ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース   作:宇宙刑事ブルーノア

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第151話『神狩 白狼の放浪記です!(前編)』

『ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース』

 

第151話『神狩 白狼の放浪記です!(前編)』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紆余曲折有りつつも………

 

冥桜学園の足柄から、白狼の居場所のヒントを聞き出した大洗の一同………

 

『海に面した長いビーチ』、『大好きなネズミの国』、そして『誰もが釣りを楽しめる、アメリカ人の国』………

 

そのヒントから、白狼が居るのはアメリカのフロリダ州と推測し、迫信が神大コーポレーションを通じて、現地の大使館へ問い合わせる。

 

その間に、決勝リーグに向けて大洗機甲部隊は………

 

弘樹と旧知の仲であるゴウトの助けもあり………

 

カメさんチームの38tを、『軽駆逐戦車ヘッツァー』へと改造する。

 

だが、大使館より連絡が有り………

 

神狩 白狼と言う人物は、フロリダに居ない事が判明するのだった………

 

一体、白狼は何処に?………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オーストラリア・ビクトリア州………

 

フィリップ・アイランド・サーキット………

 

そのサーキットを走る、1台のバイク………

 

やがて周回を終えたのか、ピットへと入る。

 

「………駄目だ、駄目だ! 全然目標タイムに届いてないぞ!!」

 

「………すみません」

 

ピットに待機していたバイクチームのメンバーの内、監督と思わしき人物がストップウォッチを片手にライダーにそう詰め寄ると、ライダーがヘルメットを外す。

 

それは紛れも無く、白狼だった。

 

「如何したんだ、ミスター神狩! チームに入ってから碌な成績を出していないじゃないか! 天才バイクレーサーと言われていた君は何処へ行ってしまったんだ!?」

 

「…………」

 

監督の言葉に、白狼は只沈黙で返す。

 

「ミスター神狩!」

 

「待って!」

 

更に白狼に詰め寄ろうとした監督を止めたのは、美嵩であった。

 

「白狼は海外でのレースは初めてよ。色々と戸惑いが有る筈よ。それを考慮して貰いたいわ」

 

「………ミス美嵩がそう言うなら」

 

殺気すら感じさせる視線で見られ、監督はスゴスゴと引き下がる。

 

「…………」

 

しかし、白狼は浮かない顔のままだった。

 

と、そこへ………

 

「オイ、このサーキットかっ!?」

 

「本当にベオウルフが居るのか!?」

 

日本人観光客らしき団体が、そんな声を挙げながらサーキット内へ侵入して来る。

 

如何やら、白狼の事を知って居て、野次馬に来た様だ。

 

「チッ! 白狼! 空港に逃げなさいっ!! そこから宿泊先へ行けるわっ!!」

 

「あ、ああ………」

 

それを見た美嵩が舌打ちしながらそう言い、白狼は美嵩の迫力に押される様にバイクを発進させた。

 

(折角欺瞞情報で大洗の連中を攪乱したのに………こんな事で白狼の居場所を知られるワケには行かないわ!)

 

そう思いながら、野次馬を蹴散らしに向かう美嵩。

 

如何やら、足柄の言っていた話は、美嵩が意図的に流した欺瞞情報だった様である。

 

そんな事は露知らず、白狼は近くの空港に向かってバイクを急がせるのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後………

 

「ヘイ、神狩 白狼だね」

 

「ああ………そうだ」

 

「早速乗ってくれ!」

 

白狼が空港に着くと、チャーター機の操縦士が待っており、機に乗るよう催促され、乗り込んだ。

 

(何処へ向かってるんだ?………)

 

暫く飛んで行き、窓から眼下の景色を見下ろせば、綺麗なサンゴ礁が確認出来る。

 

やがて、ハート形のサンゴ礁………『ハートリーフ』が見えてくる。

 

「見えて来たよ! アレが『ハミルトン島』だ!」

 

白狼が連れて来られた場所は、オーストラリア有数のリゾート地、『ハミルトン島』だった。

 

着陸すると、操縦士から地図を渡され、指定のホテルにチェックインをしてくれと言われ、白狼はその場所まで向かった。

 

何かと呼ばれているようだが意味が分からず、取り敢えず到着すると、ホテルの従業員らしい人が案内してくれた。

 

