ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース   作:宇宙刑事ブルーノア

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第132話『ニンジャVS豹です!』

『ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース』

 

第132話『ニンジャVS豹です!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

弘樹率いる特務部隊アッセンブルEX-10の活躍で………

 

T28を撃破する事に成功した大洗機甲部隊。

 

次なる目標はシャーマン・カリオペと定めたが………

 

それを読んでいたクロエは、大胆にもシャーマン・カリオペとフラッグ車であるM5軽戦車・スチュアートを囮にする。

 

囮となったシャーマン・カリオペとフラッグ車の撃破に向かった、アヒルさんチームとペンギンさん分隊、カバさんチームとワニさん分隊だったが………

 

巨大な岩場を利用し、頭上からの攻撃を仕掛けて来た『無重力の足』を持つ西部歩兵『ブラックパンサー』の襲撃に遭う。

 

岩と岩の間を自在に跳び回るパンサーを攻めあぐねるが………

 

そのパンサーの前に、小太郎が立ちはだかった!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第7回戦の試合会場………

 

和製西部劇の撮影所のDポイント………

 

戦車が隠れられる程の巨大な岩が多数点在する岩場………

 

「そらっ!!」

 

ピースメーカーをファニングと呼ばれる、西部劇などで見かける早撃ちの仕方で連射するパンサー。

 

「イヤーッ!!」

 

しかし小太郎は飛んで来た銃弾に向けてスリケンを投擲し、全て弾き落とす。

 

「ヒューッ! やるねぇ! 流石はニンジャだっ!!」

 

「カラテあっての事よ………イヤーッ!!」

 

排莢をして、新たな弾丸を込めながらパンサーが言うと、小太郎はそう返しながら、腕を鞭の様に撓らせて、今度はクナイを投擲する。

 

「おっと!」

 

寸前で装弾を終えたパンサーは跳躍。

 

クナイは先程までパンサーが居た場所に突き刺さる。

 

一方、跳躍したパンサーは、別の岩の上まで移動する。

 

「じゃあ、今度はコイツだっ!!」

 

するとパンサーは、背負っていたブローニングM1918自動小銃を構えた。

 

「チイッ! イヤーッ!!」

 

流石に機関銃の弾幕は撃ち落とせないのか、小太郎は岩の間を跳び回り、狙いを定められない様にする。

 

「逃がすかってんだっ!!」

 

だが、パンサーも同じ様に岩の間を跳び回りながら小太郎を追い、その状態のままブローニングM1918自動小銃を連射して来た!!

 

(ぬうっ! 空中で射撃姿勢を全くブレさせないとは………やはり此奴、出来る!)

 

跳び回って居て、空中で射撃姿勢を取っているにも関わらず、自分の至近距離を弾丸が飛ぶのを見て、パンサーの強さに改めて感嘆する小太郎。

 

「(だが、足止めぐらいは出来る)皆の衆! 此奴は拙者が相手をするでござる! 今の内にフラッグ車を!!」

 

「! 此処は小太郎の奴に任せるんだ!」

 

小太郎が叫ぶのを聞いた大詔が、散っていたペンギンさん分隊の隊員達とアヒルさんチームにそう呼び掛ける。

 

「「「「「「「「「「!!」」」」」」」」」」

 

それを受けて、アヒルさんチームとペンギンさん分隊の隊員達は、敵フラッグ車の元へと向かう。

 

「行かせるかっ!………! おっとっ!?」

 

そうはさせないと手榴弾を取り出し、また頭上から見舞おうとしたパンサーだったが、そこでスリケンが目の前を掠める。

 

「お主の相手は拙者でござる!」

 

「ガッデムッ!!」

 

そう言い放つ小太郎に向かって、舌打ちしながら叫ぶと、通信機を取り出すパンサーだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、その頃………

 

囮となっている西部機甲部隊のフラッグ車のM5軽戦車・スチュアートと、シャーマン・カリオペは………

 

『ソーリー、抜かれた! エィティナインとソルジャー達がそっちに向かった!』

 

