ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース   作:宇宙刑事ブルーノア

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第53話『南の島の海です!』

『ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース』

 

第53話『南の島の海です!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パシフィック機甲部隊との試合会場が南の島と決まり………

 

折角なので海でバカンスを楽しもうと言う流れとなった大洗機甲部隊。

 

そこに、申し合わせたかの様に、教官である空が、月刊戦車道のグラビア撮影の仕事を持ち込んで来る。

 

少々カオスな事になりながらもアウトレットにて水着を購入した大洗機甲部隊。

 

そして、遂に………

 

試合会場となる南の島を訪れたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第4回戦の試合会場となる南の島のとあるビーチ………

 

「「「「「「「「「「海だああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!!」」」」」」」」」」

 

どこまでも広がる青い空と果てしなく続くサファイアブルーの美しい海を見て、大洗機甲部隊。

 

特に戦車チームの女子達がそう歓声を挙げる。

 

浜辺にはⅣ号も停まっているが、その後部にビーチパラソルが挿され、サマーチェアが置かれている。

 

更にトロピカルドリンクも置かれ、近くの砂浜にはゴムボートもある。

 

「用意しておきました!!」

 

「「「「「「「「「「おお~~~~~~っ!!」」」」」」」」」」

 

それを用意した優花里がそう言うと、戦車チームの面々から歓声と拍手が挙がる。

 

「よ~し! じゃあ泳ぐぞぉっ!!」

 

「アタシが1ば~ん!」

 

「負けませ~ん!」

 

杏がそう宣言すると、沙織がいの1番に駆け出し、華がそれに続く。

 

そして、戦車チームの一同が、一斉に制服を脱ぎ捨てたかと思うと………

 

下に既に着ていたのか、水着姿となる。

 

「キャハハハハッ!」

 

「あ、冷たい!」

 

「やったなぁっ!!」

 

そのまま波打ち際まで突っ走ったかと思うと、水の掛け合いを始める。

 

「ココは………天国かぁ………」

 

その光景を見て、了平が魂が抜け掛かった状態となる。

 

「そのまま昇天しちまえ」

 

「泳ぐのは久しぶりだな………」

 

そんな了平を見て地市がそう吐き捨てる様に言い、その隣では弘樹が準備運動をしながらそう呟く。

 

他の大洗歩兵部隊の面々も、迫信を除いて水着姿となっている。

 

「…………」

 

その迫信は、パラソル付のテーブルの傍のプラスチック椅子に腰掛け、『君主論』なる本を手に、優雅に読書をしていた。

 

「会長………アレで楽しんでるのでしょうか?」

 

「時々あの人の事が良く分からなくなる時があるよ………」

 

そんな迫信の姿を見て、清十郎と逞巳がそんな会話を交わす。

 

「皆~! 燥ぎたい気持ちは大いに分かるけど、先ずは仕事を終えてからよ~!」

 

とそこで、水着姿のみゆき、キリノ、ミカを従えた、同じく水着姿の空が、皆へそう呼び掛ける。

 

更にその隣には、カメラを首から下げた男性の姿が在った。

 

「集合~~~~っ!!」

 

「「「「「「「「「「!!」」」」」」」」」」

 

空がそう声を挙げると、大洗機甲部隊の一同は一斉に空の元へと集まる。

 

「よ~し、良いわよ」

 

「流石、空の教え子だね。一糸乱れぬ集合だったよ」

 

その様子を見ていた男性がそんな感想を呟く。

 

「当然よ」

 

「あの~、ひょっとして貴方が空教官の彼なんですか?」

 

とそこで、沙織が手を上げながらそう尋ねる。

 

「ああ、申し遅れたね。私フリーのカメラマン兼ライターをしております、『須山 大祐(すやま だいすけ)』と申します。今日は宜しくお願いします」

 

そう言われて男性………『須山 大祐(すやま だいすけ)』は自己紹介をする。

 

「………須山?」

 

と、その名を聞いた弘樹が反応を示す。

 

「何や、弘樹? 知っとるんか?」

 

「いや………何年か前に、歩兵道・戦車道の全国大会の準決勝まで勝ち進んだ事がある学園に同じ名の者が居たと………」

 

大河に尋ねられ、弘樹は記憶を呼び起こす。

 

「おや、それをご存じとは………如何にも、それは私の事ですよ」

 

