ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース 作:宇宙刑事ブルーノア
『ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース』
第173話『コマンドーVSニンジャです!』
グロリアーナ&ブリティッシュ機甲部隊を相手にした準決勝戦の中………
分隊を任されたウサギさんチームの梓は………
グロリアーナ&ブリティッシュ機甲部隊の本隊と遭遇………
コレに打撃を与えるべく、果敢に挑んだが………
最後はダージリンの駆るチャーチルに撃破され、戦車部隊全滅となった………
そして、撤退する残存大洗歩兵部隊を援護する為に………
苦戦の末にティムを倒した白狼が殿となり………
見事に散ったのだった………
戦車道・歩兵道全国大会、決勝リーグ・準々決勝の試合会場………
大洗町に似た港町を模した演習場………
「梓ちゃん達の戦車部隊が全滅………」
「神狩殿も残存歩兵部隊を逃がす為に………」
「飛彗さん………」
梓達が率いていた戦車部隊が全滅したのと、飛彗が戦死判定となり、白狼が撤退する残存大洗歩兵部隊の殿となってやられたと言う報告を受けた沙織と華、優花里が表情を曇らせる。
「…………」
キューポラから姿を晒しているみほも、辛そうな表情で拳を握り締める。
「………梓ちゃん達の行動は無駄ではありません。グロリアーナ&ブリティッシュ機甲部隊の本隊に打撃を与える事に成功しました」
だが、すぐに表情を引き締め、自部隊の皆にそう呼び掛ける。
「では、ココは先ずアーチャー対戦車自走砲部隊を片付けてから、敵本隊を………」
「いえ、作戦変更はありません。このまま敵本隊へ仕掛けます」
「!? 何っ!?」
十河がそう戦術予測を立てたが、みほは作戦を変更せずにグロリアーナ&ブリティッシュ機甲部隊の本隊へ仕掛けると言い、驚きの声を挙げる。
「ちょっ! みほちゃん! そりゃ無理だってっ!!」
「損害を与えたとは言え、ウサギさんチーム達が仕掛けた事で警戒度を上げている筈だ。今仕掛けるのは無謀じゃないか?」
了平が悲鳴の様な声を挙げ、大詔も無茶ではないかと進言する。
「いえ、だからこそ敢えて仕掛けるんです。ダージリンさんは既に別系統で複数の部隊が動いている事を見抜いて居ます。だから、別の部隊が同じ行動を取って来る可能性は低いと考える筈です。仮に見破られていたとしても、今度は此方にはフラッグ車が居ます。必ず撃破を狙って来る筈です」
「そこを衝けば、得意のゲリラ戦、或いはフラッグ車同士の対決に持ち込めるって作戦だね」
みほがそう作戦を述べると、迫信がそう補足する。
「ですが、西住総隊長。アーチャー対戦車自走砲部隊は如何するんですか? 無視出来る存在じゃないと思うのですが………」
楓は、アーチャー対戦車自走砲部隊を警戒するが………
「大丈夫です。きっと抑えてくれます」
「………成程。そう言う事ですか。了解しました」
みほがそう返すと、納得が行った様な表情で敬礼を返した。
「………攻撃寸前に航空支援を要請します。一気に攻勢に出て来たと思わせて、敵フラッグ車を『Gエリア』に誘導します」
「「「「「「「「「「了解っ!!」」」」」」」」」」
「ではコレより、『タバ作戦』を開始します!」
改めてみほは、梓達に続いてグロリアーナ&ブリティッシュ機甲部隊の本隊へ攻撃を仕掛け、敵フラッグ車を誘い出す作戦………
『タバ作戦』の発動を宣言する。
「西住ちゃ~ん。因みにその作戦名ってどんな意味なの?」
とそこで、杏が作戦名の由来について尋ねる。
「えっ? え~と、皆で『束』になって攻撃するから、『タバ作戦』って言う名前にしたんですけど………」
「成程~。良いね、ソレ」
「チームワークは最大の武器ですっ!!」
