ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース   作:宇宙刑事ブルーノア

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第121話『サバイバル・ウォーです!(パート5)』

『ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース』

 

第121話『サバイバル・ウォーです!(パート5)』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

西部戦を前に、東富士演習場の一部を使っての合宿を始めた大洗機甲部隊だったが………

 

トラブルにより食材が一部喪失。

 

補充の為に、森林の中へ足を踏み入れていたとらさん分隊とあんこうチーム、ハムスターさん分隊とウサギさんチームを中心にした面々。

 

その最中に、暴れ牛が出現!

 

あわやと言ったところで、暴れ牛は投げ縄を操る外人に取り押さえられる。

 

その外人の姿を見たジェームズが驚きの声を挙げる。

 

外人の名は『オリバー』

 

ジェームズの兄貴だと名乗った。

 

しかし、ジェームズは1人っ子だと言う………

 

一体如何言う事なのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

東富士演習場の一部・森林の中………

 

「すまないが、分かる様に説明してくれないか?」

 

ジェームズとオリバーに向かって、弘樹がそう説明を求める。

 

「えっと、ソノ………オリバーは………僕に『走り』を教えてくれたティーチャ―なんです」

 

「何?………」

 

「「「「「「「「「「ええっ!?」」」」」」」」」」

 

するとジェームズはそう答え、弘樹は僅かに眉を動かし、ウサギさんチームとハムスターさん分隊の面々は驚きを露わにする。

 

「懐かしいな。アリゾナのスクールだったな」

 

するとオリバーはそう言い、ジェームズとの出会いを語り始める………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数年前………

 

アメリカ・アリゾナ州のとある学校………

 

当時ジェームズは、母の仕事の都合でワシントンから此処アリゾナへと引っ越した。

 

しかし、気の弱いジェームズは恰好のイジメ対象となってしまう。

 

その日も、イジメっ子グループ全員の鞄持ちをさせられていた………

 

「こ、こんなに沢山運べないよぉ~」(注意:英語で喋っているので言葉が流暢になってます)

 

「大丈夫だって! その為にビニール紐を持って来たんだからよぉっ!!」

 

大量の鞄を持たされてフラつくジェームズに、イジメっ子グループがそう言ったかと思うと、持っていたビニール紐で鞄を纏めて、更にジェームズの身体に縛り付ける。

 

「じゃあなぁ! ちゃんと全員の家まで運んどけよぉっ!!」

 

「ううう………」

 

鞄を押し付けて、遊びに向かおうとするイジメっ子グループ。

 

その時………

 

「ふ~ん? 御人好しにつけ込んで、男が寄って集って荷物の押し付けか? 情けないな、お前等………」

 

そう言う台詞と共に、1人の人物がイジメっ子グループの前に立ちはだかった。

 

それがオリバーであった。

 

(! 同じクラスの………確かオリバー、くん………)

 

「やっべ、オリバーだ! 逃げようぜ!」

 

「何だよ! ちょっとカッコ良くて、勉強が出来て、駆けっこで一番速いからって、調子に乗ってんじゃねーっ!!」

 

イジメっ子の1人はオリバーの姿を見て逃げようとするが、リーダーは立ち向かって行く。

 

「喰らえっ!!」

 

そしてオリバーに殴り掛かったが………

 

「フッ………」

 

オリバーはアッサリとその攻撃をかわし、リーダーが持っていたビニール紐の束を奪い取ったかと思うと、一瞬でイジメっ子グループをボンレスハムに仕立てる。

 

しかし、ちゃんと鞄を付けて。

 

「アラッ!?」

 

「ホワッツッ!?」

 

「何時の間にっ!?」

 

「ママ~~~ッ!!」

 

足まで雁字搦めにされたイジメっ子グループは、ピョンピョン跳ねながら一目散に逃げて行く。

 

「フン、ケンカも真面に出来ないなんて、情けない奴等だな………お前もお前もだ。あんな奴等にビビリ腰になって如何するんだ?」

 

それを冷めた目で見た後、ジェームズに向かってそう言い放つオリバー。

 

「いやでも………僕の場合はケンカなんかした事ないし………弱いしさ………」

 

「…………」

 

