ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース   作:宇宙刑事ブルーノア

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本日はあんこう祭の日。
勿論私も行きます。
土曜には劇場版が遂に公開なので、最新の情報が聞けるのでしょうか?
劇場版は仕事の都合で初日には見に行きませんが、2日目の日曜には見に行きます。


第116話『近藤 里歌さんの過去です!』

『ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース』

 

第116話『近藤 里歌さんの過去です!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回は本当にギリギリながら………

 

クレオパトラ&スフィンクス機甲部隊を下した大洗機甲部隊………

 

試合終了直後に倒れた弘樹とみほも、無事に回復。

 

弘樹に至っては当然の様に即日退院したのだった。

 

そんな中………

 

戦車の殆どが大破し、オーバーホール中なので、スクールアイドルのレッスンに励んでいたサンショウウオさんチーム。

 

その時、怒鳴り声が聞こえ、興味からその元へと向かったサンショウウオさんチームが見たのは………

 

346プロのプロデューサーと、その彼に向かって怒鳴っている近藤 里歌の姿だった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大洗学園艦・大洗女子学園の一角………

 

「せめて、名刺だけでも………」

 

「しつこいですよ! いい加減にして下さいっ!!」

 

プロデューサーは里歌に向かって名刺を差し出すが、里歌は怒鳴るばかりで受け取る様子は無い。

 

「プロデューサーさんが………近藤さんをスカウトしてる!?」

 

その様子を隠れて窺っていたサンショウウオさんチームの中で、聖子が驚きの声を挙げる。

 

「オイオイ、何だってあんな奴を?」

 

「スクールアイドル活動してる私達を目の仇にしてるのに………」

 

唯と満理奈が、信じられないと言う表情を見せる。

 

「兎に角! 私はアイドルになんて興味有りません! コレ以上付き纏うなら、警察を呼びますよ!!」

 

「! そ、それは………」

 

警察を呼ぶと言う里歌に、プロデューサーは狼狽する。

 

何度か職質を受けている身だけに、過敏に反応してしまっている様だ。

 

「分かったらお引き取り下さい。今度姿を見たら………本当に警察に通報しますから」

 

そう言い残し、里歌はプロデューサーの前から去って行った。

 

「…………」

 

残されたプロデューサーは、所在無さ気に立ち尽くしていた。

 

「………ハア~」

 

「あの~………プロデューサーさん」

 

と、プロデューサーが深く溜息を吐いた瞬間、隠れて様子を窺っていたサンショウウオさんチームの面々が、ゾロゾロと現れる。

 

「! サンショウウオさんチームの皆さん。コレは、お恥ずかしいところを………」

 

「あ、いえ、そんな………」

 

「プロデューサーさん。何で近藤さんをスカウトしてたんですか?」

 

頭を下げるプロデューサーに聖子がしどろもどろと応対していると、伊代がそう尋ねる。

 

「彼女はスクールアイドル活動をしている私達を目の仇にしているのですよ」

 

「えっ? そう、なのですか?………」

 

続いて優がそう言うと、プロデューサーは軽く驚きを露わにする。

 

「ええ、私達のパフォーマンスは人に披露するレベルじゃないって………」

 

「そうですか………彼女の目からすると、そう見えてしまうのかも知れませんね」

 

静香の言葉に、意味有り気な台詞を言うプロデューサー。

 

「ワルキューレ達の主枢機卿、ひょっとして………幻影の事象を何か自らの記憶《メモリー》にインプットしているのか(訳:プロデューサーさん、ひょっとして………彼女の事を何か知ってるんですか?)」

 

「それは………」

 

今日子にそう問われ、プロデューサーは言葉に詰まる。

 

………如何でも良いが、蘭子で慣れたのか、今日子の中二病台詞にも、普通に反応出来ているプロデューサーであった。

 

「あの! もし宜しかったら、教えていただけませんか!?」

 

真っ直ぐにプロデューサーの事を見てそう言う聖子。

 

「…………」

 

そんな聖子の目を見て、プロデューサーは一瞬困った様に首の後ろに手を回したが………

 

「………分かりました。皆さんを信じてお話致します」

 

やがて決心した様な顔となってそう言う。

 

「ですが………この話は決して他言しないと約束して下さい」

 

「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」

 

プロデューサーのその言葉に、サンショウウオさんチームの面々は無言で頷いたのだった。

 

