ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース   作:宇宙刑事ブルーノア

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第157話『まだまだ大ピンチです!』

『ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース』

 

第157話『まだまだ大ピンチです!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

準々決勝の試合で………

 

歩兵部隊戦力を狙って来たナイトウィッチ&ハロウィン機甲部隊に対し………

 

みほはフラッグ車を囮にして、敵戦力を誘き出す作戦を取る。

 

しかし………

 

敵に手を読まれた事で、またもワニさん分隊とハムスターさん分隊の歩兵隊員達が多数犠牲となってしまう………

 

慌てて集結した大洗機甲部隊を、シュトルムティーガーのロケット弾砲撃が襲い………

 

逃げ道を塞ぐ様にSd Kfz 251/16によって放たれた炎が、森林地帯を包み込む………

 

更に信じられない事に………

 

ハロウィン歩兵隊のエース・『カロ』が………

 

球形の砲弾をボールの様に蹴り飛ばして、砲爆撃を見舞って来たのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

廃墟の工業地帯・森林スペース………

 

「また来たぞっ!!」

 

上空から降って来た球形の砲弾を見て、弘樹がそう声を挙げると、近くに居た歩兵達が一斉に伏せる。

 

直後に球形の砲弾は、無人となっていた兵員輸送用のトラックを直撃。

 

トラックは爆発と共に炎に包まれた。

 

「クソォッ! ホントにコレ、蹴っ飛ばして来てるのかよ! 無茶苦茶だぜっ!!」

 

伏せていた面子の中に居た地市がそう叫ぶ。

 

「狙撃兵部隊! 砲弾を蹴っている奴を狙えるかっ!!」

 

そこで弘樹は、狙撃兵部隊にカロを狙撃出来るかと問う。

 

『少々遠いですが、やってみま………!? うわっ!?』

 

「! 如何した!?」

 

飛彗がやってみようと返そうとした瞬間に悲鳴を挙げ、弘樹は再度問い質す。

 

『カウンタースナイプです! コチラの位置がバレましたっ!!』

 

『こちらシメオン! 浅間がやられたぞっ!! 敵の位置が分からんっ!!』

 

飛彗はカウンタースナイプを受けたと報告したところ、続け様にシメオンから陣がやられたとの報告が入る。

 

「撤退しろ! すぐにコチラと合流するんだ!」

 

『ったく! 屈辱だぜっ!!』

 

弘樹がそう命じると、圭一郎が愚痴りながら撤退を開始する。

 

その直後、前進して来たSd Kfz 251/16が、火炎放射器で火炎を薙ぎ払って来る!

 

「「「「「うわああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!!」」」」」

 

その火炎を真面に浴びてしまった大洗歩兵隊員達が炎に包まれ、そのまま戦死判定となる。

 

「ええい! もう我慢ならん! 突っ込むでぇっ!!」

 

「援護するぞっ!!」

 

とそこで、その光景に我慢ならなくなった大河が、ペンギンさん分隊員と共にSd Kfz 251/16に突撃し、エースを初めとしたタコさん分隊の面々も続く。

 

だが………

 

「ふんがぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーッッッ!!」

 

どこかで聞いた様な叫びと共に、燃え上がっていた木々を薙ぎ倒して、巨大な体躯をした黒い影のある赤髪のハロウィン歩兵が現れる。

 

「!? 何やっ!?」

 

「アレは!?………確か、『スコール』と」

 

大河が驚いていると、エースがその歩兵が入場時に紹介されていた歩兵………『スコール』である事に気づく。

 

「俺、大洗、倒すっ!!」

 

やや片言な言い方をしながら、スコールは『何か』を構える。

 

「!? ちょっ!?」

 

「う、嘘でしょっ!?」

 

「Oh! イッツ、クレイジーッ!!」

 

その『何か』を見た武志、弁慶、ジャクソンが悲鳴の様な声を挙げる。

 

スコールが構えたのは『MK 108 機関砲』………

 

航空機に搭載する30ミリの機関砲だった!!

