ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース   作:宇宙刑事ブルーノア

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第172話『ウサギさんチーム、彼の地にて、斯く戦えりです!』

『ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース』

 

第172話『ウサギさんチーム、彼の地にて、斯く戦えりです!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダージリン率いるグロリアーナ&ブリティッシュ機甲部隊の本隊に………

 

果敢にも襲撃を仕掛けたウサギさんチーム達………

 

敵の戦力を少しでも削ぎ、みほ達に後を託す為である………

 

だが、混戦に持ち込み、優位に戦闘を進めていたと思われたが………

 

ジャスパー・チャーチルの戦列歩兵と言う奇想天外な戦法に意表を衝かれた歩兵部隊に損害が生じ………

 

その隙を衝く様に、ポルシェティーガーとⅢ突が撃破されてしまう………

 

だが、そこで………

 

ダージリンは、自ら梓の前にその姿を晒し………

 

1対1での決闘を申し込んだのだった………

 

 

 

 

 

戦車道・歩兵道全国大会、決勝リーグ・準々決勝の試合会場………

 

大洗町に似た港町を模した演習場………

 

「おりゃあっ!!」

 

「トアアッ!!」

 

白狼が放った地獄突きと、ティムのストレートパンチが衝突!

 

「「!!」」

 

その反動で、両者はバッと距離を取る。

 

「てやああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!!」

 

再度先に仕掛けたのは白狼。

 

ティムに向かって右ストレートを見舞う。

 

「ふっ!」

 

しかし、ティムはウィービングで白狼の繰り出したストレートの外側へ逃げる様に回避する。

 

「甘いっ!!」

 

だがその瞬間!

 

白狼は握って居た拳を開いたかと思うと、そのまま外側に逃げたティム目掛けて手刀を繰り出す!

 

「!!」

 

ティムは驚きながらも、スウェーで上体を反らしてかわす。

 

「!………」

 

白狼の手刀がスウェー状態のティムの鼻先を掠め、ティムは冷や汗が流れるのを感じる。

 

「ホワタァッ!!」

 

「!!」

 

と、直後に姿勢を戻した瞬間に、白狼の跳び後ろ回し蹴りが胸を直撃!

 

「! グウッ!!」

 

肺の中の空気が一気に無くなるのを感じながら、後ろにブッ飛ばされるティム。

 

「クッ!………!!」

 

何とか受け身を取って着地するが、その瞬間に嫌なモノを感じて頭を下げると、先程までティムの頭が在った位置を、白狼の横薙ぎの様なキックが通過する。

 

「この絡み付く様な独特な動き………中国拳法ですか」

 

「おうよ! 中国の山奥の寺で仙人みたいな爺さんから必死こいて習ったんだよっ!!」

 

「フフフ、まるで漫画ですね………」

 

白狼の中国拳法を習得した成り行きを聞いて、ティムは思わず吹き出す。

 

「隙有りっ! おりゃあっ!!」

 

それを隙だと見た白狼が、再び後ろ回し蹴りを放つ。

 

「!!」

 

だが、その瞬間!!

 

ティムは、爪先を伸ばした鋭い蹴りを、カウンターの様に繰り出した!!

 

両者の蹴りが激突!

 

「!!」

 

思わぬ反撃を受けた白狼が1歩後退。

 

「ハアッ!」

 

直後に、ティムは更に爪先を伸ばした突きの様な蹴りを連続で繰り出して来る。

 

「! チイッ!」

 

太極拳の様な動きでその蹴りを往なして行く白狼。

 

「ハアッ!!」

 

「!!」

 

一瞬の隙を衝いて肘打ちを繰り出したが、察知していたティムはバックステップを踏んで回避する。

 

「ボクシングだけじゃねえのか………」

 

「サバットです………靴を履いたまま出来ると言うところが気に入ってましてね」

 

白狼が、ティムが見せた動きが先程までのボクシングのモノと異なる事を指摘すると、ティムは微笑みながらそう返す。

 

「そうかよっ!!」

 

と、そこで白狼はティムに向かって跳躍し、空中で右足、左足との連続キックを放つ。

 

「!!」

 

「トアアッ!!」

 

またもバックステップで回避したティムだったが、そこで白狼の掌底が胸に命中する。

 

「!!………」

 

一瞬よろめいたティムだったが、それだけであり、白狼の掌底に耐える。

 

「!? 何っ!?………!? ガッ!?」

 

驚いた白狼の顎に、ティムのアッパーカットが炸裂!

