ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース 作:宇宙刑事ブルーノア
『ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース』
第81話『フラッグ車を探します!』
敢えて包囲網の1番厚い場所である、プラウダ&ツァーリ機甲部隊の本陣へと突っ込んで虚を突き、一気に脱出する作戦………
『ところてん作戦』を決行した大洗機甲部隊の本隊は………
遅参した弘樹と、駆け付けたサンショウウオさんチーム達の援護に加え、ツァーリ非正規部隊の反乱………
そして、カメさんチームの捨て身の奮戦により………
プラウダ&ツァーリ機甲部隊の包囲網より脱出する事に成功する。
追撃の戦車部隊が迫る中、みほ達はサンショウウオさんチーム達との合流を計るのだった………
第5回戦・試合会場………
北緯50度を超えた、雪の降り頻る雪原地帯の窪地………
窪地からの脱出を図り、走り続ける大洗機甲部隊。
『! コチラ最後尾のカモさんチーム! プラウダ戦車部隊が来ます!!』
とそこで、最後尾に居たカモさんチームのみどり子から、あんこうチームにそう通信が送られる。
「! カモさんチーム! 敵の数は確認出来ますか!?」
『え~と………全部で8台かと』
みほが即座にそう尋ねると、みどり子が追撃して来る車両は8輌であると返す。
「フラッグ車は確認出来ますか?」
『見当たりません』
「やはりフラッグ車はまだあの廃村か………」
続いてみほがそう尋ねると、みどり子はそう返し、弘樹がそう呟く。
「やっと追い付いたわよ! チマチマと軽戦車みたいに逃げ回ってっ!! 機銃、曳光弾! 主砲は勿体無いから使っちゃ駄目っ!!」
そこで、追撃して来ているプラウダ戦車部隊の中に居たカチューシャからそう指示が飛び、プラウダ戦車部隊が曳光弾での機銃射撃を始める。
如何やら、暗闇を照らして見通しを立てる積りらしい。
曳光弾の弾幕が大洗機甲部隊の上空に広がり、周囲が僅かに明るくなる。
「うおっ!?」
「慌てるな。コチラを狙っているワケではない。恐らく照明弾代わりに曳光弾を使っているんだろう」
了平が思わず身を伏せると、弘樹は上空に広がる曳光弾の弾幕を見上げながらそう言う。
「T-26! 先行しなさいっ!!」
「「了解っ!!」」
とそこで、追撃部隊の中に居たT-26が、部隊の中より抜け、先行する様に速度を上げて、大洗機甲部隊を肉薄しようとする。
『! 敵戦車2台! 接近して来ます!! えっと………T-26ってやつです!!』
「!!」
「あの足の速さ………大分弄られている様だね」
みどり子からの報告を、みほが後方を振り返って確認し、迫信は接近して来るT-26達を見ながらそう言う。
「逃がさんぞ、大洗!」
「後面を衝いて居る今ならば、我々の主砲でも!!」
接近して来ながら、主砲の照準を大洗機甲部隊へと合わせるT-26達。
「! 応戦を!!………」
止むを得ず、みほが応戦の指示を出そうとしたところ………
突如砲撃音がして、大洗機甲部隊の行く手の方から2発の砲弾が飛来!
そのまま大洗機甲部隊を飛び越えて、先行して来ていたT-26達に命中!
T-26達から派手に爆炎が上がったかと思うと、そのまま白旗が上がった!
「なあっ!?」
『西住総隊長!』
『援護します! 急いでっ!!』
カチューシャの驚きの声が挙がった直後に、聖子とねこにゃーの声が通信回線に響く。
「! 郷さん! ねこにゃーさん!」
みほが前方を見やると、窪地の脱出地点である丘の上に陣取っているサンショウウオさんチームのクロムウェルと、アリクイさんチームの三式を発見し、そう声を挙げる。
『撃てッ!!』
『ファ、ファイヤーッ!!』
直後に再度クロムウェルと三式が発砲!