大祐はアッサリとその話を肯定する。

 

「へえ~、元歩兵道の人なんだぁ」

 

「それが如何して、カメラマンに?」

 

あやがそう言い、飛彗が大祐に向かってそう尋ねる。

 

「いや、元々そっち方面に進む予定だったんですけど、私趣味がジュニアアイドルの写真を撮る事だったので、じゃあ趣味と実益の為に出版業界に就職しようと考えまして、大手出版社の月刊戦車道編集部のグラビア班に就職したんですよ」

 

「良い趣味だな、オイ」

 

白狼が半ば呆れる様にツッコミを入れる。

 

「で、今年の春からフリーとして独立しまして。現在はタウン情報誌のグルメ情報と、小学生読者モデルを使ったファッション記事と、戦車と水着を着た美人戦車乗り達のグラビアを手掛けています」

 

「何て羨ましいっ!!」

 

「了平、黙ってて下さい」

 

水着のグラビアと聞いて了平がそんな声を挙げ、楓が冷たくツッコミを入れる。

 

「因みに、コチラは以前に撮影をさせて頂いた方達の写真です」

 

そう言うと大祐は、数枚の写真を取り出し、大洗機甲部隊の面々に見せる。

 

「!? お姉ちゃんっ!?」

 

その内の1枚に、自分の姉である西住 まほが水着姿で写っている写真があり、驚きの声を挙げるみほ。

 

「ケイ殿!? うぶっ………」

 

小太郎も、サンダース校の総隊長であるケイが星条旗水着で写っている写真を見つけ、思わず鼻を抑える。

 

「ああ、ダージリンさんも!」

 

「ローリエさんも居ますわ」

 

「アンツィオ校のアンチョビ総帥まで………」

 

沙織はダージリン、華はローリエ、優花里はアンチョビの水着グラビア写真を見つけ、軽く驚いた様なリアクションを見せる。

 

「コレ幾らですかっ!?………ぐえっ!?」

 

「お前と言う奴は………」

 

即座にその写真を買い取ろうとした了平を、弘樹が成敗する。

 

「皆さん、今日はよろしくお願いします」

 

とそこで、大祐は改めて大洗戦車チームの皆へお願いする。

 

「えっと………取り敢えず如何すれば?」

 

グラビア撮影の経験などない一同の中で、みほが代表する様に尋ねる。

 

「此方で逐一指示を出しますので、皆さんはそれに従ってもらえれば大丈夫です」

 

「じゃあ、撮影開始よ!」

 

大祐の後、空がそう言い放って、グラビア撮影が開始された。

 

 

 

 

 

各チームごとの撮影。

 

個人ごとの撮影。

 

更には戦車と一緒の撮影など、様々なグラビアの写真が撮影される。

 

更に、湯江達の姿を見た大祐が、是非彼女達も撮影させてくれと言って来た。

 

大河と清十郎は了承し、1人渋った弘樹も、みほと空から説得され、渋々ながらも了承したのだった。

 

 

 

 

 

数時間後………

 

「いや~、皆さん。どうもありがとうございました」

 

撮影は無事終了し、大祐が大洗戦車チームの皆に向かって頭を下げる。

 

「雑誌と写真の方が出来ましたら、皆さんの方に送らせていただきますね」

 

「記事には良い事だけ書いてよね~。ウチの学校の入学希望者が増える様なね」

 

ちゃっかりとそんな事を大祐にお願いする杏。

 

「ハイ、分かりました」

 

「よ~し! コレで撮影はおしまい! 後は皆自由にして良いわよ~っ!!」

 

「「「「「「「「「「イエーイッ!!」」」」」」」」」」

 

空がそう言い放つと、大洗機甲部隊の一同は、改めてバカンスを満喫し始めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バレー部の面々は、やはりと言うとか、大河達を相手にビーチバレーを始めていた。

 

「アターックッ!!」

 

「何のぉっ!!」

 

忍のアタックをレシーブで受け止める大河。

 

「葉隠流! 分裂スパイクッ!!」

 

と、跳ね上がったボールを小太郎がスパイクしたかと思うと、ボールが幾つにも分裂する。

 

「えええっ!?」

 

ブロックしようとしたあけびの腕を擦り抜け、ボールは砂浜に叩き付けられる。

 

「よっしゃあっ! 先制や!!」

 

