ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース 作:宇宙刑事ブルーノア
『ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース』
エピローグ『エンカイ・ウォーです!(中編)』
優勝の祝賀会が、迫信のお屋敷艦の特大宴会場にて行われる中………
最大のイベントである隠し芸大会が開幕する………
果たして、迫信の権限をフル活用する事が出来ると言う賞品は、誰の手に………
お屋敷艦・特大宴会場………
「では、トップバッターは………風紀を取り締まったら大洗1。厳しさの中に厳しさが滲む。地震、雷、火事、風紀委員。カモさんチームです」
「「「「「「「「「「わあああ~~~~っ!」」」」」」」」」」
柚子のナレーションと、大洗機甲部隊員達の歓声と共に、特大宴会場のステージの幕が上がり、トップバッターのカモさんチームが姿を現す。
「「「私等強気な風紀委員娘♪ 皆言ってる陰口を♪ カモさんチームのお名前は♪ そど子、ゴモヨ、パゾ美とは随分ね♪」」」
「ほう………○しまし娘か」
「分かる奴は少ないんじゃないのか?」
みどり子が三味線、モヨ子と希美がギターを弾きながら登場すると、ゾルダートと大詔がそんな事を言う。
「それでは御覧に入れます! 奇妙、奇天烈、摩訶不思議! 分身の術!!」
と、みどり子がそう言うと、何時の間にかその後ろに隠れていたモヨ子と希美がバッと姿を現す。
「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」
途端に、大洗機甲部隊員達が一斉に静まり返る。
「只3人居るだけやないけ………」
「分身なら拙者も出来るでござる」
「君の場合は本当にね………」
大河、小太郎、武志がそんな事を言う。
「瞬間移動!」
しかし、みどり子は聞こえていないのか気にしていないのか、芸を続ける。
モヨ子が近くに在った台の陰に隠れる。
「消えたと思ったら!?………あんなところに!?」
「あ………」
そしてみどり子がそう言うと、希美が優花里の近くのテーブルの下から出て来てギターを鳴らす。
「いや、単に希美さんが隠れてただけじゃ………」
「まさか、ずっとこの調子が続くのか?」
鋼賀がそう指摘すると、弦一朗がそんな事を呟く。
「幽体離脱~」
しかし、そのまさからしく、カモさんチームは今度は小太りな双子の芸人の持ちネタを披露する。
「「…………」」
「あ、杏! 柚子ちゃん! しっかりしてっ!!」
余りの酷さに、杏と柚子の目からハイライトが消えてしまい、蛍が慌てる。
「酷過ぎるな………」
「幾らなんでも、コレで笑う人は………」
十河が酷評し、逞巳も困惑の様子を露わにしていると………
「ク、クフフフ………」
「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」
突然耐え切れず吹き出した様な笑い声が挙がり、大洗機甲部隊員達は驚愕に包まれる。
「ひ、弘樹くんっ!?」
みほが驚きの余り声を挙げる。
そう………
笑っていたのは弘樹だった。
「フフフフ………面白いな。なあ、みほくん」
「えっ!? え~と………あはは」
静かだが、ハッキリと笑っている弘樹を見て、みほは困った様に笑う。
「長い付き合いだが、アイツの笑いのツボだけは未だに分からんな………」
「ですね………」
そんな弘樹の様子を見て、シメオンとエグモンドがそう言い合う。
「それでは皆さん!」
「「「さ~よ~う~な~ら~」」」
みどり子達がそう言い残し、幕が下りると、弘樹只1人が拍手を送る。
「え~、では気を取り直しまして………カモさんチーム随伴歩兵分隊であるマンボウさん分隊の代表の方。お願いします」
と、柚子がそう言い、幕が開いて現れたのは………
「絶・好・調であるっ!!」
「うわっ!?」
「ハウリングがっ!?」
余りにも大声を挙げた為、スピーカーからハウリングの甲高い音を鳴り響かせる事になった、最早見慣れたテンションの月人である。
「マンボウさん分隊の代表は絃賀先輩か………」
「意外デスね………」
こんな隠し芸大会などには参加しないだろうと思っていた竜也とジャームズが意外そうな顔をする。
「フハハハハハッ! 小生は声優演技再現を披露させてもらおうっ!!」
しかしそんな2人の様子など気にせず、月人は高笑いしながらそう宣言する。
「声優演技再現?」
「何でも小生の声がとあるアニメのキャラに似ていると伊達が言って居ったのでなぁっ!! それを完璧に再現してやろうではないかぁっ!!」
「えっ!? アレ、マジでやる気かよっ!?」
月人がそう言うと、圭一郎が若干焦った様な様子を見せる。
「? 圭一郎、如何した?」
と、鋼賀がそんな圭一郎に尋ねた瞬間………
「聞け! 聞くが良い! オーバーデビル!! 片腕だけとは言わぬ! 我が目的の為に、欲しい! お前が欲しいのだぁぁ!! 私の、絶望に満ちた魂をお前に捧げる! だから! アスハムというこの哀れな男の声を聞いてくれぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」
月人の絶叫の名演技が炸裂。
その台詞は正に絶望に満ちた男の魂の叫びと言えるものだった。
「おお、スゲェ演技力!!」
「絃賀の奴にこんな才能が有ったとはな………」
そのハイレベルな演技に、秀人と俊が舌を巻く。
と………
「!?………」
突然月人がバタリと倒れた!
