ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース   作:宇宙刑事ブルーノア

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第51話『ウォーター・ウォーです(前編)!』

『ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース』

 

第51話『ウォーター・ウォーです(前編)!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全国大会第3回戦にて、地走機甲部隊を破った大洗機甲部隊。

 

次なる4回戦の相手は、あのベテラン鉱関機甲部隊を破ったダークホース………

 

『パシフィック機甲部隊』

 

長身の歩兵達が居並ぶこの機甲部隊を前に如何戦うのか?

 

しかし、当の大洗機甲部隊は………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大洗女子学園・戦車格納庫内………

 

「皆~! 朗報だよ~っ!!」

 

Ⅳ号の砲塔の上にリラックスして寝そべっていた杏が、干し芋を齧りながらそう声を挙げる。

 

「「「「「「「「「「??」」」」」」」」」」

 

何事かと、格納庫内に居た大洗機甲部隊の面々が集まって来る。

 

「この次に戦うパシフィック機甲部隊との試合会場だけど………南の島に決まったよ~っ!!」

 

「「「「「「「「「「!! おおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ~~~~~~~~~~っ!!」」」」」」」」」」

 

杏がそう言い放つと、大洗機甲部隊の面々は歓声を挙げる。

 

「南の島か! こりゃ良いぜ!!」

 

「青い海! 白い雲! 熱い砂浜! サンサンと輝く太陽!」

 

「そして水着のギャル達っ!!」

 

と、了平がそう叫び声を挙げたかと思うと、勢い良く鼻血を噴き出す。

 

「ぐえっへっへっへっ………想像しただけで堪らないぜ………」

 

「了平、顔が法律違反です。あと、その血を止めないと出血多量で死にますよ」

 

下衆い顔をして鼻血を流し続ける了平に、相変わらず容赦の無いツッコミを入れる楓。

 

「南の島か………となるとやはり、海岸やその周辺が試合場所となるな………上陸戦の訓練をした方が良いかも知れないな」

 

「お前が考える事って、いつもそんなだよな」

 

一方、弘樹は試合場所が海岸やその周辺になると予測し、生真面目に上陸戦訓練を行った方が良いのではと思いやり、地市がツッコミを入れる。

 

「上陸戦か………それならノルマンディーだな」

 

「「「うんうん」」」

 

上陸戦と聞いて、エルヴィンが第二次世界大戦で恐らく最も有名な上陸作戦………『ノルマンディー上陸作戦』の事を挙げ、カエサル、おりょう、左衛門佐も頷く。

 

「ナカジマくん、藤兵衛。すぐに整備部員を全員集めてくれ。舟艇の用意と戦車の改造をせねばならん」

 

とそこで、敏郎が傍に居たナカジマと藤兵衛にそう言う。

 

「ハイ、部長!」

 

「舟艇は分かるけど、戦車の改造?」

 

すぐに取り掛かる藤兵衛と、戦車を改造すると言う事の意味が分からずに居るナカジマ。

 

「恐らく、状況によっては戦車も海を渡らなければならなくなる事もあるだろう。輸送艦を用意するが、万が一に備えて、戦車自体に航行能力を付けておこうと思ってな」

 

「そんな事出来るんですか?」

 

「ホシノくんが持っていた特二式内火艇の資料を参考にすれば不可能では無い。純粋な水陸両用車に比べれば性能は落ちるだろうが、備えておけば役に立つ事は間違いない」

 

「いや~、まさか趣味で持ってた資料が役に立つとはね」

 

敏郎がそう言って資料を取り出すと、ホシノが頭を掻きながらそう言う。

 

「ちょっと失礼………ほうほう、成程~………着脱式のフロートかぁ………面白いね」

 

その資料を手に取ると、頷きながらそう呟くナカジマ。

 

「良し! それじゃあ、早速取り掛かろうかっ!!」

 

「無論だ」

 

ナカジマと敏郎がそう言うと、自動車部と大洗男子校整備部の面々は、戦車の方へと向かうのだった。

 

「ねえ! 折角ビーチが在るんだし、泳ごうよ!!」

 

とそこで、沙織がみほ達に向かってそう提案する。

 

「おおー! 賛成! 賛成ー!」

 

「それは良いですね」

 

優花里と華が賛成を示す。

 

「…………」

 

しかし、みほは戸惑った様子でキョロキョロとし始める。

 

「? みほ? どしたの?」

 

怪訝に思った沙織がそう尋ねる。

 

「私………水着持ってない」

 

「ええっ!?」

 

「あらあら………」

 

みほのその返答を聞いて、沙織と華が驚きの声を挙げる。

 

「私は学校指定のを持ってる………」

 

その隣で麻子が、いつものマイペースな様子でそう言う。

 

「じゃあ、皆で買いに行きませんか? アウトレットモールに良いお店があるんですよー」

 

すると、優花里がそう提案する。

 

「話は聞かせてもらったわっ!!」

 

とそこで、そう言う台詞と共に、戦車格納庫の出入り口が勢い良く開かれる!

