ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース   作:宇宙刑事ブルーノア

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第80話『包囲網を突破です!』

『ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース』

 

第80話『包囲網を突破です!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遂に、大洗機甲部隊によるプラウダ&ツァーリ機甲部隊の包囲網突破作戦………

 

『ところてん作戦』が開始された。

 

敢えて包囲網の1番厚い場所………プラウダ&ツァーリ機甲部隊の本陣へと突っ込んで虚を突き、一気に脱出する作戦である。

 

だが、それは同時に全滅の危険性も有るリスクの高い作戦でもあった。

 

しかし、遅れていた弘樹が遂に参戦!

 

変装してプラウダ&ツァーリ機甲部隊の本陣へと忍び込み、大洗機甲部隊の作戦開始と同時に本陣内で大暴れする!

 

サンショウウオさんチーム達の援護と、事前に弘樹が不満を煽っていた非正規部隊の反乱もあり、プラウダ&ツァーリ機甲部隊の本陣は大混乱!!

 

その大混乱のプラウダ&ツァーリ機甲部隊の本陣の中へと、車長兼砲手を杏に交代したカメさんチーム38tを先頭にして、大洗機甲部隊は突っ込む!!

 

果たして、プラウダ&ツァーリ機甲部隊の包囲網を突破出来るのか!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第5回戦・試合会場………

 

北緯50度を超えた、雪原地帯の窪地の中に在る廃村………

 

「…………」

 

相変わらず無言の仏頂面で、SGMBを持って構えたまま掃射を行っている弘樹。

 

「うわわぁっ!!」

 

「ぎゃあああっ!?」

 

ツァーリ歩兵達が次々に薙ぎ払われて行く。

 

(………本隊が突入したか。もう少し敵の注意を集めなくては………)

 

そこで弘樹は、横目に大洗機甲部隊の本隊が、プラウダ&ツァーリ機甲部隊の本陣に突入したのを確認し、突破を援護する為に、プラウダ&ツァーリ機甲部隊の注意を惹き付けようとする。

 

と、その時!

 

弘樹の足元に、1発の銃弾が着弾!

 

足元の雪が高く爆ぜた!

 

「!? 狙撃か!?」

 

その銃弾が狙撃によるものだと即座に判断した弘樹は、弾が無くなったSGMBを投げ捨てて、近くに在った雪を掘った塹壕の中へ転がり込む!

 

途端に、弘樹が転がり込んだ場所の付近に、次々と銃弾が着弾する。

 

「クッ………」

 

弘樹は戦闘服のポケットから鏡を取り出すと、塹壕に隠れたまま、鏡越しに狙撃の銃弾が飛んで来た方向を見やる。

 

(あの林の中か?………)

 

鏡にやや遠方の林が映ると、狙撃はそこからかと推測する弘樹。

 

と、次の瞬間!!

 

林の中にスコープの反射が見えた後、マズルフラッシュが煌めき、弘樹が持っていた鏡が撃ち抜かれた!

 

「!? 良い腕だ………」

 

驚きながらも、まるで他人事の様に敵狙撃手の腕を褒める弘樹。

 

(だが………腕の良い狙撃兵はお前達だけではないぞ………)

 

そう思いながら、弘樹は何かをジッと待つ様にするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その、やや遠方の林の中では………

 

「フフフ………舩坂 弘樹………まさかツァーリの歩兵に変装して本陣に潜入するとは………驚かされたよ。しかし、我が雪化粧部隊狙撃部隊の攻撃から逃れられるかな?」

 

シモノフPTRS1941のスコープ越しに、弘樹が隠れている塹壕を見ながら、ラスプーチンがそう言い放つ。

 

その周囲には、白い迷彩服を着こみ、ラスプーチンと同じくシモノフPTRS1941か、デグチャレフPTRD1941の対戦車ライフル。

 

または、狙撃銃型のモシン・ナガンM1891/30を構えているツァーリ狙撃兵達………『雪化粧狙撃部隊』が展開していた。

 

全員が不気味なほど無表情で、只ジッと銃のスコープ越しに、弘樹が隠れている塹壕を見やっている。

 

「コレで奴は動けない。このまま抑えておけば、すぐに同志カチューシャと同志ノンナが部隊を立て直す。後は当初の作戦通りに大洗を再包囲して終わりだ………」

 

不気味に笑いながらそう呟くラスプーチン。

 

「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」

 

そんなラスプーチンの周囲で、雪化粧狙撃部隊は相変わらず無表情のまま、狙撃銃や対戦車ライフルを構え続けている。

 

………と、その時!!