「ちょっと! 何だよ、ソレ! そんなのバレーじゃないよっ!!」

 

「そうですよ!」

 

ガッツポーズをする大河だったが、バレー部側の応援に着いて居た典子と妙子が抗議の声を挙げる。

 

「葉隠さん、流石に今のは無いかと………」

 

「よ~し、葉隠! 我と代われいっ!!」

 

武志も苦言を呈し、明夫が小太郎と交代でコートへと入る。

 

「美味過ぎるっ!!」

 

一方、その傍では大詔が、先程素手で捕まえて来た魚を、ワイルドにも生で食していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………」

 

相変わらず1人何時もの制服姿で読書を続けている迫信。

 

先程の君主論は読み終えたのか、今度は『ヴェニスに死す』なる本を読んでいる。

 

「迫信~。楽しんでるの~?」

 

とそこで、杏がやって来てそう声を掛ける。

 

「ああ、十分に楽しませてもらっているよ。楽しみ方は人其々だからね」

 

読んでいた本から目線を上げると、杏の方を見ながらそう答える迫信。

 

「あ、そう。まあ、それなら良いけどさ~………ねえ、折角だからさ………オイル塗ってくんない?」

 

そこで、杏はサンオイルを取り出しながらそう言う。

 

「ご要望とあらば………」

 

迫信は本に栞を挟んでテーブルの上に置くと、手袋を外して立ち上がり、不敵に笑う。

 

「んじゃよろしく~」

 

「仰せのままに………」

 

杏がそう言って、近くに敷いてあったビニールシートの上に寝転ぶと、迫信はその身体にサンオイルを塗り始めるのだった。

 

「前から思ってたんですけど………そちらの会長さん、ウチの閣下と随分と仲が良いですね」

 

「神大さんは私達が大洗女子学園に入学した頃からの付き合いですから。その頃から色々と援助をしてもらったりしてまして」

 

逞巳が柚子にそう言うと、柚子は迫信との関わりの始まりを話す。

 

「桃ちゃ~ん、早くおいでよ~」

 

海に入っていた蛍が、波打ち際に居る桃に向かってそう声を掛ける。

 

「桃ちゃんと呼ぶなっ!」

 

と、毎度の様に呼び方に不満を持った桃が、大股歩きで海へと突撃する。

 

するとその瞬間、高波が発生!

 

「へっ!? うわぁっ!? ガボガボガボ………」

 

桃はその波に呑まれ、海中に没する。

 

「ガボガボガボッ!?」

 

完全にパニック状態になり、息を吐き出しながら手足をバタバタとする桃。

 

このままでは溺れてしまう。

 

と、思われた瞬間!

 

何者かが桃の足を掴み、そのまま海上へと引っ張り上げた!

 

「!? プハッ!! ゲホッ! ゴホッ!」

 

逆さ吊りにされている状態でむせる桃。

 

「…………」

 

桃を引っ張り上げたのは熾龍だった。

 

「お、お前はっ!? ええい、離せっ! 助けてくれなどと言った覚えは無いぞっ!!」

 

「そうか………」

 

と、桃がそう喚くと、熾龍は桃の足を掴んでいた腕を下げる。

 

「!? ガボボボボボボボボボボボッ!?」

 

頭だけが逆さまに海水に浸かり、桃は再び溺れかける。

 

「…………」

 

しかし、熾龍はギリギリのところで再び引っ張り上げる。

 

「!! ゲホッ! ゴホッ! 貴様ぁーっ! 何をするガボボボボボボボボボボボッ!?」

 

桃が喚くと再び頭を海中へと沈める熾龍。

 

そんな拷問の様な遣り取りが暫く続いたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「あ、ソレ! スイカ割り! スイカ割り!」」」

 

エルヴィン、カエサル、左衛門佐が揃ってそんなコールを飛ばしている。

 

「…………」

 

その視線の先では、目隠しをして棒を持ったおりょうが、ゆっくりとビニールシートの上に置かれたスイカを目指して歩いている。

 

「おりょうさ~ん! もっと右~っ!!」

 

「ああ、行き過ぎです! 左、左!」

 

「そのまま~まっすぐ~っ!!」

 

サンショウウオさんチームの面々も、そんなおりょうに声援を飛ばしている。

 

「うむ、見切ったぜよ!」

 

とそこで、おりょうはスイカの在る場所を確信したのか、棒を上段に構える。

 

「チェストオオオオオオォォォォォォォーーーーーーーーッ!!」

 

そして掛け声と共に一気にスイカ目掛けて振り下ろした!

