ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース   作:宇宙刑事ブルーノア

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第193話『好敵手と戦友達です!』

『ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース』

 

第193話『好敵手と戦友達です!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遂に、戦車道・歩兵道全国大会の決勝戦の日が訪れた………

 

大洗機甲部隊と黒森峰機甲部隊………

 

両者が、お互いの事情を知らぬまま、雌雄を決する時が来たのである………

 

今、両者は決戦の場へ集っていた………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦車道・歩兵道全国大会の決勝戦の試合会場………

 

陸上自衛隊の東富士演習場………

 

試合開始の時刻が刻々と迫る中、会場内は凄まじいまでの熱気に包まれていた。

 

様々なドラマが繰り広げられた今大会………

 

それも最大のダークホースと言われる大洗機甲部隊と………

 

逆風に晒されている王者・黒森峰機甲部隊の試合とあって、観客の動員数は過去最高を記録したらしい。

 

そんな中で………

 

我が大洗機甲部隊は、試合前の最後の整備に勤しんでいた。

 

 

 

 

 

大洗機甲部隊・野営地………

 

専用の格納庫に入れられている大洗の戦車達が、其々のチームや随伴分隊の手で整備されている。

 

「とうとう此処で試合が出来るんですね~。感激です」

 

「そんなに凄い事なんですか?」

 

「戦車道と歩兵道の聖地です!」

 

戦車道と歩兵道の聖地と言われる東富士演習場での試合に、優花里が興奮している様子で華にそう語る。

 

「西住総隊長。エンジンチェックが完了しました。問題ありません」

 

「うん、分かったよ」

 

エンジンのチェックをしていた弘樹がそう報告し、みほはチェックリストに印を付ける。

 

「む?………」

 

「うん?………あ!」

 

そこで弘樹が何かに気づいた様な様子を見せると、みほもそれに反応して振り返る。

 

「御機嫌よう………」

 

そこに居たのは、アールグレイとオレンジペコを伴ったダージリンだった。

 

「ダージリンさん! オレンジペコさんも!」

 

「アールグレイ………」

 

「いよいよ決勝ですわね、みほさん」

 

「正直、あの時の貴方達の印象から、決勝まで進むなんて全く思ってませんでした」

 

ダージリンがそう言うと、オレンジペコが練習試合の時の大洗の事を思い出してそう言う。

 

「私も正直驚いてます」

 

「貴方達はココまで毎試合、予想を覆す戦いをしてきた。今度は何を見せてくれるか、楽しみにしているわ」

 

「ハイ、頑張ります」

 

笑顔でダージリンにそう返すみほ。

 

「…………」

 

そして、アールグレイは、弘樹に向かってイギリス陸軍式敬礼を送る。

 

「…………」

 

それに対し、弘樹もヤマト式敬礼で答礼するのだった。

 

「みほー!」

 

「あ、ケイさん!」

 

とそこで続いてやって来たのは、ナオミが運転し、助手席にアリサが乗ったジープの後部座席に乗るケイだった。

 

ケイの隣には、ジョーイの姿も在る。

 

「またエキサイティングでクレイジーな試合、期待してるからね。ファイト!」

 

「ありがとうございます!」

 

「OKOK!………ところで、小太郎は?」

 

みほへの激励が済むと、小太郎の所在を問うケイ。

 

「葉隠、お客さんさんだぞ」

 

「ハッ、此処に………」

 

そこで弘樹が、後ろを向いてそう言うと、音も無く小太郎が姿を現す。

 

「小太郎ーっ!!」

 

「!? アイエエエエエエェェェェェェェーーーーーーーーッ!?」

 

途端にケイは小太郎に飛び付き、小太郎は嬉しい悲鳴を挙げる。

 

「ケケケ、ケイ殿! 前から言っているでござるが、女性はもっと慎みを………」

 

「小太郎も頑張ってね! 応援してるから! ん………」

 

「!?!?」

 

ケイにそう言おうとした小太郎だったが、それを遮ってケイはそう言い、そのまま小太郎の口にキスする。

 

「!? はわわわっ!?」

 

「まあ………」

 

「…………」

 

それを見て、みほは赤面し、ダージリンは愉快そうな笑みを浮かべ、オレンジペコは無言で視線を反らす。

 

「…………」

 

