ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース   作:宇宙刑事ブルーノア

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第127話『7回戦、始まります!』

『ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース』

 

第127話『7回戦、始まります!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

優花里の父・淳五郎に気に入られ、彼氏と勘違いされた白狼。

 

訂正する間も無く、翌日には西部戦へ向けての作戦会議が開始された。

 

だが、その最中………

 

突如、白狼の姉代わりで家族だと言う女性………

 

『本多 美嵩』が現れ、白狼を連れて行こうとする。

 

止めようとした了平がブッ飛ばされ、騒然となる大洗機甲部隊だったが、他ならぬ白狼が彼女を押さえる。

 

そして、教官である空達が現れたところで、何と!

 

美嵩は、白狼に歩兵道を辞めろと言って来たのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大洗男子校・作戦会議室にて………

 

「!? えええっ!?」

 

「歩兵道を………辞めろって」

 

「オイオイ、マジかよ………」

 

「どないなっとんねん?」

 

美嵩が、白狼に歩兵道を辞めろと言った事で、優花里、飛彗、海音、豹詑が仰天の声を挙げ、大洗機甲部隊の一同もざわめき立つ。

 

「………何故歩兵道を辞めさせようとする?」

 

そんな中で、弘樹は冷静に、美嵩に向かってそう問い質す。

 

「歩兵道は危険よ………毎年どれだけの怪我人が出ているか知ってるの?」

 

美嵩は弘樹を睨み付けながらそう返す。

 

(成程な………)

 

その視線を受け止めながらも、弘樹は冷静に内心で納得した様な様子を見せる。

 

弾丸や砲弾等が飛び交う中で生身を晒している歩兵道は、安全に対し他の武道より厳格な配慮が成されている。

 

しかし、それでも他武道と比べて、負傷者が発生する率は高い。

 

彼女はそれを気にしている様だ。

 

「確かに、歩兵道者の負傷率は高い。だが、どんな武道やスポーツであろうと、負傷のリスクは有るものだ。そして、皆それを承知でやっている」

 

「貴方達と白狼は違うのよ。白狼は何れ世界を相手にするレーサーになるのよ。もし負傷してバイクに乗れない身体にでもなったら如何する積り!」

 

弘樹の意見にそう反論する美嵩。

 

主張は平行線である。

 

「美嵩………俺は歩兵道を辞める積りは無い」

 

とそこで、他ならぬ白狼が、美嵩にそう言った。

 

「! 白狼! 如何してっ!?」

 

「俺自身の………プライドの為だ」

 

驚く美嵩に向かって、白狼はそう言葉を続ける。

 

「…………」

 

それを聞いた美嵩は、驚いた表情を消し、押し黙る。

 

「………次の対戦相手は何処なの?」

 

そして、白狼に次の対戦相手の事を尋ねる。

 

「西部学園ってところだ」

 

「そう………」

 

それを聞いた美嵩は、一瞬黙り込んだかと思うと………

 

「なら、その西部との試合で良い成績を出せなかったら、歩兵道を辞めて鈴鹿に帰ってもらうわ」

 

白狼に向かってそんな事を言い放った。

 

「ちょっ! そんな勝手に………」

 

「小母さんからの許可も貰ってあるわよ」

 

飛彗が食い下がろうとしたが、美嵩は1枚の書類を取り出してそう言った。

 

「失礼するよ」

 

迫信がその書類を手に取り、改める。

 

それは、白狼の転校届であり、白狼の母の実印が押されていた。

 

「………確かに、コレは正式な転校届の書類の様だね」

 

「そんなっ!? 何とかならないんですか!?」

 

アッサリとそう認める迫信に、飛彗がそう言うが………

 

「飛彗、もう良いぜ」

 

「! 白狼! でも!!………」

 

「美嵩を納得させるには俺が納得行く活躍をするしかねえんだ。どの道、大洗機甲部隊に負けは許されねえ」

 

切り捨てるかの様にそう言う白狼。

 

「決まりね………」

 

「用はそれだけか? なら今日も帰ってくれよ。このままじゃコッチも肩身が狭いんだ」

 

「…………」

 

白狼にそう言われると、美嵩はキッと踵を返し、空達の横を擦り抜けて、何も言わずに去って行った。

 

「………ハア~~、やれやれ」

 

「嵐………いや、ゴジラみたいな女だったわね」

 

美嵩の姿が完全に消えた事を確認した白狼が深く溜息を吐くと、空が美嵩の事をそう評した。

 

「あの、神狩殿………あの、本多 美嵩と言う方は家族だと仰ってましたが、一体如何言う御関係で?」

 