そう返すジェームズの姿を見て、オリバーは何かを考える様な素振りを見せる。

 

「………良し! 良いこと考えたぞ!!」

 

「えっ?………」

 

「今日から俺がジェームズの兄貴分として、ケンカの必勝法を教えてやるよ!」

 

「えっ?………!? えええええっ!?」

 

突然のオリバーの言葉に、ジェームズは困惑の声を挙げる。

 

「そんな、いきなり言われても………」

 

「弟分は兄貴分の言う事を聞くもんだぞ」

 

「って、もう兄弟分にされてるし………」

 

「さあ、行くぞっ!」

 

「ちょっ!? 待っ………」

 

そしてオリバーは、ジェームズを半ば無理矢理に連れて行くのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

連れて来られた場所は、人気の無いダートロード………

 

「俺が教えるのは『スピード』だ」

 

「『スピード』?」

 

「そうだ。ケンカに必要なのは力じゃなくてスピードだ。素早さってのは攻撃をかわすのにも有効だ」

 

「そう言えば、ジャパンの諺に『当たらなければ如何と言う事はない』って言うのがあるって聞いた事があるよ」

 

「それは………違うな」

 

オリバーの脳裏に、仮面を着けた赤くて3倍速いロリコンの男の姿が過る。

 

「と、取り敢えず、如何したら足が速くなるのか教えてやる。しかもただ足が速いだけじゃなく、爆発力の有るダッシュだ! 先ず、走ってみなよ、ジム」

 

「う、うん………」

 

当然の様に愛称で呼ばれる事に戸惑いながらも、ジェームズはダッシュしてみせる。

 

その走り方は、ペタンペタンと言う音が聞こえて来そうな感じだ。

 

「あー、違う違う! そんなペッタペタな走り方じゃ、かけっこはビリだ!! 靴に注目するんだ!」

 

即座にオリバーはダメ出しをし、自分の足を見る様に言う。

 

「さっきの走り方は、足首から先を回して地面を蹴る感じだったな。コレは最悪だ。足首は90度直角で固定! 足全体の力で、地面を押しながら進むんだ!」

 

言葉通りに実演して見せるオリバー。

 

「直角で?………押しながら??」

 

しかし、ジェームズはワケが分からず困惑する。

 

「まあ、いきなりは無理だ。今日から放課後、此処で練習だな!」

 

それから2人は、学校の放課後にダートロードに来ては、走り方の練習を続けた………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして数日が立ち、ジェームズが走り方を身に着け始めた頃………

 

2人はアリゾナの観光名所………

 

バーミリオン・クリフ国定公園の『ホワイトポケット』を訪れた………

 

「走る時って、何処の筋肉使ってる?」

 

「え? 何処って………」

 

オリバーにそう聞かれて、ジェームズは走るポーズを取って動かしている筋肉を確認する。

 

「こう………太腿の前の方、此処で引っ張って支える………みたいな感じ?」

 

その部分を手で押さえながらそう答えるジェームズ。

 

「うん、まあそれが普通の人間の走り方だ。だけどそれじゃ、爆発ダッシュは出来ない………色んなアスリートやオリンピックのスポーツ選手は走り方が全然違う」

 

そう言いながら、クラウチングスタートの様な姿勢を取るオリバー。

 

「足の内側や、後ろの筋肉を使って………前にドンと押し出す!」

 

そしてスタートしたかと思った瞬間、一瞬でトップスピードに達する!

 

「うわっ!?」

 

「足を漕ぐ感じで! 引っ張る力より押す力の方が強いに決まってるんだ!」

 

急ブレーキを掛けて静止すると、オリバーはジェームズにそう言う。

 

「ドンと………押し出す感じで………」

 

「そうだ! そのイメージでダッシュ出来れば………誰にも負けないスピードが得られるんだ!」

 

オリバーに指示されながら、ジェームズは爆発力のあるダッシュの練習を続けた。

 

しかし、場所は岩石だらけの岩場………

 

「!? あっ!?」

 

岩に足を取られて、ジェームズは転倒する!