 

「!?………」

 

1人の雪化粧狙撃部隊員が、頭に衝撃を受け、もんどりうって倒れる!

 

そしてそのまま、戦死判定が下る。

 

「…………」

 

それでもなお、その他の雪化粧狙撃部隊員は無表情のままで、一言も言葉を発しなかった。

 

「む?………」

 

ラスプーチンがその倒された雪化粧狙撃部隊員に反応すると………

 

またも別の雪化粧狙撃部隊員がヘッドショットを食らい、戦死判定を受ける。

 

「敵のスナイパーか、小癪な………すぐに反撃しろ」

 

その命令を受けて、雪化粧狙撃部隊員は弾丸が飛んで来た方向へと銃を向ける。

 

そして、スコープを覗き込んで敵のスナイパーを探そうとする。

 

しかし、幾らスコープを覗き込んでも、スナイパーらしき影は見当たらなかった。

 

「??」

 

1人の雪化粧狙撃部隊員が、もう少し良く見ようと、僅かに前に身を乗り出した瞬間!!

 

またもその雪化粧狙撃部隊員にヘッドショットが決まる。

 

「スコープの反射が見えないだと?………」

 

隊員がまたも1人やられたのに頓着せず、相手のスナイパーを探すラスプーチン。

 

「まさかスコープ無しで撃っていると言うのか? だとすれば、敵の腕は我等雪化粧狙撃部隊と同等………いや、それ以上か」

 

まるで他人事の様に淡々とそう呟く。

 

と、その直後!!

 

ラスプーチンと雪化粧狙撃部隊が潜んでいる林の中に、次々と榴弾が撃ち込まれ始めた!

 

「むっ?………」

 

砲弾が飛んで来た方向を見やると、大洗砲兵部隊の姿を発見するラスプーチン。

 

「砲爆撃で潰しに来たか………まあ、良い………『ニキータ』、聞こえるか?」

 

周辺に砲爆撃が降り注ぎ、爆風に煽られ、戦死判定者が次々と出ているにも関わらず、ラスプーチンは淡々と通信機を取ってそう言う。

 

『うがああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーっ!!』

 

通信機からは、まるで獣の咆哮の様な雄叫びが返って来る。

 

「お前はそろそろ出る用意をしておけ。だが、英霊の相手は………私がする」

 

『うおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーーっ!!』

 

再び獣染みた雄叫びが響くと、通信回線は切断される。

 

「………お前達はやられるまで狙撃を続けろ。敵だけでなく、逃げようとする敗北主義者共にもな」

 

「「「「「「「「「「………了解」」」」」」」」」」

 

ラスプーチンはそう言い残し、またも雪の中に溶け込む様に姿を消す………

 

残された雪化粧狙撃部隊は、戦死判定者が続々と出るにも関わらず、全員が持ち場を一切離れようとせず、まるでロボットの様に黙々と狙撃を続けるのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、その頃………

 

プラウダ&ツァーリ機甲部隊の本陣へと突入した大洗機甲部隊は………

 

「喰らえっ! 正規のクソッタレ共ぉっ!!」

 

「何を小癪な! 非正規の裏切り者めがぁっ!!」

 

周辺でツァーリ歩兵部隊の正規部隊と非正規部隊の面々が激しく争っている中を、陣形を保ったまま突き進んで行く大洗機甲部隊。

 

「酷い………」

 

「醜い争いだな………」

 

