ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース   作:宇宙刑事ブルーノア

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第56話『潜入作戦パート2です(中編)!』

『ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース』

 

第56話『潜入作戦パート2です(中編)!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の試合会場となる南の島で………

 

パシフィック機甲部隊のメンバーと会合を果たした大洗機甲部隊の面々。

 

成り行きで彼等の学園艦へとお邪魔する事となったが………

 

その際に出会ったパシフィック歩兵部隊総隊長の『カジキ』は、弘樹に激しい敵意を向ける。

 

貴様は英霊の子孫などではない。

 

本物の英霊の子孫なら、あんな危うい戦いはしないと。

 

だが、弘樹はそんなカジキの言葉を妄信と斬り捨てる。

 

思わぬ因縁が生まれた中、自分達の学園艦へと帰還した大洗機甲部隊の一同は、対パシフィック機甲部隊戦に向けた対策を練り始める。

 

しかし、パシフィック機甲部隊の機甲部隊の編制が分からず、作戦が立てられずに居た。

 

そこで、優花里が再び、潜入偵察を試みる。

 

そこへ更に、みほとウサギさんチーム・ハムスターさん分隊のメンバーまでもが加わる。

 

何時の間にか大所帯となってしまったメンバーで、果たして潜入偵察を成功させられるのだろうか………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パシフィック学園艦・甲板都市………

 

パシフィックの学園艦への乗艦は、アッサリと行った。

 

パシフィック学園艦の甲板都市はリゾート地となっており、普段からかなり開放的になっている為、みほ達は堂々と乗船入口から入り込み、甲板都市に入り込む。

 

しかし………

 

「あ! アレ美味しそうだよ!」

 

「ホントだ! 美味しそう!」

 

「ねえねえ! アレ良くないっ!?」

 

「うん! 良いね良いね!」

 

勇武を筆頭としたハムスターさん分隊の面々と、梓を除くウサギさんチームの面々は、甲板都市のショッピング街へ足を踏み入れた途端………

 

本来の目的を忘れ、まるでバカンス気分であるかの様に買い食いやショッピングを始めてしまった。

 

「「「「「…………」」」」」

 

そんな勇武達やあや達を見て唖然としているみほ、優花里、梓に竜真とジェームズ。

 

「ちょっと皆さん! 本来の目的を忘れていないっすかぁっ!?」

 

「まあまあ良いじゃないか」

 

「そうそう。昨日は良く見て回れなかったから、見て行かないと~」

 

正義がそう声を挙げるが、光照と優季が呑気そうにそう返す。

 

「ど、如何しましょう、西住殿~」

 

「如何しようって言われても………」

 

みほに助けを求める優花里だったが、みほも如何して良いか分からず、困惑するばかりだった。

 

「もう! 皆勝手な事して! 良いよ、もう! 私もショッピングするからっ!!」

 

とそこで、梓も頭に来たのか、そう言い放ってショッピングへと向かう。

 

「ええっ!?」

 

「ちょっ!? 澤サンッ!?」

 

真竜とジェームズが思わず声を挙げる。

 

「如何するっす?」

 

正義がそんな真竜とジェームズにそう尋ねる。

 

「仕方ない………僕達だけでパシフィック高校へ向かおう」

 

それを受けて、真竜は諦めた様にそう決断を下す。

 

「それしかないデス………」

 

ジェームズも、溜息を吐きながらそう言う。

 

「澤さん達は僕が見てますね」

 

「お願いします」

 

「それじゃあ、改めてパシフィック高校へ向かいましょう」

 

誠也がそう言うと、みほと優花里、真竜、ジェームズ、正義のメンバーは、改めてパシフィック高校へと向かったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後………

 

5人は、パシフィック機甲部隊の本拠地である、『パシフィック高等女子校』と『パシフィック高等男子校』の前へと到着する。

 

「ココがパシフィック機甲部隊の本拠地………パシフィック高等女子校とパシフィック高等男子校みたいですね」

 

物陰に隠れて、両校の外観の様子をカメラに撮影しながらそう呟く優花里。

 

「じゃあ、私達は女子校の方に潜入してみるから、疾河くん達は男子校の方をお願い出来るかな?」

 

竜真達の方を見ながら、みほがそう言う。

 

「分かりました」

 

「やってミマス」

 

「お任せ下さいっす!」

 

