ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース   作:宇宙刑事ブルーノア

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第185話『レッドショルダーです!』

『ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース』

 

第185話『レッドショルダーです!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カンプグルッペ学園に拉致されたまほを助ける為………

 

みほの旧友である中須賀 エミが総隊長を務めるベルウォール機甲部隊と共に強襲を掛ける大洗機甲部隊………

 

早急に決着を着けるべく、電撃戦を行い………

 

空挺降下によって、カンプグルッペの重要施設を制圧する大洗&ベルウォール機甲部隊………

 

だが………

 

カンプグルッペ学園は、切り札を隠し持っていた………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カンプグルッペ学園・航空基地………

 

「良し! コレで管制塔は占拠したぞっ!!」

 

破壊された機材の並ぶ管制塔内で、磐渡がそう声を挙げる。

 

「磐渡! 鷺澪から連絡だ! 此処に居たカンプグルッペの隊員達は全員逃げ出したそうだ!」

 

「格納庫に有った機体も、全て水谷くんと工兵達が使えない様にしたとの事だ」

 

そこで、管制塔を占拠したワニさん分隊の中に居た重音とゾルダートがそう報告して来る。

 

「おしっ! コレで制空権は問題無いな! まあ、今回は西住 まほを助けるのが目的だから、空爆とかは必要無いんだが………」

 

と、磐渡がそう言いながら、何気なく管制塔の窓から外を見やると………

 

「………ん? アレは?………」

 

遠くの空に、編隊を組んで飛んでいるレシプロ機達の姿が目に入る。

 

最初は一航専の機体かと思われたが、その機影達がドンドンと近づいて来たかと思うと………

 

「!! 逃げろーっ!!」

 

「「!!」

 

磐渡がそう声を挙げると、重音とゾルダートを初めとしたワニさん分隊の面々は一斉に管制塔から退去し始める。

 

やがて、基地の上空までその編隊が到着したかと思うと………

 

編隊は一斉に基地目掛けて急降下!!

 

管制塔と基地施設目掛けて爆弾を投下して来たっ!!

 

管制塔に爆弾が命中すると、管制塔は大爆発して炎上!!

 

基地施設の彼方此方でも、爆発と共に炎が上がる!!

 

「全員、無事かーっ!!」

 

「大丈夫だーっ!!」

 

「コココ、コッチも何とかっ!!」

 

管制塔から脱出した磐渡が声を挙げると、鷺澪と灰史に、彼等が引き連れていた歩兵達が返事を返す。

 

「! ありゃあ、『ドーントレス』じゃねえかっ!?」

 

とそこで重音が、爆撃を仕掛けて着たのがアメリカ海軍で使用されていた艦上爆撃機『SBD ドーントレス』である事に気づく。

 

「また来たぞっ!!」

 

ゾルダートが、新たなドーントレスの編隊が急降下して来るのを見てそう声を挙げる。

 

「対空砲火だっ! 弾幕を張れっ!!」

 

磐渡が叫ぶと、ワニさん分隊の隊員達が鹵獲した高射砲や対空機銃で弾幕を張り始める。

 

「一体あの航空機部隊は何処から!?」

 

「他に飛行場が有るのか!?」

 

「い、いえっ! データによれば、カンプグルッペ学園の飛行場は此処だけの筈ですっ!!」

 

鷺澪と重音がそう言い合っていると、灰史がカンプグルッペの学園艦のデータが映ったタブレットを見ながらそう口を挟む。

 

「兎に角、持ち堪えるんだ! 今輸送機の護衛に付いて居た戦闘機部隊が戻って来てくれている!」

 

ゾルダートがそう叫ぶ中、ドーントレスは更に次々と飛来するのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カンプグルッペ学園・敷地内………

 

「航空機がっ!?」

 

「そんなっ!? 飛行場は抑えたんでしょっ!?」

 

敵機襲来の報告は直ちに全軍へ通達され、みほとエミが驚きの声を挙げる。

 

「………西住総隊長。襲来した敵機は、艦上爆撃機のSBD ドーントレスで間違いありませんか?」

 

するとそこで、何かを思いついた様な顔の弘樹が、みほへそう確認を取る。

 

「えっ? うん、そうだけど………!? まさかっ!?」

 

