ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース 作:宇宙刑事ブルーノア
『ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース』
第2話『歩兵道、始めます!』
弘樹が、みほを助けた日の翌日の朝………
大洗男子校では、午前の授業と昼休みが終わり………
本日の午後いっぱいを使って行われる必修選択科目のオリエーテーションが開始され、全校生徒が体育館に集結していた。
国際校の為、様々な国の留学生を交えながら、次々に必修選択科目となる武道や文道が紹介されて行く。
そして、最後に歩兵道の紹介が行われようとしていた。
「あ~、諸君。ちょっと聞いて欲しい」
するとそこで、紹介が一旦中断され、マイクを持った県立大洗国際男子高校生徒会の広報を務める、ブレザーの制服を着崩して着ている生徒『司馬 俊(しば しゅん)』が、体育館のステージ袖に現れてそう言って来る。
突如科目紹介が中断された事に、生徒達は軽くざわめき立つ。
「続いては歩兵道の紹介となる予定だが………その歩兵道について、生徒会長から重要なお知らせが有る。全員心して聞いて欲しい」
しかし、俊がそう説明すると、ざわめき立っていた生徒達は一瞬で静まり返り、誰に言われるのでもなく立ち上がり、気を付けの体勢となる。
そしてその数秒後………
特注の白い学ランに身を包み、肩当て付きの白いマントを背に垂らしている端麗な容姿をした人物………
県立大洗国際男子高校生徒会の会長である『神大 迫信(じんだい さこのぶ)』が姿を現した。
その途端………
「「「「「「「「「「神大生徒会長! バンザ~イッ!!」」」」」」」」」」
全校生徒が迫信に対し、ガミラス式敬礼をして、万歳三唱を始める!
「「「「「「「「「「会長閣下! バンザ~イッ!!」」」」」」」」」」
「「「「「「「「「「神大生徒会長! バンザ~イッ!!」」」」」」」」」」
「「「「「「「「「「会長閣下! バンザ~イッ!!」」」」」」」」」」
「「「「「「「「「「神大生徒会長! バンザ~イッ!!」」」」」」」」」」
「「「「「「「「「「会長閣下! バンザ~イッ!!」」」」」」」」」」
迫信の姿が見えている間、ずっと続けられる万歳コール。
宛らその光景は、某ガミラス星の総統閣下を称えているかの様な光景である。
傍から見れば危険とも言える光景だが、それを受けている男・迫信からは、思わずそうしたくなる様な圧倒的なカリスマのオーラが溢れていた。
「…………」
やがて迫信はステージ中央に用意されていた演壇の前に立つと、スッと肘から指先までを上に挙げる答礼を行うと、生徒達は一斉に万歳コールと敬礼を止め、気を付けの体勢となる。
「………我が愛する母校、県立大洗国際男子高校の生徒諸君。ご機嫌如何かな?」
迫信は生徒達に向かってそう第一声を発する。
「さて、先程も司馬広報官も言っていた通り、歩兵道について諸君等に有益な話が有る」
有益な話と言われ、生徒達は一瞬ざわめき立つが、すぐに静かになる。
「実は数年後に戦車道及び歩兵道の世界大会を日本で開催することが決定し、文科省から全国の高校や大学へ戦車道及び歩兵道に力を入れる様に要請があり、県立大洗女子学園にて今年から戦車道の授業が復活する事となった」
続いて迫信がそう言うと、生徒達は驚きを露わにする。
「知っての通り、戦車道は歩兵道と密接な関係を持っている」
迫信は戦車道と歩兵道の歴史と関係について話し出す。
そもそも歩兵道の始まりは、その昔に戦車道にて、とある戦車の操縦者だった女性が、視界の悪さに苦戦して、上手く操縦出来ていなかったところ………
その女性の恋人が誘導員を買って出て、それを他の者達が真似し始めたのが始まりと言われる。
