ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース   作:宇宙刑事ブルーノア

145 / 287
第145話『神狩さんと冥桜学園の関係です!』

『ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース』

 

第145話『神狩さんと冥桜学園の関係です!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

西部学園の西部機甲部隊との試合に於いて………

 

自軍フラッグ車をフレンドリーファイヤすると言う失態を犯した白狼は………

 

自責の念と美嵩の約束が合わさり、大洗を去った………

 

だが、やはり白狼の事を見捨てられない大洗の一同は………

 

彼の実家が在る三重県を訪れ、幼少時に通っていたレーシングクラブ跡地にて………

 

白狼の母親である『神狩 夜魅』と出会う。

 

そして、彼女から白狼がプロレーサーチームにスカウトされ、外国へ行ったと言う驚愕の事実が告げられる。

 

行き先は彼女にも分からず、白狼に付いて行った美嵩の母校である『冥桜学園』の生徒ならば分かるかも知れないと言うが………

 

大洗に冥桜学園との交流は無く、結局は手詰まりであった………

 

しかし………

 

大洗の学園艦が入港していた港に………

 

幸運にも、冥桜学園の学園艦が入港していた。

 

荷物の搬入をしていた冥桜学園の生徒、『徳川 大和』、『真田 吹雪』、『沖田・加州清光・総司』、『足利・三日月宗近・義輝』に案内され………

 

大洗機甲部隊の一同は、冥桜学園の学園艦へと足を踏み入れるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

冥桜学園・学園艦の甲板都市………

 

「コレは………」

 

「うわあ………」

 

「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」

 

冥桜学園の学園艦・甲板都市の様子を見た大洗機甲部隊の一同は、呆気に取られた様な様子を見せる。

 

そこには、江戸から昭和の初期と言った感じの建築物が立ち並び、道行く人々の恰好も、それに準じた格好をしている人達が多い。

 

走っている乗り物は牛車や籠、果てには路面電車やオート三輪と………

 

言うなれば、古き良き日本の姿を現している都市と言えた。

 

「さ、コッチだ。付いて来い」

 

と、そんな大洗機甲部隊の一同に、宗近がそう声を掛け、吹雪達と共に移動し始める。

 

「あ、待って下さい」

 

すぐにその後を追う大洗機甲部隊の一同。

 

やって来たのは、『甘味処・間宮』と言う店だった。

 

尚、コレも古き良き日本の慣習を踏まえているのか、看板の文字が、右から読む仕様になっていた。

 

「いらっしゃいませ………あら、吹雪ちゃんに大和さん。それに清光くんに宗近さんも」

 

暖簾を潜って店内に入ると、割烹着に赤いリボンとヘアピンが特徴の朗らかな雰囲気の女性………『安国寺 間宮』がそう言って来た。

 

「こんにちは、間宮さん」

 

「特盛餡蜜をお願い出来ますか?」

 

吹雪が間宮に挨拶し、大和は日傘を畳みながら即座に注文を言う。

 

「ハイ、只今。『伊良湖』ちゃん。特盛餡蜜ね」

 

「ハイ、間宮さん」

 

間宮が厨房の方にそう呼び掛けると、厨房に居た黒い髪を赤いリボンで結び、ポニーテールにしている、間宮と同じ割烹着姿で、ピンクのワイシャツに紺色のネクタイを締めた女性………『磯前 伊良湖』がそう返事を返してくる。

 

「皆さんもお好きな席へどうぞ」

 

「あ、ハイ………」

 

「失礼します」

 

間宮にそう言われ、大洗機甲部隊の面々も其々に着席し、メニューを眺める。

 

「ココの店の甘味はどれも絶品だよ」

 

「いや、だから私達は観光をしに来たワケではないんですが………」

 

清光がそう言って来るが、優花里が少々焦り気味にそう言う。

 

「では、一体何をしに来たのかな?」

 

「私達は………」

 

宗近の問いに、みほが答えようとしたところ………

 

「お待たせしまた。特盛餡蜜です」

 

間宮のそう言う声が響いて、大和の前に、どんぶりサイズの器に入れられた餡蜜が置かれた!