 

「ガハッ!?………クソッ!!」

 

脳味噌が揺れている様な感覚を、頭を振って振り払い、すぐに半身を起こす白狼。

 

「フッ!!」

 

その白狼に、ティムが追撃とばかりにローキックを繰り出す。

 

「!! ハアッ!!」

 

白狼は、ブレイクダンスの様な動きで蹴りを繰り出しながら立ち上がる。

 

「ッ!?」

 

その蹴りが横っ面に当たり、よろけるティム。

 

「ハアッ!!」

 

しかし、すぐに白狼の顔面にコークスクリューブローを決める。

 

「ブッ!!」

 

白狼は諸に顔面にパンチを食らう。

 

「!!………」

 

だが、その状態で前へ踏み出してくる。

 

「!?」

 

「オラアッ!!」

 

そして、ティムの鼻っ面に肘鉄を叩き込む!

 

「!!」

 

ティムは顔を押さえて後ずさる。

 

と、その足元にポタリと血が落ちる。

 

「クッ!………」

 

如何やら鼻血を出した様だ。

 

「ハハハッ! 良い様だなっ!!」

 

と、白狼が挑発する様にそう言った瞬間!!

 

「ハアッ!!」

 

その側頭部にティムの爪先での鋭い蹴りが炸裂!!

 

「ゲボッ!?」

 

余りに速い反撃を真面に喰らった白狼は、顔面から地面に倒れ込む!

 

「グウウ………」

 

起き上がる白狼の鼻からは、鼻血が流れている。

 

「良い様ですね………」

 

「るせぇっ! 見えてねえんだろっ!!」

 

ティムが意趣返しの様にそう言うと、白狼はそう吠えて、ローキックを繰り出す!

 

「フッ!!」

 

それに対し、ティムもローキックを繰り出す!

 

お互いのローキックが激突し、骨と骨がぶつかり合った乾いた音が響く。

 

「「うおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーっ!!」」

 

だが、2人はそのまま、ローキックの繰り出し合いへと発展する。

 

お互いにローキックを出している足を蹴り合う白狼とティム。

 

キック同士がぶつかり合う度に、骨の軋む音が響き合う。

 

何とも、傍から見ている方が辛い意地の張り合いである。

 

「「うおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーっ!!」」

 

だが、当人達は大真面目であり、お互いに1歩も引かない!

 

「………! クウッ!」

 

やがて、ティムが我慢出来なくなった様に後退。

 

蹲ったかと思うと、ローキックを繰り出し続け、白狼のローキックと激しくぶつけ合っていた脛を摩る。

 

「如何したっ! オラ! 掛かって来いっ!!」

 

しかし、白狼の方は何ともない様子で、蹲っているティムに向かってそう挑発を飛ばす。

 

(何て人です………痛みを感じていないのですか?)

 

そんな白狼の頑丈さに、ティムは内心で舌を巻く。

 

「オラ、来いっ! 如何したっ!!………お~、イッテ~」

 

だがそこで、そう言いながら蹲り、ティムとぶつけ合っていた足を摩る。

 

………痩せ我慢だった様である。

 

「………フフフ。本当に貴方は楽しませてくれますね」

 

そんな白狼の様子を聞いて、ティムはまたも笑みを零す。

 

「ウルセェッ! コッチはマジなんだよっ!!」

 

白狼はそう返しながら、拳法の呼吸法を使い、ダメージを緩和して行く。

 

「………如何です、神狩さん。そろそろ決着を着けませんか?」

 

「? 何ぃっ?」

 

「お互いに忙しい身でしょう………チマチマとやらずに、お互いの大技を出し合って………それで決着としませんか?」

 

「…………」

 

ティムから出された思わぬ提案に、白狼は考える様子を見せる。

 

罠………と言う可能性も大いにあるが………

 

「………乗った」

 

白狼はその提案に乗る事にした。

 

元より彼は、チマチマとした事が苦手な性分なのである。

 

「それでこそです………」

 

そんな白狼に向かってティムはそう言い、構えを取る。

 

「…………」

 

白狼も無言で構えを取り、再び両者は構えを取った状態で沈黙する。

 

「「…………」」

 

お互いに微動だにしない2人。

 

周囲の大洗・ブリティッシュ両歩兵部隊の面々も、自分の戦闘に集中したり、2人の纏う闘気に圧倒されたり、歩兵道的に空気を読んでいたりと、邪魔する様子は無い。

 

「「…………」」

 

只々無言で睨み合う2人。

 

と、その時!!