放たれた砲弾は、追撃して来ていたプラウダ戦車部隊の行く手に落ちる。
『うわぁっ!?』
『危ないっ!?』
目の前に砲弾が着弾したのを確認したプラウダ戦車が急停車する。
「何やってるのよ! 止まるんじゃないわよっ!! あの距離だったら装甲で十分防げるわっ!!」
カチューシャは構わず前進しろと指示を出す。
『西住総隊長! 今の内に!!』
『い、急いでっ!』
再び聖子とねこにゃーのそう言う声が、通信回線に響く。
「! 全車全速前進! 窪地を脱出した後、あんこうチームとカバさんチーム、サンショウウオさんチームにアリクイさんチーム、それと歩兵の皆さんは隠れて敵をやり過ごし、フラッグ車の撃破に向かいます!」
直後にみほがそう指示を飛ばす。
「残りのカモさんチームとウサギさんチームは、フラッグ車であるアヒルさんチームを守りながら出来るだけ敵を惹き付けて下さい!」
『『『了解っ!!』』』
各チームの車長から、勇ましい返事が返って来る。
そのまま、大洗機甲部隊は窪地の脱出地点である丘を越える。
『良し! 全速後退!』
『こ、コッチも後退!』
直後に、援護砲撃を行っていたクロムウェルと三式も後退して丘の影に姿を消す。
「逃がすなぁっ! 殲滅しろぉーっ!!」
半ば怒声となっているカチューシャの指示が飛び、プラウダ戦車部隊も次々に丘を越えて行く。
そして、ウサギさんチームとカモさんチーム、それにフラッグ車のアヒルさんチームを見つけると、全車両で追撃して行く。
「………良し、行ったぞ!」
と、その直後に、丘の両脇に予めタコさん分隊とおおかみさん分隊が掘っていた塹壕の中に隠れていた弘樹が顔を出し、フラッグ車を追撃して行くプラウダ戦車部隊を見てそう言う。
「コレより主力部隊は反転。廃村地帯へ戻り、フラッグ車の捜索と撃破に当たります。廃村ではまだツァーリ歩兵部隊が展開しています。各随伴分隊の皆さんは、戦車への肉薄を防いで下さい」
「「「「「「「「「「了解っ!!」」」」」」」」」」
みほの指示に、大洗歩兵部隊の面々は勇ましい返事を返し、主力部隊は塹壕から抜け出して反転。
敵フラッグ車を撃破する為、ツァーリ歩兵部隊が残る廃村へと引き返すのだった。
「追え追えーっ!!」
カチューシャはその主力部隊の姿には気付かず、只管にフラッグ車を追撃して行く。
「敵の数が減っていますが………」
とそこで、ノンナが敵部隊の数が減っている事に気付いてそう報告するが………
「そんな細かい事は如何でも良いから!! どのみちフラッグ車を撃破すればそれで終わりよ!! 永久凍土の果てまで追いなさいっ!!(あの赤い肩の悪魔が居ないなら寧ろその方が良いわ!!)」
しかし、完全に頭に血が上り、弘樹への恐怖がまだ残っているカチューシャはそれを気にせずに、追撃命令を出し続けるのだった。
◇
一方、反転して廃村地帯へと戻っている主力部隊は………
「もうすぐ廃村地帯だ!」
「気を付けるんだ。もう1度言うが、今ツァーリ歩兵部隊は反乱を起こした部隊を鎮圧している様だが、その反乱部隊は我々の味方と言うワケではない」
地市がそう声を挙げると、迫信が全員に改めてそう注意を飛ばす。
「フラッグ車は何処に?………」
目の上に手を翳し、フラッグ車の姿を探す弘樹。
他のメンバーも其々にフラッグ車を捜索している。
とそこで、横を走っているⅣ号から金属音が聞こえた。
「?………」
何かと思って弘樹がⅣ号を見やると、そこには………
「…………」
キューポラの上に立ち、辺りを索敵しているみほの姿が在った。
月明かりに照らされたその威風堂々たる姿は、神々しささえ感じられる。
(………軍神)
そのみほの姿を見た弘樹は、そんな言葉を思い浮かべる。
「………偵察兵部隊! 確か廃村の中心部に高い塔の様な建物が在った筈だ! 全員そこへ向かい、そこからフラッグ車を捜索するんだ!」
「「「「「「「「「「! 了解っ!!」」」」」」」」」」
しかし、すぐに気を取り直し、楓を初めとした偵察兵部隊にそう指示を飛ばす。
◇
一方、その頃………
主力のプラウダ戦車部隊を惹き付けつつ逃走を続けているフラッグ車防衛部隊は………
「遅れてすみません! IS-2、只今遅参しました!!」
「同じくIS-3! 到着です!!」
「自走砲部隊、只今到着しました!!」
追撃を続けていたプラウダ戦車部隊に、IS-2とIS-3、そしてISU-122、SU-100、SU-85、2両のSU-76と言う重戦車と自走砲部隊が合流した。
「来たーっ! ノンナ! IS-2に移りなさいっ!!」
「ハイ………」
途端にカチューシャは歓喜の声を挙げ、ノンナにそう指示する。
指示通りにノンナはIS-2へと搭乗戦車を変えると、砲手席に着く。
その直後!
IS-2は発砲!!
放たれた砲弾は、八九式のすぐ傍に着弾!!