「!? 先輩っ!?」
「!!」
誠也が叫ぶと、医者の卵であるエグモンドがすぐさま駆け寄って調べる。
「!? いけません! 過呼吸を起こしてしますっ!!」
「「「「「「「「「「ええええぇぇぇぇぇーーーーーーっ!!」」」」」」」」」」
何と、演技に熱を入れ過ぎた余り、過呼吸となってしまった様である………
月人は直ちにお屋敷艦内に在った病院へ運ばれた。
幸いにも一命は取り留めたそうである………
「え~、ちょっとハプニングがありましたが………続いては、汗はオイル。心はエンジン。カーブでもアクセルは緩めない。トップスピードで人生を駆け抜ける自動車部、レオポンさんチーム」
柚子がそう言うと、幕が開いて派手な衣装に身を包んだレオポンさんチームが現れる。
「「「「イッツ、ショータイムッ!!」」」」
「ジャジャーンッ!!」
「ジャジャジャンッ!!」
そして、ホシノが身を反らしながら腕から花束を出現させ、ツチヤが被っていたシルクハットから鳩を出現させる。
「お~っ!」
「手品ですか」
「ナイトウィッチ校を思い出しますね」
優花里が拍手を送っていると、勇武と光照がナイトウィッチ女子学園の事を思い出してそう言い合う。
「それでは最後の大ネタ!!」
と、ナカジマがそう宣言したかと思うと、ステージ上にアヒルさんチームの89式中戦車が現れた。
「「ああ~~~っ!?」」
「八九式がっ!?」
「何時の間にっ!?」
突然自分達の戦車が現れ、アヒルさんチームからは困惑の悲鳴が挙がる。
「此処に有ります八九式を見事変身させてみせます」
ナカジマが更にそう言うと、レオポンさんチームと八九式が敷居で隠される。
「「「「うわあああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!?」」」」
機械音が響く中、アヒルさんチームの絶叫が挙がる。
「ちょっと待ってー」
途中、スズキがそう言うのを挟み、やがて敷居が外されたかと思うと………
何と八九式の姿は無く、代わりにポルシェティーガーの姿が露わになった!!
御丁寧に、砲塔横のマークはアヒルさんのままである。
「凄いっ!」
「ポルシェティーガーですよ!」
「何コレ、イリュージョンッ!?」
みほ、優花里、沙織から驚きの声が挙がる。
「ふざけるなーっ!」
「ウチの八九式に何するのよぉっ!!」
「返せーっ! ウチの戦車返せーっ!!」
一方、アヒルさんチームの面々からは非難轟々である。
「コッチの方がぁ強そうだけどなぁ」
「優希さん、それは言わない方が………」
優希がそう呟くと、竜真が言わぬが花であると言う。
「あ~、落ち着いて、落ち着いて! ほいっ!!」
と、ナカジマがアヒルさんチームを宥めながら号令を掛けると………
ポルシェティーガーが2つに割れて、元の八九式の姿が現れる。
「書き割りだったんだ………」
「凄くリアルだったね」
拳龍と弁慶がそう言い合う。
「「「「「「「「「「あ~………」」」」」」」」」」
「皆何でガッカリしてるのよっ!?」
「ウチの八九式を馬鹿にするなっ!!」
と、八九式に戻ってしまった事にガッカリしている様子の大洗機甲部隊員達に、アヒルさんチームが不満をぶつける。
「そうだぞ。今までアヒルさんチームの八九式戦車にどれだけ助けられたと思っている。そもそも………」
するとそこで弘樹も説教を始めてしまい、場の空気が悪くなって行く………
「ひ、弘樹くん! お祝いの席だから! その辺で………」
「む………スマン」
何とかみほに諌められ、引っ込む弘樹だった。
「え~、ではレオポンさんチームの随伴歩兵分隊、おおかみさん分隊の代表、どうぞ~」
そこで続けて、おおかみさん分隊の番となり、幕が開くと………
「「イエーイッ!!」」
何と、セーラー服とブレザー姿に女装した海音と豹詑が現れた。
「うわぁっ! キモッ!!」
「目が! 目が腐る~っ!!」