 

「!? デカッ!?」

 

「何だ、アレは?………」

 

その余りの大きさに、沙織と麻子が呆気に取られた様子を見せる。

 

「間宮名物の特盛餡蜜ですよ」

 

「コレが美味しいんですよ」

 

吹雪がそう答える横で、大和がパクパクと特盛餡蜜を食べ進めて行く。

 

「あの美人さん、スゲー勢いで食べてるな………」

 

「甘い物が好きなのか、それとも単に食欲が旺盛なのか………」

 

そんな大和の姿を見て、俊と逞巳が呆れ気味に呟く。

 

「すみません。あの人と同じ特盛餡蜜を5つ」

 

「華さんっ!?」

 

「まさか、それ全部1人で食べる気!?」

 

するとそこで、華がそんな事を口走り、みほが驚愕し、沙織がまさかと言う顔をして尋ねる。

 

「ええ。だってとても美味しそうなんですもの」

 

「相変わらず五十鈴殿の食欲には驚かされます………」

 

「あの身体で何処に入ってるんだ?………」

 

華がそう答えると、優花里と麻子がそう呟き合う。

 

(………やりますね)

 

(そちらこそ………)

 

するとそこで、大和と華の視線が交差し、そうアイコンタクトを交わした。

 

「何!? 今のアイコンタクトッ!?」

 

「………話を戻しても宜しいでしょうか?」

 

沙織がツッコミを入れる中、弘樹が話の軌道の修正に掛かる。

 

「ああ、そうだったね」

 

「それじゃあ改めて、君達の目的を聞こうか」

 

清光と宗近がそう言う。

 

「我々はこの学園のとある生徒の事で用があり、来ました」

 

「その生徒と言うのは?」

 

「………本多 美嵩と言う者だ」

 

「!? ええっ!?」

 

「本多さん………」

 

「美嵩さんに?」

 

「おやおや、コレはコレは………」

 

弘樹が美嵩の名を出すと、吹雪、大和、清光は驚きを露わにし、宗近は面白そうな顔をする。

 

「知っているんですか?」

 

「そりゃあ、もう」

 

「本多さんはこの学園でも有名人ですから」

 

飛彗がそう言うと、吹雪と大和がそう答える。

 

「でも確か、本多くんは数日前から休学になっている筈だが………」

 

「いや、正確には彼女の事が聞きたいワケではないよ」

 

宗近がそう言うと、迫信がそう割り込む。

 

「? 如何言う事です?」

 

「実は………」

 

清光に問われ、迫信が事の詳細を説明する。

 

「何だ、君達が用が有るのは本多くんじゃなくて、神狩くんの方か」

 

「それならそうと言ってよ」

 

「何や? 白狼の事も知っとるんか?」

 

宗近と清光の言葉を聞き、豹詑がそう尋ねる。

 

「ああ、神狩くんは良くこの学園艦にも来てくれていたからね。私達以外にも、彼と親しくしていた生徒は多いよ」

 

「ええっ!? そうなんですかっ!?」

 

「意外な交友関係だな………」

 

白狼が良く冥桜学園を訪れていたと言う事に、優花里が驚きの声を挙げ、海音も意外そうな顔をする。

 

「では、彼が今居る場所については?」

 

「申し訳ありません」

 

「私達は何も………」

 

肝心の質問をする迫信だったが、大和と吹雪は申し訳無さそうな顔をする。

 

「そうですか………」

 

それを聞いて、優花里が落ち込んだ様子を見せる。

 

「あの! もし宜しければ、私達の学校へ行って、他の皆さんにも聞いてみましょうよ!」

 

するとそこで、吹雪がそんな提案をして来た。

 

「良いんですか?」

 

「ハイ! 神狩さんの友達なら、私達にとっても友達ですから」

 

みほの問いに、吹雪は屈託の無い笑顔を浮かべてそう返す。

 

「ありがとうございます!」

 

「助かるよ………」

 

みほは吹雪に向かって頭を下げ、迫信はお馴染みの扇子を広げて口元を隠すポーズを取った。

 

その後、皆は注文した甘味を食し終わると、吹雪達の学園………

 

『冥桜大学付属鎮守府学園』へと向かったのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

冥桜大学付属鎮守府学園・玄関………

 

「およ、吹雪ちゃん、皆!………およ? お客さんなのです?」

 

