ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース 作:宇宙刑事ブルーノア
『ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース』
第135話『激突です!』
六郎達、一航専の航空隊が、西部の爆撃機部隊を食い止めている間に………
西部劇の街並みのセットを利用して、得意のゲリラ戦を展開した大洗機甲部隊………
待ち伏せや、建物のセットを破壊して登場の不意打ち、建物のセットそのものを爆弾と化した作戦で………
早くも複数の西部戦車を撃破する………
だが、クロエもそれに対抗する様に、隊を分散させての遊撃戦の許可を出す………
西部劇の街並みのセットがあるエリアは………
両軍の部隊が入り乱れた、混沌の戦場と化すのだった………
第7回戦の試合会場………
和製西部劇の撮影所・西部の街並みのセットが在るエリア………
1列縦隊を取っているシロミのイージーエイトが率いるM4A3が2輌とチャーフィーが1輌からなる戦車小隊。
周りには馬に跨った騎兵を中心としたの随伴歩兵部隊の姿も在る。
少し進むと、道が合流する開けた場所に出る。
正面には教会のセットが建てられている。
「全部隊、停止。見通しが良過ぎるわ。随伴部隊は先行。周囲を確認して」
「「「「「「「「「「了解っ!!」」」」」」」」」」
見通しが良過ぎる為、シロミは一旦戦車小隊を停止させると、随伴して居た歩兵分隊を先行させて、偵察させる。
「………クリア!」
「コチラもクリアです!」
「クリアッ!!」
各通りに待ち伏せがないか確認すると、次々にクリアの声が挙がり始める。
………と、その時!
突如、オルガンの音色が響いて来た。
「!? 何だっ!?」
「あの教会からです!」
それが教会から聞こえて来たものであると気付くと、西部歩兵部隊は教会の近くに集まる。
「「「「「…………」」」」」
そして数名の西部歩兵達が、教会の入り口の前に立つ。
「…………」
1人が罠を警戒しながら、ゆっくりと扉を少し開ける。
「「「「「…………」」」」」
罠が無い事を確認すると、他の西部歩兵と顔を見合わせる。
「「「「「!!………」」」」」
そして扉を蹴破って、其々に獲物を構えて、一気に教会の中へと雪崩れ込んだ!!
「…………」
そこには、入って来た西部歩兵達に背を向ける形で、オルガンを弾いている1人の神父の姿が在った。
「神父様?………」
「あの、何やってるんですか?」
「今は戦車道と歩兵道の試合中ですよ?」
神父の姿を見た西部歩兵達がそう言いながら、武器を降ろして近づく。
「! 待てっ!!」
「「「えっ?」」」
しかし、西部歩兵の1人が何かに気付いた様にそう声を挙げ、他の西部歩兵達が戸惑いの声を挙げた瞬間………
神父は両手を鍵盤に叩き付け、不協和音を鳴らした!
「「「「「!?」」」」」
西部歩兵達が驚いていると、神父は椅子から立ち上がる。
「我等は軍神の代理人………神罰を執行する地上代行者………」
そしてそんな台詞を口走り始めたかと思うと、袖口から銃剣(バイヨネット)が飛び出し、両手に握られる。
「我らが使命は! 我が軍神に逆らう愚者を! その肉の最後の一片までも絶滅する事! エェェェェェイメェェェェェンン!!」
殺気と闘気を漲らせながら、神父………竜作は銃剣(バイヨネット)を独特の構えで十字を象る様に構え、火花を散らさせる!
「! 大洗の!?」
慌てて武器を構え直す西部歩兵達だったが………
「貴様等! こんなところで長々と何をしている!? 鼠の様に逃げおおせるか! この場で死ぬか! どちらか選べえええええぇぇぇぇぇぇぃっ!!」
その瞬間には、竜作は両手の銃剣(バイヨネット)で、西部歩兵達に踊り掛かった!!
「「「「「ぎゃああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーっ!!」」」」」
「!? 如何した!?」
「何があったっ!?」
突然教会内から聞こえて来た悲鳴に、外で待機していた西部歩兵達が、慌てて教会内へと突入しようとする。
と、その瞬間!!
教会のドアが勢い良く開き、戦死判定を受けた西部歩兵達が人形の様にブッ飛ばされて来た!!
