ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース 作:宇宙刑事ブルーノア
今更ながら、西 絹代の学年の設定が、当初の3年生から2年生に変更されているのを知りまして………
しかし、私のこの作品の中では、弘樹の元上官と言う設定との兼ね合いの為、3年生という設定のままにさせていただきます。
御理解・ご了承ください。
『ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース』
第134話『西部の街の戦いです!』
アヒルさんチームが脱落し、ペンギンさん分隊とワニさん分隊に多数の脱落者を出した大洗機甲部隊は………
敢えて西部機甲部隊に空爆のチャンスを与え、攻勢に出て来たところで得意のゲリラ戦に持ち込むと言う賭けに出た………
その目論み通り………
西部劇の街並みのセットの中に展開した大洗機甲部隊に、西部機甲部隊は空爆を要請しての攻勢に出る………
六郎達と秘蔵っ子の『紫電改』パイロットが西部機甲部隊の空爆を阻止している間………
大洗機甲部隊は勝負を掛けるのだった………
第7回戦の試合会場………
和製西部劇の撮影所・西部の街並みのセットが在るエリア………
『! 来ました! 偵察部隊らしき部隊が先行して来ます!!』
「了解しました………ウサギさんとハムスターさん、それとレオポンさんとおおかみさんが1番近いです。A地点で、手筈通りにお願いします」
『分かりました!』
『了解です!』
『りょ~か~い』
『心得ました』
偵察兵からの報告を聞いて、みほはウサギさんチームとハムスターさん分隊、そしてレオポンさんチームとおおかみさん分隊に指示を出す。
「上手く行くでしょうか?」
「大丈夫だよ。ウチの工兵さん達は皆優秀な人ばかりだから」
優花里が不安そうにそう言うと、みほがそう返す。
「…………」
そして弘樹は、無言のままに四式自動小銃を握る手に力を込めるのだった。
西部の街並みのセットが在るエリア・A地点………
西部劇の街並みのセットの通りを、西部の戦車部隊が2列横隊を組んで、周りを警戒しながら慎重に進んで行っている。
戦車の周りには西部歩兵部隊が展開し、これまた周囲を警戒している。
とそこで………
2列横隊の先頭を行っていたM4A3に、無数の銃弾が命中し、装甲上で火花を散らし始めた!
「「「「「!?」」」」」
すぐさま、随伴して居た西部歩兵達が、銃弾が飛んで来た方向を確認するとそこには………
「撃て撃てぇーっ!!」
「「「「「うおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーっ!!」」」」」
西部の部隊が進軍している通りから、交差点となって左の方へと向かう道の角に、土嚢を積み上げたバリケードを築き、土嚢の上に据えたブローニングM1919重機関銃を発砲している大洗歩兵部隊の姿が在った。
「敵発見っ!」
「歩兵部隊か………私が片づけます!」
敵が歩兵だけなのを見て、2列横隊で、左側の先頭を行っていたM4A3が前進する。
「撃ち続けろーっ!!」
積み上げた土嚢に隠れている大洗歩兵部隊は、機銃掃射を続けるが、当然戦車相手では効果が無い。
「纏めて吹き飛ばしてあげるわ!」
M4A3の車長がそう言い、M4A3の主砲が積み上げた土嚢に隠れている大洗歩兵部隊に向けられる。
「! 7号車! 右だっ!!」
だがそこで、後方に居た西部歩兵の1人が、何かに気付いた様に声を挙げる。
「えっ!?」
それを聞いたM4A3の車長が、大洗歩兵達の反対側………
十字路の右へと向かう道の方を見やるとそこには………
自分の方に主砲と副砲を向けているM3リーの姿が在った!
「!? M3!? 砲撃中止! 砲塔及び車体旋回!!」
「あや! 履帯を!!」
「OK!」
慌てて砲塔と車体を旋回させる様に指示を出すM4A3の車長だったが、そこで梓の号令で、あやが副砲の37ミリを発砲。
37ミリ砲弾がM4A3の履帯に命中し、破損させる。
「!? 履帯がっ!!」
「あゆみ! 今っ!!」
「いっけーっ!!」
続け様に、主砲の75ミリが火を噴く!
75ミリ砲弾は、M4A3の車体側面後部………エンジン部分に命中!
エンジンが爆発して炎と共に黒煙を上げたかと思うと、M4A3から白旗が上がった!