吹雪達の学校………『冥桜大学付属鎮守府学園』の玄関で、吹雪達と大洗機甲部隊の面々を迎えたのは、白地に暗緑色のセーラー服の上に黒の長袖上着を着た、優花里の様に触り心地が良さそうなショートヘアをした、少し変わった口調の少女だった。

 

「こんにちは、『睦月』ちゃん」

 

「こちらは、大洗機甲部隊の皆さんだよ」

 

その少女………『柴田 睦月』に向かって、大和と吹雪がそう言う。

 

「おお~! 大洗と言えば、今戦車道・歩兵道で驚異の快進撃を続けている、あの!」

 

「ど、どうも………」

 

それを聞いた睦月は、キラキラとした目で大洗機甲部隊の一同を見やり、その視線を受けたみほが照れた様子でそう返す。

 

「それより、睦月ちゃん。ちょっと聞きたいんだが………」

 

「神狩くんの行き先を知らないか?」

 

とそこで、宗近と清光が、睦月にそう問い質す。

 

「にゃ? 神狩くんの? さあ? 睦月はちょっと分からないのです………あ! そうにゃし! 今教室に、『夕立』ちゃんが居るから、ちょっと聞いてみるのです」

 

睦月はそう言うと、校舎の中に入って行き、吹雪達と大洗機甲部隊の面々も、その後に続くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

冥桜大学付属鎮守府学園・某教室………

 

「夕立ちゃん、居る?」

 

「ぽい?」

 

睦月がそう言って教室のドアを開けると、室内の椅子の1つに腰を掛け、本を読んでいた亜麻色のストレートヘアを背中まで長く伸ばしており、前髪は斜めに軽く揃えてカットして、上のところで黒い細身のリボンで結んでいるグリーンの瞳をした少女………『宮本 夕立』が反応する。

 

「睦月ちゃん、夕立に用事っぽい?」

 

「ううん、用が有るのはこの人達ぞよ」

 

夕立がそう尋ねると、睦月は大洗機甲部隊の面々を示す。

 

「初めまして、私達は………」

 

みほが代表して、自分達の紹介と目的を説明する。

 

「白狼が今居る場所~?」

 

「うん、夕立ちゃん、何か知らない?」

 

「さあ~、知らないっぽい~?」

 

「どっちなんだ?」

 

夕立のぽいぽいと言う口調に、重音が呆れる様に呟く。

 

「アレ、お客さん? ねえねえ、夜は好き?」

 

「姉さん、失礼ですよ」

 

とそこで今度は、廊下の方に、茶髪のセミロングをツーサイドアップにし、髪と同じ茶色い瞳をした少女と、その少女を姉と呼ぶ長髪の先端を縛り、後頭部に緑のリボンを付けている少女が現れる。

 

「あ、『川内』さん、『神通』さん」

 

「お疲れ様です!」

 

「お疲れっぽい~」

 

その2人の少女………『服部 川内』と『細川 神通』に向かって、吹雪、睦月、夕立の3人が、畏まって挨拶する。

 

「およ? 『那珂』ちゃんは?」

 

そこで睦月が、川内と神通にそう尋ねる。

 

「アレ? さっきまで居たんだけどなぁ?」

 

川内がそう言った瞬間………

 

「那珂ちゃんでぇ~すっ!!」

 

「うん?………」

 

そう言う声が外から聞こえて来て、一同は窓から外を見やる。

 

「冥桜のアイドル! 那珂ちゃんのライブやりま~す!! 皆! 来ってね~~っ!!」

 

そう言いながら、手作りと思われるビラを、道行く生徒達に配っているシニヨンヘアの少女………『出雲・那珂・阿国』の姿が在った。

 

「あの子もスクールアイドルなんだ」

 

「アレが那珂ちゃんさん?」

 

「妹もスミマセン………」

 

そんな那珂の姿を見て聖子とみほがそう呟き、神通が謝罪して来る。

 

「それで、貴方方は?」

 

「我々は………」

 

川内が大洗機甲部隊の面々について尋ねると、迫信が代表して自己紹介と目的を述べる。

 

「そうでしたか、神狩さんを探して」

 

「アイツ、此処の学園以外にも仲間が居たんだ」

 