「「「「「!?」」」」」
「!? 何っ!?」
その様に、待機していた西部歩兵達と遠目で見ていたシロミは驚きを露わにする。
「かあああああぁぁぁぁぁぁ~~~~~~~………」
すると続けて、教会の中から両手に銃剣(バイヨネット)を握り、口から煙の様に息を吐いている竜作が姿を現す。
「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」
この世のモノとは思えぬ異様な雰囲気に、シロミ達と西部歩兵達は一瞬気圧される。
「う、撃てっ! 撃てぇっ!!」
「「「「「「「「「「!!」」」」」」」」」」
恐怖に駆られた西部歩兵の1人がそう叫び、西部歩兵達が一斉に銃を竜作に向ける。
「ぶるぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
途端に竜作は独特な掛け声を挙げ、手近に居た西部歩兵1人を、両手の銃剣(バイヨネット)で斬り付けた!!
「!? ぎゃああっ!?」
斬り付けられた西部歩兵は、悲鳴と共に倒れ、戦死と判定される。
「! クソッ!」
それを見た別の西部歩兵が、手榴弾を投擲しようとしたが………
「アイテムなぞ使ってんじゃねぇっ!!」
それよりも早く、竜作が多数の銃剣(バイヨネット)を投擲した!
「!? ゲバナッ!?」
全身に銃剣(バイヨネット)が突き刺さり、ハリネズミ状態となって戦死判定を受ける西部歩兵。
「貴様等の死に場所は………ここだ! ここだ! ここだぁぁぁ!!」
「ぎゃあああああっ!?」
「バケモンだぁっ! 助けてくれぇーっ!!」
怪物染みた雰囲気と強さの竜作を前に、西部歩兵達は士気崩壊を起こしかける。
「マズイ! 戦車前進っ!! あの歩兵を仕留めるわっ!! 榴弾装填っ!!」
それを見たシロミが、西部歩兵部隊を助けようと、自車のイージーエイトを含めた戦車部隊を、竜作が居る教会前の広場まで前進させる。
だが、その瞬間!!
最後尾に居たM4A3の後部が爆発!
砲塔上部から白旗を上げた!
「!? 何っ!?」
シロミが後ろを振り返ると、そこには………
「やったっ! 命中したっちゃ!!」
「うむ、良い腕だ」
砲口から硝煙を上げている三式と、その隣に土嚢を積み上げて設置された砲兵陣地に備えられた8.8 cm PaK 43に付いて居る紫朗を中心とした砲兵の姿が在った。
「!? 大洗の戦車!? しまった! あの歩兵に気を取られている内に後ろに………!? 旋回中止っ!!」
すぐさま反転して三式と紫朗達を狙おうとしたシロミだったが、何かに気づいて旋回を止めさせる。
途端に、イージーエイトの正面装甲に、37ミリ砲弾が命中。
明後日の方向へと弾かれたが、もし旋回を続けていたら、側面後部のエンジン部を直撃されていただろう。
「アチャ、気づかれたか………勘の良い奴」
その砲撃の主は、建物の前に停まっていた馬車の陰に隠れていた、カメさんチームの38tだった。
「! 38tか!」
「このぉっ!!」
シロミが声を挙げると、もう1輌のM4A3が、38tに向かって発砲する!
「小山っ!」
「ハイッ!!」
だが、間一髪のところで38tは発進し、M4A3の砲弾は、馬車を粉々にし、建物に命中して爆発・炎上させる。
「逃がすかぁっ!!」
と、発進した38tを、快速のチャーフィーが追う。
「左旋回っ!」
「ハイッ!!」
それを見た杏がそう指示すると、38tは通りの入り口前を掠める様に左旋回。
「チイッ! 生意気なっ!!」
チャーフィーもすぐに左旋回するが、最高速度が上のチャーフィーは38tより旋回が大回りとなり、通りの入り口まで入ってしまう。
途端にチャーフィーが大爆発!
爆煙が治まったかと思うと、砲塔上部から白旗が上がった!