「良し! 後退っ!!」
それを見た、積み上げた土嚢に隠れていた大洗歩兵部隊が後退。
「桂利奈、下がって!」
「アイッ!」
続いて、M3リーも後退する。
「野郎っ!!」
「待て! 罠かも知れんっ!! 迂闊に前進するなっ!!」
西部歩兵達が追い縋ろうとしたが、分隊長らしき人物がそう言って押し止める。
「偵察兵。十字路の様子を確認してくれ」
「了解っ!!」
数名の西部偵察兵が十字路へと進み、左右の方向を確認する。
既に大洗歩兵部隊も、M3リーの姿も無くなっていた。
「………クリア!」
「良し、ゆっくり前進だ」
「了解っ!」
分隊長がそう言うと、2列横隊で右側の先頭を行っていたM4A3がゆっくりと前進。
だが、最初に撃破された左側の列のM4A3の隣まで来たかと思うと………
「ヒャッホーッ!!」
ツチヤの乗りの良い声と共に、建物を突き破る様にポルシェティーガーが側面から現れた!
「!? なっ!?」
「撃てっ!!」
「ハイよッ!!」
ナカジマの号令でホシノが発砲!
至近距離から、M4A3の側面に、アハトアハトが叩き込まれた!!
当然貫通と判定され、M4A3からは白旗が上がる。
「ポルシェティーガーッ!?」
「クソッ! 建物を突っ切って来るとは!!」
「撃て! 撃てっ!!」
思わぬ側面からの奇襲に、西部部隊は驚きながらも、残りのM4A3達がポルシェティーガーに向かって発砲する。
だが、その全ては、ポルシェティーガーの装甲を貫けず、表面で火花を散らして明後日の方向へ弾かれるばかりだった。
「とと、後退するよ。シャーマンの主砲でも、至近距離から撃たれたら危ないかも知れないからね」
「了解っ!」
しかし、念の為にとナカジマは後退の指示を出し、ツチヤはポルシェティーガーを破壊して来た建物内を通る様に後退させる。
「その前にもう1発!」
その際に、装填が終わったので、帰り際の駄賃だとばかりにホシノが再度発砲。
2列横隊の右側2輌目のM4A3を撃破する。
「クソッ! 一気に3輌も………」
思わぬ損害に分隊長が舌打ちをしていると………
「コッチも建物を破壊して追いましょうっ!!」
するとそこで、1輌のチャーフィーがポルシェティーガーを追う為、破壊して登場して来た建物の隣の建物へと突っ込んだ!
同じ手を使って後面へと回り込む積りの様だ。
だが………
チャーフィーが突っ込んだ瞬間………
突っ込んだ建物が大爆発を起こしたっ!!
「「「「「!? うおわああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!?」」」」」
一部の西部歩兵達が、爆風に真面に煽られて倒れる。
「!? 何っ!?」
西部分隊長が驚きの声を挙げるとやがて、燃え盛る建物の残骸の中で、白旗を上げているチャーフィーの姿が露わになった。
「アイツ等! 建物に爆薬を仕掛けてやがったのか!?」
「コレじゃあ、迂闊に建物内に入れないぜ!!」
その光景を見て、そう声を挙げる西部歩兵達だった。
待機していた西部機甲部隊の本隊………
「建物に爆薬が?」
『ええ。恐らく全ての建物がそうではないでしょうが、コレでは迂闊に破壊して突破すると言うワケには行きません』
「成程ね………遮蔽物として使えないから、トラップとして利用して来たワケか………」
隊員からの報告を受けて、クロエは笑みを浮かべてそう言い放つ。
「良いね、良いわよ………面白くなって来たわ」
「総隊長! コチラは戦車4輌と言う損害を出しているんですよ!!」
「無駄だ、オセロット。今の総隊長に何を言っても意味が無い」
面白くなってきたと言うクロエに、オセロットは自分達は損害を受けているのだと言うが、ジャンゴがそう諭す様に言う。
「各員、一層警戒しなさい。ゲリラ戦は大洗が得意とする戦い方よ」
『『『『『『『『『『了解っ!!』』』』』』』』』』
そこでクロエは、西部機甲部隊の面々に一層警戒して臨む様に指示を出す。
「シロミ、ブチ。其々に小隊を預けるわ。敵と遭遇した場合は独自の判断で交戦して良いわ」
「つまり、好きにしろって事?」
「まあ、大胆な御命令ですわね」
続けて、イージーエイトに乗るシロミと、ジャンボに乗るブチにそう指示を出し、2人はそのアバウトとも取れる指示内容に軽く驚きを示す。
「相手が好き勝手やって来るんなら、コッチも好き勝手やって対抗するまでよ」
クロエ節の理論が展開し、不敵な笑みを浮かべるクロエ。
「ジャンゴ達も好きにして良いわよ。色々と相手をしたい奴とか居るんでしょう?」