とそこで、優花里が美嵩が白狼の家族だと名乗った事に付いて、白狼自身に尋ねる。

 

「ああ………美嵩は昔、死んだ親父が引き取って来たんだ。親友の娘だったとかでな」

 

「神狩くんって母子家庭だったんだ」

 

白狼がそう説明すると、沙織がその言葉から白狼が母子家庭である事に気付く。

 

「引き取ったと言う事は………彼女の本当の両親は既に?」

 

「ああ、死んでる………しかも最悪な形でな」

 

「最悪?」

 

白狼の言葉に、優花里が首を傾げる。

 

「美嵩の両親は外交官だったんだが………派遣先の国で、テロに巻き込まれた」

 

「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」

 

衝撃的な話に大洗機甲部隊の一同は固まる。

 

「しかもアイツも巻き込まれてな。一命は取り留めたんだが、直後にそのテロリスト達に人質として捕まり、人身売買されそうになったらしい」

 

「その話、聞いた事あるわ。確か某国での事で、特殊作戦群が初めて海外で活躍して、人質を救出した事件ね」

 

白狼が更に衝撃的な事実を続ける中、その事件に自衛隊の特殊部隊『特殊作戦群』、通称『特戦群』が関わっていた事を思い出した空がそう口を挟む。

 

「全てを失ったアイツは俺の家に引き取られた。目の間で家族を無残に殺され、自身も残酷な目に遭ったアイツは新しい家族………特に一番仲が良い俺に執着する様になってな」

 

「だから神狩さんに歩兵道を辞めろって、あんなに強く………」

 

自身も暴力団の抗争で家族を亡くしている隆太が、思う様なところがある様な表情で呟く。

 

「けど、白狼よぉ。本当に大丈夫なのか?」

 

「せやで。今度の試合で活躍出来なきゃ歩兵道を辞める上に、転校までさせられてまうんやろ?」

 

とそこで、海音と豹詑が先程の条件を思い出しながら白狼にそう言う。

 

「言ったろ。どの道やるしかないってな」

 

しかし、白狼は淡々とそう返す。

 

とそこで、パンパンと空が両手を鳴らした。

 

「「「「「「「「「「!!」」」」」」」」」」

 

呆然としていた大洗機甲部隊の注目が、一斉に空に集まる。

 

「良い心掛けね、神狩くん。それでこそ歩兵道者よ。皆、今神狩が言った様に、兎に角やるしかないいんでしょう。なら先ずは目の前の試合に集中しなさい!」

 

その注目を受ける中、空は大洗機甲部隊の一同にそう呼び掛ける。

 

「藤林教官の言う通りだ。神狩くんが活躍出来るか如何かは我々次第だ」

 

「また厳しい戦いになると思いますが………皆さんの力を合わせて頑張りましょう!」

 

そして、大洗機甲部隊の総隊長と歩兵隊長であるみほと迫信がそう締める。

 

「………そうだな」

 

「どの道やるしかないか!」

 

「やったるぞーっ!!」

 

「頑張りましょうっ!!」

 

途端に大洗機甲部隊の隊員達の士気が高揚する。

 

「そうと決まれば作戦会議の続きだ!」

 

そして、皆一斉に作戦会議の続きに入る。

 

(………神狩殿)

 

しかし、優花里だけは、心配と不安が入り混じった表情で、白狼を見ていたのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜………

 

作戦会議が長引いた大洗機甲部隊の一同は、静香の提案で………

 

彼女が常連にしているステーキハウスに、戦勝祈願を兼ねた食事会に行く事となった。

 

 

 

 

 

大洗学園艦・甲板都市の一角………

 

ステーキハウス『バトルホッパー』………

 

「こんばんわ~」

 

「いらっしゃいませ!………ああ、静香ちゃんか。待ってたよ」

 

「光太郎さん、今日はお世話になりますね」

 

静香が先頭で店に入ると、店のオーナーである何故か分からないが非常に頼りになるオーラを持っている壮年の男………『黒木 光太郎』が出迎える。

 

「皆さん、入って来て下さい」

 

「こんばんわ」

 

「お邪魔します」

 

静香がそう言うと、大洗機甲部隊のメンバーが店内へと入って来る。

 

メンバー全員で来たのだが、店の規模はかなり大きく、皆が席に着いても空席が有る程だった。

 

「いや~、食べ盛りな学生さんがこんなに来てくれて嬉しいよ。今夜はたっぷりとサービスするから、皆遠慮しないで食べてくれ!」

 

「おっしゃ~っ!!」

 

「ゴチになりま~すっ!!」

 