案内されたホテルの部屋は、リゾート地らしい開放的な様子の部屋だった。

 

快適なデザイナーズ家具、棟内のプライベートプール、温度調整されたインフィニティーエッジ・プランジ・プール。

 

サンデッキまで付いており、リゾート気分を満喫できる空間だった。

 

「観光に来たんじゃねえんだけどなぁ………」

 

そう呟きながら荷物を置き、散歩でもしようかとホテルの従業員に訊けば、ホワイトヘブンビーチがベストと言われ、そこへ向かう事にした。

 

 

 

 

 

それほど離れていないマリーナへと向かい、そこで沢山の人の居るクルーザーに乗り込む。

 

暫く透き通る様な青い海を進み、クルーザーが到着した場所は………

 

真っ白なビーチが何処までも繋がって居る様な凄い場所だった。

 

海の色も美しく、リゾートには持って来いであった。

 

「大したもんだ………」

 

しかし、白狼は相変わらず浮かない顔のまま、白い浜辺を目的も無く歩いて行く。

 

と、暫く歩いていたところ………

 

白狼が聞き慣れた音が聞こえて来た。

 

「あ? この音は………戦車?」

 

そう、それは戦車のエンジンと履帯の鳴る音だった。

 

更に、銃声や爆発音、叫び声の様な物も聞こえて来る。

 

「…………」

 

思わずその音のする方向へと足を進める白狼。

 

やがて、その行く手に、『関係者以外立ち入り禁止』と言う注意書きが張られたフェンスが立ちはだかる。

 

そして、そのフェンス越しに、奥の方では………

 

多数の戦車や歩兵が忙しく動き回っている。

 

如何やら、戦車道・歩兵道の演習中の様である。

 

「ハア~、海外でもやってる奴いるんだなぁ………」

 

海外の戦車道・歩兵道の様子を初めて見た白狼は、他人事の様にそう呟く。

 

「………アレ? あのマークって?」

 

しかしそこで、戦車や歩兵の戦闘服に刻まれているマークに見覚えがある事に気づく。

 

すると………

 

「ちょっとそこの君! 何をしてるの!?」

 

「!?」

 

いきなり背後から誰かに声を掛けられ、白狼が振り向くと………

 

「って、ほ、白狼君っ!?」

 

「アレ!? 揚羽じゃねえか!?」

 

何とそこに居たのは、随分と可愛らしいプリントのある水着を着ていた、黒森峰女学園の生徒会長・揚羽だった。

 

「な、何で白狼君が此処に!?」

 

揚羽が驚いていると………

 

「会長? 戻ったのか?」

 

「折角海外にまで演習に来たのに、遊んでばかりじゃ他の者達に示しが………って!? アンタはっ!? 大洗のっ!?」

 

演習を終えた様子のパンツァージャケット姿のまほとエリカが寄って来た。

 

エリカの方は、白狼の事に気づいた様子である。

 

「まさかこんな所にまで偵察に来るなんてね! でも、見つかったのが運の尽きよ! 会長! すぐにその男を………」

 

「如何した、エリカくん。何を騒いでいる?」

 

白狼を取り押さえる様に揚羽に言うエリカだったが、そこへ騒ぎを聞き付けた都草がやって来る。

 

「あ、梶歩兵隊長! 敵です! 大洗のスパイを発見しました! すぐに拘束を!」

 

「大洗のスパイ?………」

 

エリカがそう喚く様に言うのを聞いて、都草は白狼の姿を確認する。

 

「…………」

 

一方の白狼は、スパイ扱いされているにも関わらず、リアクションが無い。

 

「君は確か………神狩 白狼くんだったかな?」

 

「そう言うアンタは黒森峰の歩兵総隊長の………誰だっけか?」

 

「貴方! 一体誰に向かって口を聞いてるの!?」

 

気だるげな白狼の様子を無礼と捉え、エリカが噛み付く。

 

「知らねーよ。話をした事もねえしな」

 

「貴様っ!」

 

「落ち着きたまえ、エリカくん」

 

尚も気だるげな態度を取る白狼に、エリカは更に噛み付こうとするが、他ならぬ都草がそれを制する。

 

「さて、神狩くん。何故君は此処に居るのかな? もし本当に偵察目的ならば、ルールに基づき、拘束させてもらう事になるが………」

 