(この人達も神狩殿の知り合いですか………)

 

事情を聞いた神通と川内がそう言い合うのを聞いて、優花里が内心でそう思う。

 

「それで、彼の行く先に心当たりは?」

 

「いや、悪いけど、ちょっと分からないかなぉ………」

 

迫信が尋ねると、川内はそう返す。

 

「生徒会の方達なら、何か知ってるかも知れません。案内しますね」

 

「何だか、盥回しにされてる様な気がするな………」

 

「仕方ないですよ、司馬さん」

 

神通はそう言い、冥桜学園の生徒会室へと案内を始めるが、盥回しをされている感を感じた俊がそう愚痴り、清十郎が宥めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

冥桜学園・生徒会室前………

 

吹雪達と大洗機甲部隊の一同が、生徒会室前へと辿り着くと、2人の女性が丁度生徒会室から退室して来たところだった。

 

「アラ、吹雪ちゃん達………お客さんですか?」

 

2人の女性の内、黒髪のショートヘアの女性がそう言って来る。

 

「こんにちは、『高雄』さん」

 

「『愛宕』さんもこんにちはっぽい?」

 

吹雪が『高雄』と呼ばれた女性にそう返すと、夕立はもう1人の、『愛宕』と呼んだ金髪のロングヘアの女性にそう言う。

 

すると………

 

「ぱんぱかぱーんっ!!」

 

『愛宕』と呼ばれた女性の方が、突如両腕を広げる様なポーズを取ってそう口走った。

 

「「ぱんぱかぱーんっ!!」」

 

「ぱんぱかぱーんっぽい!」

 

すると、吹雪、睦月、夕立が同じ事をし返した。

 

「な、何だ?………」

 

「挨拶………なのか?」

 

その様子に、大洗機甲部隊の面々は困惑する。

 

「デ、デカイ! あんなデカイのは初めて見たぜっ!!」

 

そんな中で、了平は『高雄』と『愛宕』の身体の一部分………

 

とどのつまりは胸を見て、大興奮した様子を見せる。

 

「!? へぶっ!?」

 

「…………」

 

だがその瞬間に、弘樹に後頭部を掴まれ、思いっきり壁に顔面を叩き付けられた!

 

「………学友が大変な失礼を働きました。深くお詫び申し上げます」

 

『高雄』と『愛宕』の両名に向かって、深々と頭を下げる弘樹。

 

「い、いや、そこまでしなくても………」

 

「そうよ~。それぐらい、男の子なら当然の反応じゃない」

 

弘樹の容赦無い制裁と深い謝罪に困惑する『高雄』と、気にするどころかノリノリな様子を見せる『愛宕』

 

「あ、申し遅れました。私、『北条 高雄』です。こちらは妹の………』

 

「『北条 愛宕』よ。よろしくね~」

 

そこで、場の空気を変える様に『北条 高雄』と、その妹の『北条 愛宕』は自己紹介をする。

 

「御丁寧にどうも。我々は………」

 

再び迫信が代表し、挨拶と自己紹介、事情の説明を行う。

 

「そう、神狩くんの事で………」

 

「丁度生徒会長も居るし、聞いてみたら良いんじゃないかしら」

 

「ハイ、それで案内して来たんです」

 

高雄と愛宕がそう言うと、吹雪がそう返す。

 

「生徒会長方は中に居ます。粗相の無い様にお願い致します」

 

「あまり大人数で入っても迷惑だろう。何名か代表を絞ろう」

 

高雄が続けてそう言うと、迫信は生徒会室に入室するのは代表のみにしようと提案。

 

そして代表者は両校の生徒会長である迫信と杏、それに総隊長のみほとその近衛として弘樹、そして白狼の事を誰よりも知りたい優花里と飛彗と言う人選になった。

 

 

 

 

 

冥桜学園・生徒会室………

 

室内にノックの音が響く。

 

「入れ」

 

「失礼致します」

 

入室の許可が下りると、迫信を先頭に、代表の一同が入室する。

 

室内には、生徒会長の机と思われる机に付いて居る黒いロングストレートの髪の女性と、その傍に控えている茶髪のショートヘアの女性。

 