 

棒を振り下ろされたスイカが、まるで刃物で切ったかの様に真っ二つになる。

 

「おおっ!」

 

「流石だな、おりょう」

 

「これぐらい当然ぜよ」

 

聖子が歓声を挙げ、カエサルがそう労うと、おりょうは目隠しを外しながらそう言う。

 

「………アイツが持ってたの、只の棒だよな?」

 

「良い腕をしてるね」

 

そんなカバさんチームとサンショウウオさんチームの様子を見ていた磐渡と拳龍は、そう言う遣り取りを交わすのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、我等があんこうチームととらさん分隊。

 

それにウサギさんチームとハムスターさん分隊は、浅瀬で泳いでいた………

 

「? ねえ! アレ、自動車部と整備部の人達じゃないかな?」

 

その時、沙織が海岸にⅣ号とM3リーを並べ、その周囲で何かをやっているナカジマ達自動車部のメンバーと、敏郎達整備部のメンバーの姿を見つけ、そう声を挙げる。

 

「あ、ホントだー」

 

「私達の戦車も在るよ」

 

「何やってるんだろ~?」

 

沙織の声で海岸を見やり、同じく自動車部と整備部、そしてⅣ号とM3リーの姿を認めたあや、あゆみ、桂利奈がそう声を挙げる。

 

「………ちょっと行ってみるか」

 

「あ、私も」

 

と、弘樹がそう言って、海岸目指して泳ぎ始めると、みほがそれに続き、他の一同もそれに釣られる様に海岸へと泳ぎ始めた。

 

 

 

 

 

南の島・海岸………

 

「良~し、目張りはこんなもんかなぁ」

 

Ⅳ号とM3リーの隙間の部分を埋めた自動車部のメンバーの中で、ナカジマが額の汗を拭ってそう言う。

 

「では、フロートを取り付けてくれ」

 

「了解しました~、部長~!」

 

そこで敏郎がそう言うと、藤兵衛を中心とした整備部のメンバーが、Ⅳ号とM3リーの前後にフロートを取り付ける。

 

取り付けられたフロートにより、Ⅳ号とM3リーがまるで舟の様な姿となる。

 

「真田整備部長」

 

「ナカジマさん」

 

とそこで、弘樹とみほを筆頭に、あんこうチームととらさん分隊、ウサギさんチームとハムスターさん分隊の面々が上陸する。

 

「ああ、舩坂くんか………」

 

「如何だい、西住総隊長。特二式内火艇を参考に、水陸両用に改造してみたよ」

 

敏郎が反応すると、ナカジマが説明する様にそう言う。

 

「おおお~~~っ! この姿は正に特二式内火艇ですねっ!!」

 

優花里が、舟の様な姿となっているⅣ号とM3リーの姿を見て、興奮した様子を見せる。

 

「コレ、浮くんですか?」

 

「そりゃ、水陸両用ですから! 浮かないと困っちゃいますよ!」

 

梓がそう尋ねると、藤兵衛が当然と言う様にそう返す。

 

「まあ、それをコレからテストするところだったんだがね」

 

「じゃあさ、じゃあさ! 私達にやらせてよっ!! 私達の戦車なんだから良いでしょう?」

 

と、敏郎がコレからテストに入ると言うと、沙織が手を上げながらそう言う。

 

「うむ、確かに水陸両用仕様の際の操作性を確かめる意味でも、その方が都合が良いか………分かった、お願いしようか」

 

敏郎は顎に手を当てて少し思案したかと思うと、沙織の申し出を許可した。

 

「やったーっ!」

 

「わ~、面白そう~」

 

喜びの声を挙げる沙織と優季。

 

「そうだな………あの島辺りまで行って帰って来てくれれば十分なデータが取れると思うよ」

 

敏郎がそこで水平線を見やると、やや沖の方に見えている島影を指差してそう言う。

 

「それじゃあ皆さん。搭乗して下さい」

 

みほがそう言うと、あんこうチームとウサギさんチームの面々は、水着姿のままで水陸両用に改造されたⅣ号とM3リーへと乗り込む。

 