「不良っぽい気もするけど………仕方ないわね」
みほがそう答えると、杏は満足そうな声を挙げ、典子とみどり子も賛同する。
「………では、改めて! パンツァー・フォーッ!!」
それを聞きながら、みほはパンツァー・フォーの号令を掛けるのだった。
◇
一方、その頃………
グロリアーナ&ブリティッシュ機甲部隊の本隊は………
「各車輌、応急処置が完了しました」
「歩兵部隊の隊列の組み直しも終わったよ」
マチルダⅡ隊の車長の1人である『ルクリリ』がそう報告すると、セージもそう報告を挙げて来た。
「了解しましたわ………」
「結構な痛手を負いましたね………」
「まさかあの小戦力で仕掛けてくるなんて………」
ダージリンが返事を返すと、アッサムとオレンジペコが先程のウサギさんチーム達の襲撃を思い出し、そう言い合う。
「ですが、次のみほさんの手は読めています。恐らく、分断しているクロムウェルと三式を除いた部隊………フラッグ車を含む本隊で仕掛けて来るでしょうね」
「!? ええっ!?」
「まさかっ!? 同じ手を2度も取るとは思えません!」
と、ダージリンがみほの次の手を読み当てると、オレンジペコとアッサムは驚きの声を挙げる。
「驚く事じゃないわ。私がみほさんでしたら………きっとそうしますから」
だが、ダージリンは確信に満ちた顔でそう返した。
「そして………ジャスパー」
「うん?」
「貴方は貴方のコマンド部隊を率いてアーチャー対戦車自走砲部隊の援護に向かって下さる?」
「アーチャー部隊の援護かい?」
「私の読みが当たれば………歩兵部隊が次に攻撃する目標はそっちだからよ」
ジャスパーが尋ねると、ダージリンがそう読みを述べる。
「戦車6輌葬った強靭な歩兵部隊が相手とは………何とも危険がいっぱいで楽しそうじゃないか。OK、引き受けたよ」
心底楽しそうな様子でジャスパーはそう返す。
「頼むわね」
「良し! じゃあ、行くぞぉっ!!」
と、ダージリンがそう言うのを聞きながら、ジャスパーはSASジープへと乗り込み、数台の同じ車輌を率いて、本隊から離脱する。
「さて………私達はこのまま進軍します。大洗の部隊と遭遇した場合の指示は追って出します」
「「「「「「「「「「了解っ!」」」」」」」」」」
ダージリンがそう言い、グロリアーナ&ブリティッシュ機甲部隊の本隊は進軍を再開する。
「…………」
そのダージリンのチャーチルの横では、仏頂面を浮かべているアールグレイが、愛馬に跨って随伴している。
「ゴメンなさいね、アールグレイ」
「!………」
と、突如ダージリンが謝罪して来て、アールグレイは軽く驚いた様子で視線を向ける。
「歩兵部隊を率いているのは十中八九で舩坂 弘樹ね。貴方にとって戦うべき相手でしょうけど、戦略上それは出来ないの」
申し訳無さそうにアールグレイにそう言うダージリン。
「………それが戦略上の判断ならば異論は無い。歩兵道の真髄は戦車に随伴し、守る事にある」
だが、アールグレイは命令に従うのが自分の役割であると言う様に返す。
「………ありがとう。でも、もし万が一の時には………頼りにしていますわ」
「イエス、マイ・ロード」
お馴染みの台詞と共に、騎士が忠誠を示すポーズを取るアールグレイだった。
◇
一方、その頃………
噂されていたアッセンブルEX-10は………
「………むっ? 海岸に出たか………」
敵の姿を求めて市街地を進んでいる内に、砂浜の海岸線へと辿り着いていた。
遠くの方の洋上では、呉校艦隊とグロリアーナ&ブリティッシュ艦隊が、激しい砲雷撃戦を展開している。
「お~、スッゲェなぁ」
「ココまで轟音が聞こえて来るぜ」
地市と海音が、洋上の艦隊決戦の轟音を聞きながらそう漏らす。
「見惚れている暇は無いぞ。早く次の敵部隊を探して………!?」
と、そこまで言い掛けた瞬間!
