ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース   作:宇宙刑事ブルーノア

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第117話『サバイバル・ウォーです!(パート1)』

『ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース』

 

第117話『サバイバル・ウォーです!(パート1)』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

新代 護達、呉造船工業学校の軍艦道艦隊の援護砲撃により………

 

第6回戦、クレオパトラ&スフィンクス機甲部隊との試合で勝ちを拾った大洗機甲部隊。

 

だが、次なる相手は西部学園………

 

何時かのガンショップで、歩兵のエース達がその実力を見せつけて来た、強豪校だった………

 

またもや強敵との試合に、大洗機甲部隊は臨む事となる。

 

そんな大洗機甲部隊は今………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

東富士演習場の一角………

 

「よおし! 出来たっ!!」

 

「お~い! 終わったんならコッチを手伝ってくれぇっ!!」

 

「竃はこんなモンで良いか?」

 

「誰か~! 金槌貸してくれぇっ!!」

 

戦闘服に身を包んだ大洗歩兵部隊の一同が、忙しく動き回りながらテントなどの組み立てを行い、宿営地作りに従事していた。

 

「まさか一部とは言え、東富士演習場を使わせて頂けるとはなぁ………」

 

テントの設営を終えた弘樹が、やや遠くに見える富士山を眺めながらそう呟く。

 

「ホント、藤林教官様々だな」

 

その呟きを聞いたシメオンがそう返して来る。

 

「ああ………」

 

とそこで弘樹は、少し離れた場所で同じ様に宿営地作りをしているみほ達………大洗戦車チームの方を見やる。

 

「此処が宿営地です!」

 

「宿営地って何?」

 

「キャンプ場の事かな?」

 

「ねえねえねえねえ! それより、それより………何で水着なの?」

 

優花里、麻子、みほがそう会話していると、私服姿の沙織が、水着姿になっているみほ、華、優花里、麻子の姿を見ながらそう尋ねる。

 

「ホラ、生徒会や1年の皆さんが水着なので、私達も合わせようかと」

 

華がそう返した通り、キャンプ場に着くが否や、水遊びに興じようとして足を攣り、杏達生徒会チームに救助された1年生チームは、共に水着姿になっており、遊ぶ気が満々であった事が窺える。

 

「その方が変じゃない?」

 

「眠い………」

 

と沙織がそうツッコミを入れていると、相変わらず気だるげな様子で居た麻子が、設営しようとしていたテントの上で横になり、眠ろうとしていた。

 

「麻子、まだ早い! 寝るのはテントの中! 上じゃないの!!」

 

「あ~! 麻子先輩、寝ないで下さい!」

 

沙織がそう注意すると、梓も麻子にそう呼び掛ける。

 

「…………」

 

するとそこで、紗希が麻子の傍に近寄って行ったかと思うと………

 

「…………」

 

その隣に同じ様に寝転がった。

 

「紗希も一緒に寝ない!」

 

「でも気持ち良さそう~」

 

「そうですね~」

 

あゆみが注意するが、優希と華からはそう呑気そうな声が挙がる。

 

「大丈夫です! 後で私がキチンと設営しますから!」

 

「先輩、流石です!!」

 

「アタシ達も手伝います!」

 

「手伝いまーす!」

 

とそこで優花里がそう声を挙げると、梓、桂利奈、あやがその手伝いに立候補する。

 

「それじゃあ、早速始めましょう! ツェルトバーンの設営は布1枚でもテントとして使えますが、先ずは4枚を1つに繋ぎます!」

 

そして優花里は、ドイツ国防軍で簡易雨具としても使用出来る野営用テント………『ツェルトバーン』の組み立てを始める。

 

「「へ~!」」

 

「先輩、流石です!」

 

「このボタンで布を繋いで………ね!」

 

「流石です、先輩!」

 

「テントってこうなってるんだぁ!」

 

テキパキと作業する優花里の姿を見て、テンションの上がっている1年生チーム。

 

「へえ~~」

 

「いや、それは特殊なテント………」

 

沙織も感心した様に呟くが、そこでみほがそうツッコミを入れる。

 

「そうなの?」

 

「うん、もっと簡単に組み立てられるの、持って来たから」

 

そう言ってみほが手で示した先には、一般的なアウトドア用のテントが組み立てられていた。

 

「わあ! もう出来てる!」

 

「うわあ~、可愛い~!」

 

「すっご~いっ!!」

 

沙織が驚きの声を挙げると、あやとあゆみが、みほの設置したテントの方に走り寄る。

 

「ヒグ………ううう………折角第二次大戦の雰囲気を味わおうと思ったのに………ヒグ、ヒグ………」

 

と、その光景を見た優花里が、ガチ泣きを始める。

 

「秋山くんはブレないな………」

 

そんな優花里を、みほ達が宥めているのを見ながら、弘樹はそう呟く。

 

 

 

 

 

何故、大洗機甲部隊の面々が、東富士演習場の一角でキャンプをしているのか?