「あ~………如何でも良いよそんなの。だって俺、辞めたんだし」

 

「何?………」

 

白狼がそう返答したのを聞いて、都草は眉をピクリとさせる。

 

「そんな見え透いた嘘を!!………」

 

「嘘じゃねえよ。この前の試合の戦績が全然ダメダメで………そういう結果が出たなら、今後の試合から降りろって約束されたんだ。だから俺はもう大洗の歩兵でもなんでもねぇよ」

 

エリカは話が信じられず食って掛かるが、白狼は相変わらず気だるげにそう返す。

 

「そんな話が信じるわけが!!………」

 

「だから落ち着きたまえ、逸見くん」

 

更に噛み付くエリカだったが、それを再び都草が制す。

 

その片手には、何時の間にか携帯が握られている。

 

「今確認が取れた。確かに、神狩 白狼は大洗国際男子校に転校届を提出。受理されているね」

 

「流石だな。もう調べたのか………」

 

「歩兵総隊長として当然さ………それで、此処に居る理由は?」

 

白狼の皮肉の様な台詞も気にせず、都草は白狼に此処に居る理由を問う。

 

「フィリップアイランドでバイクレースをしていたんだよ。まあ、ちょっと不調だけどな………そこへカメラの野次馬共が来やがったから、逃げて此処まで来たってわけ」

 

「成程。即ち1人リゾートと言う訳か………」

 

「ま、そう言うこった。1人でも結構楽しいもんだぜ」

 

「おい、そいつは誰だ?」

 

するとそこで、そう言う声が響いて、旧ドイツの武装親衛隊の迷彩服姿の男が現れる。

 

「ああ、『朽葉』副隊長」

 

「へっ、良い響きだ………」

 

副隊長と呼ばれた男子が、気を良くした様な様子を見せる。

 

「え? 副隊長?………」

 

「ああ、白狼君には言ってなかったわね。と言うか、長らく空席だったのが、ついこの前に決まったんだけどね」

 

白狼が疑問の声を挙げると、揚羽がそう言って来る。

 

「じゃあ、アイツが歩兵隊の副隊長って事か?」

 

「そ、去年のあの試合以降、前の副隊長が梶くんの下じゃやってられないって、辞めちゃって。空席となっていた歩兵隊副隊長に、こちらの『朽葉 蟷斬』が副隊長になったの」

 

「ふーん、見た目が凶暴そうなのが腑に落ちないけどな」

 

「あんだよテメェ。文句あんのか?」

 

武装親衛隊の迷彩服姿なのも重なり、凶悪さや凶暴さを感じさせる副隊長………『朽葉 蟷斬』を見て白狼がそう言うと、蟷斬は白狼を睨みつける。

 

「よすんだ、朽葉副隊長。黒森峰の歩兵隊員として、私闘は厳禁だ」

 

ガン飛ばす蟷斬を、都草が押さえるように彼の前に出る。

 

「はんっ! それぐらい分かってらぁっ!! 言われなくても、黒森峰歩兵隊の心得の教本ぐらい全部読破したんだっ!!」

 

「…………」

 

そう怒鳴る蟷斬を、都草は厳しい目で見据える。

 

「俺は長い月日をかけてやっとここまで登り詰めた………何れはテメェを越える………先輩だがそんなの知るか! 俺は必ず………全てを抜き捲って、天辺を取るっ!!」

 

「…………」

 

蟷斬の鋭い眼光に睨まれながらも、都草は決してブレる様子は無く、只厳しい視線で見据えていた。

 

「もう止めなさいって! 白狼くんは完全に部外者だよ! コレ以上は失礼だよ!!」

 

「「「「…………」」」」

 

揚羽に制され、一同は落ち着く。

 

(部外者………)

 

しかし、白狼は部外者と言う言葉が心の何処かで引っ掛かる。

 

「チッ! けったくそ悪い………」

 

しかし蟷斬は面白くなさそうな表情で、ブイッとそっぽを向けると。そのまま何処かへと去って行った………

 

「冷たい奴だな………」

 

「彼は昔もああいう感じでな………」

 

「あ? 知ってんのかよ?」

 

蟷斬の昔を知って居る様な口ぶりの都草に、白狼がそう尋ねる。

 