「………実は、あの学園祭で雑誌やホームページ掲載用の写真を撮影していたのですが………観客席を写した写真を見た島村さんが、見覚えの有る方が居らっしゃると言う事を話してくれまして」

 

「島村さんが?」

 

「ハイ、島村さんの話に寄りますと………彼女、近藤 里歌は………以前、島村さんと同じ養成所に所属していたそうです」

 

「!? ええっ!?」

 

「近藤 里歌が………」

 

「島村 卯月さんと………」

 

「同じ養成所に!?」

 

プロデューサーから齎された思いも寄らぬ話に、サンショウウオさんチームの面々は驚愕を露わにする。

 

「ハイ。それに………同期の候補生の中でも、トップクラスの成績だったそうです。幼い頃からアイドルが大好きで、教育テレビを見ながらダンスを楽しみ、小学校の頃からジュニアダンススクールに通い、アイドル専門雑誌を読みながらアイドルに関する事などを独学で猛勉強し、猛特訓していたそうです」

 

「信じられませんわ………」

 

「ロックだねぇ」

 

早苗と郁恵がそう呟く。

 

「史上最年少で武道館ライブをするのが彼女にとっての夢であり、生きる目標でもあると常々語っていたそうです………ですが」

 

「ですが?」

 

プロデューサーの表情が曇ったのを見て、明菜が嫌な予感を感じる。

 

「彼女も島村さんや他の候補生の皆さんと同様に、中々プロとしてデビューする事が出来なかったそうです」

 

「現実の壁にブチ当たったワケか………」

 

「更に、そんな彼女に追い打ちを掛ける様な事も有りました………」

 

「追い打ち?」

 

「『飛鳥城 星姫(あすかじょう きらら)』さんの事は御存知ですか?」

 

プロデューサーの口から出た『飛鳥城 星姫(あすかじょう きらら)』なる人物の名。

 

「知ってます。確か、数年前にトップアイドルになって、史上最年少で武道館ライブをやった伝説のアイドルですよね」

 

アイドルに詳しい静香が、『飛鳥城 星姫(あすかじょう きらら)』についてそう説明する。

 

「! ちょっと待って、静香! 史上最年少で武道館ライブって………」

 

「「「「「「「「「「!!」」」」」」」」」」

 

と、それを聞いた満里奈がそう声を挙げると、他のサンショウウオさんチームの面々もハッとする。

 

「………彼女はそれにより夢を………生きる目標を失ってしまったのです」

 

「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」

 

プロデューサーが辛そうな表情でそう言い、サンショウウオさんチームの面々は絶句する。

 

「その後すぐに、近藤さんは養成所を辞めたそうです。その後の音信は不通………島村さんも、写真を見て初めて気づいたそうです」

 

「そう………だったんですか」

 

聖子がまるで自分の事の様に悲しげな表情を見せる。

 

「でも、如何してそんなにアイドルが好きだったのに、今は………」

 

「恐らく、現実に直面しての挫折に加え、夢と生きる目標を結果的に一気に奪われた事で、好きだった気持ちが憎しみに変わってしまったのでしょう………」

 

伊代がそう言うと、優がそう推察を述べる。

 

「…………」

 

そこで聖子の脳裏に、プラウダ&ツァーリ機甲部隊との試合後のライブでの里歌の姿を思い出す。

 

ジッと自分達のステージを食い入る様に見つめ、去り際に寂しさと悲しさの入り混じった表情が浮かべた里歌。

 

(近藤さん………本当はまだ………)

 

「ですが、まだ彼女の可能性は失われていないと思います」

 

「!!」

 

そこでプロデューサーが自分の考えていた事と同じ事を言ったので、聖子は驚く。

 

「少なくとも私には、彼女は今………自分の本当の気持ちに嘘を吐いている様に見えました。本当はアイドルへの思いが、まだ残っていると」

 

「…………」

 

プロデューサーのその言葉を聞いて、聖子は考える様な素振りを見せる。

 

「………プロデューサーさん!」

 

やがて、決意したかの様な表情となり、プロデューサーに声を掛ける。

 

「? ハイ?」

 

「近藤さんの事は………私達に任せてくれませんか?」

 

「えっ?………」

 

「聖子!?」

 

「聖子ちゃん!?」

 

「「「「「「「「!?」」」」」」」」

 

そう言った聖子に、プロデューサーと優、伊代にサンショウウオさんチームの面々は驚きを露わにする。

 

