ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース 作:宇宙刑事ブルーノア
『ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース』
エピローグ『エンカイ・ウォーです!(前編)』
長い戦いが終わり………
遂に優勝の栄誉を手にした大洗機甲部隊………
文科省の陰謀が明らかになった事で、黒森峰も廃校を免れ………
町子の下に、西住流と共に新たな体制が作られるだろう………
そして、今………
大洗機甲部隊のメンバー達は………
大洗学園艦・一航専学園艦・呉校学園艦が一同に会し………
それ自体が1つの建造物となっている都市艦………『お屋敷艦』に接舷している。
迫信が『個人的に』所有している都市艦だ。
そのお屋敷艦の1室………
3校の生徒達が一同に会しても、尚余裕なスペースがある特大宴会場にて………
「あ~、決勝戦はホントにご苦労だった。皆の素晴らしい活躍で、我が部隊は見事優勝する事が出来た」
壇上スペースに陣取る浴衣姿の両校生徒会メンバーの内、桃が同じく浴衣姿の皆に向かってマイクで演説していた。
「戦車道・歩兵道で無名の我が部隊が、並み居る強豪部隊に打ち勝つとは、誰が予想しえたであろうか。コレは高校戦車道・歩兵道史に残る快挙である。コレも一重に………」
「能書きがなげぇぞぉっ!!」
「とっとと始めろやーっ!!」
と、余りに長い桃の演説に痺れを切らした様に、海音と豹詑を初めとした大洗歩兵隊員達からそんな野次が飛ぶ。
「! き、貴様等ぁ! 副隊長に向かって………!? ぐえっ!?」
「能書きは良いと言っているだろう………」
桃が怒鳴り返そうとしたところ、背後に立った熾龍に、後頭部からアイアンクローを喰らい、持ち上げられる。
「ぎゃああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーっ!?」
ミシミシと言う骨が軋む音と共に悲鳴を挙げる桃。
「え~、では、祝賀会を開催します。会長、お願いします」
「良かったね~、廃校の件が無くなって。では、乾杯ーっ!!」
「みじかっ!?」
「アレくらいで良いって」
だが、それらは一切無視され、柚子、杏によって祝賀会が恙なく開始される。
「か、乾杯~」
「乾杯~!」
「乾杯ーっ!!」
「お疲れ様でした」
「お~」
其々の個性が感じられる乾杯を挙げるあんこうチーム。
「「「学園の風紀に乾杯っ!」」」
相変わらず風紀命のカモさんチーム。
「戦車とバレー部に!」
「「「「乾杯ーっ!!」」」」
同じくバレー命のアヒルさんチーム。
「プロ―ジット」
「チンチン」
何故かカエサルがドイツ語、エルヴィンがイタリア語で乾杯と言うカバさんチーム。
「「「「「レッツラゴーッ!!」」」」」
キャンプ合宿で気に入ったのか、レッツラゴーを乾杯の音頭にするウサギさんチーム。
「「「「イグニッションッ!!」」」」
「「「シークエンス、スタートッ!!」」」
自動車用語で音頭を取るレオポンさんチームと、ゲーム用語で音頭を取るアリクイさんチーム。
「「「「「「「「「「「「レッツダンスッ!!」」」」」」」」」」」」
アイドルらしい音頭を取るサンショウウオさんチーム。
「「「「「「「「「「乾杯ーっ!!」」」」」」」」」」
そして、皆で揃って一斉にグラスを掲げる大洗歩兵部隊員達。
「「「「イエーイッ!!」」」」
「フフ………」
杏達カメさんチームもノリノリで乾杯し、迫信も笑いを零す。
「しっかし、スッゲー花輪だなぁ」
「ホント、所狭しと並んでますね」
地市と飛彗が、特大宴会場の壁際にズラリと並んでいるお祝いの花輪を見てそう言い合う。
「え~、大洗の商工会、及び町内会。それに神大コーポレーションとその関連会社からは花を頂いている」
とそこで、漸く熾龍から解放された桃が、頭を押さえながらそう説明する。
「拍手ーっ!!」
「「「「「「「「「「おお~~っ!!」」」」」」」」」」
杏がそう言うと、大洗機甲部隊員達は一斉に拍手する。
「成程、神大コーポレーションとその関連会社からもですか………」
「けっ、ブルジョワめ………」
楓が納得した様子を見せ、了平が悪態を吐く。
「やめーっ!!」
とそこで、再び杏の声で拍手が制される。
「それでは、祝電を披露する」
そして桃が、壇上に祝電を持って現れ、柚子と蛍が読み上げ始める。
「コングラチュレーション! ネクストはミーがウィンするからね! P.S………小太郎、愛してるわ!!」
「!? ブーッ!!」
「うわっ!? きったねぇなぁっ!?」
P.Sの一文を聞いた小太郎が、飲んでいたお茶を吹き出し、傍に座っていた重音が狼狽する。