弘樹は何かに気付いた様に猛然と波打ち際へダッシュした!
「!? 舩坂先輩っ!?」
「如何したんすかっ!?」
「「「「「!?」」」」」
光照と正義が驚きの声を挙げて、アッセンブルEX-10のメンバーが慌てて後を追う。
「…………」
波打ち際へ片膝を着いて屈み込み、波に濡れるのにも構わずジッと足元の濡れた砂浜を見やる弘樹。
「一体如何したんですか?」
「何か有るのかい?」
注意深く濡れた砂浜を観察する弘樹を見て、武志と鋼賀がそう尋ねる。
「ん? コレは………」
するとそこで、シメオンも何かに気付いた様に弘樹の傍に屈み込む。
「オイ、そろそろ説明してくれよ」
「………微かだが、履帯の跡が在る」
俊がじれったく感じてそう言うと、弘樹は濡れた砂浜を見たままそう返した。
「えっ!?」
「むっ! 確かにコレは………」
重音が驚きの声を挙げ、小太郎も弘樹が見ている濡れた砂浜に、波に消されかけているが、履帯の跡らしきモノが微かに浮かんでいる事に気づく。
「グロリアーナの戦車でござるか?」
「…………」
小太郎がそう言うと、陣が否定の意味を現すポーズを取る。
「戦車の履帯跡だけで歩兵や騎兵、他の車輌の跡は見えない。グロリアーナの戦車が単独で行動するとは考え難い………」
「まさか、また自走砲か?」
ゾルダートがそう指摘すると、地市がクレオパトラ&スフィンクス機甲部隊との試合を思い出してそう言う。
「自走砲………イギリス………! アーチャー対戦車自走砲か」
そこで弘樹が、アーチャー対戦車自走砲の存在を思い出す。
「アーチャー対戦車自走砲?」
「17ポンド砲を搭載したイギリスの対戦車自走砲だ。1撃を加えた後の離脱が速く、待ち伏せに最適な兵器だ」
「成程。オマケに自走砲扱いだから砲兵の装備として持ち込み可能で、戦車の枠を埋めずに使えると言う事か」
地市が首を傾げると、弘樹がそう答え、シメオンが補足する。
「マジかよ!」
「クソッ! 厄介なモンを持ち出して来やがって!」
重音が思わずそう声を挙げると、海音が悪態を吐く様に言う。
「如何しますか、舩坂先輩?」
「………予測射撃位置から察するに、アーチャー対戦車自走砲が狙ったのは西住総隊長の居る本隊だ。野放しには出来ん」
「叩くでござるな」
光照が尋ねて来ると、弘樹はアーチャー対戦車自走砲への攻撃を決意し、小太郎も賛同の様子を見せる。
「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」
他のアッセンブルEX-10メンバーも無言で頷き、同意して見せる。
「良し。良いか? 恐らく次の射撃地点は………」
それを見た弘樹は試合会場の地図を取り出し、みほの本隊の位置から、次にアーチャー対戦車自走砲部隊が攻撃を行うと思われる地点の割り出しに掛かるのだった………
◇
再び、グロリアーナ&ブリティッシュ機甲部隊の本隊………
まだまだ多数残っている戦車部隊と歩兵・騎兵部隊で隊列を組み、大通りを進軍しているグロリアーナ&ブリティッシュ機甲部隊。
と、交差点に差し掛かったところで………
進軍していたグロリアーナ&ブリティッシュ機甲部隊から見て左側の通路から、みほのⅣ号を先頭に、八九式、ヘッツァー、ルノーB1bisが飛び出して来る。
「! 敵発見っ!!」
「来ましたわね………」
ブリティッシュ歩兵の1人からそう報告が挙がると、ダージリンは僅かに目を細める。
大洗戦車部隊は、グロリアーナ&ブリティッシュ機甲部隊の行く手を遮る様に大通りに並んだかと思うと、砲塔或いは車体を旋回させて、砲を向ける。
「撃てっ!!」
そしてみほの号令で、一斉に砲撃!!
