ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース   作:宇宙刑事ブルーノア

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第111話『大洗機甲部隊、奮戦します!』

『ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース』

 

第111話『大洗機甲部隊、奮戦します!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

迫信が要請した航空支援部隊が、クレオパトラ&スフィンクス機甲部隊の航空部隊に阻まれる。

 

だが、空戦の最中………

 

六郎が地上に、砂丘を超えていた弘樹とみほを発見する。

 

運良くスコールに出くわした大洗機甲部隊は、半数が壊滅と言う被害を出しながらも、クレオパトラ&スフィンクス機甲部隊の包囲を突破。

 

弘樹が敵の航空機の襲撃を凌ぐ中………

 

とうとう合流を果たす事に成功する。

 

果たして、逆転は可能なのか?………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦車道・歩兵道全国大会の第6回戦の試合会場………

 

海に面した広大な海岸砂丘………

 

「うおおおおぉぉぉぉぉーーーーーーっ! この甘ったれ共がああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!!」

 

雄叫びを挙げながら、クレオパトラ&スフィンクス機甲部隊に次々に37mm砲弾を撃ち込んで行くハンネス。

 

「そらそらそら………むっ!?」

 

しかしそこで、トリガーを引いても砲弾が出なくなる。

 

「クッ! 弾切れか!?」

 

『こちら一式陸攻隊! 爆弾は全て投下しました! 燃料も残り僅かです!』

 

『スツーカ隊、同じく』

 

ハンネスがそう呟くと、一式陸攻部隊とスツーカ部隊からもそう報告が挙がる。

 

敵戦闘機部隊に襲われた際に回避運動を何度も行った事で、燃料を消費してしまった様である。

 

『ハンネス! 敵の戦闘機部隊は大体片付けた! 一旦帰投するなら今しかないぞ!』

 

とそこで、敵戦闘機部隊を相手にしていた護衛戦闘機部隊の六郎から、そう通信が送られて来る。

 

「燃料と弾薬がなければ話にならん………止むを得ん! 一旦帰投する!!」

 

ハンネスは補給の為、一旦帰投する事を決断。

 

一式陸攻部隊とスツーカ部隊が離脱を始める。

 

「ええい! 口惜しい! 弾薬さえあればもっと戦車を撃破してやれたのに!!」

 

「流石の隊長も弾切れじゃ戦えませんね………」

 

心底悔しそうにしているハンネスに、エグモンドがそうツッコミを入れるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、地上では………

 

『こちらハンネス! 弾薬と燃料が心許無い! 一旦帰投して補給する! すまない!』

 

「いえ、十分です! ありがとうございます!!」

 

帰投の報告を入れて来たハンネスに、みほはそう返す。

 

「被害状況を報告しろ!」

 

「歩兵部隊は被害甚大! 砲兵部隊の自走砲と野戦砲は殆どが破壊されました!!」

 

一方、クレオパトラ&スフィンクス機甲部隊は、ハンネス達の航空支援での被害を確認している。

 

「コチラ戦車部隊。M3A1スチュワート軽戦車が1両、Ⅲ号N型が1両、バレンタイン歩兵戦車Ⅱが2両、マチルダⅡが1両やられました」

 

「フラッグ車に損傷はありません」

 

そして戦車部隊から撃破された車両の報告と、フラッグ車の状態の報告が挙がる。

 

「フラッグ車は無傷か………フフフ、運が良い。今の航空支援で仕留められなかった事を存分に後悔させてやろう」

 

その報告を聞いたアナコンダが、不敵に笑いながらそう言い放つ。

 

「………油断するな、アナコンダ。西住 みほと舩坂 弘樹が合流しているのだぞ」

 

しかしそこで、キングコブラが注意する様にそう言う。

 

「何、如何に軍神と戦神と言えど、アレ程までの損耗した部隊で何が出来る? 再度の航空支援を要請したところで間に合わんさ」

 

だが、アナコンダはそう言い返す。

 