「サンダース大学付属高校、ケイ様からでした!」
「サンダースっぽい」
「でも日本語か英語に統一して欲しいよね」
「却って分かり難いよね」
「それにしても、愛してるなんて………大胆………」
蟹にかぶりつきながら、優希、あや、あゆみ、梓がそう漏らす。
「おめでとうございます。私からはこの言葉を贈らせてもらいます。『夫婦とは互いに見つめ合うものではなく、1つの星を見つめ合うものである』。聖グロリアーナ女学院、ダージリン代理オレンジペコ」
続いて蛍が、オレンジペコからの祝電を読み上げる。
「結婚式じゃない」
「どなたの結婚式だと思ってらっしゃるんでしょう?」
「ううん………」
まるで結婚式の様な祝電に、麻子、華、みほが困惑する。
「でも私の心の名言集に入れておきます。何時か使えるかも知れないし」
「私と地市くんの結婚式に使って使ってー!」
「さ、沙織………」
しかし優花里の心には響いた様子で、こういう話が大好きな沙織はそんな事を言い、地市が照れる。
「………裏切り者のリア充め」
そしてそれを見て、相も変わらず血の涙を流す了平だった。
「モスクワは涙を信じない。泣いても負けたって現実は変わらないから。もっと強くなる様に頑張るわ! 身長だって陣に追い着いて見せるんだからっ!! プラウダ高校、カチューシャさんからでした」
「だとよ、陣」
「…………」
柚子がカチューシャの祝電を読み上げると、名指しされた陣に明夫が声を掛けるが、陣は無言で刺身を食べ進めていた。
「後藤 又兵衛も次勝てば良しと言っていたな」
「世に生を得るは事を成すにあり」
「部下に必勝の信念を齎せる事は容易だ。勝利の機会を沢山経験させれば………」
「「「それだーっ!!」」」
「アンタ達もブレないねぇ………」
相変わらず歴史談義に花を咲かせるカバさんチームに、鷺澪がツッコミを入れる。
「他にも知波単学園の西様。継続高校のミカ様。天竺女学園のローリエ様。パシフィック高のセイレーン様。クレオパトラ高校のネフェティ様。西部学園のクロエ様。ナイトウィッチ女子学園のシュガー様。冥桜学園の長門様」
「その他からも祝電を頂いておりますが、時間の都合上省略させていただきます」
「イエーイッ!!」
「尚、アンツィオ高校からは、全員分アンチョビ缶が届いている」
と、桃がそう言うと、大洗機甲部隊員全員にアンチョビ缶詰が配られる。
「コレ、セール品だよ」
「あの学校、お金無いからね」
「お金は正直だね~」
「言ってやるなって………」
そのアンチョビ缶に半額値引きのシールが貼られたままなのを見て、桂利奈、あや、優希が小声でそう言い合い、察してやれと磐渡が諭す。
「ああ、そう言えば舩坂。お前個人宛で電報が多数届いてるぞ」
するとそこで、俊がそう声を挙げた。
「小官に?」
「それがまるで示し合わせたみたいに皆同じ内容なんです」
「………『次は勝たせてもらう』………だそうです」
弘樹が反応すると、逞巳と清十郎がそう言う。
「…………」
それを聞いた弘樹は、納得が行った様な表情になるのだった。
「よ~し! じゃあ、座も温まった事だし、そろそろ始めるかね~」
「拍手~!」
「「「「「「「「「「うわあ~~~っ!!」」」」」」」」」」
柚子が促すと、大洗機甲部隊員達から拍手が挙がる。
「止めーいっ!!………それでは、コレより………各戦車チームと歩兵分隊による隠し芸の披露を行う」
それを桃が制すると、この祝賀会で最大のイベント………
各戦車チームと歩兵分隊による『対抗隠し芸大会』が始まる。
「今回は其々得意な物は禁止だぞ。レオポンチームは自動車ネタ禁止。アリクイはネトゲネタ禁止。カバチームは歴史ネタ禁止。アヒルチームはバレーネタ禁止。サンショウウオチームはアイドルパフォーマンス禁止。あんこうチームはあんこう踊り禁止」
「それから、歩兵の皆さんは人数が多いので、各分隊ごとに数名の代表者を選抜してとなります」
「勿論、得意な事は禁止だよ」
桃、柚子、蛍が隠し芸大会でのルールを説明する。
「私達からネトゲを奪ったら何が残るんですかぁ!」
「同じく、我々から自動車を取ったら!」
「歴史を取ったら!」
「バレーを取ったら!」
「そんな~! 私達スクールアイドルなのに~!!」
得意な物を禁じられた戦車各チームからは抗議の声が挙がるが………
「あんこう踊りを!………取られても全然平気だね」
「寧ろ禁止して欲しい………」
あんこう踊りを禁止されたあんこうチームだけは、安堵の笑みを漏らしていた。
「優勝チームには豪華賞品も用意しているからなぁ」
「因みに3位は大洗商店街のサマーセールの福引補助券。2位は学食の食券500円分。1位の賞品は10万円相当の………」
「「「「「「「「「「おお~~~っ!!」」」」」」」」」