それに、何かしらの報告をしていたと思われる黒髪に翠眼の少年。

 

そして、片隅のデスクで、書類を整理していると思われるメガネの女性の姿が在った。

 

「私が冥桜学園の生徒会長、『織田 長門』だ」

 

「副会長の『森 陸奥』よ」

 

机に付いて居る黒いロングストレートの髪の女性『織田 長門』と、傍に控えていた茶髪のショートヘアの女性『森 陸奥』がそう自己紹介する。

 

「僕は『堀川国広・歳三』です。そちらは書記官の『毛利 大淀』さん」

 

「どうも………」

 

黒髪の男性『堀川国広・歳三』もそう自己紹介し、メガネの女性『毛利 大淀』の事も紹介する。

 

大淀は仕事が忙しいのか、軽く会釈だけすると、また書類に向き直る。

 

「初めまして、大洗男子校生徒会長の神大 迫信です」

 

「大洗女子学園生徒会長の角谷 杏だよ~」

 

「に、西住 みほです」

 

「舩坂 弘樹です」

 

「秋山 優花里であります」

 

「宮藤 飛彗と言います」

 

それに答える様に、迫信達も自己紹介をする。

 

「早速だが、君達が我が学園に来た目的を教えてもらおうか」

 

それを聞き終えた長門は、少々威圧気味にそう問い質す。

 

「それは………」

 

迫信はそれを気にする事なく、事情を説明する………

 

「………そうか。神狩の奴の行方を追ってか」

 

「あの子も良い戦友を持ったじゃない」

 

「ええ、ココまで追って来てくれるなんて、良い人達ですよ」

 

事情を聞き終えた長門、陸奥、堀川国広がそう言い合う。

 

「それで………彼の行方については?」

 

「残念ながら、我々には心当たりが無い」

 

迫信が肝心の質問をするが、長門は知らないと返す。

 

「「…………」」

 

途端に、優花里と飛彗の顔に影が差す。

 

「長門、『金剛』達なら知ってるんじゃない? 美嵩と結構親しかったし」

 

するとそこで、陸奥がそんな事を言って来る。

 

「『金剛』?」

 

「誰ですか?」

 

「この学園の生徒ですよ。武道の学園である我が校でも、特に優れた武術者であると知られています」

 

弘樹とみほがそう言うと、堀川国広がそう答える。

 

「へえ~、凄い人なんだねぇ」

 

「きっと傍から見ても憧れる様な方なのでしょうね」

 

杏がそう言い、大洗の武人達を見ている優花里が、『金剛』なる人物への想像を膨らませる。

 

と、その時………

 

「て~~~~~と~~~~~~く~~~~~~~っ!!」

 

何やら女性の声と思わしき声と共に、地震の様な足音と振動が生徒会室に伝わって来る。

 

「な、何っ!?」

 

「!?………」

 

みほが驚き、弘樹も戦闘態勢を取る。

 

その瞬間!!

 

生徒会室のドアが勢い良く開かれ、ブラウン色のロングヘアに両サイドにお団子を結ったアホ毛が生えている女性が姿を見せる。

 

「バァァァニングゥ! ラァァァヴ!!」

 

そして跳び上がりながら回転し、大淀の頭に飛び付いた。

 

「提督~~!………! アレッ!? コレは提督じゃなくて、Oh!淀ですか!?」

 

「大淀です………」

 

飛び付かれたままの状態で書類整理を続けていた大淀が、若干不機嫌そうにそう答える。

 

「生憎、提督は席を外している」

 

「SHIT! でも次は負けまセン! 提督のハートを掴むのは私デース!!」

 

そう言って燃え上がる様子を見せる女性。

 

「………ひょっとして、この方が? 『金剛』さん?」

 

「その様だな………」

 

飛彗が呆気に取られた様に呟くと、弘樹もそう言いながら戦闘態勢を解く。

 

「ところでこの人達は?」

 

「別の学園艦から来た連中だ」

 

「大洗からだそうよ」

 

『金剛』と思われる女性が、漸く弘樹達の存在に気付くと、長門と陸奥がそう答える。

 

「と言う事は、YOU達がミッキーの言ってたNEWナマクラ達ネ!」

 

「ミッキー?」

 

「本多 美嵩の事だろうね」

 