一方の小太郎も、余りの出来事に爆発四散する間も無く、全身真っ赤になってフリーズしてしまうのだった。

 

「やれやれ………」

 

その小太郎の姿を見て、弘樹は呆れる様に呟く。

 

「舩坂 弘樹………」

 

と、その弘樹の隣に、何時の間にかジープから降りて来ていたジョーイが立つ。

 

「ジョーイ・ミヤギ………」

 

「…………」

 

ジョーイは弘樹に向かって、拳を握った右手を突き出す。

 

「…………」

 

それに対し、弘樹も右手で拳を握り、ジョーイの拳に軽く打ち合せる。

 

フィストバンプである。

 

「じゃあね、みほ! グッドラックッ!!」

 

そこで、ケイがジープの後部座席へと戻ったかと思うと、ジョーイも戻り、サンダース&カーネルの面々は去って行った。

 

「ミホーシャ」

 

「あ、カチューシャさん」

 

続いて現れたのは、相変わらずノンナに肩車されたカチューシャとデミトリ、そして見慣れないロシア人と思われる女性の居るプラウダ&ツァーリの一団である。

 

「このカチューシャ様が見に来てあげたわよ。黒森峰なんて、バグラチオン並みにボッコボコにしちゃってね」

 

「アハハ、頑張ります」

 

相変わらずの高飛車な態度に、みほは苦笑いしながらも返事を返す。

 

「その調子よ」

 

「…………」

 

とそこで、カチューシャが来たのを察したのか、陣が姿を見せる。

 

「あ、陣!」

 

「! カチューシャッ!?」

 

すると、カチューシャはノンナの肩の上に立ち上がったかと思うと、陣の方に向かってジャンプした。

 

「…………」

 

そのカチューシャを受け止めると、陣は自身の右肩へと腰掛けさせる。

 

「アンタも頑張りなさいよ。この私の同志なんだから」

 

「…………」

 

カチューシャがそう言うと、陣はサムズアップして応える。

 

「…………」

 

「ノンナ、その………余り気を落とすな」

 

自分の肩車から陣の方へと移ったカチューシャの姿を見て落ち込むノンナを、デミトリが励ます。

 

「ところで、そちらのお嬢さんは?」

 

そこで弘樹が、ロシア人と思われる女性について尋ねる。

 

「ああ、紹介が遅れました」

 

「ロシアからの留学生でな。『クラーラ』だ」

 

そこでノンナは気を取り直し、デミトリと共にロシア人の女性………『クラーラ』を紹介する。

 

『初めまして、クラーラと申します』

 

紹介されたクラーラは、流暢な本場のロシア語で挨拶をする。

 

「むっ、当然と言えば当然だが、ロシア語か………」

 

余りロシア語には明るくない弘樹だが、取り敢えず挨拶をされた事は分かれるので、お辞儀をする。

 

『やっと会えました………』

 

するとクラーラは、弘樹に近づく。

 

「うん?………」

 

『お会いしたかったです………キリコ・キュービィー』

 

「何?」

 

ロシア語は分からないが、クラーラが確かにキリコ・キュービィーと言ったのを聞いて、弘樹は戸惑う。

 

「えっ? ちょっ………何でクラーラまでボトムズの事を言い出してるの?」

 

その様子を見ていたカチューシャが驚きの声を挙げると………

 

「あ、私が勧めました」

 

「ノンナーッ!?」

 

シレッとそう言うノンナに、カチューシャは思わず絶叫を挙げる。

 

と、そこへ………

 

「みほ」

 

「「みほちゃん!」」

 

そう言う声と共に、エミと2人の少女が姿を見せる。

 

「! エミちゃん! ひーちゃん! ちーちゃん!」

 

3人を見た途端、目を輝かせるみほ。

 

エミの他の2人の少女はひーちゃんこと『柚本 瞳』、ちーちゃんこと『遊佐 千紘』

 

共にみほの幼馴染だった。

 

「久しぶり」

 

「私達は此間ぶりだけどね」

 

「あの時はゆっくりお話し出来なかったからね~」

 

千紘がそう言い、エミと瞳がカンプグルッペの事を思い出してそう言う。

 

「あの時は本当にありがとうね。エミちゃん、瞳ちゃん」

 

「………ねえねえ、みほちゃん」

 

するとそこで、千紘がみほの耳元でヒソヒソと話し出す。

 