 

「神狩さん! 危ないっ!!」

 

大洗歩兵の1人がそう叫んだかと思うと………

 

白狼とティムの間に、榴弾が着弾し、派手に爆煙を上げた!!

 

味方の支援砲撃の流れ弾である。

 

「!?」

 

突如発生した爆煙に、白狼は一瞬怯む。

 

と、その瞬間っ!!

 

その爆煙を突っ切って、ティムが白狼の懐へ飛び込んで来た!!

 

「!!」

 

「貰いましたよ!」

 

ティムはそう言い放ち、白狼の顎に向かって、右のアッパーカットを繰り出した!!

 

「!? ガハッ!?」

 

そのアッパーカットの威力の前に、白狼の身体が宙に浮く。

 

「まだですっ!!」

 

だが、ティムの攻撃は終わらず、続け様に今度は左のアッパーカットが炸裂!!

 

「ゴハッ!?」

 

白狼の身体が完全に宙に浮き上がる。

 

「コレで………フィニッシュですっ!!」

 

駄目押しとばかりに、再び右でのアッパーカットが炸裂!

 

白狼の身体は空中高く舞い上がる。

 

………しかし!!

 

「………フッ」

 

白狼が不意に笑ったかと思うと、体勢を整え、バク宙を決める!

 

「!? 何っ!?」

 

目は見えずとも、白狼がまだやられていない事を空気で察するティム。

 

「トアアアアアァァァァァァーーーーーーーッ!!」

 

白狼は、落下の勢いを乗せたキックを、ティム目掛けて繰り出す!

 

「何のっ!!」

 

だが、ティムは寸前のところでガードの姿勢を取る事に成功する。

 

「! グウッ!!」

 

ガードした両腕が痺れるのを感じるティムだったが、防ぎ切る!

 

「残念で………」

 

「トアアアアッ!!」

 

「!?」

 

だが、ティムがそう言い放とうとした瞬間………

 

何と白狼はキックした反動を利用して再び宙に舞う!

 

「やあああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!!」

 

そしてまたも、バク宙からのキックを繰り出す!

 

「! ぐあああっ!!」

 

2度目の蹴りは、痺れた腕では防ぎ切れず、ティムのガード姿勢が崩れ去る!

 

「やあああああっ!!」

 

すると信じられない事に、白狼はまたもキックの反動を利用して跳躍!

 

「ハイヤアアアアアアァァァァァァァーーーーーーーーッ!!」

 

3度目となるバク宙からのキックが炸裂する!!

 

「!?」

 

そのキックは、ガードを抉じ開けられたティムの胸に命中!!

 

「! うわああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!!」

 

ティムの身体は人形の様に吹き飛び、ブロック塀に背中から激突!!

 

そのままブロック塀を破壊して、倒れた!!

 

「………飛竜三段蹴り」

 

その様子を見ながら着地を決めた白狼が、ボソリとそう呟く。

 

「………完敗です………まさか、僕が3連続のアッパーカットで行ったのに対して………貴方は3連続の跳び蹴りを決めて来るなんて………」

 

「俺はな………勝つ積りでこの場に居るんだよ」

 

戦死判定が下ったティムがそう言うと、白狼は素っ気なくそう言い返す。

 

「成程………でも、勝負は貴方の勝ちですが………歩兵道としては貴方の負けですよ」

 

「? 何っ?」

 

如何言う事だと白狼が問い質そうとした瞬間………

 

『大洗機甲部隊、M3リー! 行動不能っ!!』

 

「!?」

 

そういうアナウンスが響き渡り、驚きを露わにするのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は少し巻き戻り………

 

ダージリンのチャーチル(フラッグ車)と対峙していたウサギさんチームは………

 

「撃てっ!!」

 

梓の掛け声で、M3リーの副砲と主砲が同時に火を噴く。

 

だが、そのどちらの砲弾も、チャーチルの正面装甲に弾かれ、明後日の方向へ飛んで行く。

 

「………砲撃」

 

と、反撃にとダージリンの静かな指示の元、チャーチルの主砲が火を噴く。

 

「!!………」

 

だが、M3リーは撃ち終えた瞬間には移動を開始しており、砲弾は何も無い空間を通り抜ける。

 

「次弾装填!」

 

「右へ40度………」

 

「了解」

 

しかし、オレンジペコが素早く次弾装填を終えると、ダージリンはそう指示し、アッサムが砲塔を旋回させる。

 

「! 停止っ!!」

 

「!!」

 

それを見た梓はそう叫び、桂利奈がM3リーに急ブレーキを掛ける!