「私、近藤さんがライブに来たのを見たんです。ジッと私達のステージを見てて………去り際に一瞬だけど、凄く寂しくて、悲しそうな顔をしてました」

 

「そんな事が………」

 

「同じ学校のスクールアイドルである私達の方が、説得もし易いと思うんです………お願いします! プロデューサーさん!!」

 

聖子はそう言い、プロデューサーに向かって深々と頭を下げる。

 

「…………」

 

そんな聖子の姿を、プロデューサーは暫しの間、ジッと見ていたかと思うと………

 

「………分かりました。近藤さんの事はお任せ致します」

 

やがてそう言い放った。

 

「! ありがとうございます!!」

 

「良いんですか? スカウトに来たのでは?」

 

プロデューサーに向かってお礼を言う聖子だが、優はそう疑問を呈する。

 

「確かに、彼女を346プロに迎え入れられないのは残念です………ですが」

 

「ですが?」

 

「もし彼女の最高の笑顔が見れるとしたら………それはサンショウウオさんチームの皆さんと一緒に居る時では………確証はありませんが、そんな気がするのです」

 

「プロデューサーさん………」

 

「アイドルのプロデューサーとしては、失格な行為かも知れませんが………」

 

「そんな事ありません!」

 

自嘲する様にそう呟いたプロデューサーの言葉を、聖子が遮る。

 

「プロデューサーは、最高のプロデューサーさんです! きっとシンデレラプロジェクトの皆さんもそう思ってますよ!!」

 

「………ありがとうございます」

 

聖子のその言葉を聞いて、プロデューサーは微笑を浮かべる。

 

「では、近藤さんの事は、よろしくお願い致します!」

 

「ハイ!」

 

威勢の良い聖子の返事を聞いて、プロデューサーは会釈をすると、その場から立ち去って行った。

 

「よ~しっ!」

 

「聖子。近藤 里歌を説得すると言ってましたが、勿論考えが………」

 

「全然無いっ!!」

 

「………だと思いました」

 

優の疑問に、何故か自信満々にそう返す聖子を見て、優は溜息を吐いて頭を押さえる。

 

「取り敢えず、もっともっとスクールアイドルとして頑張ろう! 私達が頑張ってる姿を認めてくれたら、近藤さんだって考えが変わるかも知れないよ!」

 

「んな、大雑把な………」

 

「良いんじゃない? 今のところ、出来る事って言ったらそれぐらいだし」

 

唯が呆れる様な様子を見せるが、郁恵が賛同する。

 

「うん! そうと決まったら、次の試合も勝ってライブをしないと! 前の試合はそれどころじゃなかったからね!!」

 

聖子がそう言う通り、実は第6回戦・クレオパトラ&スフィンクス機甲部隊との試合に勝利した記念ライブは、サンショウウオさんチームは行わなかった。

 

みほと弘樹が倒れて搬送され、弘樹はその日の内に回復したものの、みほに至っては入院まで必要となった為、それどころではなかったのである。

 

「それじゃあ! レッスンの続きを!!………」

 

「あ、あの~………」

 

「ふえっ?」

 

「「「「「「「「「「??」」」」」」」」」」

 

と、勇んでレッスンに戻ろうとしたところ、突然声を掛けられて、聖子とサンショウウオさんチームの面々は一斉にその声がした方向を振り返る。

 

「ひゃあっ! ご、ゴメンなのです~!」

 

そこには、一斉に視線を向けられて萎縮した様子の、幼く見える容姿で、頭に大きなリボンを付けた大洗女子学園の生徒の姿が在った。

 

「貴方は?………」

 

「アレ? さゆりちゃん?」

 

聖子が誰かと思っていると、静香がそう声を挙げた。

 

「静香ちゃんの知り合い?」

 

「あ、ハイ。良く図書室で会う友達で、1年の『赤坂 さゆり』ちゃんです」

 

「あ、あああ、『赤坂 さゆり』、なななななな、なのです………」

 

伊代がそう尋ねると、静香はそう言い、少女………『赤坂 さゆり』がガチガチに緊張した様子でそう言う。

 

「そんなに緊張しなくても宜しいのではないですか?」

 

「すすすす、すみません! ああああ、あがり症、なななな、なのでして………」

 

早苗がそう言うと、さゆりは相変わらずガチガチに緊張している様子でそう返す。

 

「いや、あがり症にも程が有るにゃ」

 

「こんなにあがり症な人、初めて見たよ」

 