杏がミッキーと言う人物に首を傾げると、迫信が美嵩の事であると推察する。

 

「な、なまくらって………」

 

「まあ、いずれ磨き上げれば、立派になれるっていうしネー。でも立派さなら私だって負けないネー!」

 

と、『金剛』と思わしき女性は、みほ達に向き合ったかと思うと………

 

「金剛隊総隊長! 英国で生まれた帰国子女! 『豊臣 金剛』デース!」

 

「同じく副隊長! 恋も戦いも負けません! 『石田 比叡』です!」

 

「同じく第2副隊長! 『島 榛名』! 全力で参ります!」

 

「同じく総参謀長! 隊の頭脳! 『竹中 霧島』!」

 

「「「我等! 金剛4姉妹」」」

 

「デース!!!」

 

何時の間にか現れた3人の女性と共に、名乗りを挙げてポーズを決めた!

 

「成程………貴方方が金剛さんとその姉妹の方ですか」

 

「時々弘樹くんのその冷静さが怖くなるよ………」

 

唖然としていた一同の中で、怖いくらいに冷静な弘樹の様子に、みほがそうツッコミを入れる。

 

「全く………何の積りだ?」

 

米神の辺りを押さえながらそう問い質す長門。

 

「それが、長い修行を終えての帰還と言う事で………」

 

「『提督』にアピールしようと、金剛お姉さまのテンションが上がりまくりまして」

 

すると、『大谷 榛名』と『竹中 霧島』がそう答える。

 

「そもそも、比叡達は何時から此処で用意をしていた」

 

「それは勿論! コッソリ迅速に忍び込んで!」

 

「無駄に高い隠密スキルだね~」

 

『石田 比叡』がそう言うと、杏も呆れ気味にそうツッコミを入れる。

 

「あの………『提督』って?」

 

とそこで、みほが先程から会話に出ている『提督』なる人物の事について尋ねる。

 

「我々の長だ。この学園では、在学中の学生の中で最強の強さを持つ者を『提督』と呼び、生徒会長の上に君臨させる風習がある」

 

「武闘派の冥桜学園で最強の存在か………興味深いね」

 

長門がそう答えると、迫信が広げた扇子で口元を隠しながらそう言う。

 

「それで、YOU達は何をしに来たデスかー?」

 

「実は、神狩 白狼の事に付いて聞きたいのだが………」

 

改めて『豊臣 金剛』がそう問い質すと、迫信が事情を説明する。

 

「Ohー、そうですか………でも、残念ながら、私達もホローの行方は知らないデース」

 

「また駄目ですか………」

 

「金剛お姉様。ひょっとすると、『島風』ちゃんなら知っているかも知れません」

 

またもや空振りに終わったかに見えたが、そこで霧島がそんな事を言って来た。

 

「『島風』?」

 

「最近、彼女が神狩くんに会ったと言う話を聞いた事あります」

 

「成程! ぜかましなら知ってるかも知れまセーン!」

 

「では、申し訳無いが、すぐに呼び出してもらえないだろうか?」

 

「それは無理ね」

 

迫信が『島風』なる人物の呼び出しを願うが、陸奥がそう返す。

 

「? 如何してですか?」

 

「島風ちゃんは非常に自由奔放な子で………呼び出しても気分が乗らなければ来ないし、何処に居るかも把握出来ていないんです」

 

「それは自由と言うより無責任なんじゃないですか?」

 

榛名の説明に、優花里がそうツッコミを入れる。

 

「仕方が無い………兎に角、その『島風』と言う人物を探すしかないな」

 

弘樹がそう言い、『島風』なる人物の一大捜索が開始されるのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させていただきました。

白狼の行方を知る美嵩の友人が居ると思われる冥桜学園に来た大洗の一同。
そして意外な事に、白狼も冥桜学園と関わりが深い事を知る。
行方を知る人物を探して回る大洗の一同だが、盥回しにされる………
そして最後の希望を掛けて………
『島風』なる生徒の捜索に出るのだった。

今回は艦娘登場回ですね。
次回も更に艦娘が登場します。
流石に全員出すのは無理なので、アニメ版で中心だったキャラ+αでお送りします。
御了承下さい。

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。