「「「「うわああっ!?」」」」
爆発で八九式が一瞬持ち上がったが、何とか持ち直す!
「何よアレ!? 反則よぉっ!! 校則違反よ!!」
砲塔後部のハッチを開けてプラウダ戦車部隊の様子を窺っていたみどり子が、IS-2の砲撃の威力にそんな声を挙げる。
直後に、IS-3と自走砲部隊も砲撃を開始!
次々と砲弾が飛来し、アヒルさんチーム達の周辺で爆ぜて行く!
「あわわわっ!? 如何しよう!?」
「私達の事は良いから、アヒルさん守ろう!」
「そうだよ! 桂利奈ちゃん! 頑張ってぇっ!!」
「よっしゃあーっ!!」
そんな中で、ウサギさんチームの中で桂利奈、あゆみ、優希がそう会話を交わすと、M3リーが八九式を守る様に自らの車体を盾とするのだった。
◇
再び、廃村地帯では………
「ハア、ハア………此処からなら………」
弘樹の言う塔の様な建物へと辿り着いた楓が、双眼鏡を手に村中を見渡す。
「何処に?………何処に居るんだ?………」
若干焦りながら、フラッグ車の姿を探す楓。
と、その瞬間!
双眼鏡が、廃村内の赤い壁の建物の陰から、僅かに出ていたT-34-75の車体を捉えた!
「! 居たっ!!」
大洗機甲部隊・主力部隊………
『こちら楓! フラッグ車、発見しました! 村の南西! 赤い壁の建物の陰です!!』
「了解しました!」
「了解! フラッグ車の位置が分かった! 仕掛けるぞっ!!」
「「「「「「「「「「おおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーっ!!」」」」」」」」」」
楓からのフラッグ発見の報告を聞き、みほが返事を返し、弘樹が歩兵部隊に呼び掛け、歩兵部隊からは雄々しい叫びが挙がる。
だが、その時!!
「そうはさせんぞ! 大洗っ!!」
「散々コケにしてくれやがってぇっ!!」
「たっぷりとお返しをしてやるぜぇっ!!」
「「「「「「「「「「ウラアアアアアアァァァァァァァァーーーーーーーーッ!!」」」」」」」」」」
そう言う台詞と共に、デミトリ、ピョートル、マーティンを筆頭に、ツァーリ歩兵部隊が突撃して来た。
「! ツァーリ歩兵部隊!」
「しかも敵のエースが揃い踏みじゃねえかよ! ヤベェじゃん!?」
地市と了平が驚きの声を挙げる。
「こんな時に………」
「くうっ………」
麻子が愚痴る様にそう呟き、みほも苦い表情を浮かべる。
と………
「ぐあっ!?」
「ぐええっ!?」
「がはっ!?」
銃撃音が3連続で響き渡ったかと思うと、突撃して来ていたツァーリ歩兵部隊の中の3人がもんどりうって倒れ、戦死判定を受けた。
「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」
それを見たツァーリ歩兵部隊は足を止める。
「西住総隊長! 行って下さいっ!! 歩兵部隊は我々が食い止めます!!」
そこで、銃口から硝煙の上がっている四式自動小銃を構えていた弘樹が、Ⅳ号の方を振り返りながらそう言い放つ。
「弘樹くん!………お願い! 全車、あんこうに続いて下さい!!」
「了解!」
「ハイ!」
「ハ、ハイ!」
みほは一瞬弘樹の事を見やると、すぐにそう指示を出して、戦車部隊を率いてその場を離脱する。
「逃がすか!」
「行かせんっ!!」
1台のBA-10装甲車が大洗戦車部隊を追撃しようとしたが、弘樹は収束手榴弾を投げて、BA-10装甲車を撃破する。
「西住総隊長達がフラッグ車を撃破するまで我々でツァーリ歩兵部隊を食い止めるんだっ!!」
「「「「「「「「「「了解っ!!」」」」」」」」」」
弘樹がそう言うと、大洗歩兵部隊はそう返事を返す。
共に敵軍のフラッグ車に肉薄した大洗機甲部隊とプラウダ&ツァーリ機甲部隊。
果たして、どちらが先に相手を撃破するのか?
勝負の行方はまだ分からない………
つづく
新話、投稿させていただきました。
プラウダ&ツァーリ機甲部隊の包囲網を突破した大洗機甲部隊。
追撃部隊が迫る中、主力部隊が反転し、フラッグ車の撃破を狙う。
だが、逃げる大洗のフラッグ車を重戦車と自走砲の砲撃が襲い………
主力部隊にもツァーリ歩兵部隊のエース達が襲い掛かる。
まだまだ油断は出来ません………
では、ご意見・ご感想をお待ちしております。