「!? 通りの入り口に対戦車地雷が!?」
それが対戦車地雷の爆発であった事に気づいたシロミがそう声を挙げると………
「今だっ! 行けぇっ!!」
「「「「「「「「「「うおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーっ!!」」」」」」」」」」
俊の掛け声と共にセットの建物の中から、次々に大洗歩兵が飛び出して来た。
「!? しまった! 誘い込まれたわっ!!」
「フフフ………通りが繋がっている広場を包囲網に使うとは予測出来なかった様だな」
十河が、慌てた様子を見せるシロミの姿を見てほくそ笑む。
「さて、撃破出来るかな?………」
しかし、対照的に迫信は、油断無くシロミの小隊を見据えていた。
一方、その頃………
大洗機甲部隊と西部機甲部隊が激突している西部劇の街並みのセットへと向かう小隊規模の部隊の姿が在った………
「大分遅れてしまいましたわ。皆さんはご無事でしょうか?」
ロケット弾の再装填を終えたノーラのシャーマン・カリオペと、その護衛部隊だ。
「ノーラさん。連絡のよると、現在我が部隊は街のセット内で、大洗機甲部隊とゲリラ戦を展開していると」
とそこで、護衛部隊の歩兵の1人からそう報告が挙げられる。
「ゲリラ戦? 空爆要請の後に一気に制圧攻撃を掛ける筈だったのでは?」
「空爆が敵の戦闘機部隊に阻止されたので、そのまま街のセットへ突入して遭遇戦となった様です」
「成程。クロエさんらしいですわね」
「如何なさいますか?」
「街のセットの近くまで行ったら、ロケット弾で制圧攻撃を駆けますわ」
「それでは味方を巻き込む可能性がありますが………」
「私達の部隊にフレンドリーファイアでやられる様な方がいらっしゃるかしら?」
西部歩兵の指摘に、ノーラは微笑みながらそう返す。
「………それもそうですね」
それを聞いて、西部歩兵は納得が行った様子を見せる。
「まあ、一応攻撃前には通信で連絡します。心配ないでしょう」
そう言って、ノーラは護衛部隊と共に、改めて街のセットの所へ向かう。
だが、その様子を目撃した者が居た………
「! 皆! 9時の方向!!」
「「「「「「「「「「!!」」」」」」」」」」
敵部隊の一部を撃破し、一旦離脱していたウサギさんチームとハムスターさん分隊、そしてレオポンさんチームとおおかみさん分隊の面々だ。
「カリオペじゃねーか!?」
「アカン! ロケット弾の補給が終わったんか!?」
迫り来るシャーマン・カリオペの姿を見て、海音と豹詑がそう声を挙げる。
「ありゃあ、こりゃマズイね」
「あの西部機甲部隊の事だ………味方が居るのも構わず、フレンドリーファイアでやられるワケないって、ロケット弾で制圧攻撃してきそう」
「想像出来るのが怖いね………」
ツチヤがそう漏らすと、スズキとホシノもそう言い合う。
「如何する? ウサギさんチーム」
そこでナカジマが、ウサギさんチームへ通信を送って対応を相談する。
「………私達で相手をしましょう!」
すると梓は、一瞬の逡巡の後、そう言い放った。
「ええっ!?」
「マジっすかっ!?」
あやと桂利奈が驚きの声を挙げる。
「大丈夫! 総隊長の言いつけ通り、コッチは2チームだから」
「でも、護衛部隊が………」
あゆみがシャーマン・カリオペを守っている西部歩兵部隊と、M4A3が2輌とチャーフィーが1輌の戦車小隊を見てそう言う。
「それは僕達が何とかします」
するとそこで、飛彗がそう言って来た。
「良いですね? ハムスターさん分隊の皆さん」
更にそう言い、ハムスターさん分隊の面々に確認を取る飛彗。
「正直言うと凄く怖いです。でも………」
「今相手を出来るのは、僕達だけですからね」
その問いに、勇武と光照がそう返す。
「…………」
「ジェームズ、オリバーが気になるのは分かるけど………」
「分かってマス。今は目の前のエネミーに対処するのが先決デス」
オリバーを気にするジェームズにそう言う竜真だったが、ジェームズは分かっている様子だった。
「良し、行くよ」
「OK。それじゃあ、派手に行こうか」
最後に梓とナカジマがそう言い合うと、ウサギさんチームとハムスターさん分隊、そしてレオポンさんチームとおおかみさん分隊は、ノーラのシャーマン・カリオペとその護衛部隊に向かって行ったのだった。
一方、その頃………
あんこうチームととらさん分隊、サンショウウオさんチームとタコさん分隊は………
西部の街並みのセットの一角………
鉄道の駅舎の敷地内で戦っていた。
「うおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーっ!!」
唯の凡そ女の子らしくない叫び声と共に爆走するクロムウェル。
「撃て! 撃てっ!!」
そのクロムウェルの前方に横隊で展開していた3輌のM4A3が、次々に発砲する。
「ぐううっ!!」
クロムウェルはスラローム走行で蛇行し、M4A3から放たれた砲弾を全てかわす。
「クソッ! 速いっ!!」
「伊達に第二次世界大戦中最速の戦車って言われてねーぞっ!!」
そしてそのまま、クロムウェルは展開していた3輌のM4A3の間を擦り抜け、背後へと回った!