「まあね。だが、人に言う程の事でも無いんで、この話は終わりとさせてもらうよ」

 

だが、都草はそう言って会話を打ち切った。

 

「ま、アンタが大洗の人間じゃなくなったってのは、もう如何でも良いわ。けど、もし大洗が私達の前に立ちはだかったら、即蹴散らしてやるから見てなさい」

 

蟷斬との会話が終わると、エリカがそう言って来た。

 

「大した自信だな」

 

「当然よ! 黒森峰の戦車道は西住流! 王者の戦車道よ! だからこうして海外まで足を運んで演習に打ち込んでるんだから!!」

 

「演習に打ち込んでるねぇ………」

 

すると、白狼は呆れた様子を見せながら、ビーチの方に目をやる。

 

「?………」

 

その視線に釣られる様にエリカがビーチの方をもう見やって見たモノは………

 

「う~ん、トロピカル、トロピカルであります………」

 

浜辺に停めた担当愛車のⅣ号突撃砲の上にビーチパラソルを挿して、サマーチェアを置き、その上に寝転んでトロピカルジュースをストローで飲んでいる久美の姿が在った。

 

「何がトロピカルなのよ、この馬鹿久美ーっ!!」

 

「!? ゲローッ!?」

 

途端に、何時の間にかフェンスを乗り越えたエリカが、久美に向かってダッシュして行き、ドロップキックを喰らわせた!

 

真面に喰らった久美は、顔から砂浜に落ちる。

 

「………ブハッ! ペッ! ペッ! 何をするでありますか、エリカ殿!! 折角のリゾート気分が台無しであります!!」

 

「何がリゾート気分なのよ! 私達は演習に来てるのよっ!! 何1人で南国を満喫してるのっ!!」

 

口から砂を吐き出しながら抗議の声を挙げる久美を、エリカがそう怒鳴り付ける!

 

「折角南国に来たのに、満喫しないで如何するでありますか! 戦車になら何時でも乗れるであります!!」

 

「アンタ! 黒森峰機甲部隊の隊員として誇りは無いの!?」

 

「誇りで飯が食えるかぁーっ!!」

 

「言ったな、テメェッ!!」

 

余程頭に血が上っているのか、口調が変わり始めるエリカ。

 

「またか………」

 

「毛路山くんもブレないねぇ」

 

「ホント、らしいわね」

 

何時の間にかその近くまで来ていたまほ、都草、揚羽がそう言い合う。

 

「何だ、この戦車は?」

 

一方、白狼は久美の愛車であるⅣ号突撃砲を見てそう呟く。

 

車体両側面に取り付けられているシュルツェンを含め、全体が真っ赤に塗られており、戦闘室中央上部に、大型のブレードアンテナが取り付けられており………

 

何処から如何見ても、通常の3倍速い赤い彗星仕様になっていた。

 

突撃砲の利点である隠蔽性が欠片も無い。

 

「如何であります! 我輩のシャア専用Ⅳ突の勇姿はっ!!」

 

「勇姿………ね」

 

ドヤ顔をする久美だったが、白狼は呆れた表情のままである。

 

「呆れられてるじゃないの! 戻しておけって言ったじゃない!!」

 

「コレは我輩の魂のカスタマイズ! 絶対に譲れないでありますっ!!」

 

「総隊長! 総隊長からも何か言って下さいっ!!」

 

埒が明かないと思ったエリカが、まほに助力を求めるが………

 

「言うだけ無駄だ………そろそろミーティングだ。都草、戻るぞ」

 

「了解」

 

まほは諦めた顔でそう言い、都草を伴ってその場を後にする。

 

「ちょっ!? そ、総隊長っ! 待って下さいーっ!!」

 

慌ててその後を追うエリカだった。

 

「慌しいな………」

 

「いつもあんな感じよ………ところで、白狼くん?」

 

それを見送った白狼に、揚羽が何やら尋ねたい様な様子を見せる。

 

「ん? 何だよ?」

 

「その………明日って暇かな?」

 

「ああ、明日は休みだからな。自主練する気も無かったし、暇っちゃ暇だが………」

 

「実は私、明日生徒会の皆と一緒に、午前中は沖に出てダイビングをして、午後はオーストラリア本土の町へとショッピングへ行く予定になってるんだけど、一緒に来ない?」

 