 

「「「「「「「「「「!!」」」」」」」」」」

 

大洗機甲部隊の面々が驚きながら出入り口の方を振り返るとそこには………

 

「いや、ホント、丁度良いタイミングだったわ!」

 

陸自の制服姿のみゆき、キリノ、ミカを引き連れた、同じく陸自の制服姿の空の姿が在った。

 

「藤林教官」

 

「空さん」

 

空達を見ながら声を挙げる弘樹とみほ。

 

「いや~、水着選びに出かけるとは都合が良いわ。貴方達………と言うか、戦車チームの皆にちょっと頼みたい事が有ってね」

 

「うん? 頼み事?」

 

空がそう言うと、杏が反応する。

 

「そ、頼み事………この雑誌については知ってるかしら?」

 

空はそう言うと、手にしていた1冊の雑誌を戦車チームに見せる様にする。

 

「ああ! 月刊戦車道ですね!!」

 

優花里がその雑誌を指差してそう言う。

 

それは、戦車道の特集をやっている月刊誌だった。

 

「流石秋山ちゃんね。その通り。実は私のカレがこの雑誌のグラビアのカメラマンやってるんだけど、次の号で今注目の大洗戦車チームの写真を撮りたいって言って来てね」

 

「「「「「「「「「「ええ~~~~~っ!?」」」」」」」」」」

 

思いも寄らぬ空からの話に、大洗戦車道チームは驚きの声を挙げる。

 

「って言うか、藤林教官って彼氏居たんですか!?」

 

「意外~っ!!」

 

更に、あやと優季からはそんな声も挙がる。

 

「よ~し、大野、宇津木、良く言った。コッチ来い」

 

途端に空は、夜叉の様な顔をして、ドスが利いた声でそう呟き、あやと優季に向かって手招きをする。

 

「「ヒイイイ~~~~ッ!?」」

 

その迫力に完全にビビり、あやは正義、優季は竜真の後ろに隠れた。

 

「お姉ちゃん、落ち着いて」

 

「どうどうどう」

 

「藤林一尉、如何か冷静に」

 

そこで、みゆき、キリノ、ミカが止めに入る。

 

「チッ、まあ良いわ………取り敢えず、その子達の事は置いといて………」

 

((取り敢えずっ!?))

 

空はそう言って引っ込むものの、あやと優季は戦々恐々状態である。

 

「話を元に戻すけど、そのグラビアで時期も時期だから、水着写真を撮りたいって要望が出てね」

 

「水着でグラビアですか?」

 

「凄~い! まるでアイドルみたい~!」

 

戸惑う優花里と対照的に、沙織は目を輝かせてそう言う。

 

「お~、良いね~! 学校の宣伝にもなるし」

 

杏も賛成の意見を示す。

 

「じゃあ、引き受けてくれるって事で良いかしら?」

 

「モッチロン!」

 

「ふえええ~~っ!?」

 

ノリ良く引き受ける杏に、みほは戸惑いの声を挙げる。

 

「よ~し! それじゃあ皆で水着を買いに行こうか~っ!!」

 

「「「「「「「「「「おお~~~~~っ!!」」」」」」」」」」

 

そのまま杏は、戦車チームの皆に、水着を買いに行こうと呼び掛けるのだった。

 

「良し! じゃあ、俺達も一緒に………!? ぐえっ!?」

 

そんな戦車チームに付いて行く気満々だった了平に、弘樹がチョークスリーパーを掛けて落とす。

 

「助兵衛成敗」

 

「お前には学習能力ってもんが無いのか?」

 

気絶した了平を解放した弘樹がそう言い、地市がそんな了平にツッコミを入れる。

 

「僕達は上陸戦用の装備を確認しに行きましょう」

 

「女性の方と一緒にと言うのは、アレですからね」

 

楓と飛彗がそう言い合い、大洗歩兵部隊のメンバーはその場から去ろうとしたが………

 

「何言ってんの、アンタ達は!」

 

何時の間にかその移動先へと回り込んだ空が、大洗歩兵部隊の面々に向かってそう言い放つ。

 

「うおっ!? 何時の間に!?」

 

