ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース   作:宇宙刑事ブルーノア

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第61話『軍艦島の戦いです!(前編)』

『ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース』

 

第61話『軍艦島の戦いです!(前編)』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大洗機甲部隊VSパシフィック機甲部隊の試合が始まった。

 

初戦こそ先んじて廃墟の島を抑え、支援要請で潜水艦を投入したパシフィック機甲部隊に苦戦させられた大洗だったが………

 

竜真、ジェームズ、正義を中心としたハムスターさん分隊の反撃で、ホージローを始めとしたパシフィック水中歩兵部隊を抑え………

 

そこを小太郎が攪乱。

 

パシフィック機甲部隊が混乱に陥った隙に、戦車チームの支援を受けた歩兵部隊が島へと上陸を成功させる。

 

戦車チームもそのまま上陸し、海岸から離れての陸地戦へと持ち込もうとする。

 

それを見たカジキは、潜水艦に搭乗していた『シイラ』と『ツナ』を歩兵として投入。

 

更にホージローも本気を見せ始める。

 

上陸した大洗機甲部隊を追い、パシフィック機甲部隊も島へと上陸。

 

戦いは海上から陸上へと移行していったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

廃墟の島・中心部………

 

まるで映画のセットの様に、崩れかけている鉄筋コンクリート製のビルや家々が建ち並ぶ中を、パシフィック機甲部隊の面々が注意深く進軍している。

 

「! オイ、アレッ!!」

 

とそこでホージローが、前方に何かを見つけて声を挙げる。

 

「「「「「「「「「「!!」」」」」」」」」」

 

その声でパシフィック機甲部隊は一斉に停止。

 

全員で前方を確認する。

 

そこに在ったのは、大洗戦車チームの戦車が使っていたフロートだった。

 

「大洗の戦車が使っていたフロート?」

 

「何でこんな所に?」

 

「ブービートラップってやつか?」

 

露骨に放棄されていたフロートに、パシフィック歩兵達が怪訝な顔を見せる。

 

「カンパチ、オコゼ、メジロ、見て来い。十分注意してな」

 

「「「了解!」」」

 

とそこでカジキは、3人のパシフィック歩兵にフロートを調べる様に命令する。

 

「「「…………」」」

 

3人は銃を構えて、警戒しながらゆっくりとフロートへと近づいて行く。

 

やがてフロートの傍へと辿り着くと、陰になっている部分などを調べ始める。

 

「! 時限爆弾だ!」

 

とそこで、1人がフロートの陰に時限爆弾が仕掛けられているのを発見する。

 

「やっぱりトラップか………」

 

「工兵! 来てくれっ!!」

 

「ハイ、只今!」

 

すぐに工兵を呼び、時限装置の解除に掛かる。

 

「如何やら設定時間を間違えた様ですね」

 

「ハハハ! 何だそりゃ! 間抜けだなっ!!」

 

時限装置を解除した工兵がそう言うと、パシフィック歩兵の1人がそう笑い声を挙げる。

 

………と、その瞬間!!

 

「貰ったぁっ!!」

 

後部用フロートに在ったハッチが開き、中からUD M42を構えた竜真が姿を見せたかと思うと、偵察と爆弾の解除に来ていたパシフィック歩兵達に至近距離から9mm弾を浴びせる!

 

「「「「!? うわあああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!?」」」」

 

至近距離からばら撒かれた弾丸に為す術も無く、偵察と爆弾の解除に来ていたパシフィック歩兵達は瞬く間に戦死判定を受けて倒れた。

 

「!? 何ぃっ!?」

 

「大洗の歩兵っ!?」

 

「あんな所に隠れてやがったのか!?」

 

竜真の意外な登場の仕方に、パシフィック歩兵達から驚きの声が挙がる。

 

「このぉーっ!!」

 

と、味方をやられた報復か、随伴して来ていたLVT(A)-4が前に出て、75mm砲を向ける。

 

だが直後に、その LVT(A)-4にロケット弾が直撃!