「? 如何したの、ちーちゃん?」

 

「あの人が噂のみほちゃんの彼氏?」

 

千紘が一瞬だけ視線を弘樹に向けてそう言う。

 

「えっ!? あ、あの、その………う、うん」

 

「へえ~、そうなんだ~」

 

「ちょっと、みほ! この前聞いた時、違うって言ってなかった!?」

 

「何時告白したの?」

 

「え、えっと………昨日の夜に」

 

「昨日っ!?」

 

「それは詳しく聞きたいね~」

 

「か、勘弁してよ~」

 

幼馴染達からの恋バナトークにタジタジになるみほ。

 

「おう、弘樹」

 

とそこで、弘樹の元に、バーコフ分隊の面々が現れる。

 

「分隊長、ゴダン、コチャック、ザキ。来てくれたのか」

 

「ま、一応な」

 

「へへ、感謝しろよ」

 

「弘樹! 負けんじゃねえぞ! 黒森峰だって、お前の敵じゃねえ!」

 

弘樹がそう言うと、ゴダン、コチャック、ザキがそう言う。

 

「「ゲホッ! ゴホッ! ガホッ!」」

 

と、そんな弘樹とバーコフ分隊の面々を見て、ノンナとクラーラが………

 

むせる

 

「やっぱり………」

 

「ハア~………」

 

そんなノンナとクラーラの姿を見て、カチューシャとデミトリは呆れる。

 

「おう、弘樹」

 

「お、何だ、懐かしい顔も居るじゃねえか」

 

「ふん………」

 

するとそこで、グレゴルー、バイマン、ムーザの3人が姿を見せる。

 

「グレゴルー、バイマン、ムーザ」

 

「よう! そっちも久しぶりじゃねえか!」

 

「噂は聞いてるぜ。タンカスロンとバトリングで稼いでるみたいだな」

 

「へっ、如何だかな」

 

弘樹が反応すると、バーコフ達もグレゴルー達に気づき、ゴダンの言葉にバイマンがクールに返す。

 

「「ゲホッ! ゴホッ! ガホッ!」」

 

そして、グレゴルー達の姿を見て、またもノンナとクラーラが………

 

むせる

 

「そう言えば、鶴姫 しずかは一緒じゃないのか?」

 

弘樹が、しずかの姿が無い事に気づいてそう指摘する。

 

「ああ、お姫さんだったら………」

 

「「ハハハハハハハッ!!」」

 

とそこで、女性2人のものと思われる笑い声が響いて来る。

 

「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」

 

驚きながら、その声が聞こえて来る方向を見やった一同の目に飛び込んで来たのは………

 

「気に入ったわ、貴方! 家へ来て妹と寝ても良いわよ!!」

 

「それは上々!」

 

肩を組んで仲良さ気に歩いて来るクロエとしずかの姿だった。

 

「「…………」」

 

その後ろには、呆れた様子の鈴とジャンゴが続いている。

 

「!!」

 

クロエの姿を見たみほが、すぐさま弘樹の後ろに隠れる。

 

「よう、舩坂 弘樹」

 

「ジャンゴ………そっちの2人は何があったんだ?」

 

ジャンゴが声を掛けて来ると、弘樹は相変わらず肩を組んだままのしずかとクロエを見てそう言う。

 

「いや~、それがクロエの奴、あのお姫さんと意気投合しちまってよぉ………」

 

「今時いないわよ、こんな戦いに命を賭けてる子なんて。そりゃ気に入るわよ」

 

「クロエ殿も戦車道をさせておくには惜しいお人ですな」

 

ジャンゴがそう説明する横で、クロエとしずかがそう言い合う。

 

「本当に意気投合してる………」

 

「当然!」

 

「何故なら我等はっ!!」

 

と、弘樹の背後に隠れたままだったみほがそう言うと、突如クロエとしずかはそう叫び………

 

「神に会うては神を斬り!」

「悪魔に会うては、その悪魔をも撃つ!」

 

「戦いたいから戦い!」

 

「潰したいから潰す!」

 

「「我等(私達)に大義名分など無いのさ!!」」

 

「「我等(私達)が、地獄だっ!!」」

 

まるで打ち合わせでもしていたかの様に、阿吽の呼吸で地獄公務員の様な口上を決めた!