「…………」

 

確かに状況はアナコンダの言う通りだが、それでもキングコブラは気に食わない様な様子を見せていた。

 

と、その時………

 

「キングコブラ~っ!!」

 

「!!」

 

響いて来た女性の声に、キングコブラは逸早く反応する。

 

「ハア………ハア………キングコブラ~っ!!」

 

それは、最後の力を振り絞って走って来るネフェティの姿だった。

 

「!………」

 

キングコブラは、すぐさまネフェティの元へ駆け出す。

 

「! オイ!………全く、歩兵隊長殿は総隊長殿の事となると我を忘れるから困る………」

 

そんなキングコブラの姿を見たアナコンダが、愚痴る様にそう呟く。

 

「ネフェティ! 無事だったかっ!!」

 

ネフェティの傍に駆け寄ったキングコブラは、すぐに自分の水筒を手渡す。

 

「んぐ! んぐ! んぐ!………プハーッ! ああ、何とかな………」

 

それを引っ手繰る様に奪うと、すぐさまに飲み干してそう返すネフェティ。

 

「良かった………」

 

途端に、無表情だったキングコブラの顔が、初めて柔和な表情になる。

 

「仕切り直しじゃ! 大洗機甲部隊にクレオパトラ&スフィンクス機甲部隊の真の力を見せてくれようぞ!!」

 

「心得た!」

 

ネフェティがそう言うと、キングコブラは彼女を抱え、ティーガーⅠの元へと運ぶ。

 

運ばれたネフェティは、すぐさまティーガーに搭乗する。

 

「総隊長!」

 

「御無事でしたか!!」

 

「良かったぁ………」

 

「心配しましたよ」

 

ティーガーの乗員達が、ネフェティを見てそう声を掛ける。

 

「すまぬ、心配を掛けたな………いよいよ我等の本領発揮じゃっ!!」

 

「「「「了解っ!!」」」」

 

ネフェティがそう言うと、乗員達は勇ましい返事を返すのだった。

 

「敵の総隊長も復帰したか………」

 

「オイ、弘樹。ホントに大丈夫なのか?」

 

その様子を楓から借りた双眼鏡で見ていた弘樹がそう言うと、地市が心配そうにそう言って来る。

 

みほと共にすぐに部隊へと復帰した弘樹だが、運ばれていただけのみほが相当に消耗していたのだ。

 

そのみほを背負って砂丘を超えて来た弘樹の体力は相当消耗して居る筈である。

 

「小官の心配をしている暇が有ったら任務を果たす事を考えろ」

 

しかし弘樹は、いつもと変わらぬ調子で、四式自動小銃に新たな弾薬を装填しながらそう返す。

 

「やれやれ、お前らしいな。無理はするな………と言っても聞く玉じゃないか。なら精々任務を果たすんだな」

 

そんな弘樹の姿を見て、シメオンがそんな事を言う。

 

「百も承知だ………」

 

「この戦力じゃ、正面切っての戦いは元より、戦力を分断しての各個撃破も難しいし、再度の航空支援は時間が掛かる………」

 

弘樹がそう返す中、Ⅳ号の中では、みほが現在の戦力表と試合会場の地図を見ながらブツブツと呟いている。

 

カメさんチームの38t、カバさんチームのⅢ突、ウサギさんチームのM3リー、アリクイさんチームの三式がやられ、歩兵も半分以上は戦死判定を受けている。

 

現在の大洗の戦力は、半分以下にまで落ちている。

 

現状の戦力のみで、未だに10両以上の戦車と数多くの歩兵を残しているクレオパトラ&スフィンクス機甲部隊と戦うのは事実上不可能に近い。

 

切り札とも言える航空支援も、先程の使用で再度の要請には時間が掛かる。

 

戦況は絶望的だった………

 

(何か………何か方法は………)

 

しかしそれでも、みほは必死に頭を回転させ、逆転の手立てを考える。

 

とそこで、ふと試合会場の地図に目を落としたみほが、ある事に気付く。

 

「!! この場所は………」

 

試合会場の地図のとある地点をジッと見やるみほ。

 

「現在位置は………」

 

そして次に、大洗機甲部隊の現在位置を確認する。

 

「此処からこう行けば………この場所に………」

 

みほはブツブツと言いながら地図との睨めっこを続ける。

 

(………コレしかない!)