竜真、ジェームス、正義はそう返事を返す。

 

「くれぐれも見つからない様に気を付けて下さい。バレて捕まったりしたら、試合が終わるまで拘束されてしまいますから」

 

「分かってます。よし、行くぞ!」

 

優花里がそう注意するのを聞きながら、竜真達はパシフィック高等男子校の方へと向かう。

 

「優花里さん、私達も」

 

「ハイ、参りましょうか」

 

それを見送った後、みほと優花里もパシフィック高等女子校の方へと向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パシフィック高等男子校・敷地内………

 

茂みの中を匍匐で移動し、なるべく目立たない様にしている竜真、ジェームス、正義。

 

「多分、部室棟の辺りに居ると思うんだけど………」

 

歩兵部隊の集合場所を部室棟と当たりを付け、それらしき場所を目指してる竜真。

 

「アッ! アレじゃないデスか?」

 

とそこでジェームスが、前方にそれらしき建物を発見する。

 

「よ~し。コッソリ近づいて偵察っす」

 

正義がそう言う中、3人は部室棟と思われる建物へと接近し、とある窓の下で屯する様に止まる。

 

「今度の大洗機甲部隊との試合だが………」

 

すると、その窓の有る部室の中から、そう言う声が聞こえて来た。

 

「如何やら此処みたいだね」

 

「丁度僕達とのファイトに備えての会議をしているみたいデス」

 

「好都合っすね」

 

竜真、ジェームズ、正義は、そのままパシフィック歩兵部隊の会議内容を盗み聞きしようとする。

 

だが、その瞬間!

 

「ふう~、クーラー要らないかと思ったけど、閉め切ってるとやっぱり暑いなぁ」

 

パシフィック歩兵部隊の隊員と思わしき男子が、そう言いながら窓を開け放った。

 

「「「あっ!?」」」

 

「ん?」

 

思わず声を挙げてしまった竜真達を即座に発見するパシフィック歩兵部隊の隊員。

 

(ど、如何するんすか!?)

 

(おおおお、落ち着くデス! 何とか誤魔化すしかないデス!)

 

「あ、えっと………僕達、ボール探してて………」

 

正義とジェームズが慌てながら小声でそう言い合う中、竜真がそう誤魔化そうとしたが………

 

「!? コイツ等! 大洗の歩兵部隊員だぁっ!!」

 

パシフィック歩兵部隊の隊員は、大洗歩兵部隊員の顔を把握していたのか、即座にそう声を挙げる。

 

「「「即行でバレたぁーっ!!」」」

 

「大洗の歩兵だと!?」

 

「スパイか! 捕まえろっ!!」

 

竜真達が悲鳴を挙げると、部室棟の中から次々と2メートル近い身長のパシフィック歩兵部隊の隊員達が出て来る。

 

「! 戦略的撤退ーっ!!」

 

「「!!」」

 

竜真がそう声を挙げ、ジェームズと正義と共に一目散に逃げ出す。

 

「「「「「「「「「「待てーっ!!」」」」」」」」」」

 

その3人を、パシフィック歩兵部隊の隊員達が、土煙を上げながら追い掛けるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、その頃………

 

パシフィック高等女子校へと潜入したみほと優花里は………

 

「此処が戦車格納庫みたいですね………」

 

カメラを回している優花里がそう呟く。

 

2人は、優花里が用意したパシフィック高等女子校の制服に身を包んでいる事もあり、すんなりと戦車格納庫まで潜入する事が出来ていた。

 

「やっぱり、水陸両用やそう改造されてる車両が多いね………」

 

格納庫内に在る戦車を見回しながら、みほがそう呟く。

 

「! あ! 西住殿! アレを!」

 

とそこで、優花里が何かを見つけた様にみほに声を掛ける。

 

「! アレは………」

 

みほはそう言いながら、優花里と共にそれに近づく。

 

それは、大洗のⅣ号やM3リーと同じ様に、水陸両用に改造された2台の『M24軽戦車 チャフィー』だった。

 

「M24軽戦車ですね。私達の戦車と同じ様に、水陸両用に改造されてます」

 

「この中に在る中じゃ、この2両が性能的に1番上………多分、この2両が主力になると思う」

 

水陸両用のM24軽戦車を撮影しながら優花里がそう言い、みほもそう推察する。

 

「ねえ、そこの2人」

 

「「!?」」

 

とそこで不意に背後から声を掛けられ、みほと優花里は驚きながら振り返る。

 

そこには、パシフィック戦車部隊の隊員と思われる女子生徒が居た。

 

(マ、マズイです!)