「アンタ達には重要な役割があるでしょうが」

 

海音がそう驚きの声を挙げると、空は更にそう言い放つ。

 

「重要な役割?」

 

「何か嫌な予感がするぞ………」

 

清十郎が首を傾げると、白狼が露骨に嫌そうな顔をしてそう呟く。

 

「女が買い物に行くと言ったら、男がする事と言えば………荷物持ちでしょうがぁっ!!」

 

「「「「「「「「「「ええええ~~~~~~~っ!?」」」」」」」」」」

 

「コレは教官命令よ!」

 

不満そうな大洗歩兵部隊の面々にそう言い放ち、空は強引に説き伏せるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

学園艦は丁度大洗町に寄港しており、大洗機甲部隊の面々はすぐにアウトレットモールへと移動。

 

男子・女子共に、水着選び(男子は荷物持ち)を始める。

 

「「「おおお~~~~っ!」」」

 

「凄いねえ」

 

「此処に来るのも久しぶりねえ」

 

早速に水着売り場にやって来たあんこうチームと空は、所狭しと揃えられた水着を見てそう言う。

 

「………し、視線がキツイ………」

 

「な~に、何れソレが快感になるさ」

 

「了平………貴方みたいになったら、もう人間として末期ですよ」

 

「ああ、帰りてぇ………」

 

「今回ばかりは同意するよ、白狼」

 

そして、付き合わされている男子の中で、地市、了平、楓、白狼、飛彗は、売り場の女性達の視線を受けて、居た堪れない様子である。

 

「…………」

 

唯一弘樹だけは、腕組みをして壁に背を預けて佇み、何時もと変わらぬ仏頂面を浮かべている。

 

「何でも、水着と名のつく物なら、ありとあらゆる種類を揃えているのが売りだそうです!」

 

「「「あらゆる?」」」

 

「ハイ! あらゆる!」

 

「例えばっ!!」

 

優花里が皆にそう言っていると、突如空が優花里を掻っ攫い、試着室へと突っ込んだ。

 

「ボンペイの壁画をイメージした最古のツーピース! 19世紀のスイムスーツ! お約束の縞水着!」

 

空がそう言いながら、試着室のカーテンを開け閉めすると、彼女の言葉通りの水着姿になった優花里がポーズを決めて現れる。

 

「おお~~! 優花里ちゃんの生水着ショー!」

 

「了平、だから鼻血を………」

 

鼻から目一杯鼻血を流す了平に、楓がツッコミを入れる。

 

「更には古今東西の映画俳優デザイナーズブランド! グラビアアイドル用に至るまで有るわよ!!」

 

続いて空がそう言い放つと、ピンク色のビキニ、更には白いハイレグの優花里が姿を見せる。

 

「うおおおおぉぉぉぉぉ~~~~~~っ! 生きてて良かった~っ!!」

 

「ウルセェよ」

 

了平が感涙しながら叫びを挙げ、白狼がそんな了平に呆れる。

 

「? 何コレ?」

 

と、そこでとある水着を取った麻子がそう疑問を呈する。

 

「わあ~~」

 

「おお! それは幻のモテ水着!!」

 

「ええっ!? 嘘!? コレが!?」

 

「違うでしょ」

 

みほ、沙織、華がそう言い合っているそれは、紐でしかない水着だった。

 

「…………」

 

流石の麻子も恥かしかったのか、すぐに元在った場所へと返品する。

 

「ああ! アレ良さそう!」

 

とそこで沙織がショーウインドウに飾られている水着に気付いて近づく。

 

「おお! コレは女子の嗜み、フラワーね! コッチはガーリー! 堪んないよね、やっぱコレでしょ! ゴス! 1度は着てみたい! そしてペイズリー! コレで私も大人の女!」

 

ショーウインドウに並ぶ水着を次々に眺めながら、沙織は若干興奮した様子で捲し立てる様にそう語る。

 

「だけど、それより! 今年はきっとパンツァーが来ると思うな!!」

 

「パンツァー?」

 

「そう、パンツァー!」

 

沙織の言葉にみほは首を傾げる。

 

パンツァーと言えば戦車の事だが、それが水着と如何関係しているのだろうか?