 

実は先日………

 

大洗の面々は、次なる対戦相手………西部学園との試合に向けて、更なる指導を教官である空に依頼。

 

するとそれを了承した空は、いつもの演習場ばかりで練習していては上達に限界が来ると思い、何と上層部と掛け合い、東富士演習場を一部借りる事に成功したのである。

 

これから試合の間までずっととまでは行かなかったが、この東富士演習場が訓練の場となる。

 

その為、当面の宿泊の為に、キャンプよろしく宿営地を設営しているのだ。

 

 

 

 

 

「ハンネス達や新代先輩達も来れれば良かったんだがなぁ」

 

「仕方あるまい。航空機や艦艇は演習場が限られているからな」

 

ふとそこで、シメオンがそう呟いた事に、弘樹がそう返す。

 

そう、今回のキャンプ、もとい合宿には、ハンネス達の航空部隊、そして護の艦隊は参加していない。

 

両者とも、使う兵器の特性上、演習場が限られているからだ。

 

現在両隊は、大洗機甲部隊が宿営地を設立している場所から1番近い洋上で訓練中である。

 

その様子はと言うと………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

洋上の空中………

 

一航専の演習の様子………

 

「うおおおおぉぉぉぉぉっ! 逃がさんぞ、坂井ぃーっ!!」

 

「チイッ!!」

 

巴戦を展開している六郎の零戦二一型と旧陸軍の一式戦闘機・隼。

 

共に高度を落としながら左旋回を続け、六郎の零戦二一型を隼が追う形となっている。

 

「もう………ちょい!」

 

身体に掛かるGに苦しみながらも、照準レティクルが間も無く六郎の零戦二一型を捉えそうなのを見て踏ん張る隼のパイロット。

 

やがてレティクルが、完全に六郎の零戦二一型に重なる。

 

「貰ったっ!!」

 

その瞬間、隼のパイロットは、迷わず機首の一式十二・七粍固定機関砲の引き金を引いた!

 

しかし、曳光弾の混じった弾丸が、六郎の零戦二一型に向かって飛んだかと思われた瞬間………

 

六郎の零戦二一型の姿が、忽然と消える!

 

「!? 消えたっ!? 何処に!?………」

 

突如消えた六郎の零戦二一型の姿を、隼のパイロットはコックピット内から風防越しにキョロキョロと辺りを見回しながら探す。

 

するとその瞬間………

 

何時の間にか太陽の中に居た六郎の零戦二一型が、隼に向かって急降下!

 

「!?」

 

隼のパイロットが反応するよりも早く、翼の九九式一号20mm機銃2挺が火を噴く!

 

「うわわぁっ!? クソォッ! やられたっ!!」

 

ペイント弾で真っ赤に染まった機体を見ながら、隼のパイロットは悪態を吐く。

 

「良い腕だったぞ」

 

「皮肉にしか聞こえねえよ。ったく………今度は負けねえからな!」

 

六郎が通信でそう言うのを聞きながら、隼のパイロットは機体を離脱させる。

 

『やるじゃねえか、坂井』

 

『流石はあの坂井 三郎の子孫だけはあるな』

 

とそこで、六郎の零戦二一型にそう言う通信が入って来たかと思うと、その横に1機のジェット戦闘機が姿を見せる。

 

それは航空自衛隊の戦闘機『F-4EJ』だった。

 

良く見ると、機体には『680』と言う番号が振られ、一部に赤と白のダンダラ模様のカラーリングが施されている。

 

「いえ、神田教官と栗原教官の教えの賜物です」

 

六郎はその機体に向かってそう返信する。

 

そう、彼等は蝶野 亜美や最豪 嵐一郎、藤林 空達と同じく、一航専の航空機道の特別講師として招かれている航空自衛隊の教官………

 

茨城県は小美玉市にある百里基地所属、パイロットの『神田 鉄雄二等空尉』とナビゲーターの『栗原 宏美二等空尉』である。

 