そこでみほも、何かを思い至った様な表情となる。

 

「見つけたぞ! 舩坂 弘樹っ!!」

 

だがそこで、カン・ユーが戦闘服姿のカンプグルッペ男子生徒を小隊規模ほど引き連れて現れる。

 

その背後からはティーガーⅡとパンターF型が1両ずつ現れる。

 

「「「「「「「「「「!!」」」」」」」」」」

 

「………また貴様か」

 

接敵に緊張が走るみほ達だったが、弘樹だけは呆れた様子でカン・ユーを見ながら、うんざりとしている様子でそう呟く。

 

「黙れっ! 貴様だけは絶対に見逃さんっ!! 今度はあの時の様にポタリアやキデーラの邪魔は入らんっ!! そして見ろっ!!」

 

だが、カン・ユーは既に勝ち誇った様な表情を浮かべており、引き連れて来た歩兵隊を示す。

 

「ヘヘヘ………」

 

「ヒヒヒ………」

 

下衆な笑いを零しながら、弘樹達の事を見据えているカンプグルッペ歩兵達。

 

「!? あの肩っ!? ま、まさか!? 『レッドショルダー』!?」

 

そこで、エミがそう驚きの声を挙げる。

 

現れたカンプグルッペ歩兵隊員達は、全員………

 

戦闘服の『左肩』が、『明るい赤色』で染められていたのである。

 

「その通り。俺達は元赤肩高校の歩兵部隊………人呼んで吸血部隊のレッドショルダーよ」

 

そのエミの台詞を聞いたカンプグルッペ歩兵の1人がそう言い放つ。

 

「レッドショルダー………歩兵道界の殺し屋………生き残る為には味方の血を吸う、死人の肉を食う………地獄からだって這い上がってくるって言われた、あの………」

 

エミの頬を冷たい汗が流れる。

 

身体も小刻みに震え始める。

 

「その通り! コレだけの元レッドショルダーを集められたのも、一重にこのカン・ユー様の偉大さあっての事だ! さあ、如何する、舩坂 弘樹! 土下座して謝ると言うならすぐに楽にしてやるぞっ!!」

 

そのエミの反応に、カン・ユーは満足そうにしながらそう言い放つ。

 

「! クッ! みほっ! アンタ達は行きなさいっ!! ココは私とバーコフ達が食い止めるわっ!!」

 

真面にやり合っては勝てないと思ったエミは、みほの方を見てそう言い放つ。

 

しかし………

 

「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」

 

当のみほ達は物凄く冷めた目でカン・ユー達を見ていた。

 

まるで『お前は何を言っているんだ』と言う様な表情である。

 

「ちょっ!? みほ!? 何、その目っ!?」

 

「き、貴様等っ! 何だその目は!? 今が如何言う状況か分かってるのかっ!?」

 

その様子を見たエミが戸惑い。カン・ユーも苛立った様に叫ぶ。

 

「お前達………ちょっとそれを貸してくれ」

 

「あ、ハイ」

 

「どうぞ」

 

とそこで、弘樹がとらさん分隊の2名から、一〇〇式機関短銃を借り受け、両手に持って、カンプグルッペ歩兵達の前へ歩み出る。

 

「総隊長さんよぉ。ココは任せて貰おうか」

 

「ったく、レッドショルダーの事を知ってるのは良いが、もっと詳しく知っとくべきだったな」

 

「そ、そうだぜ! 俺はすぐに分かったぜ!」

 

「アイツ等が出て来た時、1番ビビってたのはお前だろうが」

 

更に、MP40を携えたバーコフ、バズーカを携えたゴダン、M3サブマシンガンを携えたコチャック、MG34機関銃を携えたザキもそれに続く。

 

「!? ちょっ!? アンタ達、何を勝手な事を………」

 

「何だぁっ? 態々前に出て来て………自殺志望か?」

 

エミがその行動に慌てる中、カンプグルッペ歩兵の1人が弘樹達をそう挑発する。

 

と、その瞬間!!

 

「………!!」

 

弘樹は一瞬にしてカンプグルッペ歩兵達の中へと踏み込む!!

 

「………へっ?」

 

それに対し、カンプグルッペ歩兵の1人が間抜けた声を挙げた瞬間………

 

「…………」

 

弘樹は両腕を交差させる様に構えたかと思うと、手に構えていた一〇〇式機関短銃をその場で回転しながら発砲!!