当初は、戦車同士の戦闘が始まると、誘導員は速やかに離脱していたが、その内に誘導員同士での戦闘が行われる様になり、やがて『誘導員』は『歩兵』へと武装化。
それに伴い対戦車戦闘も熟す様になり、何時しか戦車との共同戦闘が行われる様になったのである。
歩兵が戦車を守る事が誇りとなっているのはこの辺りが理由らしい。
「そこで、我が校も歩兵道の授業を強化する事となった。無論、諸君等にも事情は有ろうから強制はしない。だが、歩兵道を選択する生徒には様々な優遇措置を行うものとする」
「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」
固唾を呑んで、迫信の次の言葉を待つ全校生徒達。
「歩兵道を選択し、大きく貢献した者には………無条件で進級及び卒業を認めよう」
「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」
いきなりの破格の条件に生徒達はざわめき立つ。
「更に、卒業者には進学先及び就職先の斡旋を行う」
「「「「「「「「「「!!」」」」」」」」」」
またまた飛び出した破格の条件に、生徒達は更にざわめく。
「そして、受講した年の学費を全額免除、返金するものとする。この他に要望が有れば生徒会へと申し出てくれ給え。我々にはあらゆる条件を呑む用意が有る」
「「「「「「「「「「!! うおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーっ!!」」」」」」」」」」
最後の条件が申し渡された際には、最早生徒は大興奮の様子で歓声を挙げる。
「…………」
迫信は一仕切りその歓声を聞いたかと思うと、再びスッと右手を上げる。
「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」
その途端に、先程まで騒いでいたのが嘘の様に静まり返り、気を付けの姿勢となる生徒達。
「私からの話は以上だ。諸君等に期待させてもらう」
迫信はそう言い、壇上から離れると、退場し始める。
「「「「「「「「「「神大生徒会長! バンザ~イッ!!」」」」」」」」」」
「「「「「「「「「「会長閣下! バンザ~イッ!!」」」」」」」」」」
「「「「「「「「「「神大生徒会長! バンザ~イッ!!」」」」」」」」」」
「「「「「「「「「「会長閣下! バンザ~イッ!!」」」」」」」」」」
途端に、再びガミラス式敬礼と万歳三唱が開始される。
「オイオイ、スゲェー事になったな! 弘樹!」
地市が、若干興奮している様子で弘樹にそう言って来る。
「ホントホント! 女の子とお近付きになれる機会を得られるばかりか、無条件で将来を保証されるんだぜ! ウハウハじゃないか!!」
了平も鼻息を荒くしながらそう言って来る。
「会長閣下には毎回驚かされてきましたけど、今回もホントに驚きでしたね」
楓も、迫信の破格とも言える特別措置に対し、驚きを露わにしている。
「…………」
しかし弘樹は、何やら考え込む様な様子を見せながら、退場して行く迫信の姿を目で追っていたのだった。
そして程無くして必修選択科目のオリエーテーションは終了。
生徒達は其々の教室へと戻り、帰り支度を始めるのだった。
放課後………
大洗男子校・生徒会室………
「会長~! 何を考えてるんですか~!!」
生徒会長の椅子に着いている迫信に向かって、机越しにそう言うのは、平凡そうな印象を受ける生徒会の新人メンバーで雑務を務める『小金井 逞巳(こがねい たくみ)』
「何、とは何の事かね? 小金井くん?」
「決まってるじゃないですか! 歩兵道受講者への特別措置ですよ!!」
すっ呆けた様なリアクションをする迫信に、逞巳はそう詰め寄る。
「ああ、その事か………」