八九式の主砲弾とルノーB1bisの副砲弾は弾かれたが、Ⅳ号の砲弾はアキリーズ、ヘッツァーの砲弾はチャーチル・ガンキャリアに命中!
共に白旗を上げさせた!
「やりましたわね!」
撃破されたのとは別のチャーチル・ガンキャリアの車長がそう声を挙げ、大洗戦車部隊に向かって発砲する。
「前進! 離脱しますっ!!」
だが、大洗戦車部隊は撃ち終えた直後に移動を開始しており、狙いも甘かった事もあって、チャーチル・ガンキャリアの砲弾は外れる。
大洗戦車部隊はそのまま正面………グロリアーナ&ブリティッシュ機甲部隊から見て右側の路地へと姿を消す。
「大洗戦車部隊、路地へ消えました!」
「誘い出す積りね………半数は私と共に追撃。残り半数は手前の路地から回り込みなさい。ルクリリ、そちらは任せますよ」
「ハッ! 了解しましたっ!!」
またもブリティッシュ歩兵の1人からそう報告が挙がると、ダージリンはそう言い、部隊の半数を率いて追撃。
そしてもう半数の指揮をルクリリに任せ、回り込ませる作戦に出る。
「それと、航空支援を要請。仕掛けてくるとすれば今よ。迎撃機を出して制空権を守らせなさい」
「了解。此方グロリアーナ。航空支援要請、航空支援要請」
更にダージリンは、みほが航空支援を投入すると踏み、自分達も航空支援を要請するのだった。
試合会場上空………
ダージリンの予測通り、そこには一航専の航空部隊の姿が在った。
ルーデルの乗るG-1型を隊長機としたスツーカ編隊と、『九九式艦上爆撃機』の編隊が群れを成している。
如何やら、入り組んだ市街地での爆撃となる為、戦略爆撃を行う大型爆撃機よりも、目標を正確に攻撃出来る戦術爆撃機が選択された様である。
その爆撃機の群れを守る様に、メビウス1が率いる紫電改部隊と、ラーズグリーズを中心として疾風部隊が飛んでいる。
「ハハハハッ! 良い天気だ! 絶好の爆撃日和だな! イワンではないがブリテンも敵だ! たっぷりと爆撃をお見舞いしてやるぞ!!」
「もうツッコむ気力もありませんよ………」
出撃出来ている為、テンションが高いハンネスの姿に、エグモンドは力無く首を横に振る。
「! 11時方向! 敵編隊を確認っ!!」
とそこで、ラーズグリーズのグリムが敵の編隊を発見した事を報告。
その敵編隊の中には、戦略爆撃機らしき大型爆撃機の姿も在る。
そして、その護衛に付いて居る戦闘機は………
「やはり来たか………」
「うげっ!? 『スピットファイア』かよ!!」
ラーズグリーズのスノーとダヴェンポートがそう声を挙げる。
そう………
敵爆撃機の護衛としても現れた敵戦闘機は………
イギリスが生んだ傑作機………
『スーパーマリン スピットファイア』であった。
「グロリアーナ&ブリティッシュの戦闘機なら、あの機体になるのは当然よ」
「………ハイ」
ラーズグリーズのナガセがそう言うと、分隊長のブレイズが短く返事をする。
とそこで………
スピットファイア達が加速し、一気に一航専航空隊との距離を詰めて来た。
「来たぞっ!」
「坂井総隊長が来るまで持ち堪えろよ!」
「来てくれると良いけどね………」
「縁起でも無いこと言わないで下さいよ!」
スノー、ダヴェンポート、ナガセ、グリムがそう言い合う中、ブレイズとメビウス1は迫る敵編隊を静かに見据える。
「ブレイズ、交戦」
「メビウス1………交戦」
そして、短い言葉を合図に、空中戦が開始されたのだった。
一方、その頃………
アッセンブルEX-10は………
「! 居たぞっ!!」
海岸線沿いに移動を続け、遂に目標としていたアーチャー対戦車自走砲部隊を発見する。
アーチャー対戦車自走砲部隊はまだアッセンブルEX-10の存在には気付いておらず、操縦手が車外へ退避しており、全ての車輌が砲門を市街地の方へ向けている。
恐らく、みほの大洗本隊を狙っているモノと思われる。
「敵は気づいていないぞ」
「良し! 一気に仕留める! 突撃ーっ!!」
「「「「「「「「「「うおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーっ!!」」」」」」」」」」
此方に気づいていないのを絶好の好機と捉え、弘樹は突撃を決行!