「お見通しか………」
「ありがとうございます、総隊長」
更に続けて、歩兵部隊にそう言うと、ジャンゴがヘルメットを被り直してそう呟き、オリバーが感謝する。
「…………」
「不満かしら? オセロット?」
唯一不機嫌そうな顔をしていたオセロットにそう声を掛けるクロエ。
「………本来であれば、この様な統率の取れていない戦い方は総隊長がなさる事ではありません」
「…………」
「………ですが、私にも因縁浅からぬ相手が居ります」
「ならソイツの相手をして来なさいよ。フリーダム・オブ・フリーダム。それがウチのモットーよ」
「………山猫部隊! 行くぞっ!!」
「「「「「ハイ、隊長っ!!」」」」」
しかし、クロエとそう会話を交わしたかと思うと、山猫部隊を引き連れて、1番に行動に入った。
「じゃあ、私達も行くね」
「それでは、御機嫌よう」
続いて、戦車小隊を率いて、シロミとブチも行動に入る。
「じゃ、俺も行くか………ピューマ、付いて来てくれ」
「…………」
ジャンゴがそう言うと、ピューマが無言で付いて行く。
「じゃあ、そうだな………『サーバル』、『カルカラ』、付き合ってくれよ」
「分かりました」
「了解」
レオパルドがそう言い、騎兵隊の様な戦闘服を着てサーベルを携えた西部歩兵………『サーバル』と、ポンチョを纏った西部歩兵………『カルカラ』に声を掛け、連れ立つ。
「すみません、総隊長。自分も失礼します」
そしてオリバーもそう言い、走ってその場から離脱して行った。
「では、私達も………」
「行きますか」
ブチとシロミもそう言い合ったかと思うと、其々M4A3を2輌、チャーフィーを1輌引き連れて、別々の方向へと進軍した。
他の戦車部隊も、小隊規模となって分散して行く。
「ねえ、クロエ。僕は?」
とそこで、残っていたスチュワートのミケが、クロエに尋ねる。
「アンタは一応フラッグ車だからね。私と一緒に来なさい。けど、イザと言う時は悪いけど自分の身は自分で守ってね」
「ハハ、クロエらしいね。りょーかい」
そう言うクロエに、ミケはおどけた様子で敬礼して見せる。
「じゃあ、行くわよ」
そして、クロエのヘルキャットも、ミケのスチュワートを連れて前進し始めたのだった。
再び、西部の街並みのセットが在るエリア・とある通路………
「気を付けて。大洗の連中は建物を破壊して奇襲を仕掛けて来たみたいだから」
先頭を行くM4A3の車長が、同行している戦車部隊と随伴歩兵部隊にそう呼び掛ける。
「気を付けてって言っても………」
「建物の向こうまで流石に警戒し切れないぜ………」
「爆薬が仕掛けてあるかも知れないから、迂闊に中に入って調べられないし………」
しかし、随伴して居る西部歩兵達からはそんな声が挙がる。
「嫌だな………まるでお化け屋敷に入ったみたい」
と、最後尾に居たチャーフィーの車長が、そんな事を呟いた瞬間!!
「おりゃあっ!!」
みどり子の声と共に、左側の建物が崩れ、中からルノーB1bisが飛び出して来た!!
「!? えっ!?」
チャーフィーの車長が呆気に取られている間に、ルノーB1bisは至近距離から主砲と副砲を同時発射!!
副砲が砲塔、主砲が車体の側面に命中し、チャーフィーからは白旗が上がった!
「!? しまったっ!?」
西部歩兵の1人がそう声を挙げると、ルノーB1bisは西部部隊に背を向けて街の通路を逃走し始める。
「馬鹿め! 後面を晒して逃げるなんてねっ!!」
と、最も脆い後面部が見えているのを見た1輌のM4A3が反転し、ルノーB1bisを追い掛けようとする。
だが、ルノーB1bisが奇襲の際に破壊した建物の前まで来た瞬間!!
建物の残骸の中からから砲弾が飛び出して来て、M4A3の側面に命中!!
ルノーB1bisを追ったM4A3は白旗を上げた!
「!? 何っ!?」
西部歩兵の1人が、驚きながらも砲弾が飛び出して来た崩れた建物の中を見やると………
「やったぞっ!」
「アンブッシュ成功だ!」
そこには、半分瓦礫に埋もれた状態で砲門から硝煙を上げているⅢ突の姿が在った!
「! Ⅲ突!!」
「クソッ! まだ居やがったのかっ!!」
西部歩兵の1人がそう言って、収束手榴弾を投げつける。
「後退っ!!」
「ぜよっ!!」
即座にエルヴィンの指示が飛び、おりょうは瓦礫を押し退けながらⅢ突を後退させる。
収束手榴弾は、Ⅲ突の手前に落ちて爆発する。
「逃がすかっ!!」
と、今度はバズーカを持った西部対戦車兵達数名が、崩れた建物の前に立ち、一斉にバズーカを構える。
すると!
