ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース 作:宇宙刑事ブルーノア
『ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース』
第209話『毛路山分隊、突破せよです!』
戦車道・歩兵道全国大会の決勝戦の試合会場………
陸上自衛隊の東富士演習場・市街地………
「そらっ!!」
義炉太に向かってブローニングM1918自動小銃を発砲する大詔。
「甘いっ!」
だが、義炉太は重装備とは思えぬ動きでそれを回避。
反撃とばかりに、右手のMG42を発砲する!
「クウッ!!」
大詔は横っ飛びして瓦礫の陰に隠れて凌ぐ。
「隠れても無駄だっ!!」
すると義炉太は、左手のMP40をパンツァーファウストに持ち替え、大詔を瓦礫ごと吹き飛ばそうとする。
「今だっ! 炎苑っ!!」
「うおおおっ!!」
するとそこで!
何時の間にか義炉太の背後に回っていた光照が、バズーカを義炉太に向かってブッ放そうとする!
「!!」
だが、何と!!
義炉太は少しも慌てず、パンツァーファウストを逆手に持ち替えたかと思うと、そのまま光照目掛けて発射した!!
「!? うわああああぁぁぁぁぁーーーーーーっ!!」
直撃を喰らった光照は吹き飛ばされ、黒焦げになって地面を転がったかと思うと、戦死判定となる。
「光照っ!! このぉっ!!」
光照の仇を取ろうと、勇武が九九式手榴弾を投げつけようとしたが………
「フッ………」
義炉太は撃ち終えたパンツァーファウストを捨てると同時に、左手にワルサーGew43半自動小銃を握り、勇武に向かって発砲。
弾丸は勇武が投げようとしていた九九式手榴弾に命中!
「! うわあああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!!」
爆発を諸に受け、勇武はバタリと倒れる。
「フンッ、他愛も無い………!?」
と、そう言った義炉太がグイッと首を動かしたかと思うと、先程まで義炉他の頭が在った位置を2発の弾丸が通過する。
「!? 嘘だろっ!? あのタイミングで避けやがった!?」
「………!!」
その弾丸の主である、物陰に隠れて機を窺っていた圭一郎と陣が驚きを露わにする。
「良いタイミングだったな。俺でなければ倒せていただろう………だが!!」
すると義炉太は、2人に向かって多数の収束手榴弾を投擲した!
「! ヤベッ!」
「!!」
すぐさま退避しようと物陰から飛び出した圭一郎と陣だったが………
「その判断は誤りだな」
義炉太はそう言い、右手の武器をフリーガーファウストに持ち替え、自分が投げた収束手榴弾目掛けて発射!!
フリーガーファウストの小型ロケット弾が、次々に滞空していた収束手榴弾に命中!
連続した爆発と共に、無数の破片が圭一郎と陣に襲い掛かった!!
「!? マジかよっ!?」
「!?」
なす術なく大量の破片を真面に浴びる圭一郎と陣。
2人はそのまま地面に倒れると、戦死判定となる。
「伊達っ!! 浅間っ!!」
「何と言う男だ………」
大詔が叫び、エースは義炉太の強さに戦慄を覚える。
「言った筈だ。俺は武器のスペシャリストだとな。残るはお前達だけだ」
そう言って、義炉太は再び右手にMG42、左手にMP40を握る。
「「!!………」」
その様子を見て、エースと大詔は僅かに後ずさる。
「喰らえっ!」
そんな2人に向かって、容赦無くMG42とMP40を発砲しようとする義炉太。
………と、その時!!
「ぶるぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
非常にねちっこく、低音でうねる様な独特な叫びと共に、突如現れた竜作が、義炉太を頭上から強襲した!!
「!? 何っ!?」
義炉太は驚きながらも、素早く後退。
竜作は義炉太が先程まで居た位置に着地する。
その途端に、義炉太が手にしていたMG42とMP40の銃身がまるでウォーターカッターで切られたかの様に綺麗に切断された!
「!? チイッ!」
すぐさまそれが目の前に降りて来た竜作の仕業だと察すると、義炉太はガラクタになったMG42とMP40を捨てる。
そして右手にワルサーGew43半自動小銃、左手にパンツァービュクセを装備する。
「シィィィイィィイィイイィイィアアアアアアア………」
すると竜作は、相変わらず独特な叫びと共に、無数の銃剣(バイヨネット)を一斉に義炉太に投げつける!