「ふざけんなーっ!!」
「引っ込めーっ!!」
途端に、歩兵隊員達を中心に罵声が飛ぶ。
「アイツ等、何やってんだ………」
「完全に文化祭のノリだな………」
そんな親友の姿に頭を抱える白狼と、他人事の様にそう言いながらウーロン茶を煽る煌人。
「まあ、待て待て待て」
「ワイ等は前座や。大トリは………コイツやっ!!」
するとそこで、海音と豹詑が左右に広がる様に移動し、スポットライトが照らされたかと思うと………
「…………」
無言で佇む謎の美女?が居た。
「うわっ!? すっごい美人っ!?」
「えっ!? ひょっとしてアレも女装っ!?」
「誰だよ、アレ!? 美人過ぎるだろっ!?」
低クオリティな海音と豹詑の女装を見た後だけに、謎の美女?のクオリティの高さに驚く大洗機甲部隊員達。
「………飛彗さん?」
するとそこで、華が謎の美女?を見てそう言った。
「え………!? ええっ!? 宮藤くんっ!?」
その言葉で、謎の美女?の事をよくよく見て、実は飛彗であった事に気づき、驚きの声を挙げる沙織。
「宮藤っ!?」
「マジかよっ!?」
「俺、アレなら行ける………」
途端に大洗歩兵部隊達からも、少々危ない台詞を含んだざわめきが挙がる。
「だ、だから嫌だって言ったじゃないか~!」
途端に、飛彗は海音と豹詑に訴えかける様にそう言う。
「まあまあ」
「コレも経験やで」
「何処がですか~」
それを一切気にしていない様子の海音と豹詑に、飛彗は只々弄られるばかりだった。
「こ、コレ以上は色々と危ないので、終了っ!!」
と、危ない空気が漂い始めていたのを感じ取った蛍が強制的に幕を下ろし、おおかみさん分隊の出番は終了する。
「ハイ、それでは次のチームは、2次元の戦いに命を燃やし、クリック、エンター、キー操作! 指の動きは天下一品! アリクイさんチームです!!」
柚子がそう言うと、幕が上がってアリクイさんチームが姿を見せる。
珍しくねこにゃーがメガネを外している。
そしてそのまま、3人でかえるの合唱を輪唱し始める。
「コレだけ?」
「コレだけっぽいよ」
「ええっ?」
まさかの輪唱だけと言う芸に、ウサギさんチームからは困惑の声が挙がる。
「ああ、ねこにゃー殿………君は美しい………抱きしめたいなぁっ!!」
「ハハハハハハッ! 相変わらずだな、六郎っ!!」
六郎だけはお馴染みの調子でおり、その隣でノンアルコールビールを煽っているハンネスは呵呵大笑する。
「誰か止めてー」
「もう良いよー」
「終わり終わりー」
溜まらず大洗機甲部隊員達からは野次が飛び始める。
すると………
「ぶるぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
「「「「「「「「「「!??!」」」」」」」」」」
突如ステージの上方から、竜作が独特な非常にねちっこく、低音でうねる様な声の叫びと共に落下して来て、アリクイさんチームの背後に着地を決めた。
「お、太田くん!? キツネさん分隊の出番はまだ………」
「お楽しみはコレからだぜっ!!」
蛍の声を無視し、竜作は神父服の懐に両手を突っ込んだかと思うと、丸い物を取り出した。
「………メロン?」
それは見事なアンデスメロンだった。
「そう! 鉾田市産のアンデスメロンだ! 因みに、茨城県はメロンの生産量が日本一だぁっ!! 勿論っ!! 味も天下一品よぉっ!!」
と竜作はそう言いながらメロンを頭上に放ったかと思うと、お馴染みのバイヨネットを取り出し、落下して来たメロンを一瞬で切り分ける。
そして、切り分けたメロンが、アリクイさんチームと自分に行き渡ったかと思うと………
「ぶるぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
またもあの叫びと共に『ベリーメロン~私の心をつかんだ良いメロン~』を、アリクイさんチームと共に歌って踊り始めた!