 

履帯と地面の接触面から火花を散らして停止するM3リー。

 

直後に、チャーチルの主砲弾が、M3リーの1メートル先に着弾した!

 

「マズイ! 離れないと!!………」

 

「桂利奈! 突っ込んでっ!!」

 

あやがそう叫ぶが、何と梓は突っ込めと言う指示を出した!

 

「ええっ!?」

 

「梓ちゃん、気でも狂ったのっ!?」

 

「装甲は向こうの方が上だよ! 離れたらコッチに勝ち目は無いよ! だったら敢えて突っ込んで機動力で攪乱するしかないよっ!!」

 

桂利奈と優希が驚きの声を挙げるが、梓はそう言葉を続ける。

 

「で、でもぉ………」

 

「桂利奈! お願いっ!!」

 

戸惑う桂利奈に、梓は重ねてそう言う。

 

「………アイイイイイイイィィィィィィィィーーーーーーーーーッ!!」

 

すると、桂利奈は覚悟を決めた様に、M3リーをチャーチル目掛けて突っ込ませた!!

 

「! 突っ込んで来ますっ!!」

 

「離れては勝てないと思って敢えて接近する………良い度胸ね。あの逃げ出した子達と同一人物だとは思えないわ」

 

その様子を見たオレンジペコが驚愕するが、ダージリンは少しも慌てず、突っ込んで来るM3リーを見据える。

 

「ですが、データ上で彼女達が勝利する確率は粗ゼロです」

 

そしてアッサムがそう言い、チャーチルの主砲がM3リーの合わせられる。

 

「敵主砲、此方を指向中!」

 

「桂利奈! 私が合図したら右へ切ってっ!!」

 

「ア、アイーッ!!」

 

あゆみがそう報告するのを聞きながら、梓は発射のタイミングを見極めて回避すると桂利奈に伝達。

 

そのまま自分達に向けられているチャーチルの主砲に目を凝らす梓。

 

(まだだ………まだ早い………)

 

「もう目の前だよ~!」

 

「梓ちゃん! まだなのっ!!」

 

タイミングを見極めようとしている梓だが、優希やあやが悲鳴の様な声を挙げ、他のメンバーも気が気でない。

 

「もう目の前だよっ!!」

 

「ア、アイーッ!!」

 

(まだ………まだまだ………)

 

あゆみと桂利奈も声を挙げる中、必死にタイミングを見極めようとする梓。

 

と、その時!!

 

「………!!」

 

紗希が何かに気付いた様に、梓のパンツァージャケットを引っ張った!

 

「!? 紗希!?………!! 桂利奈! 今っ!!」

 

「! ええいっ!!」

 

一瞬戸惑った梓だったが、即座にそう指示を飛ばし、M3リーは右へと進路を切る!

 

その直後にチャーチルが発砲!!

 

飛んで来た75ミリ砲弾が、回避行動に入ったM3リーの左側面僅か4センチのところを擦り抜け、後方の地面に着弾した。

 

「!? かわされたっ!?」

 

「お見事ですわ………」

 

アッサムが驚きの声を挙げる中、ダージリンは静かに梓を称える。

 

(良し! 後は擦れ違い様に副砲で上面装甲を狙えば………)

 

梓はそのままM3リーを突撃させ、車高の高さを活かして、チャーチルの上面装甲を副砲で撃ち抜こうと考える。

 

副砲でも、上面装甲を至近距離でなら十分貫通出来る。

 

しかし!!

 

突如チャーチルは信地旋回を行い、突っ込んで来るM3リーに右側面を向ける!!

 

「!? 避けてっ!!」

 

「間に合わないよーっ!!」

 

横を擦り抜ける積りでギリギリを行っていたM3リーは衝突コースを取り、回避も間に合わず、チャーチルの右側面に勢い良く激突した!