「了解しましたわ。後はお任せ下さい」

 

砲塔から姿を晒した状態でいたノーラが、パンサーからの通信を受け、落ち着いた様子でそう返事を返した。

 

「パンサーが突破されたの?」

 

すると、同じ様に砲塔から姿を晒していたミケがそう尋ねて来る。

 

「ええ、何でも、ニンジャに足止めを受けてるとか………」

 

「! ニンジャ! スゴーイッ!! 大洗にはニンジャが居るんだっ!!」

 

と、ノーラからニンジャと言う言葉を聞いたミケは、目を輝かせ始める。

 

「サムライがナンバー1だけど、ニンジャも良いよね~………フウマは居るか! ハッ! 殿、此処に! 貴様の腕を見込んでこの仕事を任せる!!」

 

やがて興奮の余り妄想の世界に入り込み、1人小芝居が始まる。

 

「オノレ、何奴! さては伊賀者か!? 忍のさだめにてお命頂戴仕る! キャ~ッ! なんちてなんちて!!」

 

「うふふ………ミケさんって、本当に愉快なお方ですね」

 

そんなミケを叱るどころか、笑いを零しながらそう評するノーラ。

 

「! あっ!? またやっちゃった………」

 

「やれやれ、その癖だけは治らないね」

 

「ミケの妄想癖には困ったものですわ」

 

「そうかな? 私は面白いと思うけど」

 

スチュアートに同乗しているスコッティ、ラグドール、マンチカンのとりお・ざ・きゃっつからもそんな声が挙がる。

 

「取り敢えず、一旦後退しましょう。パンサーさんが突破されたとなれば、敵はすぐにでも来ますわ」

 

「見つけたっ!」

 

「フラッグ車とカリオペや!」

 

と、ノーラがそう言った瞬間にそう言う声が響き、砲塔から典子が姿を見せている八九式と、大河を先頭にしたペンギンさん分隊の面々が現れる。

 

「アラ? 思ったよりかなり早かったですわね」

 

「ノーラ! カリオペで蹴散らしちゃえっ!!」

 

その様子を見ても態度を変えないノーラに、ミケがそう言うが………

 

「こんな狭い場所でロケット弾なんかを使ったら自滅の可能性が有りますわよ。先ずは後退ですよ」

 

ノーラはそう言って車内に引っ込む。

 

「分かった」

 

するとミケも、それ以上何か言う様な事はせず、ノーラと同じ様にスチュワートの車内に引っ込むと、スチュワートが後退を始める。

 

「逃がすかぁっ! あけび、撃てっ!!」

 

「ハイッ!」

 

そうはさせるかと、典子があけびに命じると、八九式の主砲が火を噴いた!

 

だが、そこでシャーマン・カリオペがスチュワートの前に出たかと思うと、八九式の砲弾はシャーマン・カリオペの正面装甲に当たり、火花を散らして明後日の方向へ弾かれた。

 

「ああ、クソッ!」

 

「典子ちゃん、下がってっ!!」

 

するとそこで今度は、バズーカを構えた武志が前に出る。

 

だが、シャーマン・カリオペは車体機銃のM1919A4機関銃を掃射して来る!

 

「! うわっ!?」

 

命中はしなかったが、弾丸が目の前の地面を耕す様に掠め、射撃姿勢を崩してしまう武志。

 

更にそこで、シャーマン・カリオペの主砲が指向し、アヒルさんチームとペンギンさん分隊に向けられる!

 

「! マズイッ! 逃げえいっ!!」

 

「「「「「「「「「「!!」」」」」」」」」」

 

大河がそう声を挙げた瞬間に、八九式は岩陰に隠れ、ペンギンさん分隊の面々も方々に散らばる。

 

直後にシャーマン・カリオペが主砲を発砲!