 

「豹柄ですよね?」

 

「それはパンサー!」

 

「そう言えば、昔パンターはパンサー戦車って言ってました」

 

「そう! 戦車!」

 

「意味不明………」

 

沙織は華、優花里、麻子と次々にそう言葉を交わす。

 

「確かに! 今年流行の水着は戦車になるわね! アイツもそう言ってたし!」

 

そこで空がそう言い放つ。

 

「そうそう! 大胆に転輪をあしらったコレとか!」

 

そう言うと、何時の間にか試着室に入っていた沙織が、彼女の言葉通り、戦車の転輪をあしらった水着姿で登場する。

 

「パレオにメッシュを使って、シュル………シュル………何だっけ?」

 

「シュルツェンですね。外装式の補助装甲板です」

 

優花里が得意の戦車知識を持ち出す。

 

「あと、こんなのもありますよ!」

 

そして更に、自分もとある水着に着替えてみほ達に向かってそう言う。

 

「南国風で可愛いですね」

 

「ねえ、そのマーク………」

 

「ハイ! アフリカ軍団仕様です!」

 

「そう! そう言うの!」

 

優花里が来ている水着に入っている、アフリカ軍団のマークを見て、皆がそう言う。

 

「あと、コレも!」

 

そこで今度は沙織が、麻子をカンガルーのマークが入ったピンク色の水着に着替えさせる。

 

「何で私が………」

 

「ハイ! それは、英国第7機甲師団、通称デザートラッツ仕様です!」

 

若干うんざりしている様な麻子を無視し、優花里が嬉々としてそう語る。

 

「そうそうそうそう! 今年はそんなのが絶対来ると思う!」

 

「「ね~」」

 

「そ、そうなのかな?………」

 

「来ないと思います………」

 

2人で盛り上がる沙織と優花里に、みほと華の困惑したツッコミが入る。

 

「女の流行ってのは良く分からねえなぁ………」

 

「まあ、今年は戦車道がかなり盛り上がってますから、可能性は有るんじゃないですか?」

 

その様子を見ていた地市と飛彗がそう言い合う。

 

「学校指定ので良い………」

 

気だるげな様子の麻子が、選ぶのが面倒な様子でそう言い放つ。

 

「駄目よ、冷泉ちゃん。良い? 小学生から高校生で学校指定の水着で海水浴するなんて………盗撮犯からしたら格好の的よ!!」

 

そんな麻子に向かって、空が拳を握りながらそう説く。

 

「特に冷泉ちゃんや会長ちゃんみたいな子はね」

 

「ハ、ハア………」

 

余りの迫力で語る空に、麻子は戸惑いを浮かべるのだった。

 

「わあ~、ホントに色々有るんだ………どれが良いんだろう? コレだけいっぱいあると………」

 

と、漸く本来の目的を思い出し、自分の水着を選ぼうとし始めたみほが、どれを選んだものかとキョロキョロとする。

 

すると視界の端に、腕組みをして壁に寄り掛かっている居る弘樹の姿を捉える。

 

(あ、そうか………舩坂くんにも水着姿、見られちゃうんだ………)

 

改めてそう思うと、みほの顔が若干赤くなる。

 

「もう良い~か~い?」

 

「ん?」

 

そこで、沙織が試着室に向かってそう呼び掛けているのを耳にし、そちらの方を振り返るみほ。

 

「もう良い~ですわ」

 

試着室から出て来たのは、背中がぱっくり開いた空色大人水着姿の華がだった。

 

「こんなの如何でしょう?」

 

「お~! 可愛い~っ!!」

 

「うふっ………」

 

沙織が燥ぎながらそう褒めると、華は大胆に空いている背中を見せる様に振り向く。

 

「可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い~!」

 

「あわわ………」

 

「背中全開………」

 

更に沙織が燥ぐなか、みほはその大胆な水着に戸惑い、麻子はそうツッコミを入れる。

 

「コッチも如何でしょう?」

 

すると華は、今度はランジェリーのような黒のレースが入った水着姿になる。

 

「わあ~! コッチも可愛い~っ!!」

 

「はわわ………」

 

「後方注意………」

 

燥ぐ沙織に戸惑うみほ。

 

そしてツッコミを入れる麻子。

 

「飛彗さん」

 

「は、華さん………」

 

と、そこで華は飛彗へと声を掛け、飛彗は大胆な水着姿の華を直視出来ずにいる。

 

「如何でしょうか? この水着?」

 

「い、良いと思いますよ………」

 

華の事を直視できないままそう言う飛彗。

 

「本当ですか? 良かった~。飛彗さんにそう言っていただけると嬉しいです」

 

「華さん………」

 

嬉しそうにする華と、そんな華の様子に頬を掻く飛彗。

 

「青春ね~」

 

そんな華と飛彗の姿を見て、空がそんな事を呟く。

 

「見て下さい、コレコレ~! DUIのドライスーツ! SEALsでも使われているんですよ!!」

 