アッセンブルEX-10のメンバーが一斉にアーチャー対戦車自走砲部隊に向かって走り出す!
「!? 敵襲ーっ!!」
「大洗の歩兵部隊っ!?」
「例の小規模攪乱部隊かっ!?」
そこで初めてアッセンブルEX-10の存在に気づいたアーチャー対戦車自走砲部隊は、大慌ててで操縦士達が再度乗車を計る。
「乗り込ませるなぁっ!!」
だが弘樹がそう叫んで収束手榴弾を投擲!
収束手榴弾は、1輌のアーチャー対戦車自走砲のオープントップ戦闘室へと飛び込む。
「「「「うわあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!!」」」」
直後に、収束手榴弾は戦闘室内に在った砲弾を誘爆させて大爆発!
乗員のブリティッシュ砲兵達がまるで弾けたポップコーンの様に車外へ投げ出され、戦死と判定される。
「急げ! 旋回だ旋回!」
1輌のアーチャー対戦車自走砲部隊が、砲をアッセンブルEX-10の方向へ向けようとするが………
「させませんっ!!」
光照がそう叫んでバズーカを発射!
ロケット弾がアーチャー対戦車自走砲部隊の右履帯を転輪ごと吹き飛ばす!
「し、しまったっ!?………」
「うおおおおおぉぉぉぉぉぉーーーーーーーっ!!」
動けなくなったところへ、俊がブルーノZB26軽機関銃を戦闘室目掛けて発砲する。
「「「「うわあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!!」」」」
銃弾の雨を浴び、乗員のブリティッシュ砲兵達は全員が戦死判定となる。
「良いぞ! このまま………! 伏せろっ!!」
流れに乗って居ると感じた弘樹が攻撃続行を指示しようとした瞬間に殺気を感じ、咄嗟に全員に伏せる様に言う。
その直後に、横合いから銃弾の雨が飛んで来る!!
「「「「「うわあああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!?」」」」」
反応が遅れた数名のアッセンブルEX-10隊員が諸に銃弾を浴び、戦死と判定される。
「居たぞ! 例の歩兵部隊だっ!!」
「先遣隊の仇だ! 全滅させてやれっ!!」
そしてそんな台詞と共に、数台のSASジープが雪崩れ込んで来る。
「増援かっ!?」
「対戦車兵を狙えっ!!」
弘樹がそう声を挙げると、SASジープは停車し、乗って居たブリティッシュコマンド隊員達が次々にアッセンブルEX-10の対戦車兵達に襲い掛かる。
「コチラの対戦車火力を奪う積りか! そうはさせ………!?」
立ち上がりながら四式自動小銃を構えようとした弘樹だったが、その瞬間に英霊を抜いて頭上を守る様に構えた!
すると英霊の刃に何かがぶつかり、火花を散らす!