「回り込まれた!」
「旋回! 急いでっ!!」
後ろに回られた事で、すぐに砲塔旋回と信地旋回を行う3輌のM4A3。
だが、直後!!
横隊の右端に居たM4A3の後部に砲弾が命中!!
エンジンが爆発して黒煙が上がったかと思うと、白旗を上げる。
「!? 何っ!?」
「!? あそこだ!」
何事かと見やった残り2輌のM4A3の車長達は、敷地内に敷かれたレールの上に停めてあった2両の客車の間から、Ⅳ号の砲身が伸びているのを見つける。
「クソッ! Ⅳ号かっ!! 先にヤツを………」
「待て! クロムウェルがまた来るぞっ!!」
片方のM4A3は、先にⅣ号を片付けようとするが、そこで通り抜けて行ったクロムウェルが反転し、再びM4A3の方へと向かって来る。
「歩兵部隊! クロムウェルを止めてっ!!」
「了解っ!」
「俺に任せろっ! 吹っ飛ばしてやるぜっ!!」
そこで、片方のM4A3の車長がそう命じると、随伴していた西部歩兵がそう返し、西部の対戦車兵がクロムウェルにバズーカを向けた!
「! 唯ちゃん! 10時の方向っ!!」
「! ヤベッ!!」
しかし、間一髪のところでその対戦車兵の存在に気付いた聖子がそう叫ぶと、唯はクロムウェルを急停止させる!
直後に、西部対戦車兵のバズーカから放たれたロケット弾が、クロムウェルのすぐ目の前の地面を直撃。
派手に土煙を撒き上がらせる。
「アッブネェ………」
「後退っ!!」
「!!」
聖子からの指示で、唯はすぐにクロムウェルを後退させる。
だが………
「残念だったなっ! そう動くのは予想済みだ!!」
残っていた2輌のM4A3の内の1輌が、クロムウェルの進路を予測し、狙いを定めていた!
「! 優ちゃん! 砲塔旋回っ!!」
「駄目です! 間に合いませんっ!!」
先んじて撃とうと、優に砲塔旋回を指示する聖子だったが、優からは間に合わないと言う返事が返って来る。
「貰ったぁっ!!」
クロムウェルに狙いを定めたM4A3の砲手はそう言って、トリガーに指を掛けたが………
「その隙が命取りだ………」
そう言う台詞と共に貨車の上に現れた弘樹が、手にしていた火炎瓶をM4A3に向かって投げつけた!!
火炎瓶はM4A3のエンジンルームの上部に叩き付けられたかと思うと割れ、中の液体が一気に燃え上がった!!
「!? うわぁっ!? 火がっ!?」
「しょ、消火器っ! 消火器ぃっ!!」
エンジン部が炎上した事に動揺し、M4A3の車内は大混乱となる。
やがてボンッ!と音を立ててエンジンが黒煙を上げ、停止。
M4A3の砲塔上部から、白旗が上がる。
「しまったっ!?」
「オノレェッ! 舩坂 弘樹!!」
すぐに展開していた西部歩兵が、貨車上の弘樹に向かって発砲を始める。
「…………」
弘樹は慌てず、貨車の後部へ飛び降り、車輪部分を盾にする形で応戦を始める。
「ぐあっ!?」
その応戦で、西部歩兵の1人が撃ち抜かれて戦死判定を受ける。
「クソッ! たかが歩兵1人に!!」
「撃て撃て! 撃ちまくれっ!!」
自分達が有利な状況の筈なのに損害を受けた事で頭に血が上り、弘樹1人に攻撃が集中し始める。
すると………
「貰いました」
「HAHAHAHA! サ・ヨ・ナ・ラ・ネッ!!」
九九式軽機関銃を持った楓と、ウィンチェスターM1912を持ったジャクソンが、弘樹への攻撃に夢中になっていた西部歩兵達の横へと回り込み、機関銃の掃射と散弾を浴びせた!!