 

「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」

 

それを聞いたみほ達は唖然となる。

 

「何か、すいません………」

 

「やれやれ………」

 

「お姫さんも相変わらずだな」

 

「全くだ」

 

鈴、バイマン、グレゴルー、ムーザもそう漏らす。

 

「オイ、クロエ。その辺にしておけ。本来の目的を忘れてるぞ」

 

「おっと、そうだったわ。みほちゃん」

 

「ハ、ハイ!」

 

そこでジャンゴがそう言うと、クロエはみほに声を掛け、みほは弘樹の背に隠れたまま返事をする。

 

「遂に決勝ね! 私を熱くさせてくれる最高のバトルを見せて頂戴! 期待してるわよ!!」

 

「我も期待しておりますぞ………軍神殿の奮戦を」

 

クロエとしずかが、オリジナル笑顔ばりの狂気の笑みを浮かべてそう言う。

 

「は、ハイィ………」

 

すっかり萎縮した様子で、みほはやっとそう返す。

 

「じゃ、そういう事で!」

 

「御健闘をお祈りしております」

 

そしてクロエとしずかは、自分達の話は終わったと、サッサと去って行く。

 

「じゃ、俺も行くぜ。ま、精々頑張ってくれよ」

 

それに続く様に、ジャンゴもヒラヒラと手を振りながら立ち去る。

 

「お姫さんも行っちまったし、俺達も行くか」

 

「お騒がせしました」

 

「なら、そろそろ俺達も御暇するか」

 

「じゃあね、みほ」

 

「応戦してるよ!」

 

「頑張って」

 

グレゴルー達、鈴、バーコフ達にエミ、瞳と千紘もその場を後にする。

 

「ありがとう、エミちゃん、ひーちゃん、ちーちゃん」

 

「感謝する………」

 

みほが手を振り、弘樹が頭を下げて見送る。

 

「弘樹」

 

「よう、まだくたばってなかったみたいだな」

 

すると今度は、2枚目な男と大柄な体躯の男が現れる。

 

「! 『ポタリア』! 『キデーラ』もか!」

 

弘樹は2枚目の男『ポル・ポタリア』と大柄な体躯の男『ブリ・キデーラ』を見てそう声を挙げる。

 

「「ゲホッ! ゴホッ! ガホッ!」」

 

2人の姿を見たノンナとクラーラがまたまた………

 

むせる

 

「「…………」」

 

そんな2人に呆れ果て、最早ツッコミも入れないカチューシャとデミトリ。

 

「お前が全国大会に出場していると知った時は驚いたよ。元気そうで何よりだ」

 

「そっちも変わりない様だな」

 

「ところで、弘樹。あのカン・ユーに会ったってホントか?」

 

ポタリアと弘樹がそう言い合っていると、キデーラがそう口を挟む。

 

「ああ、カンプグルッペでな。逮捕されそうになって逃げ出したらしい」

 

「あの男、まだそんな事を………」

 

弘樹がそう返すと、ポタリアは不快そうな顔をする。

 

「感謝してるぜ、弘樹。お前がアイツを追い出してくれたお蔭で、クメン校は平和そのものさ」

 

「一求道者として、奴の事が許せなかっただけだ」

 

「皆君に感謝してるよ。今日は総出で応援させてもらうよ」

 

「無様に負けたりなんかしたら承知しねえぞ」

 

「肝に銘じておく」

 

「では、弘樹。またな」

 

「頼んだぜ。お前達が勝つ方に賭けてんだからな」

 

「ああ………」

 

そう言って、弘樹はポタリアとキデーラを見送る。

 

「ホラ、ノンナ、クラーラ、そろそろ行くわよ」

 

「大丈夫か?」

 

「「ゲホッ! ガホッ!」」

 

カチューシャとデミトリも、まだ若干むせているノンナとクラーラを連れて去って行く。

 

「ちわーすっ! アンツィオ学園っす!」

 

そこで現れたのは、コック姿で何故か岡持ちを携えたペパロニが姿を見せた。

 

「あ、アンツィオの………」

 

「コレ、ウチの姐さんからっす! どうぞ!」

 

みほが気づくと、ペパロニは岡持ちの中から鉄板ナポリタンを出して、みほに差し出す。

 

「あ、ありがとうございます………」

 

「それと姐さんから伝言っす。あ、舩坂の旦那にもフォルゴーレから伝言っす」

 