「うむ………丁度良いな」

 

それを見た弘樹が、何かを思いついた様な表情となる。

 

「弘樹?」

 

「如何しました?」

 

「な~んか、猛烈に嫌な予感がするんだけど………」

 

地市と楓がそんな弘樹の姿に首を傾げ、了平が某男塾のサザエさんヘアの男の様な台詞を口にする。

 

「Ⅳ号とM3リーに続き、我々も島へと遠泳をするぞ!」

 

そこで弘樹が、とらさん分隊の面々とハムスターさん分隊の面々にそう言い放つ。

 

「「「「「「「「「「ええ~~~~~~~~っ!?」」」」」」」」」」」

 

「やっぱし~っ!!」

 

戸惑いの声が挙がり、了平に至っては泣き出している。

 

「歩兵の最大の資本は身体だ。水泳は全身が鍛えられて肺活量の向上も見込める素晴らしい運動だ。高々10数キロ泳ぐくらいで喚くんじゃない!」

 

「いや、喚くだろ、普通………」

 

演説する様に弘樹がそう言い放ち、白狼がボソリとツッコミを入れる。

 

「安心しろ。限界になった者は同行してもらう戦車の上に乗って良しとする」

 

「ど、如何しよう?………」

 

「舩坂先輩がああ言ってるし………」

 

「やるしかないデス」

 

勇武、竜真、ジェームズが小声でそう言い合う。

 

「うおおおおぉぉぉぉぉーーーーーーっ!! 燃えて来たっす! ガーッツッ!!」

 

「体力作りには良いですね」

 

「2人の前向きさが羨ましいなぁ………」

 

正義はファイトを燃やし、誠也は平然としており、光照がそんな2人を見て羨ましそうに呟く。

 

「前進。ゆっくりと水に入って下さい」

 

「ん………」

 

「桂利奈ちゃん、お願いね」

 

「アイー!」

 

とそこで、Ⅳ号とM3リーが発進し、そのまま海へと進んで行く。

 

取り付けられたフロートにより、その車体が海面に浮き始めると、後部のフロートに内蔵されたエンジンが起動し、スクリューが回り始める。

 

そのままⅣ号とM3リーは、海の上を進んで行くのだった。

 

「成功だ」

 

「よっしゃあっ!」

 

敏郎が満足そうに笑い、ナカジマがグッとガッツポーズを取る。

 

波に揺られながら、Ⅳ号とM3リーは洋上を島目指して進んで行く。

 

「よ~し、我々も行くぞっ!!」

 

「「「「「「「「「「おお~~~~~っ!!」」」」」」」」」」

 

弘樹がそう言うと、最早逆らえる流れではなく、とらさん分隊とハムスターさん分隊の面々は、Ⅳ号とM3リーの後を追う様に遠泳へと身を投じるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小1時間後………

 

あんこうチームとウサギさんチーム。

 

そしてとらさん分隊とハムスターさん分隊の面々は………

 

無事に、沖合に浮かんでいた島へと辿り着いていた。

 

「ゼエ………ゼエ………」

 

「ハア………ハア………」

 

「こんなに泳いだのは………初めてです」

 

若干疲労の色が見えているハムスターさん分隊の面々。

 

「…………」

 

そして完全に死んでいる了平。

 

「オイ、了平。後輩達だって泳ぎ切ったと言うのに、何だその様は?」

 

「…………」

 

弘樹がそう言い放つが、了平からは返事が無い。

 

只の屍の様だ。

 

「この島は………」

 

とそこで、キューポラから姿を見せていたみほが、改めて島の様子を見てそう声を挙げる。

 

弘樹達とみほ達が上陸した島は、廃墟と化しているビルや住居、港湾や軍事基地と思われる施設が連なり………

 

まるであの『軍艦島』の様な状態となっている。

 

「………旧日本軍の基地跡か」

 

そんな島の様子を見て、弘樹はボソリとそう呟くのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させていただきました。

遂に南の島でバカンスが始まった大洗機甲部隊。
グラビアの仕事を済ませ、皆思い思いにバカンスを楽しむ中………
水陸両用に改造されたⅣ号とM3リーのテストに付き合っていたとらさん分隊とハムスターさん分隊の面々は、孤島にあった廃墟………
旧日本軍の基地跡へと辿り着くのだった。

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。

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