 

「ふんがぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーッッッ!!」

 

気合の叫びと共に、MK 108 機関砲を撃ち始めるスコール。

 

「おうわっ!?」

 

「伏せろっ! 伏せろっ!!」

 

すぐにペンギンさん分隊とタコさん分隊の面々は地面に伏せたり、燃えていない木々や近くに在った岩、更に破壊された車輌の残骸に隠れる。

 

「ふんがぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーッッッ!!」

 

しかし、30ミリの機関砲の前に、木々や岩、車輌の残骸は遮蔽物としての意味を為さず、隠れていた大洗歩兵隊員達は、次々に貫通弾を浴びた!!

 

「「「「「うわあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!!」」」」」

 

「皆っ!!」

 

「マズイッ! このままでは全滅でござるっ!!」

 

次々にやられていく分隊員達の姿を見て、拳龍と小太郎がそう叫ぶ。

 

「慌てるな! MK 108 機関砲のデータからすると、そろそろ………」

 

しかしそこで、大詔がそう言ったと思うと、MK 108 機関砲からの弾幕が途切れ、乾いた音を立て始める。

 

弾切れである。

 

「フンガッ!?」

 

MK 108 機関砲が突如撃てなくなった事に戸惑うスコール。

 

「! 今やっ!!」

 

と、チャンスとばかりに伏せていた大河が起き上がり、スコールに突撃する!

 

「! ふんがぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーッッッ!!」

 

しかし、何とっ!!

 

スコールは、持っていたMK 108 機関砲を、突撃して来ていた大河目掛けて軽々と投げつけた!

 

「なっ!?………! ごはっ!?」

 

意表を衝かれた大河は真面に喰らってしまい、そのままMK 108 機関砲の下敷きとなり、戦死と判定される。

 

「親分っ!!」

 

「コノヤロウッ!!」

 

「親分の仇だっ!!」

 

その光景を見た大洗連合のペンギンさん分隊員達がスコールに跳び掛かる。

 

「ふんがぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーッッッ!!」

 

だが、スコールは拳を握った両腕を左右に突き出して、その場で独楽の様に回転!

 

「「「「!? うおわあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!?」」」」

 

跳び掛かった大洗連合のペンギンさん分隊員達はブッ飛ばされ、地面を転がる。

 

そこへ、シュトルムティーガーのロケット砲弾が着弾し、トドメを刺される。

 

「44ソニックゥーーーーーッ!!」

 

とそこで、エースがマークⅡ手榴弾を野球ボールの様に、スコール目掛けて投擲した!

 

プロ野球選手並みの、時速150キロの球速でスコールへと向かう手榴弾。

 

「! ふんがぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーッッッ!!」

 

けれども、スコールはまたもや信じられない事に、近くに生えていた大木を根元から引っこ抜いたかと思うと、それをスイングして、エースが投げた手榴弾を打ち返した!

 

「!?」

 

驚きながらも、すぐに回避しようとしたエースだが………

 

(! イカン! このままでは後方の味方に!!………)

 

自分が避ければ後方の味方に被害が及ぶ事に気づき、手榴弾をキャッチしたかと思うと、そのまま抱え込む様にして地面に伏せた!

 

直後に手榴弾は爆発!

 

エースは破片と衝撃を一身に浴びた!

 

「エースッ!!」

 

「すまない、拳龍………後は頼む」

 

拳龍が駆け寄るが、エースには既に戦死判定が下されていた………

 

「フハハハハハッ! 誰も俺を止める事は出来んっ!!」

 

スコールは調子に乗った様に、残るペンギンさん分隊とタコさん分隊の隊員達の方へ突っ込んで来る!

 

「させるか!………」

 

と、その前にシャッコーが立ちはだかる。

 

そして手四つで組み合い、力比べへと発展する。

 

が!!

 

「ふんがぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーッッッ!!」

 

「! コイツ!………」

 

何と、スコールの並外れた怪力の前に、シャッコーは押し負けそうになる。

 

「ルダさんが押されてる!?」

 

「嘘だろっ!? どんだけだよ、アイツッ!?」

 

大洗歩兵部隊随一の怪力であるシャッコーをも上回るスコールのパワーに、大洗歩兵部隊に動揺が走る。

 

「みぽりん! このままじゃ歩兵の皆が!!」

 

「! パンツァーカイルで一気に突破を試みます! レオポンさんチーム!!」

 

「了解~」

 

沙織が叫ぶと、みほは一気に突破すべくパンツァーカイルを指示し、大洗戦車チームの中で1番装甲の厚いポルシェティーガーが先頭に出る。

 

そして、フラッグ車であるM3リーを中央に据えて、残るチームが其々に両翼を固めると、一気に突撃する!