「その事か、じゃないですよ! 事情が事情とは言え、あんなこと言って良いんですか!? 職員や学園長が何て言って来るか………」
「問題無い。既に文部科学省と日本政府の方は押さえてある。それに、彼等が私達に面と向かって文句を言って来る様な度胸を持っているワケは無いさ」
右手に持っていた扇子を開いて口元を隠しながら、当然の様にそう言い放つ迫信。
「い、いや、しかし………副会長! 副会長からも何か言って下さいよ!!」
すると逞巳は、副会長席に座って書類の整理をしているかなりの美形で細身な身体の生徒会副会長の『神居 十河(かむい とうが)』にそう言うが………
「残念だが教職員や学園長から実際に文句を言われたのなら兎も角、何も文句が出ていないこの状況では決定を覆すのは難しいな」
しかし、十河は淡々とした様子でそう返す。
「副会長まで………はあ~~、もう~~………ホント如何なってるんだよ~。この学校は~」
「オイオイ、何言ってんだ。こんな自由な学校、他には無いぜ」
頭を抱える逞巳に、ソファで寝転がっていた俊がそう言う。
「ちょっと自由過ぎる気がしないでもないですけどね………」
そんな俊の姿を見ながら、若干呆れた様子で生徒会の書記担当の小柄な1年生、『竹中 清十郎(たけなか せいじゅうろう)』がそう言う。
「………誰か来たぞ」
とそこで、壁際に立って目を瞑っていた、大日本帝国陸軍の将校軍服に身を包んで、中身の入った竹刀袋を左手に持っていたオールバックの武人を思わせる生徒………『栗林 熾龍(くりばやし しりゅう)』が、片目を開けてそう言う。
彼の祖先は旧日本軍の者であり、かの硫黄島の戦いで日米から称賛された名将『栗林 忠道』である。
そんな祖先の血か、武人としての日々の鍛練の賜物か、開かれている片目の眼光は、まるで刃物の様に鋭い。
「ああ、分かっている………」
と、熾龍の言葉に迫信がそう返すと、生徒会室の扉がノックされた。
「生徒会長、普通科2年1組の舩坂 弘樹です。お伺いしたい事があり、参上致しました」
そして扉越しに弘樹のそう言う言葉が聞こえてくる。
「入りたまえ」
「はっ! 失礼致します」
迫信が入室を許可すると、弘樹は生徒会室の中へと入って来る。
十河、逞巳、俊、熾龍、清十郎の視線を受けながら、弘樹は迫信のデスクの前まで歩を進めると、気を付けの姿勢となる。
「生徒会長。お目通り、感謝致します」
「うむ、楽にしたまえ」
「ハッ!」
迫信に言われて、弘樹は休めの態勢となる。
「早速ですが、お伺いしたいのですが………」
「分かっている。歩兵道の事についてだね」
弘樹の言わんとしている事を察し、先んじてそう言う迫信。
「仰る通りです。何故あのような措置を? 失礼ながら………些か生徒会長らしからぬ手段だと感じられましたが………」
「うむ………」
弘樹のその言葉を聞いた迫信は椅子から立ち上がり、弘樹に背を向けながら窓の外を眺める。
「………君になら話しても良いだろう。実は、大洗女子学園に廃校の話が持ち上がっているのだよ」
「! 廃校………ですか?」
迫信の言葉に、弘樹は僅かに驚きを示す。
「うむ。生徒数の減少と目立った活動実績が無い事を理由に、文部科学省が通達して来たそうだ」
「………理解は出来ますが、納得しかねます」
効率面から見ればそれは正しい事かも知れないが、学校は生徒達1人1人に大切な思い出の宿る場所である。
それを偉い連中が一方的に廃止を決めるなどと言うのは、実際に学園に通う生徒達からしてみれば、納得し難いものである。
「私もそう思うよ。大人達の勝手な都合に振り回されるのは、私が最も嫌う事だ………そこで、大洗女子学園は戦車道を復活させる事を決定した」
「………戦車道の大会で優勝して実績を示し、廃校を取り下げさせようと言う算段ですか?」