 

そして、やがて決断を下した様子で、顔を上げる。

 

「沙織さん! 全部隊に通達! 西へ移動して下さい!!」

 

「え? 西に?」

 

「急いで下さいっ!!」

 

「! わ、分かった!!」

 

突然のみほの指示に戸惑う沙織だったが、みほから急かされ、すぐに全部隊に通達を送る。

 

「西に移動!?」

 

「逃げるのか!?」

 

「まあ、今の戦力を顧みれば、そうするしかないかも知れないが………」

 

「けど、逃げたところで何れはやられるだけだぞ!」

 

みほの事実上の退却とも言える指示に、大洗機甲部隊の面々は困惑する。

 

「貴様等ぁっ! 何を呆けているっ!! 西住総隊長は既に命令を下したぞっ!! ならばそれに従えっ!!」

 

しかしそこへ、日本兵モードの弘樹の怒声が飛ぶ。

 

「「「「「「「「「「!! りょ、了解っ!!」」」」」」」」」」

 

それを受けて、大洗機甲部隊の面々は、戸惑いを残しつつも、みほの指示通り、西へ向かっての移動を開始するのだった。

 

「むっ? 移動し始めただと?」

 

「逃げる積りか? まあ、この戦力差ならば当然の選択とも言えるがな………」

 

「…………」

 

その様子を見ていたクレオパトラ&スフィンクス機甲部隊の中で、ネフェティ、アナコンダがそう言い合い、キングコブラは気に入らないと言った様子の表情を浮かべる。

 

「何かの罠かも知れん………全部隊、距離を取りながら追跡」

 

「総隊長殿。一気に捻ってやっては如何かな?」

 

罠の可能性を感じたネフェティはそう指示を出すが、アナコンダは圧倒的戦力差なので正面から叩き潰そうと意見する。

 

「いや、油断するでない………今までの奴等の試合は、相手が大洗を追い詰めながらも悉く逆転を許しておる。西住流とは違うが、あの西住 みほの指揮は侮れん」

 

だが、ネフェティは油断は禁物だと言い、指示を変えない。

 

「考え過ぎだ。奴等に逆転の手立てなど一片足りとて残っていない。総隊長殿がそんな弱気では、クレオパトラ&スフィンクス機甲部隊の名が泣く………!」

 

と、そこまで言った瞬間に、アナコンダが突然飛び退く。

 

直後に、アナコンダがさっきまで居た場所に、蛇腹剣の刃が突き刺さる。

 

「…………」

 

それを操っていたキングコブラが、柄を引いて蛇腹剣を元に戻す。

 

「アナコンダ………コレ以上の行為は抗命罪………引いては反逆罪として処断するぞ」

 

本気の目でアナコンダを見据えてそう言い放つキングコブラ。

 

「フッ………分かった、分かった。従おうじゃないか、歩兵隊長殿」

 

アナコンダはやれやれと言った感じの様子を見せると、そう言い放つ。

 

そして、クレオパトラ&スフィンクス機甲部隊は、大洗機甲部隊から少し距離を取りながら、追撃を始める。

 

「沙織さん! 今から言う周波数に通信を合わせてくれませんか!?」

 

「えっ!? わ、分かった! ちょっと待って!!………」

 

一方、移動を開始した大洗機甲部隊の中で、みほは沙織に指示し、何処かへ通信を入れる。

 

『お~っと? 大洗機甲部隊が移動を開始しました。何処へ向かって居るのでしょうか?』

 

『あの先に在るのは確か………』

 

