ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース   作:宇宙刑事ブルーノア

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本日は海楽フェスタです。

最終章の情報が聞けるか楽しみですね。

皆さんも大洗へお越しください。


第186話『サジタリウスの矢です!』

『ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース』

 

第186話『サジタリウスの矢です!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

黒森峰と西住流へ恨みを持つカンプグルッペ学園により拉致されたまほを救出する為………

 

大洗機甲部隊はベルウォール機甲部隊と共に、カンプグルッペ学園を強襲した………

 

カン・ユーが雇い入れていた偽レッドショルダーを撃破したみほ達だったが………

 

カンプグルッペ学園は、演習用の無人機を改造した爆撃機で反撃する………

 

そんな中で、一航専の偵察機が、その無人機の発進基地………

 

『航空母艦・ワスプ』を発見するのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

浦賀水道海域………

 

無人機を次々に飛ばしているワスプの近くの水面に………

 

潜水艦の潜望鏡が覗いていた。

 

「偵察機に見つかったか………」

 

「如何しますか? 艦長」

 

その潜望鏡を上げている潜水艦………『ガードフィッシュ』の艦長に、副長がそう問い質す。

 

「フッ………構わん、放っておけ」

 

「良いんですか? 相手はあの一航専ですよ? それに大洗が出張って来てるなら、恐らく呉校の艦隊も………」

 

「今は一航専の航空部隊は我々の学園の制空権を取る事に夢中だ。呉校の艦隊が来たところで、上空援護の無い艦隊など航空機には的でしかない。例のモビーディックも同様だ」

 

そう言う艦長が覗き込んで居る潜望鏡に、ワスプの護衛に付いて居る航空部隊や対潜哨戒機の姿が映る。

 

「了解しました。それにしても、訓練用の無人機を攻撃用に改造するとは、ウチの技術班の連中も大したもんですね」

 

「ああ。大元の指示はコチラから入力しなければならんが、細かい所はワスプに搭載されているスパコンと無人機の簡易AIがやってくれる。俺達は只見ているだけで良いんだからな」

 

副長がそう言うと、艦長は悪辣な笑みを浮かべて潜望鏡を旋回させる。

 

そう………

 

実はこのカードフィッシュ………

 

無人機に指示を与えている大元なのである。

 

元々第二次世界大戦時の航空機を無人操縦にすると言う無茶な改造を行っている為、無人航空機には最低限の判断をするAIしか搭載されておらず、詳細な判断をする為のスーパーコンピューターをワスプに搭載している。

 

しかし、コチラも無茶な改造であり、結果居住スペースを殆どスパコンが埋め尽くす事となり、ワスプは人が乗れる船ではなくなっていた。

 

そこで、指示を出す人間は潜水艦に搭乗させる事にしたのである。

 

ガードフィッシュからは細いワイヤーの様な物が伸びており、それがワスプの艦底部分に繋がっている。

 

恐らく、このワイヤー回線を通じて、ワスプに指示を送り、それを元にワスプが無人機を発艦させているのである。

 

「………ん?」

 

と、その時………

 

潜望鏡を旋回させていたガードフィッシュの艦長が何かに気づく。

 

「? 如何しました? 艦長?」

 

「何かが飛んで来るぞ?」

 

副長が尋ねると、遠くに光っている光点を潜望鏡で確認した艦長がそう返す。

 

「えっ!? まさか、一航専の航空機ですかっ!?」

 

「それにしてはたった1機と言うのは………」

 

不審に思いながら潜望鏡を覗き続け、光点の正体を確認しようとする艦長。

 

徐々に光点は段々と大きくなって行く。

 

「んん~~~?………!?」

 

そこで、ガードフィッシュの艦長の顔が驚愕に染まる。

 

近づいて来ていた光点の正体………

 

それは、翼を持つ巨大なミサイル………

 

『トマホーク巡航ミサイル』だった!!

 

「ト、トマホークミサイルッ!?」

 

「!? えっ!?」

 

艦長が思わず叫び、副長が驚きの声を挙げた瞬間………

 

トマホークは、ワスプ右舷の開放されていた格納庫扉から、格納庫内へ飛び込む!

 

途端に、ワスプを包み込む程の巨大な爆炎が発生!

 

立ち上った黒煙が、空一面に広がる。

 

そして少し間を置いて、今度は飛行甲板を下から突き破って爆発が発生!

 

丁度発艦しようとしていたドーントレスが爆風に煽られ、隣のアベンジャーと衝突!

 

直後に立ち上った炎が2機を覆い尽し、燃料と搭載爆弾・魚雷が誘爆!