光太郎がそう言うと、大洗歩兵部隊を中心に、歓声が挙がるのだった。

 

 

 

 

 

「『BLACKステーキ』5人前追加で!」

 

「こっちも『RXステーキ』を10人前追加!!」

 

「ハ~イ! ちょっと待っててね~っ!!」

 

次々に舞い込む追加注文を、店員と共に手際良く処理して行く光太郎。

 

その手際は人間離れしていると言っても過言ではなかった。

 

「あのオーナーさん、凄い………」

 

「確かに………あの対応能力には目を見張るものがあるな………」

 

そんな光太郎の様子を見て、みほと弘樹がそう漏らす。

 

「まあまあ、良いじゃないの、西住ちゃん」

 

「そうそう。今は食事を楽しもうじゃないか」

 

と、反対側のテーブルに居た杏と迫信が、2人の呟きを聞いてそう返して来る。

 

「ハイ、追加お待ちどうさま!」

 

そこで、光太郎が杏達のテーブルの方に、追加分の注文の品を持って来る。

 

「ああ、どうも~」

 

「確か、大洗女子学園の生徒会長さんだったよね? 大洗女子学園が廃校にされるかも知れないって言うのは本当かい?」

 

杏が礼を言うと、ふと光太郎がそんな事を尋ねて来た。

 

「………まあね。文科省の学園艦教育局の役人さんが、生徒が減ってるし、目立った実績も無いから今年度いっぱいで廃校だって」

 

一瞬言うべき迷った様子を見せた杏だったが、やがて吐露する様にそう話す。

 

「酷い話だ。元々学園艦は文科省の方針で造られたものだと言うのに、幾ら何でも横暴過ぎる………!! もしや!? ゴルゴムの仕業か!?」

 

それを聞いた光太郎が、謎の単語を口にする。

 

「は? ゴルゴム?」

 

「何です? ソレ?」

 

杏と同じテーブルに居た桃と柚子が、そんな光太郎の姿を見て首を傾げる。

 

「! いや、クライシスの陰謀かも知れん! おのれ文科省! ゆ゛る゛さ゛ん゛!!」

 

しかし、光太郎は気にせず、更なる謎の単語を発したかと思うと、台詞が全て濁音になる程に文科省へ怒りを爆発させ、何やら拳をギリギリと音がするまで握り締めて変身しそうなポーズを取る。

 

「「「「「…………」」」」」

 

弘樹、みほ、杏、桃、柚子は、そんな光太郎の姿に唖然とするばかりである。

 

「………っと! ゴメンよ、つい昔の癖で………」

 

「スイマセーン! また追加で!!」

 

「あ、ハーイ! 今お伺いしまーすっ!!」

 

と、我に返った様にそう言った瞬間に、追加の注文が入って、すぐに伺いに向かう光太郎。

 

「か、変わった人みたいだね………」

 

(………何だ?………あの構えていた瞬間………とてつもない気迫を感じた気がする………)

 

みほが思わずそう漏らすが、弘樹は光太郎がポーズを取った瞬間に、まるで太陽の様な凄まじさを感じ取っていたのだった。

 

 

 

 

 

「…………」

 

皆が楽しそうに会話を交えてステーキに舌鼓を打っている中、1人カウンター席で、淡々とステーキに噛り付いている白狼。

 

「如何だい? ウチのステーキは?」

 

そんな白狼に、カウンター越しに光太郎が声を掛けて来た。

 

「………まあまあだな」

 

白狼はうっとおしそうにしながら適当に返事を返す。

 

「フフフ、ひねくれてるね。『早川先輩』が言っていた通りだね、神狩 白狼くん」

 

「! アンタ、おやっさんの事を知ってるのか!?」

 

とそこで、光太郎の口から『早川先輩』なる人物の名が出ると、白狼が目の色を変える。

 

『早川先輩』………

 

それは白狼がおやっさんと呼んでいる、黒森峰のバイク整備長………

 

『早川 志郎』の事だった。

 

「ああ、早川さんは僕の大先輩に当たる人でね。昔はよく世話になったものさ」

 

「そうなのか………」

 

「………何か悩んでいるのかい?」

 

「!!………」

 

確信に触れて来る様な光太郎の言葉に、白狼は黙り込む。

 

「答えたくなければ別に良いさ。だけど、コレだけは言わせてくれないかな?」

 

「?………」

 

「君は………1人で戦っているワケではない。その事を忘れない事だ」

 

光太郎はそう言い残し、厨房の方へと帰って行った。

 

「…………」

 

残された白狼は、少しの間沈黙していたが、やがてまたステーキに噛り付き始めたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてそのまま日は流れ………