 

「うわぁっ!?」

 

「ギャアアッ!?」

 

「ぐええっ!?」

 

汚い悲鳴と共に次々に倒れて行くカンプグルッペ歩兵。

 

「………!!」

 

そしてすぐさまに弘樹は後退する。

 

「あ! 待てっ!!」

 

「舐めた真似をっ!!」

 

カンプグルッペ歩兵達が追撃を掛け、一斉に弘樹へと殺到した瞬間………

 

「そらよっ!!」

 

ゴダンがその固まったカンプグルッペ歩兵達に向かってバズーカを放つ。

 

「「「「「うわああああああっ!?」」」」」

 

直撃を受けたカンプグルッペ歩兵達が纏めて吹き飛ぶ!!

 

「なっ!?」

 

生き残っていたカンプグルッペ歩兵が驚きの声を挙げた瞬間に、バズーカの爆煙を中を突っ切ってバーコフとコチャックが斬り込んで来る!

 

「コチャックッ! ドジ踏むなよっ!!」

 

「わ、分かってるってっ!!」

 

そう言いながら、2人は互いに背中合わせになる様に位置取ると、MP40とM3サブマシンガンの弾をばら撒くっ!!

 

「ぐはっ!?」

 

「ぐええっ!?」

 

「アババッ!?」

 

またも汚い悲鳴と共に次々に倒れ伏せて行くカンプグルッペ歩兵達。

 

「クッ! このぉっ!!………!? ガッ!?」

 

「やらせるかよっ!!」

 

距離を取っていたカンプグルッペ歩兵達も、ザキがMG34をセミオートで精密射撃して倒す。

 

「な、なななっ!?」

 

カン・ユーが動揺を露わにしている間に、元レッドショルダーのカンプグルッペ歩兵達は全滅した。

 

「う、あああ………」

 

「貴様に教えておいてやる………」

 

「!?」

 

足元で呻き声を漏らしていた元レッドショルダーのカンプグルッペ歩兵に、弘樹が声を掛ける。

 

「レッドショルダーの赤はもっと暗い、血の色だ。それとマークは右肩だ」

 

「なあっ!?………」

 

弘樹がそう言ったのを聞いて、元………いや『自称』元レッドショルダーのカンプグルッペ歩兵はガクリと気を失った。

 

「!? 何だとっ!?」

 

「!? 偽物だったのっ!?」

 

それを聞いていたカン・ユーとエミも驚きの声を挙げる。

 

「本物の赤肩学園のレッドショルダーは、昔俺達が叩き潰してやったぜ」

 

「リサーチ不足だったな」

 

バーコフとゴダンも、カン・ユーに向かってそう言い放つ。

 

「! みほ! アンタ、知ってたのっ!?」

 

「うん。前に聞いた事あったから………それに、本物の元赤肩学園のレッドショルダーだった人と会った事もあるんだけど………纏ってる空気が全然違うよ」

 

エミがみほに尋ねると、みほはそう返す。

 

(空気で分かるって………何があったのよ、みほ)

 

一方でエミは、みほがコレまでどれだけの修羅場を潜り抜けて来たのかと驚愕する。

 

「ええいっ! 貴様等! よくもこの俺を騙ってくれたなっ!! 元レッドショルダーだと言うから高い金を払って雇い入れたと言うのにっ!!」

 

「何言ってやがる! 見抜けなかったテメェの責任だろうがっ!!」

 

カン・ユーが倒れ伏せている自称元レッドショルダーに向かって怒鳴ると、ザキがそう指摘する。

 

「黙れっ! 俺の指揮に間違いは無いっ!!」

 

「あ~あ、典型的な無能野郎の台詞だぜ………」

 

「お前に言われちゃお終いだな」

 

カン・ユーが喚くと、コチャックが呆れた様に呟き、ゴダンが茶化す。

 

「ええいっ! ふざけおってからに! まだコッチには戦車がある事を忘れたかっ!!」

 

と、カン・ユーがそう言った瞬間に、控えていたティーガーⅡが主砲を弘樹達へと向けようとする。

 

だが、その瞬間!!