 

それを皮切りに、まだ甲板上に在った機体が次々に誘爆!

 

まるでリズムを刻むかの様に爆発が連鎖したかと思うと、トマホークの着弾よりも巨大な爆発が発生!!

 

艦橋を含めたアイランドが激しく損傷。

 

甲板にも彼方此方に大穴が空き、そこから激しく炎が噴き出している。

 

やがて艦全体がゆっくりと傾斜を始め、運良く生き残っていた艦載機達が、甲板から滑り落ちて、海中に没して行く。

 

「ワスプがっ!?」

 

「機関室は浸水! 機関停止!!」

 

「飛行甲板及び弾薬庫にて誘爆多発! 消火不能です!!」

 

「破孔からの浸水拡大! エジェクターも稼働しません!!」

 

「ワスプ、傾斜角11度! 復旧は絶望的です!!」

 

潜望鏡でトマホークが命中したワスプの様子を見ていた艦長が声を挙げると同時に、ワスプの様子をモニタリングしていた発令所要員から次々に報告が挙がる!

 

「イカン! ワイヤーを切り離せっ! 沈没に巻き込まれるぞっ!!」

 

「りょ、了解っ!!」

 

艦長の命に従い、発令所要員がワスプとガードフィッシュを繋いでいたワイヤーを切り離す。

 

その直後に!!

 

一際大きな爆発が起こり、ワスプの艦体が前部と後部に分断された!!

 

そして、真っ二つになったワスプは、艦首と艦尾を持ち上げて垂直となり、そのまま海の底へ沈んで行った………

 

「ああ、我々のワスプが………」

 

「艦長! 先程のトマホークは、一体!?」

 

潜望鏡でワスプが沈む様を目撃した艦長が愕然となる中、副長がワスプを撃沈したトマホークの正体を尋ねる。

 

「! 艦長! コチラに接近して来る船が有ります! この音は………ガスタービンエンジンッ!?」

 

とそこで、ソナー員がこの海域に向かって来る船のエンジン音を感知。

 

それがガスタービンエンジンの音である事が分かると、驚きの声を挙げる。

 

「! ガスタービンエンジンだと!? やはりっ!!」

 

潜望鏡を旋回させて、そのエンジン音の船を探す艦長。

 

「! 居たっ!!」

 

やがてその船………『護衛艦』の姿を発見する。

 

「やはり海自の護衛艦だっ!!」

 

「!? か、海自っ!?」

 

「何故海自がワスプをっ!?」

 

海上自衛隊の護衛艦がワスプを沈めたと言う事を知り、発令所内がざわめく。

 

「!? 無人機がっ!?」

 

するとそこで艦長が、既に発艦していたワスプの艦載機の内、アベンジャーとドーントレスが護衛艦に向かって行くのを目撃する。

 

如何やら、ガードフィッシュとワスプからの指示が途絶えた事によって、簡易AIは演習時のオートモードである、1番近い目標に向かって行くと言う行動を取っている様だ。

 

「80度、15マイル。対空目標を約40機確認」

 

その護衛艦………DDH-1820『ゆきなみ型護衛艦3番艦・みらい』のCICで、オペレーターの1人がそう報告を挙げる。

 

「命令の途絶えた無人機が向かって来たか………」

 

「艦長。本当に宜しかったのですか? 一応は学生が所有している艦を撃沈するなど………」

 

CICに居たみらいの艦長・梅津がそう呟くと、砲雷長の菊池がそう意見する。

 

「………我々は訓練航海での帰路で、不審船を発見し、警告を行ったが問答無用で攻撃を受け、自衛の為に止むを得ず反撃して撃沈した………そう言う事だ」

 

「艦長………」

 

「目標更に接近! 間も無く攻撃可能距離に入ります!!」

 

そこでオペレーターから再度報告が挙がる。

 

「………対空戦闘用意っ!!」

 

「対空ー戦闘用意ーっ!!」

 

そこで菊池はそう命じ、CIC内に警報が鳴り響く。

 

「80度7マイル! 主砲、短SAM、攻撃用意っ!!」

 

「目標群α、13機! 80度!」

 

「距離、5マイルに接近!!」

 

「目標軍β、22機! 170度、6マイル!!」

 

オペレーター達から続々と報告が挙がる。

 

イージスシステムを搭載し、音速目標を撃墜出来る最新鋭のこの護衛艦に対し、レシプロ機は精々時速240キロ………

 

止まっている蠅を叩き落す様なものだ。

 

先ず攻撃態勢に入ったのは雷撃機のアベンジャー。

 

水面近くまで高度を落とし、雷撃の態勢に入る。

 

しかし………

 

そこは既にみらいの射程内であり、もう主砲の照準をロックオンされていた。

 

みらいの主砲・オート・メラーラ 127mm速射砲がアベンジャーに向けられる。

 

「右対空戦闘、CIC指示の目標………撃ちー方始めー」

 

「トラックナンバー2-6-2-8。主砲、撃ちー方始めー」

 

梅津の命令が下されると、菊池が指示を出す。

 

「撃ちー方始めー!」

 

その指示に従い、CIC要員の1人が、主砲の発射トリガーを引く!