 

遂に西部学園との試合の日が訪れた………

 

試合会場は、西部学園艦の艦上でも在った、西部劇に出て来そうな荒野で、御丁寧に西部劇風の街並みのセットが組まれている。

 

砂埃が舞い上がり、タンブル・ウィードが転がっている。

 

如何やら、和製西部劇の撮影所として使われている場所の様だ。

 

その一角で待機中の大洗機甲部隊は、試合前の戦車と武装の最終チェックを行っている。

 

と、その中に並んでいる戦車の中で、Ⅳ号の装いが変わっていた。

 

ジャーマングレイだった塗装がレッドブラウンに変わり、車体横と砲塔周りに鉄板………増加装甲の『シュルツェン』が取り付けられている。

 

また主砲も43口径75mm砲から48口径75mm砲へと僅かながら上位に換装されている。

 

「マークⅣスペシャルだぁっ! カッコイイですね!!」

 

そのⅣ号………『Ⅳ号H型』を見て、優花里がそう歓声を挙げる。

 

「スマンな。もう少し強化してやれれば良かったんだが、コレが手一杯でな」

 

「いえ、十分です。ありがとうございます」

 

敏郎がそう詫びて来ると、みほは十分だとお礼を言う。

 

「そう言えば、整備部長。例の38tの改造案は如何なったんだ?」

 

とそこで、桃が敏郎に向かってそう尋ねる。

 

「八方手を尽くしているが、肝心の改造キットが品薄状態でな。取り寄せるにはまだ時間が掛かる」

 

「クソッ! アレさえあればかなりの戦力強化になると言うのに!」

 

敏郎がそう返すと、桃は悪態を吐く。

 

(改造キットか………)

 

と、その会話を聞いていた弘樹が、何やら思う様なところが有る表情を見せる。

 

「あ、舩坂さん」

 

するとそこで、飛彗が声を掛けて来た。

 

「ん? 如何した、宮藤くん?」

 

「白狼の事、見ませんでしたか?」

 

「何?………」

 

飛彗からの思わぬ質問に、弘樹は軽く驚きを示す。

 

「一緒じゃなかったのか?」

 

「それが………前日に、例の転校届の件で母親に問い質しておきたい事があるからって、故郷の鈴鹿の方に………試合会場には直接来るって言ってたんですけど………! あ、すみません」

 

そう説明していると、携帯が鳴ったので、相手を確認する飛彗。

 

「! 白狼!」

 

そして掛けて来た相手が白狼である事を確認するがいなや、すぐに通話ボタンを押して携帯を耳に当てる。

 

「もしもし?」

 

『ああ、飛彗。今何処に居るんだ? コッチはもうとっくに会場で待ってるんだぞ』

 

飛彗が呼び掛けると、白狼からそんな台詞が返って来た。

 

「えっ!? とっくにって………僕達も、もう会場入りして試合準備を進めてるとこなんだけど?」

 

『何っ? でも姿が見えないぞ。と言うか、審判やら観客の姿も見えないんだが………』

 

「!? ま、まさか!?………」

 

それを聞いた飛彗の脳裏に、ある嫌な予感が過る。

 

「ほ、白狼………今居るのは○○市ですよね?」

 

『えっ? いや、××市だけど………』

 

白狼がそう返すと、飛彗の顔がサーッと青くなる。

 

「試合会場は○○市ですよっ!!」

 

『!? 何ーっ!?』

 

思わず飛彗がそう叫ぶと、白狼の仰天の声が返って来る。

 

「試合会場の場所を………間違えたのか?」

 

「「「「「「「「「「ええ~~~~~っ!?」」」」」」」」」」

 

弘樹が呆れる様にそう呟いた瞬間に、傍で聞いていた大洗機甲部隊の一同も、驚愕の声を挙げる。

 

「と、兎に角! すぐにコッチに来て下さいっ!!」

 

『わ、分かったっ!!………』

 

白狼は最後にそう返し、電話を切った。

 

「××市から〇〇市までは、どんなに急いでも1時間は掛かるぞ………」

 

「クソッ! あのバカタレ! 何ちゅうポカやらかしたんや!!」

 

十河が頭を抱えて苦い顔でそう呟き、大河がイラついている様に地団駄を踏む。

 

「もう試合開始時間ですよ………」

 

清十郎が、携帯の時計を見ながらそう呟く。

 

「………やってしまったものは仕方が無い。宮藤くん、おおかみさん分隊は君が分隊長代理として指揮を取れ」

 

「! ハ、ハイッ!」

 

「皆さん! 時間は掛かりますが、神狩さんは必ず来てくれます! それまで、私達も頑張りましょう!!」

 