 

「分かるか? ダッシュするにおいて、進行方向上に障害物があったりする。足元が特に注意だ」

 

そう言いながら、今度はオリバーが走り出すと………

 

岩床の隙間に躓くことなく、見事に走り抜ける。

 

更にはウェーブのある岩を難なく走り抜ける様も、披露した。

 

ジェームズはその姿に感銘し驚く。

 

しかし彼が最も尊敬するのは、何と動物のチーターだと言う。

 

陸上動物の中でも100mを3~4秒で走り抜ける。

 

そのバネの様に跳躍しながら走る姿にオリバーは憧れているのだと言う。

 

ジェームズは、そう語るオリバーの姿を、少しだけカッコイイと思っていた………

 

しかし、1年後………

 

ジェームズは再び親の事情により、今度はニューヨークへと引っ越す事となり、オリバーと別れる事になる………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現在………

 

東富士演習場の一部・森林の中………

 

「てっきりステイツに居るとオモッテタノニ………」

 

「まさかこんな所で会えるとはな………」

 

ジェームズとオリバーはそう言い合い、ガッチリと握手をかわす。

 

「そんな事が………」

 

「良い話だな~~」

 

一方、ウサギさんチームとハムスターさん分隊の面々は、2人の過去話に感銘を受ける。

 

「………っと、いけね。そろそろ戻らないと。世話の途中で逃げ出した牛を追って来たんだからな」

 

とそこで、オリバーはそう言うと、牛を拘束していたロープを解き、その背に跨った。

 

「オリバー! また会えるかな!?」

 

去り際にそう問い掛けるジェームズ。

 

だが………

 

オリバーからは、思わぬ答えが返って来た………

 

「ああ! 俺は今、西部学園って学校で歩兵道をやってるんだ! 今度の試合で大洗ってとこにで勝つのを見ていてくれよな!!」

 

「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」

 

何と!?

 

オリバーは西部学園の歩兵隊員だったのだ!!

 

驚愕を露わにするジェームズ達だったが、オリバーはそれに気づかず、牛に跨ったまま去って行った。

 

「オリバーが………西部学園に?………」

 

「君の走りの師匠と言う事は、相当な実力者と言う事だな………」

 

まだ驚きを露わにしているジェームズがそう呟くと、弘樹が若干苦い顔をしながらそう言う。

 

「…………」

 

「ジェームズ、その………」

 

「えっと………」

 

黙り込んだジェームズに、竜真と正義が何かを言おうとするが、言葉が出て来ない。

 

が………

 

「大丈夫デス、2人共。お気遣い、サンキューネ」

 

「!?」

 

「ジェームズ!………」

 

他ならぬジェームズが、そう返した。

 

「寧ろ、僕は楽しみにしてイマス………オリバーと………本気でファイト出来る事を」

 

闘志が燃えている目で、ジェームズはそう言い放つ。

 

(………一端の歩兵らしくなってきたな)

 

そんなジェームズの成長を確認し、弘樹は内心で笑みを浮かべる。

 

(オリバー………きっと君は昔よりずっと速く、強くなっているでショウ………でも、僕も負けません………大洗のソルジャーとして………親友として)

 

親友であるオリバーとの対決に、ジェームズは決意を固めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

東富士演習場近くの牧場………

 

「ただいま~」

 

牛に乗ったオリバーが、そう言って牧場の敷地内へと入って来る。

 

「おう、お帰り、オリバー。無事に捕まえたみたいだな………」

 

そう言ってオリバーを出迎えるジャンゴ。

 

「もうすぐ飯だぞ。今日はバーベキューだそうだ」

 

更にそう言う台詞と共に、レオパルドがそう言って来る。

 

「ワンダホー! そいつは楽しみだね。肉もたっぷりある事だし」

 

牛舎へと運ばれて行く、掴まえた牛の姿を見ながらそう言うオリバー。

 

………如何やら、あの牛は食される運命にあるらしい。

 

「そう言えば………この近くで、次の対戦相手の大洗の連中もキャンプをしているらしいな」

 

ふとそこで、ジャンゴがそんな事を呟く。

 

「えっ!? この近くで!?」

 

それを聞いたオリバーが驚きの声を挙げる。

 

「ああ、まさかこんな偶然があるとはねぇ………」

 