 

主砲が火を噴いたかと思うと、1機のアベンジャーのド真ん中に命中!

 

エンジンにめり込んだ砲弾が爆発し、アベンジャーは炎上!

 

バランスを崩して、左主翼が脱落したかと思うと、右翼が海面に接触し、水没してバラバラになった!

 

更に続け様に、主砲が2連射され、飛び出した砲弾が近接信管によりアベンジャーの目の前の空中で爆発!

 

爆発と破片を諸に浴びたアベンジャー2機が砕け散る!

 

「トラックナンバー2-6-2-8から2-6-3-0、撃墜!」

 

撃墜したアベンジャーの事を報告に挙げるCIC要員。

 

「新たな目標210度!」

 

と、別の方向からアベンジャーが接近して来たが、みらいの主砲は素早くそちらの方向へ向けられる。

 

速射砲の名の通りに、次々に砲弾を発射。

 

瞬く間にアベンジャーは全機撃墜された。

 

すると今度は、ドーントレスがみらいへ襲い掛かった。

 

急降下により、主砲を避けつつ爆撃を見舞う積りだ。

 

だが、第二次世界大戦中の艦船になら通用したかも知れない戦法も、みらいには無意味である。

 

「トラックナンバー2-6-4-2! 更に接近!」

 

「シースパロー発射始め! サルボー!!」

 

CIC要員がドーントレスの接近を報告すると、菊池は艦対空ミサイル『シースパロー』の発射指示を飛ばした!

 

Mk48 VLSから垂直発射されるシースパロー。

 

それは一瞬にして1番迫っていたドーントレスに命中!

 

ドーントレスは原型も留めぬほど木端微塵となった!

 

更に、続くドーントレスにも次々にシースパローが発射される。

 

ドーントレス達も、大きく旋回したり、高度を落として海面スレスレを飛んだり、急上昇したりと、回避行動を取るが………

 

マッハで飛ぶ対空ミサイルに対しては無駄な行動だった。

 

「全滅か………当然か」

 

潜望鏡でその光景を見ていたガードフィッシュの艦長は、全ての攻撃機が撃墜されたのを確認してそう呟く。

 

と、その時!!

 

「クソッ! このまま終われるかっ!! 魚雷発射っ!!」

 

頭に血が上った魚雷発射管担当員が、みらいに向けて魚雷を放った!!

 

「!? 馬鹿野郎っ! 何やってんだっ!? 相手は潜水艦絶対殺すマンの海自だぞっ!!」

 

しかし、世界屈指の対潜戦闘能力を持つ海自に喧嘩を売った事に、艦長は顔を青褪めさせて怒鳴る。

 

「!! 魚雷音聴知! 210度! 高速接近っ!!」

 

「! 潜水艦が居たのか!? ソーナー員! 何をしていたっ!!」

 

「申し訳ありません!」

 

今までガードフィッシュの存在にに気づいていなかったソナー員を叱りつける菊池。

 

「距離!」

 

「距離2000!」

 

「!?」

 

と、菊池とCIC要員の遣り取りを聞いていた水雷長の米倉が動揺を見せる。

 

「魚雷、見えるかっ!?」

 

「待って下さい………! 雷跡視認っ!!」

 

操舵を指示している航海長の尾栗が尋ねると、双眼鏡で海面を見渡していた麻生と柳の内、麻生がそう報告を挙げる。

 

「最大船速っ!!」

 

副長兼船務長の角松が叫ぶと、みらいが最大船速で前進!

 

「かわせーっ!!」

 

尾栗が叫んだ瞬間に、ガードフィッシュから放たれた魚雷は、みらいの艦尾の側を擦り抜けて行った。

 

「かわした!」

 

「CIC・艦橋! 魚雷発射予想位置にデイタムを設定!」

 

「! 洋介!?」

 

「念の為だ………」

 

ガードフィッシュが居ると思われる位置を割り出させる角松。

 

「方位240度! 距離3800!」

 

「………や、やられる………」

 

ガードフィッシュの位置が割り出される中、更に動揺の様子を見せている米倉。

 

「魚雷、かわされました!」

 

「ホッ………」

 

一方ガードフィッシュでは、魚雷が外れたと言う報告に、艦長が安堵の息を吐く。

 

………が!!