だが、何時までも動揺しては居られないと、弘樹がすぐに飛彗をおおかみさん分隊の分隊長代理に任命し、みほも皆の動揺を抑える様にそう言う。

 

「せや! 白狼は来る! 必ず来る!!」

 

「それまで俺達がアイツの分まで働くぜっ!!」

 

その言葉に逸早く豹詑と海音が反応し、それを皮切りに大洗機甲部隊の士気が上がるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

10分後………

 

とうとう試合開始の時刻が訪れ、大洗機甲部隊は西部機甲部隊との挨拶の為、集合場所へと移動した。

 

「それではコレより、戦車道・歩兵道全国大会第7回戦………大洗機甲部隊と西部機甲部隊の試合を開始致します! 一同、礼っ!!」

 

「「「「「「「「「「よろしくお願いしまーすっ!!」」」」」」」」」」

 

集合した大洗機甲部隊と西部機甲部隊の隊員達が互いに礼をして挨拶を交わす。

 

「貴方とは初めましてね、西住 みほさん。私が西部機甲部隊の戦車隊長兼総隊長、クロエよ」

 

と、両機甲部隊の代表として前に出ていたみほと迫信、クロエとジャンゴの内、クロエがみほにそう言い放つ。

 

「ハ、ハイ………」

 

「貴方が如何戦うか、期待させてもらうわね。私の事を………熱くさせて頂戴よ」

 

そう言ってニヤリと笑うクロエ。

 

「!!………」

 

しかしみほは、その笑みに猛獣の様な気迫を感じ取り、一瞬身体を震わせるのだった。

 

「「…………」」

 

一方、後方に控えている両機甲部隊のメンバーの中でも、視線を交差させている者達が居る。

 

ジェームズとオリバーだ。

 

(オリバー………)

 

ジェームズは緊張する。

 

まさか走りの先生であるオリバーと戦う事になるとは………

 

今のオリバーは、一体どんなスピードを見せてくれるのか………

 

ジェームズは拳を握り締めながら戦慄する。

 

「フッ………」

 

「!!」

 

そんなジェームズの心情に気付いたのか、オリバーが不敵に笑う。

 

(そうだ………ココまで来て怖気づいてなんか居られまセン………僕達は………必ず勝たなければナラナイデス)

 

決意を新たにし、オリバーを見据えるジェームズだった。

 

一方、大詔とオセロットも睨み合っている。

 

(………まだ若干跡が残っているな)

 

しかし、大詔はオセロットの顔に、白狼のバイクのタイヤの跡が未だに残っているのを見て、そんな事を思う。

 

(スネーク………貴様は俺が倒す! だが、その前に神狩 白狼だ! 奴は何処に居る!?)

 

そしてそのオセロットは、大詔に加えて、白狼に対しても敵意を燃やしていたのだった。

 

その後、両機甲部隊は、其々のスタート地点へと向かう………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大洗機甲部隊・スタート地点………

 

『全国1億人の兵器武道ファンの皆さん、お待たせ致しました! いよいよ第7回戦の開始です! 今日のカードは大洗機甲部隊VS西部機甲部隊!』

 

『今大会最大のダークホースと黒森峰に次ぐと噂される強豪校の対戦。いや~、またしても我々を唸らせてくれそうな試合になりそうですね』

 

実況席のヒートマン佐々木とDJ田中の声が響く中、遂に試合開始の信号弾が撃ち上がる。

 

「パンツァー・フォーッ!!」

 

「アールハンドゥガンパレードッ!」

 

みほと迫信の号令が響き渡り、大洗機甲部隊は進軍を開始する。

 

『さあ、始まりました! 大洗機甲部隊! そして西部機甲部隊! 君達に、幸あれっ!!』

 

そして、ヒートマン佐々木がお馴染みの台詞を決めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させていただきました。

怪我の絶えない歩兵道を辞めろと白狼に言う美嵩。
美嵩が白狼を過剰に守ろうとする理由。
それは、彼女の幼き日の経験ゆえだった。
白狼は引き下がらないが、美嵩は半ば強引に辞める約束をこじつける。

そして戦勝祈願の食事会を行って臨んだ西部戦だったが………
何と肝心の白狼は試合会場を間違えてしまう。
白狼の不在のまま、試合は幕を開ける。
果たして、大洗機甲部隊と白狼の運命は?

ちょっと雑談になりますが、最近某所にて『ガルパン×黒騎士物語』と言う有りそうでなかったSSを発見しまして。
これが何とも面白いんですよ。
興味があったら読んでみて下さい。

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。

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