「!!」
だが義炉太は、頭上に在った道路の案内標識の付け根をワルサーGew43半自動小銃とパンツァービュクセで撃ち抜き、落下させる。
案内標識が義炉太の目に前の地面に突き刺さる様に落下し、竜作が投擲した銃剣(バイヨネット)を受け止める!
「喰らえっ!!」
無数の銃剣(バイヨネット)が突き刺さった案内標識を、竜作に向かって蹴り飛ばす義炉太。
「ハイヤァアアアアアアアアアアァアアアアッ!!」
竜作は両手に銃剣(バイヨネット)を構えたまま後ろに大きく跳び退き、回避する。
「我等歩兵は神の代理人! 神罰を執行する地上代行者! 我らが使命は! 我が神に逆らう愚者を! その肉の最後の一片までも絶滅する事! エェェェェェイメェェェェェンン!!」
そして、義炉太に向かって独特な構えを取ってそう言い放つのだった。
「…………」
すると、義炉太はそんな竜作をジッと見やる。
「…………」
対する竜作も、義炉太を見やっている。
「………不思議だな。初対面の筈だが、貴様とは浅からぬ因縁を感じる」
「奇遇だなぁ。私もだぁ」
やがて、2人揃ってそんな事を言い合う。
「ならばその因縁………1撃で何もかも一切合切決着を付けてくれようぞ」
「クククッククククク、そうでなくては。そうであろうとも。ユダの司祭(ジューダスプリースト)!!」
「フハハハハッ! この俺は他の連中とは同じ様に行かんぞ、赤達磨!!」
両者共に臨戦態勢へと移行する。
「オイ、太田。奴に因縁を付けられたのはコッチが先だぞ」
「手を貸すぞ」
するとそこで、大詔とエースが、竜作の傍に並び立つ。
「邪魔をするな。コイツは私の獲物………」
「俺達は確実に奴を倒さねばならん。西住総隊長の作戦を遂行させる為にもな」
邪魔をするなと言おうとした竜作の言葉を、大詔はそう言って遮る。
「フン、俺は纏めてでも構わんぞ」
「その余裕が命取りになる事もあるぞ」
義炉太は纏めてでも構わないと豪語し、エースはそんな義炉太を敵ながら戒める。
「お喋りはココまでだ………!」
しかし、義炉太はそう言い、会話を強制的に打ち切ると、ワルサーGew43半自動小銃とパンツァービュクセを発砲する!
「フッ!!」
「ぶるぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
「クッ!!」
大詔、竜作、エースは3方向に散らばる様に回避。
「ぬえああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーっ!!」
最初に仕掛けたのは竜作。
両手の銃剣(バイヨネット)を構えて跳躍し、義炉太に斬り掛かる!
「!!」
義炉太は左手のパンツァービュクセを仕舞うと、代わりにナイフを逆手に持って抜き、竜作の銃剣(バイヨネット)を受け止める。
「俺を銃撃戦だけの男だと思うなよ」
そう言い放ち、竜作に蹴りをお見舞いする義炉太。
「! ぬううううううううんっ!!」
竜作は真面に喰らいながらも、空中で姿勢を立て直して着地する。
「うおおっ!!」
と、そこで今度は、弾が無くなったのか、ブローニングM1918自動小銃を投げ捨て、右手にM1911A1を握り、左手にナイフを持って突撃する。
「ほう、CQCか………どれ程のものかっ!!」
その構えがCQCのモノである即座に見抜いた義炉太は、右手のワルサーGew43半自動小銃をワルサーP38に代える。
「セエアッ!!」
先ず左手のナイフを横薙ぎに振るい、義炉太の首を狙う大詔。
「フッ………」
だが、義炉太は僅かに身を反らして回避する。
「!!」
大詔は素早くM1911A1を向けたが………
「むんっ!!」
義炉太は右手のワルサーP38を一旦ホルスターに納めると、M1911A1の上部を掴み、スライドしない様にして発砲出来なくする。
「!?」
「そりゃあっ!!」
「! ぐああっ!?」
そのままナイフを掴んだままの左手で大詔の腰ベルトを掴んだかと思うと、回転させる様に投げ飛ばす義炉太。
「むんっ!!」
とそこで、エースが背後から義炉太に抱き付く様に掴み掛かった!