 

「まだ3番から6番が有るぞっ!!」

 

「! 馬鹿野郎っ!!」

 

「ブッ!!」

 

尚も魚雷攻撃を続けようとする発射管要員を艦長は殴り飛ばしたが、一足遅く、残りの魚雷発射管の魚雷も発射されてしまう!

 

「包囲240度………距離3700………深度10………」

 

ブツブツと小声で呟き始める米倉。

 

「また来たか! 多いぞっ!!」

 

「面舵いっぱいっ!!」

 

角松と尾栗が叫び、みらいが再度回避行動を取る。

 

「ハア………ハア………」

 

一方、米倉は過呼吸の様に呼吸を荒くしている。

 

「大丈夫だ。みらいの足なら必ずかわせる。尾栗、頼むぞ」

 

しかし、菊池は親友である尾栗とみらいの性能を信頼しており、微塵も動揺していない。

 

「う、撃って来たのは………向こうなんだ………」

 

「新たな魚雷! 計4本! 右へ広がって来ます!!」

 

「やってくれるぜ!」

 

「如何する?」

 

「慌てるな。10度に戻せ」

 

艦橋でも、角松と尾栗が冷静に指揮を取る。

 

「そんなに………僕達の力が見たいのか………」

 

だが、米倉の動揺は最高潮に達する。

 

「攻撃して来る………お前達が悪いんだぞ………」

 

米倉は火器管制を制御し、前甲板に設置されたVLSの1基のハッチをオープン。

 

装填されていた艦載用対潜ミサイル『アスロック』が発射態勢になる。

 

「やって………やる………」

 

「距離、3000ヤード!」

 

「やられる………前にっ!!」

 

そして遂に!

 

米倉はアスロックの発射ボタンを押してしまう!

 

VLSから煙が噴き出したかと思うと、アスロックが飛び出した!

 

「前甲板、VLS開放! アスロック飛翔中!」

 

「!? 何っ!?」

 

CIC要員からアスロックが発射されたと言う報告を受けて、菊池が驚きの声を挙げる。

 

「!? 魚雷発射ポイントに向かって居ます!」

 

「誰が発射ボタンを!………!?」

 

一体誰が発射したのかと考えた菊池は、瞬時にアスロックの発射ボタンの有る席に座っている人物………米倉の元へ駆け寄る!

 

「米倉っ!! 貴様っ! 命令も無しに撃つ奴があるかぁっ!!」

 

米倉の襟首を掴んで引き寄せてそう怒鳴り付ける菊池。

 

「やらなければ………やられます、砲雷長」

 

しかし、米倉はそう反論する。

 

「お前はっ!!」

 

「CIC・艦橋! 誰が撃てと言った! 現状を報告せよっ!!」

 

菊池が憤っていると、艦橋の角松からもそう怒声が入る。

 

「えいいっ!」

 

「うっ!?」

 

菊池は米倉をそのまま床へと叩き付ける。

 

「ヒューマンエラーだと報告しろ! それから! コイツをCICから叩き出せっ!!」

 

菊池がそう言うと、米倉はCIC要員によってCICから叩き出されるのだった。

 

「魚雷4本の内の2本、本艦との距離、1000ヤード!!」

 

「柳! この魚雷は何処の魚雷だっ!!」

 

「米海軍の魚雷、Mk.14です! 旧日本軍の物は酸素魚雷ですから、航跡は殆ど見えません! 先程の魚雷は、二酸化炭素を排出していました!」

 

ミリタリー趣味のある柳が、尾栗の問いにそう返す。

 

尚、正確には排出していたのは窒素である。

 

「航跡が見えるんだな! 角度は!?」

 

「左130度! 相対速度約5ノット!」

 

「面舵いっぱーいっ!!」

 

新たに4発撃たれた魚雷の内、先行していた2本が迫る中、みらいは面舵を切る。

 

「距離、50! 30!」

 

そして2本の魚雷は、みらいの左舷側を通り抜けて行く。

 

「かわした!」

 

「まだだ! 残り2本! 交差知らせっ!!」

 

「雷跡、真艦尾! 広がりつつ接近っ!!」

 

「距離300!」

 

「戻ーせーっ!!」

 

ガスタービンエンジンが唸りを挙げる中、面舵に切っていた舵を戻すみらい。

 

「距離150ヤード! 接触します!! 後5秒!!」

 

「…………」

 

CIC要員の報告に、無言でモニターを見据えてる菊池。

 

「4秒!………3秒!………2秒!………1秒!」

 

そして最後の2本の魚雷は………

 

みらいを避ける様に左右に広がり、遠ざかって行った!