 

砲弾が岩肌に命中し、岩の破片を撒き散らす。

 

「すみません! カリオペが付いたままでは狙い辛くて………」

 

「構いませんわ。牽制にはなるでしょうし………榴弾の装填、お願いします」

 

「ハイ!」

 

外して謝るシャーマン・カリオペの砲手に、ノーラがそんな事を言っていると、装填手が榴弾を装填する。

 

「同軸機銃での射撃もお願いします」

 

「了解!」

 

砲手にそう命じ、同軸機銃での攻撃も開始するシャーマン・カリオペ。

 

「発射っ!」

 

更に、榴弾も発砲する。

 

「チイッ! コレじゃあ身動きが取れんぞ!」

 

「アヒルさんチームよりカバさんチームへ! 敵の誘い出しは失敗! フラッグ車とシャーマン・カリオペは離脱を始めています!」

 

『了解! 先回りする!!』

 

大河がそう叫ぶと、妙子がカバさんチームへそう通信を送り、エルヴィンからそう返事が返って来る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カバさんチーム&ワニさん分隊………

 

岩場の中を避け、大回りで回り込みを掛けているカバさんチームのⅢ突とそれに随伴しているワニさん分隊。

 

「急げっ! 敵が後退するとすれば、多分この先からだ!!」

 

「分かってるぜよっ!!」

 

「急げ、急げ!」

 

「シュトゥルムよ、今が駆け抜ける時!」

 

両者とも、敵フラッグ車とシャーマン・カリオペよりも早く攻撃地点に着く為、全速で飛ばしている。

 

「ストップ! 此処だっ!!」

 

「ぜよっ!」

 

やがて目標地点に着いた事に気付いたエルヴィンがそう言うと、おりょうはⅢ突を横滑りさせる様に停止させる。

 

ワニさん分隊の面々も停止すると、砲兵が対戦車砲を設置し、他の歩兵隊員達は蛸壺を掘ったり、岩陰に隠れたりする。

 

「如何やら、先回りには成功したみたいだな」

 

「よおし、出て来たところで一斉攻撃だ」

 

磐渡がそう呟くと、パンツァーファウストを携帯している重音がそう言い放つ。

 

やがて、岩場の方からエンジン音と履帯の音が聞こえて来る。

 

「! 来るぞ! 攻撃用意っ!!」

 

「「「「「「「「「「!!」」」」」」」」」」

 

磐渡の声が挙がると、一斉に獲物を構えるワニさん分隊の面々。

 

「一意専心………」

 

左衛門佐も、照準器を覗き込んで精神を集中させる。

 

やがて、その照準器の中に………

 

シャーマン・カリオペとスチュワートの姿が現れる。

 

「! 見えた! 貰っ………!? うわっ!?」

 

レティクルが重なり、引き金を引こうとした瞬間に、Ⅲ突内に振動が走った。

 

「! 後ろだっ!?」

 

それが後ろから飛んで来て、Ⅲ突を掠める様に着弾した砲弾で有った事を目撃していた鷺澪が、自分の付いて居る7.5 cm PaK 40を後方に向けながらそう叫ぶ。

 

何時も間にかカバさんチームとワニさん分隊の後方からは、M4A3シャーマン8輌と、騎兵部隊が迫って来ていた!

 

「!! M4A3! 何時の間に! クソッ! おりょう! 反転して岩を背にしろっ!!」

 

「りょ、了解っ!!」

 

シャーマン・カリオペとスチュワートを狙っていたⅢ突も、反転して岩を背にすると、背後から来ていたM4A3に砲門を向ける。

 

「左衛門佐、撃て! この距離なら正面装甲だろうと余裕で貫ける!!」

 

「任せろっ!!」

 

エルヴィンの指示で、左衛門佐がトリガーを引き、Ⅲ突の主砲が火を噴く。

 

だがそこで………

 

8輌のM4A3達を追い抜く様に、新たなシャーマンタイプの戦車が前に出て来たかと思うと、Ⅲ突が放った砲弾を、正面装甲で受け止める!

 

そして、火花と共に明後日の方向へと跳ね返す!