 

爆発が起こった後、一瞬間が有って、撃破判定が下される。

 

「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」

 

「撃てーっ!!」

 

パシフィック機甲部隊が驚いていると、そう言う声が響き渡り、廃墟のビルの窓やベランダ、壁が崩れて見えている内部部分等の彼方此方から、大洗歩兵部隊が姿を見せ、パシフィック機甲部隊に銃撃を開始した!!

 

「! 大洗歩兵部隊!」

 

「待ち構えてやがったのか!!」

 

パシフィック歩兵達は慌てながらも、すぐに戦車や遮蔽物の陰に身を隠す。

 

「退却っ!!」

 

その間に、フロートの中から飛び出した竜真は撤退し、近場に在った廃墟の中へと駆け込む。

 

「大洗の歩兵の連中、皆廃墟の中に居るみたいだな」

 

「僕達がやっていた事を真似しているんでしょうか?」

 

遮蔽物に身を隠しながら、M1903A4を持つシイラと、L-39を持つツナがそう言い合う。

 

「無駄な事を………全部隊、分隊ごとに分かれて廃墟内へ侵入しろ。大洗の連中を巣穴から叩き出してやれ」

 

「「「「「「「「「「了解っ!!」」」」」」」」」」

 

カジキがそう指示すると、パシフィック歩兵部隊達は分隊規模ごとに纏まり、戦車や遮蔽物の陰を移動しながら、次々と大洗歩兵部隊が居る廃墟の中へと侵入して行く。

 

「敵侵入っ!!」

 

「攻撃中止! 侵入した敵を迎え撃てっ!!」

 

そこで大洗歩兵部隊は攻撃を中止し、廃墟内へ侵入して来たパシフィック歩兵隊の迎撃へと向かう。

 

「セイレーン、私達は?」

 

残されたパシフィックの戦車部隊の中で、ローレライが総隊長であるセイレーンに尋ねる。

 

「私達は………」

 

と、セイレーンが返事を返そうとしたところ、近くの瓦礫に砲弾が命中し、瓦礫が爆ぜた!

 

「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」

 

パシフィック戦車部隊の面々が、慌てて砲弾が飛んで来た方向を見やると………

 

「ハズレ~」

 

「まあ、期待してなかったけどね………」

 

「如何言う意味だ、ソレはっ!!」

 

「どうどう、桃ちゃん」

 

廃墟の陰に隠れて砲撃してきた、カメさんチームの38tの姿を確認する。

 

「! 敵の戦車を発見っ!!」

 

「不意を衝く積りだったみたいだけど、失敗したみたいだね」

 

メロウが報告を挙げると、ローレライがそう呟く。

 

「この距離で外すとは………敵の砲手さんは随分とお粗末の様ですわね。反撃しなさい!」

 

「ハッ!」

 

セイレーンも桃の事を貶しながら、反撃を命令。

 

M24の主砲が放たれ、38tが隠れている廃墟に命中!!

 

廃墟が大きく崩れ始める。

 

「うわぁっ! やられたーっ!! もう駄目だーっ!!」

 

「て、撤退ーっ!!」

 

さっきまでの態度は何処へやら、絶望し切った悲鳴を挙げる桃と、慌てて38tを後退させる柚子。

 

「追撃致しますわよ。但し、他の大洗の車両の待ち伏せがあるかも知れません。警戒を厳に進軍しなさい」

 

「「「「「「「「「「了解っ!!」」」」」」」」」

 

パシフィック戦車部隊は、大洗戦車チームの待ち伏せを警戒しながら、逃走した38tの追撃に移る。

 

「パシフィックの戦車部隊、追撃して来たよ」

 

「西住ちゃ~ん。言われた通り、敵を誘い出してるよ」

 

蛍がそう報告すると、杏がみほへそう通信を送る。

 

『了解しました。何とかAポイントまで誘導して下さい』

 

「ハイハ~イ………と言うワケだから、小山。Aポイントに着くまで絶対に敵の砲弾に当たるなよ」

 

「会長~! 他人事だと思って~!」

 