そんな周辺の様子に、Ⅳ号の中で沙織と麻子はそんな言葉を漏らす。

 

「ですが、この状況は我々にとって好都合です!」

 

「皆さん目の前の相手と戦うので精一杯で私達に構っていられない様ですからね」

 

続いて、優花里と華がそう言い放つ。

 

その言葉通り、ツァーリ歩兵部隊は非正規部隊の反乱を鎮圧するのに手一杯であり、プラウダ戦車部隊も味方が混戦しているので真面に動けずに居た。

 

「油断しないで下さい! 反乱を起こしている人達は私達の味方ではありません!!」

 

そこでみほがそう言い放つ。

 

そう………

 

ツァーリ歩兵部隊の正規部隊に反旗を翻した非正規部隊だが、一応扱いとしてはツァーリ歩兵部隊の所属となっている。

 

その為、もし非正規部隊の攻撃でフラッグ車が撃破されてしまえば、それはプラウダ&ツァーリ機甲部隊の勝利となってしまう。

 

大洗機甲部隊は、細心の注意を払いながら、プラウダ&ツァーリ機甲部隊の本陣を突破して行く。

 

やがて、遂に本陣の中を突破すると思われた瞬間………

 

「来たな! 大洗っ!!」

 

「ココは通さんぞっ!!」

 

そこには、教会周辺の包囲部隊として配置されていたプラウダ戦車部隊のT-34-76が4両と、T-34-85が3両展開していた。

 

「!? T-34!」

 

「周り込まれた!? 何時の間に!?」

 

予想よりも遥かに早いプラウダ戦車部隊の展開に、優花里とみほは驚きの声を挙げる。

 

「如何するの、みぽりん!?」

 

「今は戦うのは不利です! 何とか振り切って逃げ切ります!!」

 

「だが、相手は逃がしてくれそうにないぞ………」

 

沙織の言葉にみほがそう返すと、麻子がそう呟く。

 

「西住ちゃん。ココは私達が引き受けるよ」

 

すると、大洗機甲部隊の先頭を行って居たカメさんチームの38tから、杏がそう言って来る。

 

「! 会長さん!」

 

「大丈夫。上手く行ったら後で合流するから」

 

杏はそう言うと、照準器越しに正面に展開しているプラウダ戦車部隊を見据える。

 

「T-34-76とT-34-85か………固そうで参っちゃうな」

 

そう言いながらも、杏の顔には不敵な笑みが浮かんでいた。

 

「小山! ねちっこくへばり付いて!」

 

「ハイ!」

 

「河嶋! 装填早めにね!」

 

「ハイ!」

 

「蛍! 歩兵が邪魔して来たら機銃で蹴散らして!!」

 

「分かった!」

 

同乗している柚子、桃、蛍にそう指示を飛ばす杏。

 

「38tでも零距離なら何とか………」

 

如何やら、砲の威力不足をカバーする為、接近戦を挑む積りらしい。

 

「西住ちゃん! 良いから展開しちゃって!!」

 

「分かりました! 気を付けて!」

 

「そっちもね!………迫信、後は任せたよ」

 

「心得た………」

 

最後にみほと迫信にそう言い、大洗機甲部隊が離脱を初めると、38tはプラウダ戦車部隊へと突っ込んで行く!

 

「…………」

 

「幸運を………」

 

そんな38tを心配そうな表情で見送るみほと、敬礼を送る迫信。

 

「逃がすかっ!」

 

「お前達の相手は私等だよ!!」

 

大洗機甲部隊を追撃しようとするプラウダ戦車隊だったが、そこで38tがそのままプラウダ戦車隊の中へと突入する!

 

小回りの良さを生かし、相手の転回速度や砲塔回転速度よりも早く動き回る38t。

 

途中、1両のT-34-76から砲撃されたが難なくかわし、逆にそのT-34-76の転輪と履帯を砲撃で破壊!