「その通りだ。私としても、この学園艦の兄妹校とも言える女子学園を失うと言うのは非常に耐えがたい事だ。だから我が校でも歩兵道受講者を募り、部隊を再編する事にした」
「僭越ながら、生徒会長の力を以てすれば、廃校の話そのものを無くす事も出来るのではありませんか?」
疑問に思った弘樹がそう尋ねる。
何せ彼は策謀や謀略、権謀などを得意とする策士であり、学校職員やPTA、教育委員会、果ては文部科学省や総理大臣をも手玉に取っているのだ。
「私も最初はそう考えたさ。しかし、他ならぬ大洗女子学園の生徒会長………『角谷 杏』くんがそれを断って来たのでね」
「女子学園の生徒会長自ら?」
「『自分の学校は自分で守りたい』………それが彼女の意見だ。私はその意思を尊重する事にした。私に出来たのは、文部科学省に約束を反故にしない様に手を回す事ぐらいだ」
「…………」
「それに、そうして廃校の件を回避したとしても、大洗女子学園の生徒数減少自体を止める事は出来ない。今後も継続して廃校の危機を免れる為には、潰すには惜しい学園だと思わせる必要がある」
「そう言う思惑が御有りでしたか………」
「真実を話さずに事を進める私を卑怯者だと思うかね?」
そこで迫信は、弘樹の方を振り返り、そう問う。
「………いえ。例えどんな思惑が有ろうと、小官は生徒会長の決定に従います」
だが、弘樹は当然の様にそう返した。
「………君も不器用だな」
そう言って、フッと笑う迫信。
「自覚しております………」
「では、くれぐれも今の話は内密に頼む。物で釣る様な事をしておいて言うのも何だが………生徒達には楽しんで歩兵道を行って貰いたい」
「了解しました。では、小官はコレで失礼致します」
弘樹はそう言い、再び気を付けの姿勢となると、拳を水平にし、親指から胸にあて肘を張るようなポーズ………
所謂、さらば以降の『ヤマト式敬礼』をした後、回れ右をして生徒会室から出て行く。
「…………」
そんな弘樹の姿を、迫信は不敵な笑みを浮かべたまま見送ったのだった。
◇
翌日………
必修選択科目の受講希望用紙の回収が行われ、多くの生徒が歩兵道の授業に希望を出した。
ある者は只その道を究めんとして………
ある者は友達が希望したのでその付き合いで………
ある者は自分を変える為………
ある者は女子との交流を持つ為………
皆其々、様々な事情を抱えつつ、歩兵道の授業へと集って行く。
そして更にその翌日………
歩兵道の授業を希望した生徒達が、大洗男子校の校庭へと集結した。
大洗男子校・校庭………
「ふむ………大分集まってくれた様だな」
迫信が、集まった歩兵道の授業を選択した生徒達を見てそう呟く。
弘樹の一派は勿論………
ラグビー部の部員達に、全員が長ランボンタン姿の大河が団長を務めている大洗男子校の応援団、通称『大洗連合』のメンバーの姿も在る。
1年生達もそれなりの人数がおり、その数は実に500人近くに上っており、軍隊ならば大隊の規模を成している。
「小太郎、お前も歩兵道を選択したのか」
「そう言う大詔殿もでござろう」
「ああ………俺達の特技は歩兵道でこそ活かせそうだからな」
「違いないでござる」
そう言い合っているのは、高校生とは思えない程の渋い声をした頭にバンダナを巻いている生徒『蛇野 大詔(へびの たいしょう)』と、忍者刀を背に背負い、覆面で顔を隠している、ござる口調の忍者の様な生徒『葉隠 小太郎(はがくれ こたろう)』
「すまない、皆。僕個人の事情の為に、部員の皆を巻き込んでしまって………」
ラグビー部の部員を前に、キャプテンであるこれまた高校生とは思えない野太い声と巨大なガタイを持った生徒『東郷 武志(とうごう たけし)』がそう言う。
「何言ってるんですか、キャプテン!」
「そうですよ! キャプテンの事情は僕達ラグビー部の事情ですよ!」
「協力します! キャプテン!!」