 

「魚雷! 全弾かわしました! 遠ざかります!」

 

「ふう………」

 

「ヒュ~ッ」

 

魚雷を避けきった事に菊池が安堵の溜息を漏らし、尾栗が口笛を吹く。

 

一方、発射されたアスロックは………

 

ガードフィッシュが居る海域へと到達したかと思うと、ロケットモーター部分が切り離され、接続されていた短魚雷がパラシュートで減速落下しつつ海面に着水。

 

「! イカンッ! アスロックだっ!! 面舵いっぱい! モーター全速だっ!!」

 

着水するアスロックの姿を確認したガードフィッシュの艦長が、潜望鏡を仕舞いながら慌てて指示を飛ばす。

 

ガードフィッシュはアスロックに背を向ける様に逃走を始める。

 

アスロックは、着水の衝撃でパラシュートが切り離されると、アクティブ・ソナーを放ちながらガードフィッシュの方へ向かう!

 

「急げっ! 兎に角遠くまでっ!!………」

 

と、ガードフィッシュの艦長がそう叫んだ瞬間………

 

ガードフィッシュの艦内に、探信音が鳴り響き始めた。

 

「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」

 

乗組員達の表情が一斉に青褪める。

 

探信音は、徐々に聞こえる感覚が短くなりながら、ドンドン大きくなって行く。

 

「魚雷命中まで、10秒!」

 

「菊池! 魚雷を自爆させろっ!!」

 

「了解っ!!」

 

が、そこで………

 

みらいからの自爆指示により、短魚雷は爆発!

 

爆圧がガードフィッシュへ襲い掛かる!

 

「「「「「「「「「「うわあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーっ!!」」」」」」」」」」

 

艦内に走った衝撃により、乗組員達が転げ回る。

 

「ソナー。潜水艦の機関音は聞こえるか?」

 

「機関音は聞こえませんが、船体の軋み、圧搾空気排出音………急速浮上中の模様」

 

角松がソナー員に尋ねると、そう報告が返って来て、その報告通りにガードフィッシュが浮上。

 

直後に、艦橋上部に白旗が上がる。

 

「よし、後は海上保安庁の管轄だ………」

 

「終わったか………コレが我々に出来る最善の手だったと思いたいな」

 

角松がそう言っていると、艦橋に戻って来た梅津がそう言う。

 

「ハイ………それにしても、幕僚長からの直々の御命令で訓練航海に出たのはこの為だったのですか」

 

「幕僚長とは個人的に付き合いがあってな………」

 

そこで角松が、今回の1件が実は海自の幕僚長直々の命令だった事を思い出してそう言うと、梅津がそう返す。

 

「如何にも頭の上がらない古い知人から頼みだったそうだ」

 

「古い友人? それは一体?」

 

「詳しくは知らんが、『山本』幕僚長曰く、兎に角無責任な男だったそうだよ」

 

「はあ………」

 

梅津の言葉に、角松は怪訝な顔を見せるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、その頃………

 

カンプグルッペ学園では………

 

「ワスプが撃沈されただと!」

 

「ハ、ハイ! 無人機も全滅したそうです!」

 

「ぐあああっ! どいつもこいつも私の邪魔を~っ!!」

 

ワスプ撃沈の報告を受けた天親が、凄まじい形相で地団駄を踏んでいる。

 

「きょ、教官! 間も無く大洗とベルウォールの連中が西住 まほの場所まで到達します!!」

 

「教官! このままでは!!」

 

主要な格納庫を殆ど抑えられたため、戦車に乗る事すら出来なかった戦車部隊員達が慌てた様子でそう言って来る。

 

「………させるものか」

 

「? 教官?」

 

「させるものかっ! こんな事で私の復讐は終わりはしないっ!! 終わらせてたまるかぁっ!!」

 

と、不意にそう叫びを挙げると、天親は何処かへと走り出す!

 

「教官っ!?」

 

「見ていろ! 全てを灰にしてやるっ!!」

 

凄まじい形相のまま、天親は更にそう叫ぶのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させていただきました。

みらい登場です!
やっぱり、ドーントレスはイージス艦で撃ち落とさないと(使命感)
サービスでアスロックも付けました(笑)

尚、本来みらいの型番はDDH-182でしたが、この型番は現実で『いせ』につけられましたので、少し改変させていただいております。
御了承下さい。

切り札を失ったカンプグルッペですが、そこで天親が凶行に走ります。
それによって、弘樹が………

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。

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