みほからの返信を聞くと、柚子にそう指示を出し、指示を受けた柚子は半泣きの様な声を挙げながらも、的確な操縦でパシフィック戦車部隊の砲撃をかわしながら、Aポイントと呼ぶ場所へと向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、その頃………

 

パシフィック歩兵部隊と、廃墟内での室内戦へと突入した大洗歩兵部隊は………

 

「撃て撃てーっ! 近寄らせるんやないでぇっ!!」

 

通路や廃墟内に在った家財の残骸や瓦礫を使って簡易バリケードを作って盾にし、大河を中心に大洗連合の歩兵達が弾幕を張って、侵入して来たパシフィック歩兵部隊の足を止めている。

 

「チイッ! 調子に乗りやがってっ!!」

 

「ふっとばしてやらぁっ!!」

 

遮蔽物に身を隠していたパシフィック歩兵達がそんな事を言い合うと、1人が大河達目掛けて手榴弾を投擲した。

 

「! 手榴弾や! 下がれぇっ!!」

 

「「「「「「「「「「!!」」」」」」」」」」

 

大河と大洗連合の歩兵達は慌ててバリケードから離れる。

 

直後に手榴弾が爆発し、簡易バリケードが吹っ飛ばされる。

 

「チイッ! 撤退やぁっ!!」

 

遮蔽物が無くなり、不利になったと判断したのか、撤退命令を出す大河。

 

「逃がすな!」

 

「追えーっ!!」

 

即座にそれを追撃するパシフィック歩兵達。

 

だが、破壊した簡易バリケードを越えようとした瞬間………

 

先頭を行って居たパシフィック歩兵が、足元に貼られていたワイヤーの様な物に引っ掛かる。

 

「!? おうわっ!?………!?」

 

勢い余って倒れたパシフィック歩兵が見た物は………

 

そのワイヤーの先端が手榴弾の安全ピンに繋がれており、引っ掛けた際にピンが外れている光景だった。

 

「「「「「「「「「「うわあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!!」」」」」」」」」」

 

手榴弾が爆発し、大河達を追撃しようとしていたパシフィック歩兵部隊は纏めて戦死判定を受ける。

 

「ハハハ! やったでぇっ!!」

 

「こういう閉所では、小生のトラップの出番ですなぁ」

 

その光景を見て歓声を挙げる大河と、トラップを仕掛けた灰史が、得意げにそう言い放つ。

 

「流石やで、水谷! その調子で連中をドンドン罠に嵌めたれぇ!」

 

「お任せあれ」

 

大河にそう言われ、灰史は新たなトラップの設置に掛かるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

更に別の場所でも………

 

「「「「「…………」」」」」

 

数人のパシフィック歩兵が、通路を警戒しながらゆっくりと進んでいる。

 

とそこで前方で音が鳴る。

 

「「「「「!!」」」」」

 

「!? しまったっ!!」

 

パシフィック歩兵達が一斉に前方を見やると、そこには隠れて移動しようとしていた竜真の姿が在った。

 

「! 居たぞぉっ!!」

 

「さっき仲間をやりやがった奴だ!!」

 

「撃て撃てぇーっ!!」

 

即座にパシフィック歩兵達は竜真に向かって発砲する。

 

「うわあぁっ!?」

 

竜真は悲鳴の様な声を挙げて、慌てて近くに在った部屋へと入り込む。

 

「部屋に入ったぞ!」

 

「馬鹿め、袋の鼠だ!」

 

「追い込めーっ!!」

 

逃げた竜真が入った部屋の入り口に殺到するパシフィック歩兵達。

 

すると………

 

「!? ギャンッ!?」

 

1番最初に部屋へと入り込もうとしたパシフィック歩兵が、入り口の鴨居に頭をぶつけ、そのまま仰け反る様に倒れる。

 

「おわっ!?」

 

「ちょっ!?」

 

「うわぁっ!?」

 

そのままドミノ倒しの様に、入り口へと殺到していたパシフィック歩兵達を押し倒し、全員が床に倒れた。

 

「イテテテテッ………!?」

 

頭をぶつけたパシフィック歩兵が、頭を押さえて痛がりながら身を起こすと、その眼前には………

 

「…………」

 

無言でUD M42を構えている竜真の姿が在った。

 

「!? 馬鹿! 早く退………」

 

け、と言うよりも早く、竜真はUD M42を発砲!!