 

「あ、あの、その! 私達は………」

 

気づかれたのかと思い、慌てる優花里とみほ。

 

「もうすぐブリーフィングだよ。戦車部隊の隊員は全員集合なんだから、行かないと駄目だよ」

 

しかし、そのパシフィック戦車部隊の隊員は、みほと優花里に向かってそう言う。

 

「えっ!?………あ! ハイッ!!」

 

(良かった………バレていないみたいですね)

 

一瞬呆けながらも、ハッと思いやって返事を返すみほと、バレたワケではなかった事に内心で安堵する優花里。

 

「さ、行きましょう」

 

パシフィック戦車部隊の隊員はそう言うと、みほと優花里に背を向けて歩き出す。

 

「西住殿、チャンスです。このままブリーフィングへお邪魔して、作戦の情報を頂いて行きましょう」

 

「ええっ!? それは流石に危険なんじゃ………」

 

優花里がそう提案するも、みほは難色を示す。

 

「大丈夫であります。戦車部隊の隊員と出会ってもバレなかったのでありますから、ブリーフィングに参加するのだって大丈夫であります」

 

先程のパシフィック戦車部隊の隊員の事を挙げながら、優花里は尚もみほへそう促す。

 

「う、うん、確かに………良し! やってみよう!」

 

そう言われてすっかりその気になってしまったみほは、優花里の提案に乗り、パシフィック戦車部隊のブリーフィングへの潜入を決めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パシフィック高等女子校・ブリーフィングルーム前………

 

開放されているブリーフィングルームへの入り口と思われる場所を、パシフィック戦車隊の隊員と思われる女子生徒達が次々に潜って行く。

 

「あそこがブリーフィングルームみたいですね………」

 

「行くよ………」

 

優花里とみほも小声でそう言い合い、入り口を潜る。

 

………と、その瞬間!!

 

突如警報が鳴り響き、部屋の壁に備え付けられていた赤色灯が回転を始めた。

 

「!? ふええっ!?」

 

「何事ですか!?」

 

突然の事態に動揺するみほと優花里。

 

『認証システムに登録無し。部外者が入り込んでいます。他校のスパイの可能性有り。直ちに拘束せよ』

 

そんな2人の耳に、校内放送用のスピーカーからそう言う合成音声が響く。

 

「!? しまった!? 顔認証システムが在ったでありますか!?」

 

優花里が、入り口に向けられる様に天井に設置されたカメラらしき機械を発見し、そう声を挙げる。

 

「スパイですって!?」

 

「あの2人よ!」

 

「捕まえるのよっ!!」

 

途端にパシフィック戦車部隊の隊員達は、みほと優花里を拘束しようとする。

 

「! 西住殿!!」

 

「戦略的撤退ーっ!!」

 

優花里とみほは、慌てて逃げ出す。

 

「待ちなさーいっ!!」

 

「止まれーっ!!」

 

その後を追跡するパシフィック戦車部隊の隊員達だった。

 

「申し訳ありません! 西住殿! 私がもっと早く気づいていれば!」

 

「優花里さん! 今はそれより逃げないとっ!!」

 

後ろから地響きの様な音を立てて追って来るパシフィック戦車部隊の隊員達をチラ見しながら、優花里とみほは必死に逃げる。

 

「えっ、と………優花里さん! どっちに行けば良いんだっけっ!?」

 

「ちょ、ちょっと待って下さい! 今見取り図を………」

 

しかし、広大な面積を誇るパシフィック校の校舎内を把握していない2人は、何処へ逃げれば良いのかが分からずに居た。

 

「「「「「「「「「「待ちなさーいっ!!」」」」」」」」」」

 

その間にも、パシフィック戦車部隊の隊員達は、相変わらずの地響きの様な足音と共に2人に迫って来る。

 

「! 優花里さん! そこを曲がってっ!!」

 

「! ハイッ!!」

 

するとそこでみほが、進行先に見えてきた通路の十字路で、すぐ道の右へと入る様に指示を出す。

 

十字路を右へと曲がるみほと優花里。

 