「ほう! 流石だ! 良く見切ったね!!」
その正体………刀剣のクレイモアを振り降ろして来たジャスパーが笑いながらそう言う。
「!!」
「おっと!」
英霊を力任せに振り切ると、ジャスパーはバックステップで距離を取る。
「やるねえ、英霊の子孫くん。特に剣を携えているのが素晴らしい。『歩兵たるもの、剣を持たずして戦場に赴くべきではない』」
「その言葉………成程。貴様はジャック・チャーチルの………」
「御明察。僕は君と同じ英雄の血を引く者………ジャック・チャーチルが子孫、ジャスパー・チャーチルだ」
嬉しそうにそう語るジャスパーに対し、弘樹は右手の英霊を突き付ける様に構えながら、左手で四式自動小銃を保持する。
(………コイツは間違い無くエースの1人………それをコチラに差し向けて来たと言う事は………! まさか敵はコチラの本隊との交戦を!?)
脳裏で状況を整理すると、その可能性が過る。
(だとすれば、こうしては居れん………だが、この状況では………)
みほ達の援護に駆け付けたいところだが、ジャスパーに対峙されている上、周りではブリティッシュコマンド部隊の面々がアッセンブルEX-10のメンバー交戦しており、とても抜け出せる様子では無かった………
「余計な事を考えて言ると、アッと言う間に戦死判定だぞ!」
とそこで、ジャスパーはロングボウを構えたかと思うと、束ねた矢を掛けて、弘樹に向かって発射した!!
「!!」
束ねられていた矢が分散し、まるで散弾の様に弘樹へと向かう。
………その時!!
「イヤーッ!!」
ニンジャシャウトと共に無数のスリケンが飛んで来て、弘樹に向かって居た矢を迎撃した。
「むっ!?」
そのスリケンにジャスパーが反応した瞬間!!
「Wasshoi!」
砂浜の砂が爆ぜたかと思うと、中から小太郎が現れ、ジャスパーの前に立ちはだかる。
殺戮者のエントリーだ!!
「ドーモ。ジャスパー・チャーチル=サン。葉隠 小太郎です」
小太郎は、ジャスパーに向かって身体の前で両手を合わせると頭を下げて、アイサツと共にオジギをする。
「ふふ、それには確かこう返すんだったかな? ドーモ。初めまして、葉隠 小太郎=サン。ジャスパー・チャーチルです」
するとジャスパーは、騎士の様なオジギと共にアイサツを返す。
「ブリティッシュ倒すべし………慈悲は無い」
アイサツを終えると、小太郎はそう言いながら殺気を漲らせ、ジャスパーを見据える。
「良いね………危険な臭いがプンプンするよ」
そんな小太郎を見て、ジャスパーは心底楽しそうな笑みを浮かべる。
「………舩坂殿。事象は理解しておるでござる。コヤツは拙者に任せ、本隊へ!」
「! 頼むぞっ!」
そう言われた弘樹は、躊躇無くジャスパーを小太郎に任せ、本隊の援護に向かおうとする。
「シュトゥルムッ!!」
と、そこで………
ゾルダートが声を挙げてシュトゥルムの背から降りたかと思うと、シュトゥルムが弘樹の元へ向かった。
「舩坂くん! シュトゥルムに乗りたまえっ!!」
「!!」
ゾルダートの声で、並走して来たシュトゥルムに気付いた弘樹は、走ったままシュトゥルムへと乗馬!
「ハイヤーッ!!」
そして、弘樹はそのまま、シュトゥルムと共に大洗機甲部隊本隊の元へと向かうのだった………
つづく
新話、投稿させていただきました。
梓達の部隊が壊滅したのを聞き、みほは遂にグロリアーナ&ブリティッシュ機甲部隊へ仕掛ける作戦、『タバ作戦』を決行する。
果たして、上手くダージリンをG地点に誘導出来るのか?
そしてアッセンブルEX-10はアーチャー対戦車自走砲部隊を攻撃するが………
それを読んでいたダージリンが送り込んだジャスパーのコマンド部隊と交戦に入る。
小太郎がジャスパーの相手を引き受けている間に、弘樹はシュトゥルムでみほの元へと向かうのだった。
では、ご意見・ご感想をお待ちしております。