 

9mm弾が倒れているパシフィック歩兵達を容赦無く撃ち抜く!

 

「「「「「うわああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!?」」」」」

 

パシフィック歩兵達は為す術も無く、瞬く間に全員が戦死と判定されたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

更に別の場所でも………

 

「弾幕を張れ! 敵を近寄らせるなっ!!」

 

大河達と同じ様に、通路に簡易バリケードを作った大洗歩兵達が、進行して来たパシフィック歩兵達に対して弾幕を張る。

 

「チイッ! 大洗の連中め………」

 

通路の角に身を隠しているパシフィック歩兵の1人が苦々しげに呟く。

 

「心配するな。今別働隊が裏取りに向かっている。そうすれば挟み撃ちだ」

 

だが、別のパシフィック歩兵の1人がそう言ってニヤリと笑う。

 

 

 

 

 

そして、その別働隊は………

 

「コッチから回れるぞ!」

 

「やれやれ。こういう時は身長が高いと苦労するぜ」

 

弾幕を張っている大洗歩兵部隊の面々の背後に回り込もうと、迷路の様な廃墟の中を、通れる通路を探しながら進んでいる。

 

パシフィック歩兵達の持ち味である高身長が災いし、通れる場所が限られてしまっている為、かなりの回り道をしている。

 

「頑張れ! もう少しだ!!」

 

「おっ! 広い所に出たぞ!!」

 

するとそこで、裏取りに向かって居たパシフィック歩兵達が、他と比べてやや広い通路へと出る。

 

「ココなら身を屈めずに歩けそうだぜ」

 

「ああ~~、窮屈だったぜ」

 

高身長で狭い通路を進んで来ていたパシフィック歩兵達からそんな声が挙がり、伸びをする者も居る。

 

「急ぐぞ! この先に出れば大洗歩兵部隊の後ろだ!!」

 

しかし、その別働隊の指揮を執っている分隊長が、そんな一同を急かす様にそう言い、先立って進み始める。

 

が、そこで壁にぶつかり、足を止める。

 

「イテッ! 何でこんな所に壁が………」

 

そう言いながら壁を見上げて、パシフィック歩兵分隊長は気づく。

 

それは壁ではなく………

 

立ちはだかっていたシャッコーだと言う事に。

 

「………へっ?」

 

「ふんっ!」

 

思わず呆けてしまったパシフィック歩兵分隊長を、シャッコーは思いっきり殴りつける!

 

「!? うわらばぁっ!?」

 

殴られたパシフィック歩兵分隊長は壁に叩き付けられ、そのまま世紀末の様な断末魔を挙げると気絶した。

 

「!? な、何だ、コイツは!?」

 

「大洗の歩兵か!?」

 

「にしたってデカ過ぎるぞっ!?」

 

突如現れたシャッコーに、分隊長がやられた事も合わさって、混乱するパシフィック歩兵達。

 

何せ、平均身長が2メートル前後のパシフィック歩兵達だが、シャッコーの身長は2メートル30センチ。

 

頭1つ分突き抜けてデカイのである。

 

オマケに、体格もまるで熊を連想する様な巨体である。

 

然しものパシフィック歩兵達も、驚きを隠せずに居た。

 

「…………」

 

そんなパシフィック歩兵達を、シャッコーは無言で見下ろしている。

 

「こ、この野郎! ちょっと俺達より大きいからって、調子に乗るんじゃねえぞぉっ!!」

 

そこで、パシフィック歩兵の1人がコンバットナイフを抜き、シャッコーに突撃する。

 

「! 馬鹿! 迂闊だぞっ!!」

 

「テヤァーッ!!」

 

