ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース   作:宇宙刑事ブルーノア

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第184話『空挺降下です!』

『ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース』

 

第184話『空挺降下です!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何者かに拉致された西住 まほ………

 

そのせいで黒森峰戦車部隊は瓦解を始める………

 

そんな中………

 

みほの旧友『中須賀 エミ』と、弘樹の戦友である『バーコフ分隊の面々』から………

 

まほを拉致したのがカンプグルッペ学園である事が知らされる………

 

カンプグルッペ学園は、西住流と黒森峰に恨みを抱く者達が集まった学園だった………

 

姉であるまほを助ける為にみほは………

 

大洗機甲部隊とベルウォール学園の機甲部隊と共に………

 

カンプグルッペ学園への強襲を決意するのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カンプグルッペ学園艦・カンプグルッペ学園の校門にて………

 

「アンタ達の仕業でしょう! 白状しなさいっ!!」

 

「黙れっ! 言い掛かりは止してもらおうかっ!!」

 

校門の前では、エリカがカンプグルッペ学園の歩兵道の教官である口髭を生やした男と言い合っている。

 

「エ、エリカ殿! 冷静にっ!!」

 

「落ち着きたまえ、エリカくん!」

 

エリカに引き連れられる形で付いて来ていた久美と都草は、エリカを止めようとしているが、カンプグルッペ学園の歩兵道教官の後ろに控えているカンプグルッペ歩兵達は、下衆な笑みを浮かべてその様子を面白そうに見ている。

 

「一体コレは何の騒ぎ?」

 

とそこで、戦車隊員数名を引き連れたカンプグルッペ学園の戦車道教官が姿を見せる。

 

「あ、天親(てんじん)教官。いや、あちらの人達が我々に言い掛かりを付けて来ていまして」

 

カンプグルッペ歩兵の1人が、戦車道教官………天親(てんじん)に対してそう答える。

 

「アラ? 誰かと思えば、黒森峰の戦車隊副隊長の逸見 エリカさんですね。コレは如何も。本日は如何なる御用ですか?」

 

すると天親は、エリカ達の姿を見て、態とらしくそう問い質してくる。

 

「アンタ達なんでしょう! 私達の総隊長を誘拐したのは!!」

 

そんな天親に向かって、エリカはそう噛み付く。

 

「誘拐? 私達が?」

 

「そうよっ!!」

 

惚けた態度を取る天親に、更に噛み付くエリカ。

 

すると………

 

「………ククク………アハハハハハッ!!」

 

天親は突然高笑いを始め、他の隊員達も同様に笑い出す。

 

「何を仰ると思えば………全くを持って言い掛かりですなぁ。いやあ、天下の黒森峰ともあろう者が、こんな言い掛かりを付けて来られるとは………驚きましたよ」

 

「アンタ達以外に考えられないのよ! 大体アンタ達はコレまでの試合を全て不戦勝や相手のトラブルでの途中棄権で勝ち上がってきたそうじゃない!」

 

「偶然ですよ、偶然。現に我々は何度も連盟の査察を受けていますが、結果は全て潔白だったのですよ」

 

「どうせ上手く誤魔化しただけでしょう!」

 

「………貴方もしつこいですね」

 

段々と天親の顔が、うっとおしそうにしている様子になる。

 

「コレ以上言い掛かりを付ける様なら、連盟に訴えますよ? 先程からの会話は全て録音させていただきましたので」

 

そう言って、ポケットから録音状態になっているボイスレコーダーを取り出す天親。

 

「!!」

 

「そ、それはっ!?」

 

「…………」

 

エリカと久美が驚愕し、都草も苦い顔を浮かべる。

 

現状、まほの誘拐がカンプグルッペの仕業だとする決定的な証拠は何1つ無い。

 

今連盟に訴えれば、逆に黒森峰側がペナルティを受ける可能性さえ有る。

 

そうなれば、只でさえ瓦礫寸前な黒森峰機甲部隊はお終いである。

 

「さて? 如何なさいますか?」

 

そんなエリカ達の心情を逆なでするかの様に、天親は慇懃無礼な態度を取るのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そのカンプグルッペ学園の校門に面している大通りにて………

 

2両の戦車と、小隊規模の随伴歩兵達が、カンプグルッペ学園を目指して進んでいる。

 