「「「「「!? うわああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!?」」」」」
対応が遅れた西部歩兵達は、瞬く間に蜂の巣にされて戦死判定を受ける。
「やったなぁっ!!」
そこで、残り1輌のM4A3が、同軸機銃と車体機銃を楓とジャクソンに向かって掃射して来る。
「!!」
「OH! デンジャーッ!!」
すぐに2人は、近くに在った砂利の山の陰に隠れる。
「クッ! 逃げられた………!? クロムウェル接近っ!!」
そこで、クロムウェルが正面から接近して来ていた事に気付くM4A3の車長。
「今度こそ!」
「旋回します!」
今度こそ仕留めようと砲塔を旋回させる砲手と、車体を動かす操縦手。
「!? 待てっ!? 後方よりⅣ号接近っ!!」
だがそこでM4A3の車長は、後方からⅣ号が突撃して来ている事に気付く。
「ええっ!?」
「ど、どっちを狙えば良いんですかっ!?」
操縦手が驚きの声を挙げて手を止め、砲手もどちらを狙えば良いのかと問い質す。
「え、ええとっ!?………」
それを受けて、どちらを先に狙うべきか考えてしまうM4A3の車長。
だが、車長は砲手からの『どちらを狙えば良いのか?』と言う質問のせいで、『逃げる』と言う選択肢が、頭の中から抜け落ちてしまっていた。
その間に、Ⅳ号とクロムウェルは、M4A3を左右から挟み込む様に位置取る!
「撃てっ!!」
「発射っ!!」
そのまま、至近距離から75ミリ砲と6ポンド砲のサンドイッチをお見舞いする!
為す術も無く、M4A3は派手に爆発し、やがて爆煙が晴れると、煤けて白旗を上げている姿が露わになった。
「やったぁっ!」
「お見事です、聖子さん」
黒煙を上げるM4A3を挟んで、キューポラから姿を現して歓声を挙げる聖子と、その聖子を褒めるみほ。
「敵歩兵部隊の排除も完了しました」
更にそこへ、そう言う報告と共に、弘樹を初めとしたとらさん分隊とタコさん分隊の面々も集結する。
「ありがとう………上手く遭遇戦に持ち込めてる。この調子で………」
と、みほが戦況の推移が良い方向に向かって来ていると確信し始めた、その瞬間!!
突如、駅舎の建物が、派手に音を立てて粉々に粉砕された!!
「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」
何事かと、駅舎の方向に全員の視線が集まる!
「見つけたあああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーっ!!」
と、そういう叫び声と共に、舞い上がった粉煙の中から、ヘルキャットが飛び出して来る。
そのハッチからは、クロエが姿を覗かせている。
「!? ヘルキャットッ!?」
「そんなっ!? 建物の中を平気で突っ切って来たっ!?」
「爆薬が仕掛けられているかも知れないのは知っていた筈ですよっ!?」
みほ、聖子、優花里が驚きの声を挙げる中、ヘルキャットはみほ達の前にドリフトしながら停まる。
「フフフ………運が良かったわ。駅舎に爆薬は無かったみたいね」
そう言って僅かに狂気が感じられる笑みを浮かべるクロエ。
「こ、怖い………」
「ぜってぇーアイツ、真面な神経してねえぜ………」
そんなクロエの姿に、沙織と唯が恐怖を感じる。
「待ってよー、クロエー!」
とそこで、ヘルキャットが破壊した駅舎の残骸を超えて、ミケの乗るスチュワートも姿を現す。
「! フラッグ車だっ!!」
「「「「「「「「「「!!」」」」」」」」」」
地市が挙げた声で、今度はスチュワートに全員の視線が集まる。
「丁度良いわね。そっちもフラッグ車と護衛1輌。イーブンよ。存分にやり合いましょうか」
「…………」
相変わらず独特の価値観で語るクロエに、みほは己の頬に冷や汗が伝うのを感じるのだった。
つづく
新話、投稿させていただきました。
前回、カバさんチームとジャンボが激突しましたが、今回はその他のチームの対戦カードの発表です。
更に、一部には西部歩兵部隊のメンバーが乱入して来る予定です。
いよいよ戦闘は山場に突入します。
どの対決もお楽しみに。
では、ご意見・ご感想をお待ちしております。