 

その後素早く方向転換すると、別のT-34-76の履帯を狙って攻撃したが、僅かに狙いが逸れて、装甲で弾かれる。

 

「失敗………もう一丁!」

 

「ハイ!」

 

杏がそう言って再度狙いを付けると、桃が砲弾を素早く装填する。

 

直後に杏は発砲し、1両のT-34-76のマフラーを片方を吹き飛ばす!

 

「もう一丁!」

 

「ハイ!」

 

桃が素早く次弾を装填し、柚子が車体を旋回させる。

 

相手の砲撃をかわすと、カウンターの様に砲撃し、履帯と転輪を破壊していたT-34-76にトドメを刺す様に、砲塔基部に命中させる。

 

至近弾が炸裂するが、38tは一旦離脱する様に距離を取り、その後砲撃を受けながらも素早く切り替えして、再度突撃!

 

「せー、のっ!!」

 

杏が砲撃すると、T-34-76の履帯と転輪を吹き飛ばす。

 

「ふっ!」

 

桃が素早く次弾を装填すると再度砲撃し、反対側の履帯も吹き飛ばす!

 

動けなくなったT-34-76から放たれた砲弾が至近距離を掠めながらも突撃を続行し、ほぼ零距離から砲塔基部の砲撃を叩き込む!

 

T-34-76から白旗が上がる。

 

「良し! こんぐらいで良いだろう、撤収~」

 

そこで、もう充分だと悟った杏は、撤退命令を下す。

 

「お見事です!」

 

桃がT-34-76を2両も撃破した杏の腕を称える。

 

「!? 柚子ちゃん! 回避っ!?」

 

「えっ!?」

 

とそこで蛍が何かに気付いた様に柚子にそう言ったが………

 

直後に38tの車体右側に砲弾が直撃!!

 

履帯と転輪が弾け飛び、そのまま38tは空中に舞い上がって横に転がり、逆さまになった状態で止まる。

 

直後に底部から、撃破された事を示す白旗が上がる。

 

「…………」

 

38tを撃破したのは、ノンナの乗るT-34-85だった。

 

かなりの距離から撃った様であり、彼女の砲撃能力の高さが窺い知れる。

 

「………動ける車両は、速やかに合流しなさい」

 

「ハイ」

 

ノンナがそう指示を出すと、生き残っていたプラウダ戦車部隊が合流し始める。

 

「………カチューシャ、聞こえますか」

 

それを確認すると、ノンナは今度はカチューシャへと通信を送る。

 

『いやあっ!? アイツが来るぅっ!! 赤い肩をした悪魔がやって来るぅっ!!』

 

通信回線からは、未だに恐慌状態らしきカチューシャの狂乱している様な悲鳴が返って来る。

 

「落ち着いて下さい、カチューシャ。私の声を聴いて………」

 

ノンナはそんなカチューシャに優しく語り掛ける。

 

『! ノンナ………』

 

「貴方は栄光あるプラウダ&ツァーリ機甲部隊の総隊長です。さあ立ち上がって指揮を取って下さい。我等に命令を、カマニディール」

 

流暢なロシア語で隊長と発するノンナ。

 

『! 全戦車部隊! 直ちに大洗の連中を追撃よ!!』

 

それを聞いたカチューシャは涙を振り払って指揮を飛ばす。

 

『こちらフラッグ車。フラッグ車もっすか?』

 

するとそこで、フラッグ車のT-34-75の車長からそう質問が飛ぶ。

 

『アホかぁっ! アンタは冬眠中の羆並みに大人しくしてなさい! 歩兵部隊は反乱分子共の鎮圧と万が一に備えてフラッグ車の護衛!!』

 

『『『『『『『『『『ダー(了解)!』』』』』』』』』』

 

先程まで泣き叫んでいたが嘘の様に、カチューシャは元通りの指揮ぶりを発揮し、プラウダ&ツァーリ機甲部隊からロシア語で応答が返って来るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、大洗機甲部隊の本隊は………

 

『いや~、ゴメン~。2両しかやっつけられなかった上にやられちゃった~。後は宜しくね………』

 

「分かりました。ありがとうございます」

 

撃破された38tから杏がそう通信を送って来たのにお礼を返すみほ。

 