「!!」
しかし義炉太は、バッと屈み込み、エースの拘束からアッサリと抜け出す。
「!!」
「甘いと言っているっ!!」
そしてしゃがんだ状態から回し蹴りの様に足払いを繰り出す。
「ぐあっ!?」
真面に足払いを掛けられたエースの身体が一瞬宙に浮かび、背中から地面に叩き付けられる。
「終わりだ………」
倒れている大詔とエースに、義炉太は再び右手にワルサーGew43半自動小銃、左手にパンツァービュクセを装備し、銃口を向ける。
「「!!」」
2人が思わず目を見開いた瞬間………
「ぶるぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
竜作が再び突撃した!!
「ぬうっ!」
義炉太はワルサーGew43半自動小銃とパンツァービュクセを竜作に向けたが………
「ハイヤァアアアアアアアアアアァアアアアッ!!」
その引き金が引かれるより先に踏み込んだ竜作が、ワルサーGew43半自動小銃とパンツァービュクセの銃身を斬り落とす!
「!!」
「貰ったぞおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーっ!!」
今度こそ貰ったと銃剣(バイヨネット)を振るう竜作。
………だが!
「チイッ!!」
義炉太が舌打ちと共に、ベルトのバックルに手を伸ばしたかと思うと………
何と、バックルが変形して、連結された銃身が飛び出した!
ナチス・ドイツの仕込み銃『バックルピストル』だ!!
「! 何ぃっ!!」
竜作が驚きの声を挙げた瞬間、義炉太はバックルピストルを発砲!
4発の22口径5.65ミリ弾が、竜作に襲い掛かる!
「! ぶるぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
4発全ての弾丸が命中し、竜作はバタリと倒れる。
「! 太田!!」
「しっかりしろっ!!」
と、その間に立ち上がって大詔とエースが、すぐさま倒れた竜作を両脇から抱えて、義炉太から距離を取る。
「俺にコイツを使わせるとはな………」
義炉太はそう言いながらバックルを閉じ、右手にワルサーP38、左手にナイフを握った。
「大丈夫か、太田!?」
「ぬううう、身体が思う様に動かん………」
大詔にそう返しながら、重くなった身体を何とか動かす竜作。
奇跡的に急所を外れた為、戦死判定は免れた様だが、重傷判定で身体の動きが著しく制限される。
「強い………コレ程までとは」
エースからそんな言葉が漏れる。
武器の多くを使用不能にしたが、義炉太自身はまだ何のダメージも受けていない………
状況は大詔達が圧倒的に不利だった………
「………太田、エース。最後の勝負を掛けるぞ。3人で同時に跳び掛かる。もうコレしかない」
と、大詔は最早玉砕覚悟の特攻しかないと、覚悟を決める。
「それしかないか………」
「西住総隊長の為に果てるのは大洗歩兵の本懐………」
それを受けて、エースと竜作も覚悟を決める。
「………行くぞっ!!」
「「うおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーっ!!」」
そして大詔の掛け声で、一斉に義炉太に躍り掛かる!!
「最後の抵抗か………だが、無駄な事だ!!」
義炉太はそう言って、ワルサーP38とナイフを構えて迎撃しようとする。
………が!!
「!?」
足を動かそうとした義炉太だったが、何かに引っ張られ、動かせない。
「油断………しましたね」
「!!」
何と!
勇武が義炉太の足を掴んでいた!
手榴弾の爆発を至近距離で受けたが、奇跡的にも戦死判定を免れていたのだ!!
そして義炉太が大詔達との戦いに気を取られている隙に、這ってコッソリと近寄り、絶好の機会に最後の力を振り絞って足に掴み掛かったのだ!!
「ナイスだ、柳沢っ!!」
大詔の声が響く中、遂に3人が義炉太を捉える!
………だが!!
「チイッ! コレまでかっ!!」
義炉太がそう言って、戦闘服の上に来ていた軍用コートを脱ぎ去ると………
何と、大量の爆薬が至る所に括り付けられた身体が露わになった!
「!? 何っ!?」
「「「!?」」」
大詔達が驚愕した瞬間!!
「黒森峰の歩兵は只ではやられんっ!!」
義炉太はそう言って、躊躇無く爆薬の起爆スイッチを押した!!