「水臭いこと言わないで下さいよ!」
しかし、ラグビー部のメンバーは口々に武志に向かってそう言う。
「皆………ありがとう!」
それに対し、武志は朗らかな笑みを浮かべるのだった。
「がはは! 陣! お前もやっぱり歩兵道か!!」
「…………」
大詔と良く似た高校生と思えぬ渋い声と2mは有る身長で、筋肉モリモリのマッチョマンの2年生(1年ダブり)の生徒『本多 明夫(ほんだ あきお)』が豪快そうに笑いながら、これまた高校生とは思えぬ190cmは有りそうな身長で矢鱈とガタイの良い生徒『浅間 陣(あさま じん)』の背中を叩きながらそう声を掛けている。
大分強く叩かれているが、陣はビクともしていない様子である。
「…………」
とそこで陣は、明夫に向かってビッと親指を立てた拳を突き出す。
所謂、サムズアップである。
「がはは! 確かにな! その通りだ!! 我等にこれ程相応しい道もあるまい! がはは!!」
それに対し明夫は豪快に笑いながらそう言う。
陣は先程から一言も喋っていないが、如何やら会話は成立している様である………
「オイ、煩いぞ、明夫。お前の笑い声は耳に響くんだよ」
とそこで、明夫に向かってそう声が掛けられる。
「うん?」
それを聞いた明夫が周囲を見回すが、声の主は見当たらない………
「此処だ、此処!!」
と足元から聞こえて来た声に、明夫が下を向くと、身長150cm程の高校生にしては少々小柄だが、引き締まった体格をした生徒『銅 秀人(あかがね ひでひと)』の姿が飛び込む。
「ああ、何だ、秀人か! スマンスマン! 小さくて気がつかなかった! がはは!!」
「! チビって言ったなぁ! 表に出ろぉっ!!」
本人に悪気は無いのだろうが、明夫がそう言うと、秀人は激昂した様子で明夫に殴り掛かる。
しかし、その攻撃は全て、明夫の筋肉の前に弾かれてしまうのだった………
「鷺澪、重音………分かってるな」
ロン毛の生徒『蹄 磐渡(ひづめ ばんど)』が、2人の生徒と肩を組んでトライアングルを形成しながらそう言う。
「勿論だ! 歩兵道をやれば女子にはモテモテ!!」
それを聞いた派手なモヒカンの髪型をした生徒『鶏越 鷺澪(とりこし ろみお)』がそう答える。
「そしてテレビでも放送される試合で俺達の歌を披露すれば、全国の人達が俺達の事を認める!」
続く様に、3人の中で最も背が高く、ガタイの大きいワイルドな民族衣装の仮面を付けてた生徒『狗魁 重音(いぬかい めたる)』がそう言う。
実は彼等は小学校からの親友の間柄であり、中学の時に3人でバンドを組んだ。
しかし、全く見向きもされず、結局中学2年で挫折。
だが、やはり武道館ライブをやるという夢を諦め切れず、この度の歩兵道で活躍し、全国的なアピールを狙っているのである。
「遂に俺達の名が全国に轟く日が来た!」
「目指せ! 武道館ライブ!!」
「そして女の子にモテモテ!!」
………若干下心も有る様だ。
「え~と………取り敢えず、自己紹介でもしようか? ああ、僕は『疾河 竜真』だ」
何となく固まって集まっていた1年生のメンバーの中で、『疾河 竜真』がそう言う。
「えっと、ジャア僕から………『ジェームズ・モンロー』デス。僕は見てのトオリ、アメリカ人ですケド。皆さんと同じ様に一生ケンメ頑張りマス」
すると、親友である『ジェームズ・モンロー』から自己紹介を始める。
「あ、しょ、小生は………そ、その………『水谷 灰史(みずたに はいじ)』です………ひぃ?! ごめんなさい!!」
続いて、少々小柄で線の細い体格に、おどおどして臆病そうな生徒『水谷 灰史』が、自己紹介と共に謝罪をする。
「あ、『炎苑 光照(ほのぞの ほたる)』です………その………すみません」
更に続いて、これまた気弱そうな印象を受ける生徒『炎苑 光照』がそう自己紹介をする。