 

「撃てっ!!」

 

「発射っ!!」

 

ティーガーⅡに、Ⅳ号とティーガーⅠが放った砲弾が命中する!!

 

しかし、どちらの砲弾も、ティーガーⅡの前側面で弾かれる。

 

「馬鹿めっ! そんな攻撃などティーガーⅡには通用しない………」

 

と、カン・ユーが言い掛けた瞬間に、爆発音が響いた。

 

「!?」

 

驚いたカン・ユーが振り返って目にした物は………

 

エンジン部に2つの大穴が空いて白旗を上げているパンターF型の姿だった。

 

如何やら、ティーガーⅡが弾いた砲弾が、隣に居たパンターF型のエンジン部を直撃したらしい。

 

「ななっ!?」

 

「「突撃っ!!」」

 

またもカン・ユーが狼狽している間に、Ⅳ号とティーガーⅠは左右に広がる様に突撃!

 

ティーガーⅡは、どちらを狙おうかと迷ってしまい、照準が遅れる!

 

その間に、Ⅳ号とティーガーⅠは、ティーガーⅡを挟み込む様に位置取る。

 

「「撃てっ!!」」

 

そして左右から同時に、エンジン部に向かって零距離砲撃を見舞った!

 

当然砲弾はエンジン部へと直撃し、エンジンが完全に破壊されたティーガーⅡはアッサリと白旗を上げる。

 

「乗り手が戦車の性能に追い付いてなかったみたいね………」

 

「卑怯な真似をする人達に負けたりしません!」

 

不敵に笑うエミと、毅然とした態度でそう言い放つみほ。

 

コレまで真面に戦った事が無く、戦車の性能頼みなカンプグルッペ戦車部隊員は、歴戦の勇士である2人に為す術が無かった。

 

また、戦車道の求道者として、卑劣な手段を取る連中に後れを取るワケにはいかない。

 

「ええいっ! オノレェッ!!」

 

激昂と共に、カン・ユーは懐からコルトM1917を抜く。

 

が、その瞬間に、足元に手榴弾が転がって来る。

 

「!? おうわああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!?」

 

避けられる筈も無く、真面に爆風と破片を浴びるカン・ユー。

 

歩兵道用の安全な手榴弾とは言え、戦闘服を着ていなかったカン・ユーにとってはかなりの凶器であり、全身に激痛が走る。

 

「ぐあああっ!? イデデデデデデデッ!!」

 

「消えろ………お前の相手をしている暇は無い」

 

地面の上を転がって悶えているカン・ユーに向かって、弘樹はそう言い放つ。

 

「ぐぐぐっ! オノレェッ! 舩坂 弘樹!! またしても!! 覚えていろぉっ!!」

 

カン・ユーは悔しさを露わにしながら、痛む身体を引き摺って逃げ去って行った。

 

「典型的な負け犬の遠吠えだな、オイ」

 

「ああいう台詞が似合う様になったら人間、お終いだぜ」

 

その様に、バーコフとゴダンがそうツッコミを入れる。

 

「弘樹、トドメ刺さなくても良かったのか?」

 

「そうだぜ。あの分じゃまた来るぞ」

 

そこでザキとコチャックが、弘樹へそう指摘するが………

 

「好きにすれば良い………」

 

弘樹はまるで他人事の様にそう冷たく言い放つ。

 

「興味無しか」

 

「お前にしてみれば、相手にもなってねえって事だな」

 

それを聞いたバーコフとゴダンがそう言い放つ。

 

「さ! 敵の排除は済んだわ! コレで………」

 

と、先へ進もうとエミが促そうとしたところ………

 

上空からエンジン音が聞こえて来た!

 

「「「「「「「「「「!!」」」」」」」」」」

 

一同が一斉に空を見上げると、3機のドーントレスの編隊が、一同に向かって急降下して来ていた!