その瞬間!!
巨大な爆発が、辺り一帯を包み込んだ!!
遠方からでも確認出来る巨大な爆煙が立ち上り、やがてそれが晴れたかと思うと………
クレーターとなっていた爆心地の中に戦死判定となって倒れ伏せる、義炉太、大詔、竜作、エース、勇武の姿が露わになったのだった………
一方、その頃………
「我が世の春が来たぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
お馴染みの絶叫と共に泥川に突撃して日本刀を振り降ろす月人。
「フッ!………」
だが、その刃が当たるかと思われた瞬間、泥川の姿が煙の様に消えてしまう。
「ぬうっ!?」
「消えたっ!? 一体何処に!?………」
月人が怪訝な顔をし、正義が泥川の姿を探してキョロキョロとする。
「!? 桑原ぁっ!! 後ろやぁっ!!」
「えっ?………」
そこで、突然大河からそう声が挙がり、正義が思わず間抜けた声を挙げてしまうと………
その首筋に、冷たい刃が付き付けられた。
「!?」
「血祀御免っ!」
正義の顔が驚愕に染まった瞬間、泥川は躊躇無く、刃を引いた!!
「ガッ!?………」
バタリと地面に倒れ、アッサリと戦死判定になる正義!
「! 正義っ!!」
「ヨクモッ!!」
すぐさま竜真とジェームズが、泥川に向かって突撃する。
「ソイヤッ!!」
それを見た泥川も駆け出し、竜也とジェームズは後を追うが………
「! は、速いっ!!」
「お、追い付けまセンッ!!」
大洗切っての俊足を誇る2人を持ってしても、忍者走りで走る泥川には追い付けなかった。
「ソイヤッ!!」
更に何と!!
泥川は近くに在ったビルの壁に向かって跳躍したかと思うと、そのまま垂直の壁を駆け上がり始める!
忍者の十八番・壁走りである!
「ソイヤッ!!」
そして、屋上付近で跳躍し、竜真とジェームズの頭上を取る!
「「!!」」
「乱れ手裏剣っ!!」
そのまま、2人の頭上から無数の手裏剣を跳躍する。
「! このぉっ!!」
「Fire!!」
だが、竜真はPPS-42、ジェームズはウィンチェスターM1912を構え、連続発射される拳銃弾と散弾で、降り注ぐ手裏剣を撃ち落とす。
「フッ!………」
手裏剣を撃ち落とされた泥川は、そのまま2人から少し距離を開けた背後に着地する。
「着地の瞬間は!」
「見逃しまセンッ!!」
すぐさま着地の瞬間の隙を衝こうと、竜真とジェームズは振り返りながら距離を詰めようとする。
と、その瞬間!
「!? イダダダダダッ!!」
「アウチッ!!」
足の裏に鋭い痛みが走って悶絶する。
「!? コレはっ!?」
「しまった!? 撒菱っ!?」
2人の周囲は、撒菱が埋め尽くしていた。
如何やら、先程の手裏剣と同時に撒菱も放っていた様である。
「ソイヤッ!!」
動きが止まった2人に向かって、泥川は跳躍しながら振り返り、右手に出現させた巨大手裏剣をフリスビーの様に投擲する!
「「!? うわあああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!?」」
撒菱によって動きを封じられた2人は為す術も無く直撃を貰い、そのまま戦死判定となった。
「モンロー! 疾河! おんどれぇっ!!」
大河がその光景に怒りを露わに、トンプソン・サブマシンガンM1928A1を発砲する。
「ソイヤッ!!」
だが、泥川は残像を残す程の反復横跳びの様な高速移動で距離を詰め、大河を肉薄する!
「! チイッ! オリャアアッ!!」
近寄られた大河は、M1928A1を投げ捨て、泥川に両手を組んだハンマーパンチを振り降ろす!
「左手は………添えるだけ」
しかし、そのハンマーパンチを泥川はアッサリと受け止め、そのまま大河を投げ飛ばす!
「! おうわっ!?」
「御覚悟をっ!!」
そして、倒れた大河の首を狙って小太刀を突き下ろそうとしたが………
「小生を忘れて何をしておるかああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!!」
月人がまたも絶叫と共に突撃して来て、刀を振り降ろす!