そう言って、揚羽は白狼を誘った。

 

「………良いのか?」

 

一瞬考える様な様子を見せた後、白狼はそう尋ねる。

 

「うん。白狼くんが居てくれた方が生徒会の皆も楽しいだろうし………」

 

「我輩も同行させて下さいでありますっ!!」

 

とそこで、久美が自分も連れて行ってくれと手を上げる。

 

「ええ、良いわよ」

 

「よっしゃーっ! でありますっ!!」

 

「盛り上がってるとこ悪いが、お前等練習は良いのか?」

 

「「…………」」

 

白狼がそう問うと、揚羽と久美は顔を見合わせる。

 

そして、不意に白狼の方を見やったかと思うと………

 

「「訓練ってのは、サボる為にあるのよ(であります)!!」」

 

堂々たる態度でそう言い放った。

 

(………コイツ等、本当に黒森峰の生徒か?)

 

何とも自由な2人に、白狼は内心でそう呆れるのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、迎えた翌日………

 

白狼はノックの音以前に起きており、準備は済ませていた。

 

美嵩の目を掻い潜って港にて船に乗り、スキューバダイビングを体験。

 

見事な珊瑚礁を楽しむ一同。

 

そして、昼食時になり、オーストラリアのメルボルンにて昼食をとった。

 

食事を楽しんだ後、一同はメルボルンの観光へと向かう。

 

メルボルンは『芸術の街』

 

道には絵を描いて売る人やパフォーマンスをする人々が居り、壁にはストリートアートが描かれている場所も在る。

 

当然美術館もあり、ビクトリア国立美術館もその内の1つ。

 

1861年にオープンした、オーストラリア最古の美術館。

 

展示されている作品はなんと7万点!

 

幾つもの絵を見て、白狼はつい嘆声を洩らす。

 

その中には、和風の絵まで在った。

 

ヨーロッパの影響を強く受けたメルボルンには、街の中の至る所にカフェが存在している。

 

美術館から出た一同はボークストリートと呼ばれる路地の『ブラザー バババダン』と呼ばれるカフェにてコーヒータイム。

 

白狼はコーヒーがそんなに好きではないが、香りの良さに流石に惹きつけられ、飲むしかなかった。

 

苦みを覚えながらも、飲み干した白狼の姿を、揚羽達と久美は面白そうに見ながら、カフェを出て、今度はブルネッティと呼ばれるスイーツカフェへと向かった。

 

数多いイタリア菓子に、白狼は歓喜に震えながらケーキを眺め、早く味わいたいと急かした。

 

ケーキを食べ満足した白狼と揚羽達は、それから聖・パトリック大聖堂やルナパークを通り過ぎたが………

 

白狼曰く、遊園地のくせに入り口が奇妙過ぎる………

 

と言った感想も在った。

 

そして町を抜け、海側へと向かうと、とても長い時間を掛け、ある場所へと到着した

 

そこはとある海岸線だった。

 

崖の在る先へと向かう白狼達。

 

崖の先から見える景色には、美しい曲線を描いた海岸線に、南極海側に突き出した豊富な花崗岩の巨奇岩群が見えており、吼える様な風と広大な海に晒された、美しい絶景だった!

 

オーストラリア人なら誰もが知ってるグレートオーシャンロードである。

 

一同は嘆声を洩らし、久美に至っては生徒会の揚羽と瀬芹を除くお気楽三人組と一緒にカメラ撮影をしていた。

 

とそこで、白狼は海岸に人影を発見する。

 

(………!? アレは!?………)

 

と、その人物が誰であるのか分かった瞬間、白狼はまだ写真撮影に夢中のなっている久美達を置いて、海岸へ降りて行った。

 

「………西住 しほ」

 

「…………」

 

白狼は声を掛けると、その海岸に居た人物………しほは、白狼の方を振り返るのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させていただきました。

白狼が居たのはフロリダでは無く、オーストラリア。
フロリダは美嵩の欺瞞情報だったのである。
しかし、当の白狼は絶賛不調中。

身が入らない中、遠征に来ていた黒森峰と遭遇。
流れで揚羽達生徒会メンバー+久美とリゾートを満喫する事に。

さて、次回ではスペシャルゲストが多数登場します。
学園祭に時に出た、あの作品関係のキャラ達です。

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。

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