 

「!? うおおっ!?」

 

「!!」

 

突っ込んで来た大洗戦車チームの姿を見て、流石のスコールも退き、シャッコーはその隙を衝いて離脱し、突っ込んで来た大洗戦車チームの戦車の内、ルノーB1bisに飛び乗ってタンクデサントする。

 

Sd Kfz 251/16が、先頭を行っていたポルシェティーガーに向かって火炎を放とうとしたが………

 

「させないよっ!!」

 

既に狙いを付けていたホシノが発砲!

 

88ミリの榴弾を浴びたSd Kfz 251/16は忽ち大破・炎上!

 

「ソーレッ!!」

 

そのままツチヤが声を挙げると、ポルシェティーガーはSd Kfz 251/16の残骸をを蹴散らして更に前進。

 

燃え盛る森林へと突っ込んで行く!

 

「持ってよ、エンジン」

 

次弾を抱えながら、ポルシェティーガーのエンジンが熱でやられない事を祈るスズキ。

 

そして遂に、ポルシェティーガーを先頭にした大洗戦車チームは炎の中へ突入!

 

燃え盛る木々を薙ぎ倒し、通過の際の風圧で火を掻き消す!

 

「! あそこから脱出だ! 全員、戦車チームに続けっ!!」

 

「「「「「「「「「「!!」」」」」」」」」」

 

それを見た弘樹がそう声を挙げ、大洗歩兵部隊は残っていた車輌に乗り込んだり、或いは自らの足で、戦車チームが空けた炎の隙間を通り抜けて行く。

 

「………シナリオ通りだ」

 

だが、その大洗機甲部隊を見送ったスコールが、不気味に笑ってそう言い放ったのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もうすぐ森林エリアを抜けるよ」

 

パンツァーカイルの先頭を行っているポルシェティーガーのナカジマが、全車へそう通信を送る。

 

「もう1度市街地で遭遇戦を展開します! 各車、森林エリアからの離脱後は歩兵部隊の到着を待って、チーム・分隊ごとに行動します!」

 

「「「「「「「「「了解っ!!」」」」」」」」」

 

もう1度市街地で遭遇戦を展開しようと考えるみほ。

 

しかし………

 

「抜けたぁっ!!………!? マズイッ!!」

 

先頭を行っていたポルシェティーガーが、遂に炎の中を突っ切り、再び市街地に入ったかと思われた瞬間!!

 

轟音が鳴り響き、巨大な砲弾が車体の前面装甲に突き刺さった!!

 

ポルシェティーガーは急停止し、撃破を示す白旗を上げる。

 

「「「「「「「「!?」」」」」」」」

 

残りの戦車チームは、咄嗟に左右に広がる様に停止!

 

「!? トータスッ!?」

 

その中で、みほがポルシェティーガーを撃破した犯人………

 

『トータス重駆逐戦車』の姿を確認して、驚愕の声を挙げる。

 

「へっへ~、此処へ来るのはお見通しだったよ~」

 

トータスの車長である『マヨネ』が、ペリスコープ越しに大洗戦車チームの姿を確認して、そう言い放つ。

 

「また読まれていた………」

 

「コレでは、作戦の展開のしようがありません!」

 

みほが微かに震えた声でそう漏らし、優花里が悲鳴の様に叫ぶ。

 

「固定砲塔なら、側面に張り付けばっ!!」

 

「やれるナリ」

 

とそこで、アリクイさんチームが危機的状況で先走ったのか、トータスに向かって突撃した!

 

「! アリクイさんチーム! 待って下さいっ!!」

 

みほが慌ててそう呼び掛けるが、三式がトータスの側面に出た瞬間!!

 

またも轟音がしたかと思うと、三式にトータス程ではないが、巨大な砲弾が命中した!!

 

「「「わああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!?」」」

 

アリクイさんチームの悲鳴が木霊すると、三式は一瞬宙に浮かび上がり、そしてバウンドしたかと思うと、そのまま横倒しとなる!

 

そして側面部から、白旗を上げた!