大洗のあんこうチームのⅣ号と随伴分隊の弘樹率いるとらさん分隊。

 

そして、ベルウォールのエミの駆るティーガーⅠとその随伴分隊であるバーコフ分隊であった。

 

Ⅳ号とティーガーⅠのキューポラからは、みほとエミが姿を見せている。

 

「間も無くカンプグルッペ学園です。各員、戦闘に備えて下さい」

 

「良いわね? 先ずは斥候の歩兵部隊を潜入させて、西住 まほの所在を確認。然る後に、控えさせている全戦力で一斉に突入するわよ」

 

みほとエミから、全部隊にそう指示が下る。

 

「了解」

 

「任せておけって」

 

それに弘樹とバーコフが返事を返し、他の歩兵隊員達も頷く。

 

「ん?………西住総隊長! 校門前で揉めている人達が居ます!」

 

とそこで、双眼鏡でカンプグルッペ学園の様子を探っていた楓がそう報告を挙げる。

 

「! 全軍、停止っ!!」

 

みほは全軍に停止指示を出すと、自分も双眼鏡を取り出して、カンプグルッペ学園の校門を確認する。

 

「! エリカさん! 久ちゃん! 梶さんも!」

 

「彼等も来ていたのか………」

 

みほがそう声を挙げたのを聞いて、弘樹も双眼鏡で様子を確認する。

 

「ん? アイツは………」

 

するとそこで、そんな声を挙げる。

 

「? 如何したの、弘樹くん?」

 

「………西住総隊長。この場は任せて頂けますか?」

 

「えっ?」

 

みほが尋ねると、弘樹はみほへそう進言する。

 

「………分かった。お願いするね」

 

「了解………」

 

みほが許可すると、弘樹は1人、カンプグルッペ学園へと向かった。

 

「! ちょっ! ちょっと! 勝手な行動は………」

 

「心配すんな、総隊長さん。アイツがああいう行動に出た時は、大抵上手く行く」

 

「そうそう。黙って見てなって」

 

その様子にエミが慌てたが、バーコフとゴダンがそう言って制する。

 

「チキショー。またアイツばっかりカッコつけやがって………」

 

「だったらお前もカッコつけて見ろよ」

 

コチャックが恨みがましく言うのに、ザキがそう返す。

 

「みほ! 大丈夫なの!?」

 

「大丈夫だよ、エミちゃん。弘樹くんなら」

 

しかし、エミはまだ納得出来ていない様で、今度はみほへと呼び掛けるが、みほは笑いながらそう返す。

 

「………やっぱりアンタ達、付き合ってるんじゃないの?」

 

「!? ふええっ!? だ、だから違うよ~っ!!」

 

そこでエミがそう指摘すると、みほは真っ赤になって否定する。

 

((((((((((甘酸っぱいなぁ~………))))))))))

 

そして、他の一同は、場の空気に甘酢っぱさを感じていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、カンプグルッペ学園の校門では………

 

「土下座して謝るのなら、まあ見逃してあげても良いですよ!」

 

「ア、アンタはぁっ!!」

 

「さあさあ、如何しますか?」

 

エリカが激高する様子を楽しげに眺めながら、更に挑発を重ねる天親。

 

と、そこで………

 

「お話し中に失礼させて頂きます」

 

そう言う台詞と共に、戦闘服姿で武器を携えた弘樹が姿を見せた。

 

「!? 舩坂くんっ!?」

 

「ゲロッ!? 舩坂殿っ!?」

 

「!? ア、アンタッ!?」

 

都草、久美、エリカの3人は、突如現れた弘樹に驚く。

 

「!? き、貴様はっ!?」

 

だが、そんな3人以上に驚愕の様子を露わにしているのは、歩兵道教官だった。

 

良く見れば、腕も怒りからかワナワナと震えている。

 

「おやおや? 貴方は確か、大洗の舩坂殿でしたね? 何故此処に? しかもそんな恰好で?」

 

「…………」

 

一方、天親は惚けた態度のまま弘樹にそう問い質すが、弘樹は無言で返す。

 

「決勝で戦うかも知れない相手の偵察………にしては随分と堂々としていますし、何よりそうだとすれば、コチラは貴方を拘束する権利が有るのですが………」

 

「…………」

 

(コイツ………何が目的だ?)