直後にパシフィック戦車部隊の隊員達が、同じ様に十字路を右へと曲がったが………

 

パシフィック戦車部隊の隊員達が通路を曲がった瞬間には、みほと優花里の姿は忽然と消え失せていた。

 

「!? 居ないっ!?」

 

「消えたわよっ!?」

 

「何処かに隠れてるのかも知れない!」

 

「手分けして探すのよ! まだそう遠くへは行ってない筈よ!」

 

パシフィック戦車部隊の隊員達は驚きながらも、方々に散らばって2人の捜索を始める。

 

一方、その2人は………

 

「………暫く此処に身を隠すであります」

 

通路を曲がってすぐの所に在った扉の中へと入り、息を潜めてパシフィック戦車部隊の隊員達が遠ざかるのを待っていた。

 

「此処は………」

 

そこでみほは、入り込んだ部屋の中を改めて見やる。

 

その部屋は、大会でも開けそうなくらい広い室内プールだった。

 

「随分と広いプールでありますね………」

 

優花里がそう言いながら、プールサイドまで歩くと、みほも同じ様にプールサイドの傍による。

 

「そらそうさ。男子校との共同プールだからな」

 

「「!?」」

 

と、突如そう言う声が聞こえて来てみほと優花里が驚いていると、プールの水の一部が盛り上がり、プールサイドに競泳水着姿でゴーグルをした1人の男が上がって来た。

 

「よっ! 1日ぶり!」

 

そう言いながらゴーグルを外してみほと優花里を見やる男………ホージロー。

 

「!? 貴方はっ!?」

 

「ホージロー殿っ!?」

 

みほと優花里は、そんなホージローの姿を見て驚く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、その頃………

 

実は、竜真達やみほ達の他に、パシフィックへと潜入していた人物が1人居た………

 

「…………」

 

丸山 紗希である。

 

いつものボーっと上の空で、皆とは違う方向を見ている事の多い彼女。

 

何を考えているのか分かり難い子でもあり、ある意味大洗機甲部隊で最も謎な人物と言っても良いだろう。

 

「…………」

 

そんな紗希が、パシフィック学園艦の甲板都市で燥いでいるチームの仲間には飲まれず、1人本来の目的であるパシフィック校への侵入を果たしていたのである。

 

「…………」

 

いつもと変わらぬボーッとした様子でトコトコと歩きながら、ドンドンとパシフィック高等女子校の奥へと入り込んだ紗希。

 

不思議な事に、誰も彼女を見ても気に留める事は無い。

 

「!? 貴方はっ!?」

 

「ホージロー殿っ!?」

 

「………?」

 

と、そんな紗希の耳に、みほと優花里の声が飛び込んで来る。

 

すると紗希は、トコトコとその声が聞こえて来た方向へと向かう。

 

そして扉を見つけると、少しだけ開け放ち、中の様子を窺うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パシフィック校・共同室内プール内………

 

そして、ホージローに見つかってしまったみほと優花里は………

 

「西住殿! 此処は私が食い止めます! 西住殿は逃げて下さいっ!!」

 

と、優花里がみほだけでも逃がそうと、ホージローの前に出る。

 

「そんなっ!? 出来ないよ、優花里さん!」

 

「西住殿は大洗の総隊長です! 貴方が居なければ大洗は試合が出来ませんっ!!」

 

食い下がるみほだったが、優花里は頑として退かない。

 

「ハハハハハハハハハッ! 心配すんなって! 別に捕まえたりなんかしねーって!」

 

しかし、そんな優花里とみほの遣り取りを聞いていたホージローが不意にそう言い放った。

 

「「えっ!?………」」

 

みほと優花里は、思わず呆けた顔をしながら2人してホージローの事を見やる。

 

「だって、情報を盗られたところで、ウチの勝ちは揺るぎねーかんなっ!!」

 

そんなみほと優花里に向かって、ホージローは平然とそう言い放つのであった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させていただきました。

パシフィックの学園艦に潜入したみほと優花里、ウサギさんチームとハムスターさん分隊の面々。
しかし、ウサギさんチームとハムスターさん分隊の大半は、目的を忘れて遊び呆けてしまう。

仕方なく竜真達とみほ達がパシフィックの男子校、女子校へと潜入したが、見つかってしまう。
だが、みほと優花里が出来わしたホージローは、余裕の様子を見せるのだった。

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。

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