 

「側面を狙って来る事ぐらい、お見通しです………」

 

そう言う台詞と共に、トータスの影から『ペッパー』が駆ける『ブルムベア』が姿を見せる。

 

更にその後ろからは、5輌のヴァレンタインが姿を現す。

 

「! ブルムベア!………」

 

「ヴァレンタインも居ます!」

 

その姿を見て、またもみほと優花里がそう声を挙げる。

 

その間に、ブルムベアと5輌のヴァレンタインは、大洗機甲部隊の行く手を塞ぐ様に展開する。

 

「如何したんだっ!?」

 

「!? アレはナイトウィッチ戦車チームッ!?」

 

「ええっ!? また俺達の動きを見破られたってのかよ!?」

 

「…………」

 

と、漸く追い付いた歩兵部隊の中で、とらさん分隊の地市、楓、了平がそう言い放ち、弘樹も苦い顔をする。

 

「見たか、大洗! コレがナイトウィッチ&ハロウィン機甲部隊の力だ! スマートだぜっ!!」

 

そこへ、何時の間にか移動して来たのか、脇に球形砲弾を抱えたカロが大洗機甲部隊が突破して来た道に佇み、お決まりの台詞を決めた。

 

「! カロかっ!?」

 

「何時の間にっ!?」

 

その存在に気付いた一部の大洗歩兵部隊が銃を向けるが………

 

「オラァッ!!」

 

「「「「「!? うわああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!?」」」」」

 

カロは脇に抱えていた球形砲弾をその大洗歩兵達に向かった蹴り込み、一網打尽にする。

 

「俺のスマートなキックに敵う奴なんでいないぜ!」

 

「蹴りならば負けないぜっ!!」

 

勝ち誇るカロだったが、そこへ隆太が側転してから跳び上がり、全体重を乗せた浴びせ蹴りを繰り出す。

 

「オウラッ!!」

 

それに対し、カロはハイキックを繰り出し、隆太の蹴りとカロの蹴りがぶつかり合う。

 

一瞬の間の後………

 

「! うわああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!!」

 

隆太が地面に落ち、蹴りを繰り出した足を押さえながら悶える。

 

如何やら、蹴り負けたのは隆太の方だった様である。

 

「良い蹴りだったぜ………俺の次にな」

 

「!!」

 

カロはそう言い、腰のホルスターからSACM Mle1935Aを抜いたかと思うと、隆太に容赦無くトドメを刺した!!

 

「飛鳥くん!」

 

「ノコノコと出て来やがったなぁっ!!」

 

それを見て飛び出した拳龍に、カロは回し蹴りを繰り出す!

 

「! くっ!!」

 

だが、そこは空手道場の息子にして免許皆伝。

 

すぐさま防御の姿勢を取り、衝撃を受け止める。

 

「ほう? 良い反応じゃねえか。だが、何時まで持つかなぁっ!!」

 

だがカロは、軸足の左足だけで立ったまま、上げた右足を鞭の様に撓らせて、次々に蹴りを繰り出す。

 

「………平気だよ」

 

持ち前の頑丈さで、その全てに耐える拳龍。

 

「そうらっ!!」

 

とそこで、カロは拳龍のボディに向かって、強烈な前蹴りを叩き込む!

 

「!!」

 

余りの衝撃で、足が地面を抉りながら後退させられる拳龍。

 

「大丈夫………!?」

 

それでも尚平気な様子を見せる拳龍だったが、そこで蹴られた腹に………

 

信管付きのC-3爆薬が張り付けられていた!

 

「さっきの!………」

 

「おせぇぜっ!!」

 

慌てて取り外そうとした拳龍だったが、カロが起爆スイッチを押す方が早く、C-3は爆発!

 

「………ゴメン、皆」

 

爆煙が晴れると、平気そうな様子ながらも、戦死判定が下されてしまった拳龍の姿が露わになった。

 

「あ、飛鳥くんと杷木さんが………」

 

「…………」

 

次々と仲間がやられて行き、みほの表情には絶望の色が浮かんでいた………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させていただきました。

まだまだ大ピンチの大洗。
遂に戦車チームにも被害が及んできました。
歩兵部隊も、スコールとカロによって最早壊滅状態………
かつてない大ピンチです。
ですが、次回………
遂にアイツが………

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。

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