「ま、連中が幾ら練習しようが、勝つのは俺達に決まってるがな、ハハハハ!」

 

ジャンゴがそう言葉を続けると、レオパルドがそう言って笑い声を挙げる。

 

「…………」

 

しかし、オリバーにはそんなレオパルドの笑い声も遠くに聞こえた。

 

(大洗がこの近くに………じゃあ、まさかジェームズの奴………)

 

ジェームズが、大洗の歩兵である事を察するオリバー。

 

(アイツと………試合で戦う事になるワケか………)

 

そう思った瞬間、オリバーの顔が険しくなる。

 

「さ、さっさと飯にするぞ」

 

「………すいません。レオパルドさん。俺もう少し訓練して来ます」

 

と、飯にすると言ったレオパルドにそう返し、オリバーは訓練へと向かう。

 

「あ、オイ!………如何したんだ? アイツ?」

 

「何か妙にやる気が出たみたいだねぇ………」

 

突然異様なやる気を見せたオリバーに、レオパルドとジャンゴは首を傾げるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

再び、東富士演習場………

 

整備班が中心となって、再建させた調理場では………

 

「よおし、大分集まったな」

 

桃が集められた食材を前にしてそう言う。

 

「こんな大きなイノシシ、どうやって仕留めたの?」

 

その中に、あの2メートル越えのイノシシが有るの見て、柚子が弘樹達に尋ねる。

 

「仕留めたと言うか………」

 

「まあ、運が良かったとだけ言っておこう」

 

地市が返答に困っていると、弘樹がそう返す。

 

「よ~し! じゃあ早速調理に取り掛かろうかぁっ!!」

 

するとそこで、そう言う台詞と共に、エプロンをした杏が姿を見せた。

 

「アレ、会長っ?」

 

「その恰好は?」

 

そんな恰好で現れた杏に、みほと優花里が首を傾げてそう言う。

 

「角谷くんは料理が趣味なのだよ」

 

とそこで、いつもの様に口元を扇子で隠している迫信がそう説明して来る。

 

「へえ~、見かけによらないですね」

 

「ちょっと!? 沙織さん!?」

 

沙織の素直な言葉に、みほは思わずツッコミを入れる様に声を挙げる。

 

「角谷さんばかりではないぞ」

 

更にそこへ、同じ様にエプロンをしたゾルダートも姿を見せる。

 

「わあ! 久しぶりにゾルダートさんの料理が味わえるんですね!」

 

そのゾルダートの姿を見たみほが目を輝かせる。

 

「そう言えば、聞いた事あります。ガーバイン・ランゼン殿は歩兵の腕だけでなく、料理の腕も一流で、三ツ星シェフが裸足で逃げ出す程だとか」

 

優花里が思い出した様にそう語る。

 

「フッ、私はゾルダート・ファインシュメッカーだよ、秋山くん」

 

そしてそんな優花里に向かって、相変わらずのスタンスを貫くゾルダート。

 

「何を! 会長の方が凄いに決まってる!」

 

「まあまあ、河嶋。料理の腕ってのは比べるもんじゃないよ。大切なのは食べてもらう人に美味しいって思って貰う事さ」

 

「その通りだ。流石ですね、角谷さん」

 

杏を崇拝する桃がそれに噛み付くが、当の杏がそう言って抑え、ゾルダートも杏に敬意を払う。

 

「手分けしてやるぞ。何せ人数が人数だ。全員で協力して終わらせるんだ」

 

「「「「「「「「「「了解っ!!」」」」」」」」」」

 

弘樹がそう言うと、大洗機甲部隊の面々は、一斉に食事の支度を開始するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させていただきました。

ジェームズの兄貴と名乗ったオリバーは、ジェームズの兄貴分の親友だった。
ジェームズに『走り』を教えてくれたのも彼だと。

だが………
何と彼は、今西部学園で歩兵道をしていると言う。
かつての親友との戦いに、ジェームズは覚悟を決めるのだった。

さて、次回でキャンプは終わり、次の西部戦へ向けての話となります。
で、キャンプの最終回ですが………
ちょっとサービスシーンを入れようかなと(爆)
と言っても、ほんのちょっとなので、過度な期待はしないで下さい。
この小説は健全なので

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。

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