『頼んだぞ、西住!』

 

『お願いね!』

 

『任せたよ!』

 

続いて、桃、柚子、蛍の声が通信回線に響く。

 

「………この窪地を脱出します! 全部隊、あんこうに付いて来て下さい!!」

 

「「「「ハイ!」」」」

 

「「「「「「「「「「了解!!」」」」」」」」」」

 

みほがそう言い放つと、大洗戦車部隊と歩兵部隊から一斉に返事が返って来る。

 

「良いぞー! 頑張れーっ!!」

 

「まだ負けたワケじゃないぞ~!」

 

途端に観客席からは大洗機甲部隊を応援する声が飛ぶ。

 

「皆大洗を応援しています」

 

「判官贔屓かしらね………」

 

オレンジペコとダージリンもそんな事を言い合う。

 

「麻子さん! 2時が手薄です! 一気に振り切ってこの低地を抜け出す事は可能ですか!?」

 

「了解。多少きつめに行くぞ………」

 

みほの指示に即座に反応する麻子。

 

「あんこう2時、転回します! フェイント入って、難度高いです! 頑張って付いて来て下さい!」

 

『了解ぜよ!』

 

『大丈夫?』

 

『大丈夫!!』

 

『マッチポイントにはまだ早い! 気ぃ引き締めて行くぞぉっ!!』

 

『『『おーっ!!』』』

 

『頑張るのよ、ゴモヨ!』

 

『分かってるよ、ソド子!』

 

素早く沙織が、みほの指示を各チームに飛ばすと、次々に返事が返って来る。

 

「逃がさんぞ、大洗っ!!」

 

だが、その大洗機甲部隊の前方に、ツァーリ砲兵部隊が現れる!

 

「! 砲兵部隊!?」

 

「拙いぞ! 対戦車砲を持ってやがるっ!!」

 

その姿を確認した楓と地市がそう声を挙げる。

 

その間に、行く手に現れたツァーリ砲兵部隊は、全ての砲を大洗機甲部隊へと向ける。

 

「! 砲撃用意っ!!」

 

砲撃で吹き飛ばして強引に突破しようと、みほがそう叫んだ瞬間!

 

弧を描いて飛んで来た手榴弾が、行く手に現れたツァーリ砲兵部隊の中で炸裂!

 

「ぎゃああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!?」

 

「ぐあああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!?」

 

手榴弾と誘爆した砲弾の破片を浴びたツァーリ砲兵達が次々に戦死判定を受けて倒れる。

 

「!?」

 

「何っ!?」

 

みほとツァーリ砲兵部隊の分隊長が驚きを露わにした瞬間!

 

「うおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーっ!!」

 

右手に着剣した四式自動小銃、左手に日本刀・英霊を構えた弘樹が、ツァーリ砲兵部隊の中へと飛び込む!

 

「!? ふ、舩坂 弘樹っ!?」

 

「せやあっ!!」

 

「げぎゃああああっ!?」

 

驚愕していたツァーリ砲兵部隊の分隊長を一刀の下に斬り捨てると、返す刀で四式自動小銃の銃剣を近くに居たツァーリ砲兵隊員に突き刺し、戦死判定させる。

 

そのまま次々とツァーリ砲兵部隊の隊員達を斬り捨て、或いは突き捨てて行く弘樹。

 

「距離を取れ! 奴とて人間だぁ! 弾が当たれば戦死判定を受ける!!」

 

だがそこで、別の分隊長からそう指示が飛び、一旦距離を取ったツァーリ砲兵達が、護身用に携帯していた拳銃を構える。

 

「!?」

 

「弘樹ぃ!」

 

「援護を!!………」

 

と、あんこうチームに随伴して居たくろがね四起に乗って居た地市が声を挙げ、楓が援護しようとブローニングM1918自動小銃を構えた瞬間!

 

ドドドドドドドッ!と言う、機関銃の射撃音が、地市達のすぐ横から聞こえて来た!