 

「!? 何っ!? シャーマンがⅢ突の弾を弾いたっ!?」

 

照準器越しに見えていたその光景に、左衛門佐は信じられないと言う声を挙げる。

 

「!? アレは!?」

 

だがそこで、エルヴィンはそのシャーマンが、西部戦車部隊のメンバーであるブチの乗る車両………装甲強化型のM4A3E2・ジャンボである事に気付く。

 

「マズイ、ジャンボだ! 奴の装甲厚は最大で152mm有る! Ⅲ突の主砲でも無理だ!!」

 

と、エルヴィンがそう声を挙げた瞬間に、ジャンボを中心にしたM4A3の軍団が、次々に発砲して来た!

 

Ⅲ突とワニさん分隊の面々の周辺で、次々に火柱が上がる!

 

「「「「「「「「「「うわあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!!」」」」」」」」」」

 

カバさんチームとワニさん分隊から悲鳴が挙がる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、その頃………

 

パンサーと戦う小太郎は………

 

「おりゃあっ!」

 

「イヤーッ!」

 

パンサーが投げて来た手榴弾を、スリケンで迎撃する小太郎。

 

だが、そのスリケンが刺さった手榴弾が爆発したかと思うと、その爆煙の中から新たな手榴弾が現れる!

 

「!?」

 

ウカツ!

 

パンサーは最初の手榴弾が迎撃される事を見越して、その陰に隠す様に2個の手榴弾を投擲していたのである。

 

ワザマエ!

 

「ぬうっ!」

 

咄嗟に上空へと跳ぶ小太郎。

 

「そこだぁっ!!」

 

だが、その回避先を読んでいたパンサーが、ブローニングM1918自動小銃を発砲する。

 

「!? グアーッ!!」

 

無数の銃弾を浴びた小太郎の戦闘服がボロボロとなり、バランスを崩した小太郎はそのまま落下。

 

地面に落ちたかと思うと、派手に砂煙を上げた!

 

「やった! 勝ったぞっ! 俺は………ニンジャに勝ったぁっ!!」

 

小太郎を倒したと思ったパンサーは、キンボシ・オオキイとばかりに燥ぎ倒す。

 

「…………」

 

地面に落ちた小太郎は、仰向けに倒れたままピクリとも動かない。

 

(無念………ココまでか………荒野にて………風舞う砂に………我ともに………)

 

最早コレまでかと、ハイクを詠み、そのまま意識を闇に沈めようとする小太郎。

 

(イカン、小太郎! 真の敗北とは諦める事なり!)

 

だがその小太郎の脳裏に、叱咤する様な声でそんな言葉が過った。

 

(! 父上っ!!)

 

それは小太郎の父であり、師匠である『マスターニンジャ』の声だった。

 

(良いか! ニンジャのディクショナリーに諦めるの文字は無い! 諦める心に呑まれる事なかれ! 貴様の心の手綱を握るのは貴様自身よ! 分かったか! この馬鹿息子がぁっ!!)

 

どこぞのマスターアジアめいた台詞と共に、マスターニンジャの声が終わる。

 

そして、それと同時に、小太郎の脳裏に、マスターニンジャの教えが蘇る!

 

「Wasshoi!」

 

ニンジャシャウトが木霊し、小太郎が再び、岩の上へと跳び上がって来た!

 

「!? 馬鹿な!? アレだけ銃弾を喰らって、起き上がれる筈が………」

 

「…………」

 

驚愕するパンサーをジッと見据える小太郎。

 

(良いか小太郎。力に力で対抗してはならぬ。速さで行くと決めたならば、飽く迄も速さを貫き通すべし。100発のスリケンで倒せぬ相手だからといって、1発の力に頼ってはならぬ。1000発のスリケンを投げるのだ!)

 

小太郎の脳裏に過る師匠の教え。

 

そう、これぞ………

 

「インストラクション・ワン!  イヤーッ!!」

 

そう叫び、小太郎はスリケンを投擲!

 

「馬鹿野郎! それは俺には通用しねえぇっ!!」

 

パンサーはそう言い放ち、クイックドロウの様に抜き放ったピースメーカーでスリケンを撃ち落とす。

 

「イヤーッ!!」

 

そこで小太郎は2つ目のスリケンを投擲!