その様子を見て、今度は満里奈と郁恵がそう言い合う。

 

「伝説はこう始まる………この黄昏の真祖『レティシア・フォン・ファンタズミク』とその眷属どもに何か宿命だと?(訳:それで、私達に何か御用ですか?)」

 

「え、え~と………」

 

今日子の問いに、しどろもどろとなるさゆり。

 

「そ、そそそそ、そのぉ………わわ、わた、わた、わた………」

 

「オイオイ、落ち着けよ」

 

「一回深呼吸してみて」

 

緊張しっぱなしのさゆりを見て、唯と伊代がそう言う。

 

「ハ、ハイ! スー………ハー………スー………ハー………スー………ハー………」

 

そこでさゆりは深呼吸をして、幾分か落ち着きを取り戻す。

 

「あ、あの! 私も………スクールアイドルになっても良いですかっ!?」

 

そして、サンショウウオさんチームの面々に向かって、そう問い質した!

 

「スクールアイドルに?………」

 

「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」

 

それを聞いた聖子とサンショウウオさんチームの面々が、顔を見合わせる。

 

「や、やややや、やっぱり駄目ですよね。わ、わわわわ、私、こんなあがり症だし………」

 

「大歓迎だよっ!!」

 

さゆりが落ち込む様な素振りを見せた瞬間、聖子がさゆりの両肩を掴んでそう言い放った。

 

「!? ひゃいっ!?」

 

「ようこそサンショウウオさんチームへ、さゆりちゃん。私達は、来る者は拒まない主義だからね」

 

「何時からそんな主義になったんですか、全く………」

 

驚くさゆりにそう言い放つ聖子に、優が呆れる様な台詞を吐いたが、その顔には笑みが浮かんでいる。

 

「よお~し! 新しい仲間も加わった事だし! 改めてレッスンの続きだ~っ!!」

 

と、聖子がそう叫ぶと、何の前触れも無く、いきなり走り出す。

 

「ちょっ! 聖子!!」

 

「聖子ちゃ~ん! 待って~っ!!」

 

「ま、待って下さ~いっ!!」

 

慌ててその後を追うさゆりを加えたサンショウウオさんチームの面々。

 

何だかんだで、聖子がリーダーとして、彼女達を引っ張っているのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その翌日………

 

大洗学園艦は、とある港に停泊している………

 

その甲板都市………

 

大洗女子学園・戦車格納庫にて………

 

「皆さん、御心配をお掛けしました」

 

退院したみほが、集まっていた大洗機甲部隊の面々に向かってそう言い、頭を下げる。

 

「みぽりん、退院おめでとう~!」

 

「おめでとうございます! 西住殿!!」

 

「お帰りみほちゃん!」

 

「御無事で何よりです! 総隊長!!」

 

途端に、大洗機甲部隊の面々からは割れんばかりの拍手が鳴り響く。

 

「あ、ありがとう………」

 

嬉しいやら気恥ずかしいやらでオドオドとしてしまうみほ。

 

「それじゃあ、練習を始めましょうか」

 

しかし、すぐに気を取り直し、練習に入ろうと呼び掛ける。

 

「大丈夫ですか? もう少し休まれた方が………」

 

華が、みほがまだ病み上がりなのを心配してそう言うが………

 

「大丈夫、もうすっかり元気だから。それに………次の相手は、あの西部学園だしね」

 

「西部学園………」

 

「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」

 

みほの口から、西部学園の名が出ると、大洗歩兵部隊の一同は沈黙する。

 

その脳裏に、ガンショップで出会った西部のジャンゴ、レオパルド、そしてオセロットの姿が思い起こされる。

 

高圧的な態度が目に付いたものの、その実力は本物であり、西部学園自体も強豪校で知られている。

 

それが次の相手と思うと、自ずと大洗機甲部隊には緊張が走る。

 

「緊張ばかりしていても仕方ない。兎も角、戦うには敵を知らなければな………」

 

するとそこで、指揮車から煌人が出て来てそう言う。

 

その手には、1枚のDVDが握られている。

 

「アインシュタイン?」

 

「そのDVDは?」

 

「西武学園の試合のDVDだ」

 

「!? ええっ!?」

 

「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」

 

サラリとそう言い放つ煌人に、みほを初めとした大洗機甲部隊の一同は驚愕を露わにする。

 

「そ、そんな物を、一体何処から!?」

 

「極秘ルートだ………」

 

優花里がそう問い質すが、煌人ははぐらかす。

 