 

「! 散れっ!!」

 

直後に弘樹がそう叫び、一同は慌てて散開。

 

ドーントレスの下部に付けられていた爆弾が次々に投下され、激しく火柱が連続で立ち上る。

 

「皆さん! 無事ですかっ!?」

 

「ああ、何とかな………」

 

「コッチも大丈夫よ」

 

「弘樹程じゃねえが、悪運は強い方だぜ」

 

爆発が収まった直後に、みほが呼びかけると地市、エミ、バーコフからそう返事が返って来て、無事な様子を見せる一同。

 

『弘樹!!』

 

「! 六郎か!」

 

『遅れてスマン! コレより上空援護に入る!』

 

とそこで、輸送機の護衛から戻って来た戦闘機部隊の六郎から弘樹に通信が入り、一航専の戦闘機部隊が上空に居たドーントレス達との空中戦を開始する。

 

「ふう~、コレで一安心であります………」

 

兵員輸送トラック内に居た久美が、上空の空中戦の様子を見て、安堵の溜息を吐く。

 

「いや、まだよ!」

 

「ゲロッ!?」

 

「まだ敵の航空部隊が何処から来たのかが特定出来ていない。そこを叩かなければ、コチラが消耗戦になるぞ」

 

しかし、エリカがそう叫んだので驚きの声を挙げると、都草がそう補足して来る。

 

(………もし、私の予感が正しければ、発進位置は………)

 

そんな中で、みほはカンプグルッペの航空部隊の発進地点に、ある予測を立てていた………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻………

 

横須賀沖のカンプグルッペ学園艦から浦賀水道方面の海域………

 

その上空を1機のレシプロ機が飛行している………

 

一航専所属の旧大日本帝国海軍の傑作偵察機『彩雲』である。

 

「確か敵機はこの方角から飛んで来ていたな………」

 

操縦桿を握るパイロットが、目を皿の様にしながら、敵機の発進場所を探している。

 

輸送機護衛の際に、上空から敵機襲来を見ていた一航専の面々は、カンプグルッペの航空部隊が現れたのが洋上からであったのを目撃しており、その場所を探る為、偵察機部隊に彩雲を発進させたのだ。

 

「! アレはっ!?」

 

すると、真ん中の航法席に居た乗員が、何かを見つける。

 

「如何した!?」

 

「3時の方向! 洋上ですっ!!」

 

「!!」

 

航法員にそう言われて、パイロットがその場所を確認すると、そこには………

 

「! やはり………『航空母艦』か!!」

 

洋上に浮かぶ大型艦………米海軍の航空母艦『ワスプ』の姿を目撃し、パイロットはそう声を挙げる。

 

その飛行甲板上からは、次々にドーントレスが発進している。

 

そう………

 

襲来したドーントレスは、此処から発艦していたのである。

 

軍事道に於いて、航空機は所属している学園艦から飛び立つのが通常であり、空母は基本的に訓練時の標的となる無人機を発進させる為や、対艦攻撃の訓練の為に保有されている。

 

だが、如何やらカンプグルッペ学園は、本来標的機として運用される筈の無人機を改造し、攻撃に転用している様である。

 

当然ながら、試合で使えば明確なルール違反となる行為である。

 

「コチラ偵察機『彩雲』! 浦賀水道に敵空母を確認! 現在襲来している敵機はそこから発艦している模様っ!!」

 

「! 敵機来襲っ!!」

 

と、パイロットが報告を送って居ると、後部機銃座席の乗員がそう叫ぶ。

 

「!?」

 

パイロットが風防越しに上空を見上げると、そこには自分達の乗る彩雲に向かって来る『F4F ワイルドキャット』の編隊の姿が在った。

 

「残念だったな。もう報告は送ったぞ」

 

しかし、パイロットは慌てる事無くそう言い放つと、スロットルを最大にする。

 

すると彩雲は、F4F達を一瞬で置いてけぼりにして、飛び去って行く。

 

「我ニ追イツクグラマン無シ!」

 

既に遥か後方の豆粒となったF4F達に向かってそう言い放ち、彩雲は悠々と帰投するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させていただきました。

電撃戦で滑走路を押さえたはずなのに来襲する敵機。
更に、弘樹達の前に、カンユ・ユーが元レッドショルダーの歩兵達を引き連れて現れたが………
偽物であった為、アッサリと撃破される。

一方、一航専の偵察により、敵機の正体が空母から発艦している改造された無人標的機である事が判明する。

カンプグルッペの切り札は違法改造の無人攻撃機です。
ある意味では現代の戦争の兵器とも言えますね。

この無人機隊と空母ワスプを如何するかですが………
多分、ワスプと聞いた時点で多くの方が御想像されているでしょうね………

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。

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