 

更に言葉を続ける天親だが、弘樹は無言を貫き、その姿に天親は疑念を募らせる。

 

と………

 

「舩坂 弘樹っ!! 貴様! よくもこの俺の前にぬけぬけと現れおったなぁっ!!」

 

突如、歩兵道教官が、弘樹に向かってそう声を張り上げた。

 

「………何処かで会ったか?」

 

弘樹は視線だけを歩兵道教官に向けてそう言う。

 

基本的に目上の人間には礼儀正しく接する弘樹だが、何故かこの歩兵道教官にだけはそんな様子が微塵も無い。

 

「貴様っ! 忘れたとは言わせんぞっ! この『カン・ユー』様をなぁっ!!」

 

「オ、オイ! カン・ユー、落ち着け!」

 

そんな弘樹の態度に怒りがヒートアップする歩兵道教官の『カン・ユー』と、その様子に初めて慌てた様子を見せる天親。

 

「貴様のせいで俺はクメン校の教官をクビになったんだ! 忘れもしないぞっ!!」

 

「………そんな昔の事は覚えていないな」

 

「グウウッ! オノレェッ! もう許さんっ!! 貴様も廃倉庫の西住 まほと一緒に地獄に送ってやるっ!!」

 

「「「!!」」」

 

更に弘樹が挑発するかの様な態度を取った途端、怒りが頂点に達したのか、カン・ユーはそう口走り、エリカ達が反応する。

 

「!! 馬鹿野郎っ!!」

 

「グハッ!? な、何をするっ!?」

 

怒りの形相でカン・ユーを引っ叩く天親と、何故引っ叩かれたのかまるで理解出来ていないカン・ユー。

 

「そうか………西住 まほは廃倉庫に居るのか………だそうです、総隊長」

 

しかし、弘樹はそこで、繋ぎっ放しだった通信機に向かって、そう呼び掛けた。

 

すると………

 

『突入ーっ!!』

 

『『『『『『『『『『うおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーっ!!』』』』』』』』』』

 

通信機からはみほの声と、歩兵隊員達の雄叫びが返って来る。

 

そして次の瞬間には、カンプグルッペ学園の校門に突撃している、Ⅳ号とティーガーⅠ、随伴分隊の姿が露わになった。

 

「!? うおおっ!!」

 

「た、退避っ! 退避ーっ!!」

 

狼狽えるカン・ユーと慌てて退避命令を出す天親。

 

「「「!!」」」

 

エリカ達も慌てて退避する中、Ⅳ号とティーガーⅠは体当たりで校門を破壊して、随伴分隊と共にカンプグルッペ学園の敷地内へと侵入。

 

「弘樹くん!」

 

「!!」

 

その際に、校門に居た弘樹は、Ⅳ号へと飛び乗り、タンクデサントする。

 

「オイ、乗れっ!!」

 

「!!」

 

「ゲローッ! 待って欲しいでありますっ!!」

 

「失礼するよ!」

 

更に、地市がそう呼び掛けた事で、エリカ達も兵員輸送車へと駆け込んだ!

 

「西住総隊長! 全軍に合図をっ!!」

 

「うん!」

 

弘樹がそう進言すると、みほは腰のホルスターに挿していた信号拳銃を抜き、空に向けると発砲。

 

打ち上げられたのは照明弾で、空中で昼間でも見える程の光を発して滞空する。

 

「ぐううっ! オノレェッ! 舩坂 弘樹ぃっ!!」

 

「あだだだだ………」

 

とそこで、突っ込んで来たⅣ号達を避ける際に転んでいたカン・ユーと天親が起き上がる。

 

『きょ、教官! 大変です、教官!!』

 

すると、戦車道教官の持っていた通信機から、戦車隊員のものと思われる悲鳴が響いて来た。

 

「! 如何したっ!?」

 

『学園の彼方此方から戦車が突入して来ましたっ!! 所属は………大洗女子学園とベルウォール学園です!!』

 

「!? 何だとっ!? ええいっ! まさかこんな強襲作戦を執って来るとは………」

 

『ど、如何しましょうっ!?』

 

「狼狽えるなっ! 此処は我々の学園だぞっ! すぐに迎撃態勢を………」

 

と、迎撃態勢を取れと戦車道教官が言おうとした瞬間………

 

上空から、無数のエンジン音が聞こえて来た!