「コレ、宣伝か?」
「いや、只のネタだろう………」
その光景に、了平と地市がそうツッコミを入れるのだった。
「え、え~と………あ、ありがとうございました!」
と、コレ以上はカオスになり過ぎると判断した柚子が、強制的に幕を下ろす。
「それでは次は、出来ない~、無理~、分からない~、年下だから許される。若い若いも今の内。1年生、ウサギさんチーム」
そして続けてそう言うと、再び幕が開いて、体操着姿のウサギさんチームが姿を現した。
梓が笛を一定のリズムで吹き始めたかと思うと、ウサギさんチームが動き出し………
「サボテン!」
組体操のサボテンを披露した。
「「「「「「「「「「おお~~っ!」」」」」」」」」」
大洗機甲部隊の面々から、感心の声と共に拍手が挙がる。
更に梓が笛を吹くと………
「扇!」
今度は扇が披露される。
「頑張れー」
「体育祭みたい」
心配そうにウサギさんチームを見守る沙織と、微笑ましそうに笑っているみほ。
「戦車やれー! 戦車ーっ!!」
とそこで、突然優花里が大声で騒ぎ始めた。
「!? 優花里さんっ!?」
「顔が赤いですよ?」
「酔ってる………」
「オレンジジュースで!?」
「んなワケあるか、只の場酔いだ」
突然ハイテンションになった優花里に、みほ達が困惑していると、白狼がそう言って来る。
「神狩殿ぉーっ!!」
「おうわっ!? またかよっ!!」
そして優花里は、そのテンションのまま白狼に抱き付く。
「………リア充なんて皆死ねば良いんだ」
「…………」
その光景にお馴染みとなった血の涙を流す了平と、祝いの場でまでツッコミをしたくないのかスルーしている楓。
「ピラミッド!」
一方ステージでは、最後のピラミッドが披露されている。
「やったーっ!!」
見事に技が決まった事を我が事の様に喜ぶ沙織。
まるで我が子の学芸会を見る母親である。
「沙織さん、お行儀悪いわよ」
そんな沙織に、華がこれまた母親の様に注意するのだった。
「やったー!」
「「わーい! わーい!」」
「練習した甲斐あったね!」
見事に隠し芸披露が終わり、大満足な様子のウサギさんチーム。
「うふふふ」
「つまらん………」
笑いを零す柚子とバッサリ切って捨てる桃。
「貴様よりは面白いぞ………」
「!? 何だ………!? ぐえええっ!?」
そんな桃に熾龍が毒を吐き、桃が食って掛かろうとした瞬間に問答無用でアイアンクローをお見舞いするのだった。
「では続けて、ハムスターさん分隊の登場です」
と、蛍がそうアナウンスすると、一旦幕が下りて、再び上がったかと思うと、袴姿の勇武と光照が現れる。
「行きますよ~!」
そこで勇武が、手に持っていた番傘を広げて差す。
「ハイッ!!」
その傘の上に、光照が持っていた升を投げたかと思うと………
「よいしょーっ!!」
勇武が番傘を回転させ、升を傘の上で転がした!
「いつもより余計に回しております!!」
「これを見た人、今後ますますご発展」
「「おめでとうーございますっ!!」」
そしてそう台詞を決める2人。
「「「「「「「「「「おーっ!!」」」」」」」」」」
見事な技に、これまた大洗機甲部隊からは歓声と拍手が挙がる。
「まだまだ行きますよ~」
「ハイ! ハイ! ハイ!」
とそこで、光照が次々と鞠を傘の上に投げる。
その全てを受け止め、升と同様に傘の上で回す。
「「コレで景気が、跳ね上がります~!!」」
「「「「「「「「「「おーっ!!」」」」」」」」」」
再度大洗機甲部隊からは歓声と拍手が挙がるのだった。
盛り上がりを見せて来た隠し芸大会………
果たして次はどんな芸(カオス)が展開されるのか?
つづく
新話、投稿させていただきました。
遂に始まった隠し芸大会。
今回は前半戦として、カモさんチーム+マンボウさん分隊からウサギさんチーム+ハムスターさん分隊までお送りさせていただきました。
アリクイさんチーム+キツネさん分隊のところは規約の関係で歌詞付きでお送りできないのが残念です。
歩兵側は声優ネタが多いかもです。
さて、ココまで前半戦なので割と大人しめ。
後半戦から一気にカオス度が増します。
御注意下さい。
では、ご意見・ご感想をお待ちしております。