この2人、自衛隊内では『ファントム無頼』と呼ばれ、色々な意味で有名なコンビでもある。

 

F-4EJは、生産国では既に退役済であり、日本でも後継機が決まっている機体だが、2人は好んでこの機体に乗り続けている。

 

F-4EJの退役が決まったら、自分達も退官する積りとまで豪語している。

 

『ハハハ! 嬉しい事言ってくれるじゃないか!』

 

『なら今度は回避機動のマニューバをフルセットだ。早速始めろ』

 

鉄雄が笑いながらそう言うと、宏美が即座にそう言い放つ。

 

「了解! 回避機動マニューバに入ります!」

 

六郎はコックピット越しに敬礼すると、回避機動マニューバの練習に入るのだった。

 

「栗、お前も相変わらず厳しいな」

 

「アイツは良いパイロットだ。何れは俺達も超える様になるかも知れん。だから、今の内に精々扱いてやるさ」

 

「お~、こわっ」

 

六郎の機体への通信を切ると、コックピット内でそんな会話を交わす鉄雄と宏美。

 

「ちょっ!? 隊長っ!! 訓練なんですから、そんな無茶は………」

 

「馬鹿者ぉっ! 訓練は実戦と同様に行わなければならない! そら急降下だぁっ!!」

 

と、その下方では、ハンネスとエグモンドの乗るスツーカが、ほぼ垂直の角度で、海面に向かって急降下して行く。

 

「………アイツもブレねえなぁ」

 

「後部座席の奴は気の毒だな………」

 

そんなハンネスとエグモンドの乗るスツーカの姿を見て、鉄雄は呆れる様に呟き、宏美は後部座席の相棒に同情するのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、海上では………

 

「1番主砲! 撃ちー方、始めーっ!!」

 

「撃ちー方、始めーっ!!」

 

護の号令で、雪風の1番主砲が火を噴く。

 

弧を描きながら飛んで行った砲弾は、仮想標的である敵巡洋艦に命中!

 

仮想標的の巡洋艦の、艦首と後部砲塔が吹き飛ぶ!

 

「良し、今だ! 全速前進! 吹雪、白雪に打電! 雷撃戦を仕掛ける! 我に続けっ!!」

 

「了解っ!!」

 

それを確認した護は、操舵手にそう言い、雪風を全速前進させると、続けて通信士にそう言い、雪風の後方に居た吹雪型(特Ⅰ型)駆逐艦1番艦『吹雪』と同2番艦である『白雪』に電文を送らせる。

 

その電文を受け取った吹雪と白雪が、雪風と同様に全速前進を開始する。

 

とそこで、仮想標的の巡洋艦が、まだ生きていた前部の主砲で、迫り来る雪風、吹雪、白雪に対し砲撃を行って来る。

 

仮想標的の巡洋艦の主砲弾は、雪風達の周囲に降り注ぎ、大きな水柱を上げる!

 

「おわっ!?」

 

「狼狽えるな! 水雷戦は度胸だ! 確実に当てられる距離まで近づけた奴が勝つ! 機関室! 全速を維持しろっ!!」

 

至近弾で上がった水柱の水が艦橋の窓を濡らし、艦体に振動が走った事で、艦橋員の1人が思わず声を挙げたが、護がそう怒鳴り、機関室へと通信を入れる。

 

『了解! 持たせてみせますっ!!』

 

機関室から、機関長のそう言う返事が返って来る。

 

「魚雷発射管、左舷に向けろっ!」

 

続いて護がそう命令を出すと、雪風に2基搭載されている九二式61cm四連装魚雷発射管が、左舷側を向く。

 

後続の吹雪、白雪も、61cm三連装魚雷発射管を左舷側に向ける。

 

その間にも、仮想標的の巡洋艦からの砲撃は続く。

 

「まだだ………まだ早い………」

 

しかし、それでも尚、護は雪風を仮想標的の巡洋艦に向かって真っ直ぐ前進させる。

 

やがてその距離が、目と鼻の先と言えるまで近づいた瞬間………

 

「! 今だっ!! 面ーかーじっ! いっぱーいっ!!」

 

「面ーかーじっ! いっぱーいっ!!」

 

護の号令が響き、操舵手が思いっきり右に舵を切る!

 

雪風が急激に面舵旋回を始め、後続の吹雪、白雪もそれに倣う。

 

そして3艦は、仮想標的の巡洋艦に対し、単縦陣で反抗戦を取る形となる。

 

「魚雷発射ぁっ!!」

 

「発射ぁっ!!」

 

その直後に、3艦から一斉に魚雷が発射される!