 

「!?」

 

「な、何だっ!?」

 

それに釣られる様に空を見上げた戦車道教官とカン・ユーの目に飛び込んで来たのは………

 

護衛と思われる戦闘機部隊に守られて、編隊を組んで飛ぶ………

 

無数の『一〇〇式輸送機』と『九六式陸上輸送機二一型』の姿だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その内の1機の一〇〇式輸送機の中で………

 

「1番機ー! 行くぞっ!!」

 

「「「「「「「「「「おう!」」」」」」」」」」

 

「行くぞっ!!」

 

「「「「「「「「「「おうっ!!」」」」」」」」」」

 

「行くぞっ!!」

 

「「「「「「「「「「おうっ!!」」」」」」」」」」

 

「立てーッ!!」

 

その機に乗って居たハンターがそう号令を掛けると、パラシュートを装備した戦闘服姿の大洗歩兵隊員達が立ち上がる。

 

それと同時に、一〇〇式輸送機の側面に在ったドアが開く。

 

「1番機! コース良し! コース良し! 用意! 用意! 降下! 降下! 降下!」

 

機長から、兵員室内にそうアナウンスが流されたかと思うと、続いてジリリリリッというベルが鳴り響く。

 

「降下! ジェロニモーッ!!」

 

そして、ハンターが1番に機外へと飛び出したかと思うと、予め機内のパイプに引っ掛けておいた紐が引かれ、落下傘が展開!

 

「降下!」

 

「降下っ!」

 

「降下っ!!」

 

更に、他の隊員達も次々に飛び出し、落下傘を開いて行く!

 

「反対扉、良し! 機内、良し! お世話になりましたっ!!」

 

最後に残っていた隊員が確認を終えると、パイロットに礼を述べて降下した。

 

 

 

 

 

更に、別の九六式陸上輸送機二一型でも………

 

「確認、良し………さて、行くか」

 

最後に残っていた大詔が、今正に降下せんとしている。

 

「鳥になってこい! 幸運を祈るっ!!」

 

すると、九六式陸上輸送機二一型のパイロットからそう激励の言葉が駆けられた。

 

「ありがとう」

 

大詔はそう返礼すると、飛び降りる。

 

そして、空の彼方此方に咲いている白い花の中へと混じって行った。

 

 

 

 

 

「な、ななななっ!?」

 

「馬鹿なっ! エアボーンだと!? 空の神兵でも気取ってるのかっ!!」

 

完全に狼狽しているカン・ユーと、悪態を吐く天親。

 

『此方飛行場っ!! 空から空挺兵が!! 既に格納庫にて破壊活動を実施中! 機体の半数がやられました! 管制塔も占拠されるのは時間の問題です!!』

 

『第1戦車格納庫が抑えられました! 主力戦車は全て敵の手の中です!!』

 

『第3武器庫も抑えられました! 敵が我々の装備を鹵獲して使用して来ていますっ!!』

 

『第2弾薬庫にも敵兵! ああ! 今、弾薬庫が爆破されました!!』

 

だが、その僅かな間に、次々と損害の報告が舞い込んで来た!

 

「!? 何て速さだっ!? ええいっ! 使える戦力は全て使えっ!! 奴等を迎撃しろっ!!」

 

『りょ、了解っ!!』

 

「それから、『アレ』も投入しろっ!!」

 

『ええっ!? しかし、『アレ』は元々訓練用の………』

 

「構わんっ! やれっ!!」

 

『ハ、ハイッ!!』

 

「見ていろ、大洗にベルウォール………今に吠え面を掻かせてやるっ!!」

 

怒りの形相を浮かべて、天親はそう言い放つのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させていただきました。

カンプグルッペへ抗議に出たエリカ達でしたが、証拠が無い事を逆手に取られてピンチに。
しかし、まさかのカン・ユーを雇い入れていたのが運の尽き。
弘樹によってまほの居場所が暴かれ、大洗とベルウォールが突入します。
そしてエアボーンでの電撃戦です。
敵の本拠地なので、流石に全戦力を相手にするのは無理なので、動く前に潰す作戦です。
しかし、敵もこのままでは終わりません………

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。

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