 

「!?」

 

「えっ!?」

 

「に、西住ちゃん!?」

 

地市、楓、了平が驚愕を露わにする。

 

何故ならそこには………

 

「『弘樹くん』は絶対にやらせないっ!!」

 

そう叫んで機銃架に備え付けられていたMG34機関銃を発砲しているみほの姿が在ったからだ。

 

鬼気迫ると言った表情で、引き金を引き続け、薙ぎ払う様にMG34機関銃を発砲するみほ。

 

「ぐああっ!?」

 

「ぎゃああっ!?」

 

その銃撃を浴びたツァーリ砲兵達が次々に倒れ、戦死判定を受ける!

 

「優花里さん! 弾ぁっ!!」

 

「ハ、ハイィッ!!」

 

残りの銃弾が少ないのを確認したみほがそう叫ぶと、装填手席の優花里が新たな弾帯を手にハッチから出て、MG34に弾帯を取り付ける。

 

「うわああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーっ!!」

 

新たな弾帯が取り付けられたのを確認すると、みほは再び射撃を始める。

 

「!………」

 

その弾幕の援護で、弘樹は後退。

 

そのまま大洗機甲部隊の方へと走って来る。

 

「! 弘樹ぃっ! 飛び乗れぇっ!!」

 

「!!」

 

それを見た地市はそう叫び、弘樹は前方から向かって来る様に走って来て居た地市達の乗るくろがね四起に向かってジャンプ!

 

「!? うおわっ!?」

 

「わあっ!?」

 

そのままフロントガラスを突き破る様にして、車内へと飛び込んだ!

 

「オ、オイ、弘樹! 大丈夫かっ!?」

 

「………問題無い」

 

地市が声を掛けると、弘樹は身体からガラス片を落としながら起き上がってそう返す。

 

「弘樹くん!」

 

とそこで、漸く射撃を止めたみほが、弘樹へと声を掛ける。

 

「………西住総隊長。舩坂 弘樹、只今合流しました」

 

弘樹はみほを見ながら、お馴染みのヤマト式敬礼を決める。

 

「………うん」

 

その様を見て、みほは心からの笑みを浮かべた。

 

「それにしても………先程の銃撃していた姿には、少し痺れましたよ」

 

するとそこで、弘樹はニヤリと笑いながらみほにそう言う。

 

「ふえっ!? あ、アレは、その! む、無我夢中で………」

 

途端にみほは真っ赤になって慌て始めるが………

 

「冗談です」

 

「!? も、もう! 弘樹くん!!」

 

「ハハハハハ」

 

みほが怒った様な様子を見せると、弘樹は誤魔化す様に笑うのだった。

 

「………皆気付いた?」

 

「ええ………」

 

「西住殿が………舩坂殿の事を名前で………」

 

「本人は気づいてない様だがな………」

 

と、そんなみほと弘樹の遣り取りを聞いていた沙織、華、優花里、麻子がそう小声で言い合う。

 

「やっぱり、みほを本当に笑顔に出来るのは、舩坂くんだけだね………」

 

沙織はそう呟き、優しい目でハッチから姿を晒しているみほの姿を振り返る。

 

「………リア充、爆発しろ」

 

「了平、ハンドルに齧りつかないで下さい」

 

そして、そんな2人の雰囲気を浴びて、血涙を流しながらくろがね四起のハンドルに齧りついていた了平に、楓がそう言い放つ。

 

「さあ、急ぎましょう。この先でサンショウウオさんチーム達も待っています」

 

「うん! 合流した後に、機を見て主力を反転させて、フラッグ車の撃破に向かうよ!」

 

と、そこで弘樹とみほはそう言い合い、撃破したツァーリ砲兵部隊を突破して、窪地からの脱出を図るのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させていただきました。

プラウダ&ツァーリ機甲部隊の本陣へと突入した大洗機甲部隊。
カメさんチームの奮闘もあり、弘樹との合流にも成功する。
しかし………
得体の知れないラスプーチンが、不気味に暗躍を始める。
果たして、勝負の行方や如何に?

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。

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