別のパシフィック歩兵の1人がそう声を挙げるが、その瞬間にはコンバットナイフを握ったパシフィック歩兵は、シャッコーに向かって突きを繰り出していた。

 

「…………」

 

が、シャッコーは眼前まで迫ったコンバットナイフを、パシフィック歩兵の腕ごと鷲掴みにして止める。

 

「なっ!?………!? おうわっ!?」

 

驚くパシフィック歩兵をそのまま持ち上げ、宙吊りにするシャッコー。

 

「…………」

 

そしてそこで、近くに在った割れたガラスの入った窓を見やる。

 

「えっ!? まさか!? 嘘だろ!? ちょっ!? 止めてぇっ!!」

 

「フンッ!!」

 

パシフィック歩兵の懇願も虚しく、シャッコーはその窓目掛けて、パシフィック歩兵を放り投げる!

 

「ぎゃあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!!」

 

窓を突き破ったパシフィック歩兵は、ドップラー効果を聞かせながら廃墟の下へと落下して行った。

 

「………次はどいつだ?」

 

「「「!!」」」

 

凄みを利かせた声でシャッコーがそう言い放つと、パシフィック歩兵達は思わず1歩下がる。

 

と、その瞬間っ!!

 

轟音の様な射撃音がしたかと思うと、通路のコンクリートで出来た壁に穴が空く!

 

「!? ぎゃああああぁぁぁぁぁーーーーーーっ!?」

 

その穴を空けた弾丸に撃ち抜かれた、パシフィック歩兵の1人が即座に戦死判定を受ける。

 

「!?」

 

「なっ!?」

 

その光景に他のパシフィック歩兵が驚きの声を挙げた瞬間!

 

再び轟音の様な射撃音が鳴り響き、コンクリートの壁に穴が空いて、別のパシフィック歩兵の1人の頭部に弾丸が命中!

 

「!?………」

 

ヘッドショットを受けたパシフィック歩兵は、悲鳴を挙げる間も無く気絶し、戦死と判定される。

 

「じょ、冗談じゃねえぞぉっ!!」

 

1人残ったパシフィック歩兵は、対峙していたシャッコーに背を向けて、逃走する。

 

「…………」

 

そのパシフィック歩兵を追う事はせず、シャッコーは通路に在った窓から、向かいの廃墟の屋上を見やる。

 

「…………」

 

そこでは、ラハティ L-39 対戦車銃を構えていた陣が、シャッコーに向かってサムズアップをしていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

廃墟の一角………

 

『こちらキハダ! 敵の攻撃を受けている! 至急救援を!!』

 

『チキショー! 狭くて上手く身動きが取れねぇっ!!』

 

『オイ、押すな! 先が閊えてんたぞっ!!』

 

「あちゃ~、押されまくってんなぁ~」

 

通信機から聞こえて来る味方の阿鼻叫喚の声に、ホージローがまるで他人事の様にそう呟く。

 

「此方の長身の有利を撃ち消す為に、この廃墟の中での戦いに持ち込んだワケか………」

 

廃墟の彼方此方から聞こえて来る銃声や悲鳴、爆発音を聞きながら、カジキがそう分析する。

 

「けど、それも一時凌ぎだっての。こっからは俺達のターンだぜ」

 

とそこでホージローは不敵な表情となり、そう言い放つ。

 

「此処からは分散行動に入る。其々に敵を見つけて叩け。但し………舩坂 弘樹を見つけたら俺に知らせろ」

 

「了解!」

 

「了解しました、隊長!」

 

カジキがそう言うと、シイラとツナが敬礼しながらそう返す。

 

「舩坂 弘樹………貴様だけは必ず俺の手で………」

 

カジキはそう言い、M1941ジョンソン小銃を握り締めて、分散行動に入るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させていただきました。

戦闘の舞台は海上から陸上へ。
廃墟を利用して、パシフィック歩兵達の長身の有利を無力化する大洗歩兵部隊。
しかし………
カジキ達がまだ残っている………
まだ勝負の行方は分からない………

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。

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