「えっ?」

 

「フォルゴーレから?」

 

「アレ? え~と………何だったっけ?」

 

アンチョビとフォルゴーレからの伝言と聞いて軽く驚くみほと弘樹だが、肝心の伝言をペパロニは覚えていない様だ。

 

「あ~と、そうだ! メモ渡されたんだっけ! え~と………」

 

しかし、予防策でメモを渡されていた様であり、ペパロニはそれを取り出すと、みほと弘樹に向かって読む。

 

「『勝てよ』………『健闘を祈る』………だそうです」

 

「! ハイ! アンチョビさんに、ありがとうって言って於いて下さい!」

 

「フォルゴーレにもな」

 

「承ったっす! それじゃあ、鉄板は後で下げに来ますんで! アリヴェデールチ!」

 

ペパロニはそう言い残すと、空になった岡持ちを持って去って行った。

 

「みほちゃん、弘樹」

 

更に姿を見せたのは、絹代だった。

 

「! 絹代さん!」

 

「西総隊長!」

 

みほは絹代の方に向き直り、弘樹はヤマト式敬礼をする。

 

「遂にココまで来たわね。もう後は優勝するだけよ。頑張りなさい」

 

「ハイ! 勿論、その積りです」

 

「フフ、言う様になったじゃない」

 

「色々有りましたから」

 

絹代が笑うと、みほも笑みを浮かべる。

 

「頑張りなさいよ。きっと頼もしい味方も現れるから」

 

「頼もしい味方? 西総隊長、それは………」

 

「それはお楽しみよ。出番が無ければそれで別に良いんだから」

 

弘樹が、絹代の言った頼もしい味方と言うのを気に掛けるが、絹代はそれには答えず、只笑うだけだった。

 

「それじゃあね。応援してるから」

 

「ありがとうございます」

 

「ありがとうございました。西総隊長」

 

みほが頭を下げ、弘樹がヤマト式敬礼をして見送る中、絹代は応援席へと向かって行った。

 

「貴方達は不思議ね」

 

とそこで、今まで事の成り行きを見守っていたダージリンがそう言う。

 

「戦った相手皆と仲良くなり、頼もしい戦友達に恵まれている」

 

「それは………皆さんが素敵な人達だから」

 

「小官はただ、己の道を歩んで来ただけです」

 

そう言うダージリンに、みほと弘樹はそう返す。

 

「貴方達にはこの言葉を送るわ………優勢と劣勢には翼があり、常に戦う者の間を飛び交っている。例え絶望の淵に追われても、勝負は一瞬で状況を変える………人、それを………『回天』と言う!」

 

何故か背後から逆光が指し、腕組みをしている状態で2人にそう言い放つダージリン。

 

「は、はあ………」

 

「…………」

 

その言葉に、みほは困惑し、弘樹も首を傾げる。

 

「あの、ダージリン様。それ、何方の格言ですか?」

 

更にオレンジペコも、その格言を言った人物が思い浮かばず、ダージリンにそう尋ねる。

 

「剣狼の導きにより遣わされた正義の使者の言葉よ」

 

そんなオレンジペコに向かって、ダージリンはドヤ顔でそう言い放つのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後も………

 

ローリエ、ルウ、ターメリック、キーマ………

 

堅固、琥珀、瑪瑙、瑠璃………

 

ローレライ、ホージロー、カジキ、セイレーン………

 

キングコブラ、ネフェティ………

 

シュガー、カロ、ジャック………

 

冥桜学園の面々に晴風達も現れ………

 

其々に激励の言葉を、大洗機甲部隊に掛けて行った………

 

そして遂に………

 

両雄の試合前の挨拶が交わされようとしている………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させていただきました。

遂に決勝戦の会場、東富士演習場に来た大洗機甲部隊。
試合前の最後の整備中に、戦ったライバル達や戦友達が激励に現れる。

流石に全員やると作業量的にキツイので、決戦前夜と同じく一部巻きでお送りさせていただきました。
御了承下さい。

顔見世で登場したクラーラですが、ウチのノンナに染められています(爆)
そして、ダージリンの格言は、原作のだとこの作品の今の状況にそぐわないので、正義の国語辞典の兄さんの言葉を使わせていただきました。

次回は黒森峰との挨拶。
そこで、ある人物が………

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。

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