 

仮想標的の巡洋艦は、迫り来る魚雷に対し、船体を垂直にする事で回避しようと試みたが………

 

「遅いっ!!」

 

護の指摘通り、その回避行動は遅く、1発の魚雷が艦尾部を直撃っ!!

 

派手に水柱が上がったかと思うと、仮想標的の巡洋艦の艦尾部が消滅!

 

その破損個所から、大量の海水が船内へと流れ込む。

 

やがて仮想標的の巡洋艦は、艦首を持ち上げて、艦尾部から沈没して行く………

 

轟沈である。

 

「よしっ!!」

 

と、護がそう声を挙げた瞬間………

 

凄まじい轟音が響き渡り、空気が振動して、雪風の艦橋の窓ガラスが震える。

 

護が艦橋窓から轟音の聞こえた方向を見やると、そこには………

 

主砲である45口径35.6 cm連装砲を一斉発射している日本が初めて純粋に建造した超弩級戦艦………

 

『扶桑型戦艦』の1番艦である『扶桑』と同2番艦の『山城』の姿が在った。

 

風切り音を響かせながら、弧を描いて、目標である仮想標的の敵戦艦へと向かう扶桑と山城の砲弾。

 

やがて砲弾は着弾し、何発かが仮想標的の敵戦艦に命中。

 

残りの砲弾は、全て海に落ちて、大きな水柱を上げた。

 

命中箇所から激しい炎と黒煙を上げる仮想標的の敵戦艦。

 

しかし、まだ致命傷には至って居なかったのか、反撃にと砲撃を行って来る。

 

回避行動を取る扶桑と山城だったが、山城の後部甲板付近に着弾!

 

凄まじい爆発が起こったかと思うと、水上機射出用のカタパルトが吹き飛んだ!

 

甲板に穴が空き、朦々と黒煙を上げる。

 

直後に、乗員達が飛び出して来て、手早く消火作業と応急処置によるダメージコントロールを開始する。

 

一方、無事だった扶桑は、照準の修正を行い、再び仮想標的の敵戦艦に主砲を斉射!!

 

またも何発かの砲弾が仮想標的の敵戦艦に命中したかと思うと、一際大きな爆発が起こり、仮想標的の敵戦艦は中央部分から真っ二つになり沈没・轟沈した。

 

「やっぱり戦艦同士の撃ち合いは迫力あるな。良し! 我々も後れを取るなっ!!」

 

「「「「「「「「「「了解っ!!」」」」」」」」」」

 

護が乗員達にそう言うと、雪風は新たな仮想標的の敵艦へと向かって行くのだった。

 

 

 

 

 

その演習の様子を、少し離れた場所で見守る様に浮かんでいる、1隻の艦………

 

海上自衛隊のDGG-2199・護衛艦『やまと』の姿が在った。

 

「どうだ、沖田? あの子等は?」

 

その艦橋にて、双眼鏡を使って護達の演習の様子を見ている海上自衛官の佐官服に身を包んでいる老年の男に、同様に海上自衛官の佐官服に身を包んでいる同じくらいの年齢の男がそう問う。

 

「………素晴らしいな。流石は軍艦道名門校の生徒達だけはある。お前もそう思わんか? 土方」

 

沖田と呼ばれたその自衛官は、声を掛けて来た自衛官・土方にそう返す。

 

この2人も、呉造船工業学校の軍艦道の講師なのである。

 

「うむ………聞けば、例の大洗機甲部隊の洋上援護艦隊を引き受けたそうじゃないか」

 

「戦友が居るとの事だ。今時友の為にそこまで出来るとは、本当に良く出来た子達だ」

 

「恐らく、あの子達の何人かは海自へと来るだろうな」

 

「ああ、楽しみだな………それまでは現役を続けさせてもらうとするか」

 

未来の海上自衛官達の姿を思い浮かべ、沖田は嬉しそうな笑みを浮かべるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させていただきました。

OVAの話、サバイバル・ウォーをベースの西武戦への道のりを書かせて頂きます。
今回は原作冒頭部と、一航専と呉艦隊の演習模様をお送りしました。
特別ゲストも出演し、大迫力でお送りできたかと思います。

さて、遂に昨日から公開の劇場版ガルパン。
自分は今日見に行って来ます。
そして帰りは大洗で買い物です。
見た後に現地に行ける………
こればっかりは地元人の特権ですね。

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。

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