「まあ、何はともあれ、貴重な資料が手に入ったね」

 

「早速皆で見てみようじゃないか」

 

そこで杏と迫信が場を纏める様にそう言い、大洗機甲部隊は男子校の作戦会議室へと移動するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大洗国際男子校・作戦会議室………

 

大型モニターに映し出されている西部機甲部隊の試合の様子をジッと見つめている大洗機甲部隊の一同。

 

試合会場は市街地で、既に決まりかけていた………

 

するとその時………

 

戦車の砲撃が響いている中、試合が行われている市街地の中で、女の子が楽しそうに走り回っている。

 

その姿を観客用の大型モニターで見た、観客席にいた1人の女性が悲鳴を上げる。

 

如何やら女の子はその女性の娘で、目を離している内に試合会場内に入ってしまった様だ。

 

そして最悪の事態が起こる!

 

相手機甲部隊のフラッグ車が、西部機甲部隊に追われて町中を逃げ回っており、その進行方向には先程の女の子が!!

 

フラッグ車の乗員は逃げるのに夢中で女の子に気付かない!!

 

それに気がづいた、西部機甲部隊のジャンゴが大声で………

 

『ピューマ!! 東の道路交差点だ!!』

 

と叫んだ!!

 

すると1人の歩兵が現れ、まるで機関車の様に両腕を振りながら物凄いスピードで、そのまま少女の方まで走り出す!

 

『その子を抱えながら走れ!』

 

ピューマと呼ばれた歩兵は、目を光らせ、あっと言う間にフラッグ車を追い抜くと、少女を掻っ攫い、そのまま抱えながら走り抜けた!

 

そして試合会場外まで出ると立ち止まり、鼻息を思いっきり吐く。

 

抱えている少女を審判に渡すと、再びジャンゴの指令で、先程の相手フラッグ車を追い掛ける。

 

彼の名は『ピューマ』、別名『人間重機関車』

 

機関車の様に徐々にスピードを上げ、相手フラッグ車との距離をドンドン詰めて行くピューマ。

 

しかし、相手フラッグ車も只逃げているだけではなく、狙撃兵達が配置された裏路地にピューマを誘導。

 

ピューマが射線に入って来るのを、狙撃兵達はジッと待つ。

 

だが、その時!!

 

突然ピンボールの様に跳ね飛んでいる銃弾が複数飛んで来て、狙撃兵達を襲い、瞬く間に狙撃兵は全滅………

 

何時の間にか路地裏に居たオセロットだ。

 

ガンショップでも披露した、見事な跳弾テクニックにより、単独で狙撃兵達を全滅させたのである。

 

一方のピューマは、もう相手フラッグ車に追いつこうとしていた。

 

するとそこで、車両を使って追い付いて来たジャンゴから武器………『フリーガーファウストB型』が渡される。

 

本来は航空機迎撃用で、結構な重さが有るフリーガーファウストB型を、速度を落とさず走り、更にはまるでブレずに構えるピューマ。

 

そして引き金が引かれると、幾つものロケット弾がフラッグ車を襲い、フラッグ車は白旗を上げた。

 

西部の勝利に観客は大歓声、大喝采を浴びせる。

 

「凄い………」

 

「あのピューマとか言う奴………本当に人間か?」

 

沙織が思わずそう呟き、地市もそんな事を呟く。

 

「…………」

 

一方聖子は、まだ食い入る様に大型モニターを見つめている。

 

映像は切り替わっており、西部学園のスクールアイドルによる戦勝ライブの様子が映し出されていた。

 

ステージが映るそこに現れたのは、数人のカウガール衣装のスクールアイドル。

 

しかも、野外ライブなので、芸達者なスクールアイドルが複葉機の翼の上に乗ると言うアクロバティックなエアショーも行われ、西部戦後のライブはお祭り状態である。

 

(こんなパフォーマンスも有るんだ………)

 

そのハイレベルなパフォーマンスに、聖子は内心で舌を巻いていた。

 

「やはり一筋縄では行かない相手の様だな………」

 

「うん………」

 

映像を見終わり、弘樹とみほはコレから当たる敵と如何戦うのかを考え始めるのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させていただきました。

遂に明らかになった近藤里歌の過去。
そして、次なる対戦相手である西部校の新たなエースが発覚。
様々な苦難が待ち受ける大洗機甲部隊。
果たして、女子学園廃校を阻止できるのか?

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。

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