「シュトゥルムよ! 今が駆け抜ける時っ!!」
そう言う台詞と共に、Ⅲ突の上を飛び越えて、シュトゥルムに跨ったゾルダートが姿を現した!
「!? なっ!?」
「覚悟して頂くっ!!」
そして、両手に握ったモーゼルC96でのダブル馬賊撃ちで、西部対戦車兵達に弾丸の雨を浴びせる!!
「「「「「うわああああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!?」」」」」
瞬く間に戦死判定を受ける西部対戦車兵達。
「ハアッ!!」
「「「「「「「「「「うわあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!!」」」」」」」」」」
ゾルダートは更に、敵に中へと切り込み、モーゼルC96の2丁撃ちで、次々に西部歩兵達を撃ち抜いて行く。
「戦車部隊! 援護をっ!!」
「駄目だ! 速過ぎるっ!!」
戦車部隊も、騎兵のゾルダートの動きが速過ぎて、狙いを付けられずに居た。
「良し、このまま………! シュトゥルムッ!!」
そのまま攻撃を続けようとしたゾルダートだったが、何かに気付いた様にシュトゥルムに指示すると、シュトゥルムはその場から横っ飛びする様に飛び退く。
直後に、先程までゾルダートとシュトゥルムが居た場所に砲弾が着弾!
派手に土片を巻き上げた!
「くうっ!!」
飛んで来る土片から顔を守りながら、ゾルダートは砲弾が飛んで来た方向を見やる。
「外しましたか………他の車両はルノーの追撃を」
「「「了解!」」」
ゾルダートが戦っていた西部部隊からやや離れた場所に陣取り、砲口から硝煙を上げているジャンボの姿が在った。
その傍からは、随伴して居た小隊のM4A3とチャーフィーが、ルノーB1bisを追って離れて行く。
「ジャンボか………」
モーゼルC96をホルスターに納めると、吸着地雷を手にするゾルダート。
すると………
ジャンボの近くに在った建物が爆発したかと思うと、中からⅢ突が飛び出して来た!
そのままジャンボに向かって発砲したが、ジャンボは昼飯の角度を取ってⅢ突の砲弾を跳ね返す。
『ファインシュメッカー隊員………コイツは私達にやらせてくれ』
「!? 何っ!?」
とそこで、エルヴィンからそう言う通信が送られて来て、ゾルダートは驚きの声を挙げる。
『頼む………コイツだけは………私達の手で』
「…………」
だが、続けて聞こえて来た懇願する様な声を聞くと………
「………分かった。カモさんチーム、ジャンボ以外の戦車を惹き付けてくれ。歩兵は引き受ける」
『了解!』
カモさんチームへとそう通信を送り、自らも背負っていたMG34機関銃を構える。
『感謝する………』
「フッ………駆けよ、シュトゥルムッ!!」
感謝の通信を送って来たエルヴィンの乗るⅢ突に向かって一瞬笑みを零すと、ゾルダートはシュトゥルムと共に西部歩兵達の方へ向かって行った。
「さっきのⅢ突………固定砲塔で旋回砲塔に挑むとは、勇ましいですわね」
一方、ジャンボのブチは、Ⅲ突を見ながらそう呟く。
「カエサル、左衛門佐、おりょう………すまないが、お前達の命運、私が預かる」
そのブチのジャンボを、ペリスコープ越しに見据えながら、エルヴィンがそう言う。
「フフ………何を今更」
そのエルヴィンの言葉を聞いて、次弾を抱えているカエサルが不敵に笑う。
「我等はソウルネームで結ばれた友垣………」
左衛門佐も、照準器を覗き込みながらそう言う。
「生きるも死ぬも一緒………一蓮托生ぜよ」
そしておりょうも、操縦席用の覗き窓を見据えながらそう答える。
「………ありがとう、友よ」
エルヴィンはそう言って、トレードマークの軍帽を被り直す。
「………行くぞっ!」
「「「おうっ!!」」」
そして、エルヴィンの掛け声に、カエサル、左衛門佐、おりょうが勇ましく返事を返すと、Ⅲ突はジャンボへ向かって行くのだった。
つづく
新話、投稿させていただきました。
得意のゲリラ戦へと持ち込んだ大洗機甲部隊。
地の利を活かして、次々に西部戦車を撃破する。
そしてそんな中で………カバさんチームのⅢ突と、ブチのジャンボが対峙するのだった。
今日は大洗の海楽フェスタ。
また声優さん達がいらっしゃるので、楽しみですね。
では、ご意見・ご感想をお待ちしております。