており、『取り戻せ』というキャッチフレーズが入っている意味深なものでした。

 

声優さん達にもまだ情報は行っていないので不明ですが、みほ役の渕上 舞さんは『優勝校となったプレッシャーから、みほが黒森峰時代の様な勝利主義の指揮を執る様になってしまい、それに付いて行けなくなった仲間達がみほの元から去ってしまう。再び信頼を得る為にみほが奮戦する』と言う予想を立ててました。

 

個人的にシリアス過ぎるかも知れませんが、可能性としてはあると思います。

………んで、その舞さんの予想を元にしたボイゾル版の劇場版予告を考えてみました。

 

 

 

 

全国大会優勝を果たした大洗。

廃校も取り下げられ、再び平和な学園生活が戻って来た。

だが、その平穏は長く続かなかった………

優勝校と言う看板を背負った大洗機甲部隊は、周囲より多大な期待を寄せられる。

その期待と言うなのプレッシャーを背負わされたみほは、重圧の余りに仲間達との絆を忘れ、黒森峰時代の勝利主義を執る。

そんなみほに付いて行けなくなった大洗機甲部隊からは、1人、また1人と去る者が出始める。

漸くみほが過ちに気付いた時には、彼女の元に残っていたのは、スクラップ寸前のⅣ号だけだった………

みほは、ただ己の過ちに涙する………

いや………

もう1つだけ、みほの元に残っていたものがあった。

それは………

「行こう、みほくん。全てを取り戻しに」

「弘樹くん………」

「例え世界の全てが敵だったとしても………小官だけは君の味方だ」

蘇った英霊・舩坂 弘樹だ。

今、男1人、女1人、戦車1台の孤独な戦いが幕を上げる………

 

「舩坂 弘樹………ふざけるなよ」

 

「ど、如何したの、しずか姫」

 

その前に現れる、百足の紋章を持つ赤い九七式軽装甲車に乗る、赤いリボンの女………『鶴姫 しずか』

 

「無茶だよ、弘樹くん! 相手は250輌の戦車部隊なんだよ!!」

 

「舩坂 弘樹! 私は貴様の生き方を! 認めんっ!!」

『劇場版ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース 孤影再び』

我が求むるは只1つ………

 

 

 

 

 

………お目汚し、失礼致しました。

 

最低野郎の妄想だと嘲笑して下さい。




新話、投稿させていただきました。

プラウダ&ツァーリのフラッグ車を攻めあぐねるみほ達。
一方、弘樹はラスプーチンと対峙。
その奇怪な動きに翻弄される。

そんな中、遂に大洗側のフラッグ車が追い詰められてしまう。
絶対絶命かと思われた、その時!
弘樹は支援要請を叫んだ!

さて、皆さん………
遂に次回は『あのお方』が顔見世します。
逃げてぇっ!! プラウダの戦車、超逃げてぇーっ!!

オマケは勢いと、先週の海楽フェスタの一幕で思い至って書いてみました。
予告の方は、飽く迄個人的な妄想ですので………

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。

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