 

「無駄だっ!」

 

パンサーはピースメーカーを発砲して撃ち落とす!

 

「イヤーッ!!」

 

続け様に3つ目のスリケンが投擲される。

 

「!?」

 

それを撃ち落としながらも、異変に気付いた様子を見せるパンサー。

 

「イヤーッ!!」

 

小太郎は4つ目のスリケンを投擲!

 

「コイツ!?………」

 

「イヤーッ!!」

 

4つ目のスリケンを撃ち落とした瞬間には、5つ目のスリケンが投擲される。

 

「! クソッ!」

 

そこでパンサーはヤバイと本能的に判断し、ピースメーカーを捨てるとブローニングM1918自動小銃に持ち替えて発砲する。

 

その瞬間!

 

「イヤーッ!!」

 

小太郎の身体がタツマキめいて回転を始め、無数のスリケンが次々に投擲され始めた!

 

「! うおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーっ!!」

 

様々な感情が入り混じった叫びを挙げながら、ブローニングM1918自動小銃を発砲してスリケンを撃ち落として行くパンサー。

 

「イヤーッ!!」

 

だが、小太郎のスリケンを投擲する速度は更に増して行く!

 

0.9秒、0.8秒、0.7秒、0.6秒、0.5秒………

 

最早その速さはマシンガンすら凌駕し始めた!

 

「コ、コレが! コレが本当のニンジャのイクサかよっ!?」

 

驚愕の声を挙げるパンサーは、迎撃に手一杯で無重力の足を使う暇が無い!

 

「イヤーッ!!」

 

そして遂に!!

 

小太郎のスリケン投擲速度は、最高潮を迎える!!

 

「!? た、弾がっ!?」

 

その瞬間に、パンサーのブローニングM1918自動小銃は弾切れを起こした!

 

「! グワーッ!!」

 

途端に、無数のスリケンは、パンサーの身体中に突き刺さり、パンサーはサボテンめいた姿となる!!

 

と、そんなパンサーを背後から羽交い絞めにする者が居た!

 

「西部歩兵………殺すべし!」

 

何時の間にか背後に回っていた小太郎だ!

 

「!?」

 

「慈悲は無いっ!!」

 

お馴染みの台詞と共に空高く跳び上がる。

 

そしてパンサーと共に逆さまになったかと思うと、そのまま高速回転して地面に向かった!

 

ジュー・ジツの禁じ手のヒサツ・ワザ!

 

『アラバマオトシ』だ!!

 

「イヤーッ!!」

 

「グワーッ!!」

 

自分と小太郎の体重に急降下の勢いを加えた衝撃を、全て脳天で受けるパンサー!

 

両者はそのまま、地面の上に倒れる。

 

「サヨナラッ!」

 

パンサーがそう断末魔を挙げると、爆発四散したかの様なアトモスフィアで戦死判定を受けた。

 

「………申し訳ござらん、皆の衆………拙者はココまでござる………」

 

だが、小太郎も限界だったのか、そう呟いて目を閉じたかと思うと、やや間が有って戦死判定が下ったのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

再び、M4A3とジャンボ、西部騎兵部隊に襲われたカバさんチームとワニさん分隊は………

 

「撃てぇっ!!」

 

鷺澪が号令を掛けると、砲兵達が7.5 cm PaK 40を発射する。

 

放たれた砲弾は、1輌のM4A3の側面へと向かうが、そこへまたもジャンボが割って入り、自慢の装甲で弾いてしまう。

 

「クッ! 駄目だ! 歯が立たねえっ!!」

 

「ならコイツで!!」

 

すると今度は、重音がパンツァーファウスト60を構えたが………

 

「させませんわ」

 

そこでジャンボが主砲を発砲!