「! ソイヤッ!?」
「!? うおおっ!?」
慌てて飛び退く泥川と、月人が振り降ろした刀が目の前で止まり、一気に冷や汗が噴き出す大河。
「ふぅん………やるなぁ!」
「やるなぁやないで! 危うく斬られるとこだったわぁっ!!」
月人が唸ると、大河が起き上がりながらそう抗議する。
「フハハハハハッ! 同士討ちなど、戦場の常よっ!!」
「それで済ますなっ!!」
余り反省の様子の見えない月人に、大河は怒鳴る。
「………本当に妙な御仁でござるな」
泥川もそんな月人にまたも呆れる様な様子を見せる。
「チッ! まあええわい………もう残りは俺等2人だけや。一気に行くでぇ」
と、何時までも内輪揉めは出来ないと、大河は若干無理矢理に切り替え、泥川に向かい合いながら月人にそう言う。
「良かろう! 神の国への引導を渡してやるっ!!」
月人がそう言って日本刀を構えると、大河も無手のまま構えを取る。
「「「…………」」」
そして3人は睨み合いとなる。
緊迫した空気が、3人の間に流れる。
と、そこで………
何処かで起こった爆発の音が、静寂を破った。
「「「!!」」」
その瞬間に、3人は一斉に動く!!
「うおおおおおっ!!」
先ず仕掛けたのは大河!
両腕を広げる様にして泥川を掴まえようとする。
「ソイヤッ!!」
しかし、泥川は高く跳躍して、大河を飛び越える!
「行ったでぇっ!!」
「逃がすかぁ!」
だがそこで、大河の背後に居た月人が、大河の背中を踏み台にして跳躍し、泥川に追い縋り、刀を振るう!
「!? ぬうっ!!」
泥川は驚きながらも、月人の刀を小太刀で受け止める。
が!!
月人の余りのパワーの前に、小太刀には罅が入ってしまう!
「! 何とっ!!」
「絶・好・調であるっ!!」
驚愕する泥川に、月人の2撃目が振り降ろされる!
「ぬあっ!?」
その2撃目を防ぎ切れず、小太刀はバラバラに砕けてしまう!
「ソイヤッ!!」
だがそこで、泥川は月人に向かって分銅鎖を投げつけた!
「!? むおおおっ!?」
分銅鎖が身体に巻き付き、簀巻き状態にされてしまう月人。
「油断したでござるなぁっ!」
そう言いながら着地の姿勢に入ったか泥川だったが………
「貴様がなぁっ!!」
「ムンッ!!」
月人がそう言い放ったかと思うと、簀巻き状態の月人を、大河がまるで寺の鐘を鳴らす撞木の様にキャッチする。
「!? 何っ!?」
「やれぇっ! 兄弟ぃっ!!」
「全く! アンタも大概やなっ! ホンマッ!!」
泥川が驚きの声を挙げると、月人と大河はそう言い合い………
「喰らええええええぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーっ!!」
大河が、着地しようとしていた泥川に向かって、撞木に構えた月人で頭突きを食らわせに掛かった!!
「!? ぐはあっ!?………」
真面にその攻撃を喰らう泥川。
「よかろう………もう戦いは満喫したぞ、フハハハハ!」
一方月人は、武器として扱われた為、衝撃が大きかったのか、戦死判定となる。
だが、地面に落ちた泥川も、戦死判定となった。
「よっしゃあっ! 絃賀! ようやったで………!?」
月人を労う大河だったが、そこで足元に黒い球体………
『焙烙火矢』が落ちていた事に気づく!
「! アカンッ!………」
と、大河が叫んだ瞬間に焙烙火矢は爆発!
「ぬおおおっ!!」
真面に爆風を喰らって吹き飛ばされた大河は倒れ、そのまま戦死判定となる。
「クソッ! 油断したわ………」
そう呟いて、大河は気絶したのだった………
つづく
新話、投稿させていただきました。
毛路山分隊との戦闘開始。
先ずは義炉太戦と泥川戦。
どちらも多大な犠牲を払いながらも撃破に成功したかに見えましたが………
最後の最後で両者共に道連れにして行きました。
ある意味、黒森峰で勝つ事に最も貪欲なのは毛路山分隊の歩兵かも知れません。
では、ご意見・ご感想をお待ちしております。