「や、『柳沢 勇武(やなぎさわ いさむ)』です………あの………ええと………」
更に自己紹介をして来たのは、またも気弱そうな生徒『柳沢 勇武』
どうにも気弱そうな人物が多い1年生陣。
「いやいや。自己紹介で謝る必要は無いよ。ああ、僕は『塔ヶ崎 誠也(とうがさき せいや)』だよ。皆、宜しく」
とそこで、集合している1年生の中では1番体格が良く、引き締まった身体で柔和そうな笑みを浮かべている生徒『塔ヶ崎 誠也』が皆に向かってそう言う。
「ガッツッ!! 自分は『桑原 正義(くわばら まさよし)』です! 皆さん! よろしくお願いします!!」
そして如何にも熱血野郎という言葉が似合いそうな1年生の中で唯一威勢が良い生徒『桑原 正義』がそう言い放つ。
「あ、ど、どうも………」
「よろしくお願いします………」
その誠也と正義の姿で、他の1年生達の委縮した様子は、幾分か改善する。
「ええかぁ、お前等ぁっ! 本日より大洗連合は大洗歩兵部隊へと合流するで!!」
「「「「「「「「「「ヘイ! 親分!!」」」」」」」」」」
「大洗連合の力ぁ! 歩兵道でも存分に見せたれぇっ!!」
「「「「「「「「「「おおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーっ!!」」」」」」」」」」
若干暑苦しい声を挙げているのは『黒岩 大河』と、彼の率いる大洗高校応援団、通称『大洗連合』と呼ばれる長ランボンタンがトレードマークの生徒達だ。
「結構な人数が集まってますね………」
「結構なミーハーが多いんだなぁ」
「同じ場所に居るワイ等が言える台詞やないで、それは」
ある筋では有名な男性らしからぬ長髪で中性的な顔立ちをした生徒『宮藤 飛彗(みやふじ ひすい)』を中心に、体格の良い江戸っ子口調の『江戸鮫 海音(えどざめ かのん)』と『関西弁の『日暮 豹詑(ひぐらし ひょうた)』が集まってそう言い合う。
「いよいよ始まるぜ! 俺のモテモテ伝説が!!」
「了平………如何してそう貴方は露骨なんですか?」
「そりゃ地球が引っ繰り返ったって有りねえぜ」
「フフッ………」
そして勿論、『舩坂 弘樹』、『石上 地市』、『綿貫 了平』、『大空 楓』のメンバーの姿も有る。
「これだけ集まりゃ、人数としちゃ申し分無いだろう」
「と言うか、集まり過ぎでは………」
「でも、他校では歩兵道受講者が1000人以上の所も有るって話を聞きましたよ」
大集結した歩兵道受講者を前にして、生徒会の『司馬 俊』、『小金井 逞巳』、『竹中 清十郎』がそう言い合う。
「…………」
生徒会用心棒の『栗林 熾龍』は、相変わらずの鋭い目付きで、集合した生徒達を眺めている。
(今回の件は俺の力を全校生徒に知らしめる絶好の機会だ………見ていろ、神大。必ず俺はお前を超え、新たな生徒会長となって見せる!)
胸中にて密かに野心を燃やしている副会長の『神居 十河』
「諸君! 良く集まってくれた!!」
そしてそんな一団に、生徒会長の『神大 迫信』が声を掛ける。
「では此処に………『大洗歩兵部隊』の再編成を宣言する!!」
一同に向かってそう宣言する迫信。
遂に………
受講者減少により、廃止を検討され………
廃れかけていた大洗男子校の歩兵道は………
女子学園の戦車道復活と合わせて………
再び勢いを取り戻し始めたのだった………
つづく
実質のキャラ紹介的な話です。
本格的な原作キャラとの絡みは次回からとなりますので、ご了承下さい。
で、前のあとがきで書き忘れましたが………
実は戦車や歩兵以外にも、第二次世界大戦中までの様々な兵器とそれを使う武道が登場する予定です。
また、戦車道のルールも若干変わってます。
具体的に言うと、使用できる戦車に関する点がです。
どう変わっているかは追々説明いたします。
では、ご意見・ご感想をお待ちしております。