 

「!? おうわっ!?」

 

榴弾が重音の近くに着弾し、重音は地面に倒れる。

 

「! 重音! しっかりしろっ!!」

 

「だ、大丈夫だ。掠り傷みたいだ」

 

磐渡が助け起こすが、幸い殺傷範囲内に入っておらず、運良く破片も直撃しなかった様で、重音の判定は軽傷判定だった。

 

だが、そこで今度は、ジャンボとM4A3部隊、騎兵部隊が一斉に機銃掃射を行って来る。

 

「! ヤベェッ!!」

 

咄嗟に重音を引き摺る様にして、岩陰へと退避する磐渡。

 

「「「「「うわああああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!?」」」」」

 

しかし、真面に機銃掃射を浴びてしまったワニさん分隊の歩兵数名が戦死と判定される。

 

「オノレェ! ワニさん分隊員達の仇ぃっ!!」

 

そこで左衛門佐がそう叫び、Ⅲ突の主砲が火を噴く。

 

「前へっ!」

 

だが、またもやジャンボが前に出て、自慢の装甲を持って、Ⅲ突の主砲弾を明後日の方向へ弾き飛ばす。

 

「クウッ! またしても!!」

 

と、左衛門佐が悔しそうな声を挙げた瞬間………

 

苦戦しているカバさんチームとワニさん分隊の横を擦り抜ける様にして、スチュワートとシャーマン・カリオペが通過し、ジャンボ達の一団に合流した!

 

「! フラッグ車とカリオペが!!」

 

「クウッ! 合流されたか………」

 

カエサルとゾルダートがそう漏らす。

 

「ナイスタイミング、ブチ!」

 

「ありがとうございますわ、ブチさん」

 

「気にしないで下さい。ではノーラさん、手筈通りに………」

 

「了解ですわ」

 

ミケとノーラが、ブチとそう言い合ったかと思うと、ノーラのシャーマン・カリオペが反転し、カバさんチームとワニさん分隊の方を向いた。

 

「待てーっ!!」

 

「逃がさへんでぇっ!!」

 

するとそこで、そう言う声が聞こえて来て、シャーマン・カリオペとスチュワートを追って来たアヒルさんチームとペンギンさん分隊の面々が現れる。

 

「来ましたわね………」

 

その姿を照準器越しに確認したノーラが笑みを浮かべ、シャーマン・カリオペのロケット砲が稼働する。

 

「! アヒルさんチーム! ペンギンさん分隊! 来るなぁっ!!」

 

エルヴィンがそれに気づき、近づいて来ていたアヒルさんチームとペンギンさん分隊にそう叫んだが、遅かった………

 

「発射」

 

ノーラの無慈悲な号令と共に、シャーマン・カリオペのロケット弾が一斉発射される!

 

「「「「!? きゃあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーっ!?」」」」

 

「「「「「「「「「「うわあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!?」」」」」」」」」」

 

ロケット弾の雨の前に、アヒルさんチームとペンギンさん分隊、カバさんチームとワニさん分隊は一瞬で炎に包まれる。

 

「今だぁっ! 残敵を打ち取れぇっ!!」

 

「「「「「「「「「「うおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーっ!!」」」」」」」」」」

 

そこで、ジャンボ達の周辺に展開していた西部騎兵部隊が、生き残った大洗機甲部隊の面々を打ち取ろうと突撃する。

 

 

 

 

 

一方、ロケット弾の雨を浴びたアヒルさんチームとペンギンさん分隊、カバさんチームとワニさん分隊は………

 

「う、うう………撃破されなかったのか?………!?」

 

思ったより衝撃が来なかった事に違和感を感じたエルヴィンが、観測装置を除いて驚愕する。

 

そこには、まるでⅢ突を守るかの様に側面を曝して白旗を上げている八九式の姿が在った。

 

Ⅲ突に向けているのと反対の側面には、ロケット弾が多数命中し、装甲が完全に焼け焦げている。

 

「アヒルさんチーム! 応答しろ!!」

 

「こ、此方アヒルさんチーム………カバさんチーム、無事ですか?」

 

すぐにエルヴィンが通信を送ると、通信手の妙子が応答する。

 

「馬鹿! 人の心配をしている場合か! 幾ら安全だからって、何て真似をしたんだ!!」

 

「だってⅢ突は大洗にとって貴重な火力じゃないですか!!」

 