 

「「「「「キャアアアアアアァァァァァァァーーーーーーーーッ!!」」」」」

 

「!?」

 

重量差からM3リーの方が弾き飛ばされ、撃破したマチルダⅡの残骸へ衝突して止まる。

 

「撃ちなさいっ!」

 

そしてその瞬間に、チャーチルの主砲弾が放たれ、M3リーに命中!

 

爆煙が漂ったかと思うと、M3リーから白旗が上がる………

 

『大洗機甲部隊! M3リー、行動不能っ!!』

 

「やられたーっ!!」

 

「また負けた………」

 

「もうちょっとだったのに………」

 

「でも、今度は頑張ったよね?………」

 

撃破を告げるアナウンスが流れる中、M3リーの車内で、煤けた顔で桂利奈、あや、あゆみ、優希がそう言い合う。

 

「クソオオオオオオォォォォォォォーーーーーーーーッ!!」

 

「「「「!?」」」」

 

だがそこで、梓の叫び声が聞こえて来て、あや達は驚きながら梓の姿を見上げる。

 

梓は握った両拳をキューポラの縁に叩き付け、身体を振るわせて悔しさを露わにしていた。

 

「梓ちゃん………」

 

「梓………」

 

「「…………」」

 

そんな梓の姿を見て、あや達は何とも言えない表情になる。

 

「…………」

 

紗希も、悲しそうな表情で悔しがる梓を見上げていた。

 

(まだ未熟ではありますが………お見事でしたわ)

 

そんな梓の姿を見ながら、ダージリンは内心で再び称えたのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「! しまったっ!!」

 

撃破されたM3リーの姿を見て、白狼が声を挙げる。

 

「僕との戦いに気を取られ過ぎましたね………例え貴方が生きていようと、戦車が撃破されれば試合では負けになる………歩兵道は人の為に戦う武道なのですよ」

 

「クウッ!………」

 

倒れたままそう言い放つティムに、白狼は苦い顔を浮かべる。

 

「神狩先輩! 歩兵部隊の損害も50%を超えました! 宮藤先輩の他にも、鶏越先輩、誠也、灰史も戦死判定です!! 撤退しましょうっ!!」

 

とそこで、戦闘服が所々ボロボロになっている勇武がそう報告して来る。

 

「………お前等は撤退しろ」

 

「!? 先輩っ!?」

 

「俺は残る………どの道、撤退するなら殿が必要だ。逃げたらアッセンブルEX-10に合流しろ。あの野郎なら残存部隊を纏めるなんざお手の物だろう」

 

弘樹の事を思い浮かべながら、白狼はフッと笑う。

 

「いけません! 先輩も一緒にっ!!………」

 

「行けって言ってんだっ!!」

 

「!!」

 

食い下がる勇武を、白狼は怒鳴り付ける。

 

「コイツは俺なりの………ケジメだ」

 

「!………撤退します! 皆さん! ついて来て下さいっ!!」

 

勇武がそう呼び掛け、残存部隊を率いて撤退に入る。

 

「…………」

 

白狼はその姿を見ながら、ヌンチャクを取り出す。

 

「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」

 

その前方には、グロリアーナ&ブリティッシュ機甲部隊全部隊が立ちはだかる。

 

「………さあ、行くぜっ!!」

 

その中へと、白狼はヌンチャクを振り回しながら突撃して行く………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数10分後………

 

次々にアナウンスされていたブリティッシュ歩兵部隊の戦死報告の最後に………

 

白狼の戦死報告がアナウンスされたのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させていただきました。

因縁の相手であるティムを、苦戦の末に破った白狼。
リベンジを果たしたが、ウサギさんチームが撃破されてしまう。

いいところまで喰らい付いたウサギさんチームだったが、最後は経験の差で敗北する。
白狼は殿として残り、残存歩兵の撤退を支援して散った………

戦いも佳境に入り始めています。


それから、以前予告したガルパン×こち亀の短編が一応仕上がりました。
今夜9~10時辺りに、SS速報へ掲載してみようかと。
以前お断りした通り、台本形式+会話文オンリーの簡易SSとなります。
一応最後まで書けていますが、反応を見たいのとSS速報の使い方に慣れる為、1週間ぐらいかけて小出しにして行こうかと思ってます。
それから、この作品の感想は、コチラの感想掲示板ではしないで下さい。
規約違反に接触する可能性がありますので。


では、ご意見・ご感想をお待ちしております。

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