10万円相当と聞いた大洗戦車チームから歓声が挙がる。
「詳しくは後で発表する。以上!」
「現金かな?」
「10万円あればティーガーの履帯が1枚買えます!」
「いや、有りもしないティーガーの履帯を1枚だけ買って如何するんだ?」
優花里が興奮してそう言ったのに、煌人がツッコミを入れる。
「私、ボコのぬいぐるみ買っても良いかな?」
「良いよ。ボコの何処が良いか分からないけど」
「皆で温泉に行きましょうよ」
「単位が欲しい………」
10万円と言う金額に、あんこうチームの面々も興味津々な様子である。
「10万円相当の賞品だろ? 現金って決まったワケじゃないよね?」
「金券ショップで売れば良い」
換金する気満々のツチヤとホシノ。
「優勝したい~」
「10万有れば大分良いアイテムやカードが買える~」
ネトゲに注ぎ込む気満々のももがーとぴよたん。
「別に欲しい物無いけど………」
「他のチームに渡ると風紀が乱れそうよね」
「風紀を守る為に勝とう!」
「君達は相変わらずだな」
こんな時でも風紀優先な希美、モヨ子、みどり子にの様子に、紫朗がツッコミを入れる。
「10万円ってどのくらい?」
「どのくらい?」
「沢山だよ!」
「沢山………」
「凄~い」
「絶対に勝とうっ!!」
「「「「「おおーっ!!」」」」」
そして純粋に燥いでいるウサギさんチームとハムスターさん分隊の面々。
「10万円か~。何に使おうか?」
「聖子。まだ獲得出来ると決まったワケじゃないんですよ」
「そ、それに………アイドルとしてはステージに立てないって………」
聖子が既に賞品を貰った気で居ると、優がそうツッコミを入れ、さゆりが不安そうにそう言う。
「大丈夫、大丈夫! 何とかなるって!!」
「また根拠の無い事を………」
「でもそれが聖子ちゃんだよね」
「よおし! やってやるかっ!!」
しかし、聖子は笑ってそう言い、里歌が呆れるが、伊代は笑ってそう言い、唯は気合を入れる。
大いに盛り上げる大洗機甲部隊員達。
しかし………
「オイ、そっちの会長の事だから、干し芋とか言わねえよな?」
そこで白狼が、女子学園生徒会メンバーにそんな野次を入れる。
「!? な、何故それを!?」
「………マジかよ」
「「「「「「「「「「ああ~………」」」」」」」」」」
桃が狼狽すると、大洗機甲部隊の一同は途端にやる気を無くす。
「オイ、干し芋の何が悪いんだ?」
その様子を見た杏が不機嫌になる。
「まあまあ、杏………よし、ではこうしよう。3位までの賞品とは別に、審査員である我々生徒会の支持を集めた優れた芸を披露した者・チームに、私個人が使える権限を全て活用した賞品を出そう」
「「「「「「「「「「うおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーーっ!!」」」」」」」」」」
するとそこで迫信がそう言い放ち、途端に大洗歩兵隊員達のボルテージが最大までアップする。
「マジかよ! 会長閣下からの賞品だってよっ!!」
「神大コーポレーションの御曹司様や! こりゃどんなもんでも望みのままやでっ!!」
秀人と大河が興奮したままそう言い放つ。
爪楊枝から人工衛星までと言うキャッチコピーを謳い、世界のあらゆるシェアの70%を握っており、政治方面にも多大なコネと権限の有る神大コーポレーション。
その御曹司にて次期総裁候補である迫信の権限をフル活用しての賞品………
言ってしまえばどんな事でも望むままである。
「…………」
「杏、そう不貞腐れるなって。ココは盛り上がりが大事だ」
ハイテンションになった大洗機甲部隊員達の様子を見て、更に不機嫌になる杏の頭を、迫信が撫でながらそう慰める。
「………まあ、良い。それじゃあ、改めて! 優勝したいかーっ!!」
「「「「「「「「「「おおーっ!!」」」」」」」」」」
それで如何にか機嫌の直った杏は、改めて大洗機甲部隊員達にそう問い質し、威勢の良い返事を大洗機甲部隊員達が返す。
「それでは、各チームに渾身の1芸を披露して頂きま~す」
そして柚子の言葉で………
大洗機甲部隊員達の隠し芸大会が開始されるのだった………
つづく
新話、投稿させていただきました。
エピローグのエンカイ・ウォーです。
前編と有りますように、原作の内容が濃いのと、原作より人数が増えているので、3部構成になります。
エピローグなのに3部構成って………
ともあれ、歩兵側が人数が多いので、作中で言った様に代表者を選抜してという形になります。
また、やる気を出させる為、迫信から個人的な賞を出すと言う改変を行いました。
いよいよ次回から目玉の隠し芸大会。
キャラ崩壊などもあり、カオスになるので、御注意下さい。
では、ご意見・ご感想をお待ちしております。