「!?」

 

叱咤するエルヴィンだったが、すかさず典子からそう言う声が返って来て黙り込む。

 

「私達の八九式は火力に乏しいから、やられてもそんなに影響はありません」

 

「だから、取れる最善の手を取っただけです」

 

「アヒルさんチーム………」

 

あけび、忍からそう言う声が聞こえて、エルヴィンは身体を震わせる。

 

「行けーっ!!」

 

「トドメを刺せーっ!!」

 

とそこで、西部騎兵部隊の面々が突っ込んで来る。

 

「! 早く後退を!」

 

「本隊に合流して下さい!」

 

それを見て、アヒルさんチームからそう声が挙がる。

 

「………すまない………カエサル、榴弾装填!! 左衛門佐、牽制しろ!! おりょう、全力で後退だ!!」

 

「「「りょ、了解(でござる、ぜよ)!」」」

 

エルヴィンは一瞬逡巡した後、辛そうな表情でそう命じた!

 

Ⅲ突から牽制の榴弾が放たれ、突っ込んで来ていた西部騎兵部隊の中に着弾する。

 

「「「「「「「「「「うわああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!?」」」」」」」」」」

 

「! Ⅲ突だ!!」

 

「何ぃっ!? あのロケット弾の中を生き延びてたってのかよ!?」

 

多数の西部騎兵が吹き飛ばされ、生き残った西部騎兵が、Ⅲ突が健在であった事に驚きの声を挙げる。

 

「生き延びた歩兵に告ぐ! 撤退するぞ! 見っとも無くても良い! 今は兎に角逃げろ!!」

 

そして更に、エルヴィンは生き残っていた歩兵達にもそう通信を送る。

 

「りょ、了解!」

 

「煙幕手榴弾投擲!」

 

それを受けて、ペンギンさん分隊とワニさん分隊の生き残っていた歩兵達が撤退に入り、煙幕手榴弾を投擲する。

 

辺り一面に、煙幕手榴弾の煙が立ち込める。

 

「クソッ! 煙幕かっ!?」

 

「うわぁっ!? どう! どうどうっ!!」

 

煙幕に驚いた西部騎兵隊の馬達が暴れ出し、西部騎兵部隊は身動きが取れなくなる。

 

「良し、今だ!!」

 

同時にⅢ突が後退。

 

生き残っていた大洗歩兵達も、そのガードを固めながら撤退して行く。

 

「やられっぱなしと言うのは主義ではない………」

 

とそこで、生き延びていたゾルダートがそう言ったかと思うと、シュトゥルムが嘶いて、足元に有ったパンツァーファウストを蹴り上げる。

 

「覚悟して頂く!」

 

その蹴り上げられたパンツツァーファウストをゾルダートが掴んだかと思うと、馬上で上向きに発射する!

 

放たれたパンツァーファウストの擲弾は、放物線を描く様に飛び………

 

盾となっていたジャンボの上を飛び越えて、後方に居た1輌のM4A3に命中した!!

 

「!? 何ですって!?」

 

撃破されたM4A3をペリスコープ越しに見て、ブチが驚きの声を挙げる。

 

「「!?」」

 

ミケとノーラにも動揺が走る。

 

そしてその間に、カバさんチームと残存大洗歩兵隊員達は、撤退する事に成功したのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させていただきました。

無重力の足を持つパンサーの前に、小太郎は大苦戦。
だが、師匠である父の教え………インストラクション・ワンを思い出し、遂にパンサーを倒した。
………かに思われたが、自らも力尽き、相打ちとなる。

一方、フラッグ車とシャーマン・カリオペを狙ったアヒルさんチームとペンギンさん分隊、カバさんチームとワニさん分隊も………
増援に現れたM4A3と騎兵部隊………
何よりジャンボの相手に戸惑っている内に………
シャーマン・カリオペのロケット弾が炸裂。
アヒルさんチームが身を呈してカバさんチームを庇ったが、ペンギンさん分隊とワニさん分隊は多大な被害を受け、撤退を余儀なくされたのだった………

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。

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