そこで今度は優花里が、特殊部隊も使用しているドライスーツ姿を披露する。

 

「流石にそれは無い」

 

その姿に、麻子からツッコミが入る。

 

「じゃあ!………こんなの如何ですか!?」

 

すると優花里は、フルボディの競泳水着となる。

 

「それも無い」

 

「秋山ちゃ~ん。サーフィンやボディボードするんじゃないんなら、それはお勧め出来ないわよ」

 

麻子が再びツッコミを入れると、空もそんな事を言い放つ。

 

「ん~、コレでは大人し過ぎると思いますのに………神狩殿は如何思いますか?」

 

「何でそこで俺に振るんだよ」

 

競泳水着を脱いで、中に来ていたビキニの水着姿となりながら白狼にそう尋ねるが、白狼は素っ気なくそう返すのだった。

 

「学校指定ので良いのに………」

 

「もっと可愛いのが良いと思う」

 

尚も学校指定の水着に拘る麻子に、みほがそう言う。

 

「そうそう。フリフリとか、花柄とか」

 

「フリフリ?」

 

「そう、フリフリ!」

 

「フリフリ………」

 

「フリフリよー!」

 

「フリフリって?」

 

フリフリの話で盛り上がる沙織と麻子。

 

「こんなのでーす!」

 

すると優花里が、迷彩柄のワンピース水着で登場する。

 

「まさにフリフリ!」

 

「フリフリですね」

 

「迷彩以外は………」

 

沙織と華がそれだと言う顔をするが、みほは迷彩柄なのを気に掛ける。

 

「何よ、西住ちゃん。迷彩に文句あるの?」

 

その発言が、陸自隊員として気に障ったかの様な様子を見せる空。

 

「あ、いえ、そう言うワケじゃ………」

 

「じゃあコレで………」

 

みほが慌てて取り繕っていると、麻子がスクール水着姿に着替えて現れる。

 

「麻子、それ違う! 話聞いてた!?」

 

「もう~! 駄目じゃない、冷泉ちゃん」

 

それに沙織がそう声を挙げ、空も呆れた様子を見せる。

 

「それならもっとマニアックな方が良くないですか~?」

 

そう言って来た優花里は、胸部に『ゆかり』と名前の入った水着………所謂『旧型スクール水着』姿だった。

 

「ゆかりん!?」

 

「ガハッ!?………」

 

沙織が驚きの声を挙げ、了平が盛大に吐血して倒れる。

 

「了平っ!?」

 

「………我が生涯に………一片の悔い無しっ!!」

 

「そのまま本当にくたばっちまえ」

 

楓が驚きの声を挙げると、了平は天に向かって拳を突き出しながらそう言い放ち、地市がそう吐き捨てる。

 

「この旧型スクール水着、略して旧スクと言う物ですが、コレが中々奥が深くて………」

 

「流石にそれはあか~んっ!!」

 

旧スクの下部分を捲ろうとした優花里を、流石に見かねた空が止めに入るのだった。

 

「ホラ、麻子! コレ着て、コレ!」

 

「冷泉さん! コッチも可愛いですよ!」

 

「コレ何か良いと思うんだけど!」

 

するとそこで、沙織と華、空が、まるで着せえ人形の様に、麻子に色々な水着を試着させ始める。

 

「ああ………」

 

「特殊部隊装備一式と言うのは如何でしょう?」

 

そんな麻子の姿を見て冷や汗を掻くみほに、潜水服姿の優花里が声を掛ける。

 

「だからちゃんとしたの選んであげようよ!」

 

「コレが良い」

 

みほがそう言うと、白黒の縞水着姿の麻子が姿を見せる。

 

「おお~~っ!」

 

「ソレはちょっと………」

 

優花里が拍手を送るが、みほは難色を示す。

 

「確かにねえ………」

 

やり切った様子の沙織と華とは対照的に、まだやり足りない様子の空もそう言う。

 

「こうなった………」

 

すると、麻子は黒いランジェリー風の水着姿で現れる。

 

「おお~~っ!」

 

「え~と………」

 

またも拍手を送る優花里だが、みほはまたも難色を示すのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方………

 

他のチームの水着選びの状況も………

 

かなりカオスな事になっていた………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させていただきました。

いよいよパシフィック機甲部隊との試合。
が、その前に………

試合会場が南の島と決まり、海で泳ごうと言う空気になる大洗戦車チーム。
空からの思わぬ依頼もありながら、アウトレットへと水着を買いに出る。
しかし、その場は段々とカオスと化して行くのだった………

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。

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