そんな大洗機甲部隊の様子に、実況のヒートマン佐々木とDJ田中も、怪訝そうなコメントを漏らすのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

追いかけっこが始まり、数十分が経過………

 

時折牽制と見られるクレオパトラ戦車部隊の砲撃に晒されながらも、大洗機甲部隊は只管に西を目指して移動している。

 

只々移動しているばかりで、クレオパトラ&スフィンクス機甲部隊に対し、攻撃らしき行為は1度も行っていない。

 

「何だアイツ等は? 本当に逃げているだけか?」

 

「分からん………何を企んでおるのじゃ?」

 

そんな大洗機甲部隊の意図が読めず、アナコンダとネフェティが困惑の声を漏らす。

 

(逃げ回って判定勝ちを狙っている?………いや、既に損害状況では我々が与えた被害の方が圧倒的………移動を続けてコチラの戦車の故障を狙っている?………いや、砂漠戦を得意とする我等の戦車は徹底的に整備されておる。故障はありえん………)

 

幾つかの考えが頭に浮かぶが、どの可能性も即座に否定される。

 

「総隊長。コレでは本当に埒が明かんぞ。やはり一気に畳み込むべきだ」

 

とそこで、痺れを切らしたかの様に、アナコンダが再び、ネフェティに意見を言って来る。

 

「アナコンダ………」

 

「待て、キングコブラ」

 

途端にキングコブラが不機嫌そうな様子を見せたが、他ならぬネフェティが止める。

 

「…………」

 

そのまま沈黙し、逡巡する様な様子を見せるネフェティ。

 

「………よし、先ずは様子見じゃ。全部隊、速度を上げよ! 大洗機甲部隊との距離を詰めるぞ!!」

 

「「「「「「「「「「了解っ!!」」」」」」」」」」

 

やがて決断したかの様な表情でそう言うと、クレオパトラ&スフィンクス機甲部隊は大洗機甲部隊との距離を詰め始めるのだった。

 

「!! 敵が距離を詰めて来ましたっ!!」

 

「痺れを切らしたか………」

 

「追い付かれますよ!」

 

「西住総隊長! まだ移動しなきゃ駄目ですか!?」

 

その様子を確認した楓から報告が挙がると、大洗機甲部隊の面々は口々にみほに尋ねる。

 

「まだです! もう少し………もう少し西へ行かないと………各戦車チーム! 遅滞行動を取って下さいっ!!」

 

「了解ですっ!」

 

みほがそう命じると、華が砲塔を180度回転させ、クレオパトラ&スフィンクス機甲部隊に狙いを定める。

 

他の戦車チームも、西への移動を続けながらも、砲塔を後ろに向けて、クレオパトラ&スフィンクス機甲部隊を狙う様にする。

 

「撃てっ!!」

 

そしてみほの号令が掛かると、一斉に行進間射撃を始める。

 

当然、命中率は凄まじく悪いが、コレは飽く迄遅滞行動であり、クレオパトラ&スフィンクス機甲部隊の進軍を遅らせる事が目的である。

 

「漸く撃ってきおったか………」

 

「だが移動は続けている。コレは遅滞行動だな」

 

漸く砲撃を行って来た大洗機甲部隊の様子を見て、ネフェティはそう言い、アナコンダは攻撃の様子から、それが遅滞行動である事を見抜く。

 

「残り少ない筈の貴重な弾薬を浪費しての移動継続………益々分からんな」

 

相変わらず大洗機甲部隊の意図が読めず、ネフェティは困惑するばかりである。

 

「じゃが、やられてばかりと言うのも癪じゃ………クルセイダー部隊! 奴等の足を止めいっ!!」

 

とそこで、ネフェティがそう命じると、生き残っていたクルセイダーMk.Ⅲ3両が、クレオパトラ&スフィンクス機甲部隊の中から離脱し、巡航戦車の速力を活かして、一気に大洗機甲部隊との距離を詰めて来る。

 

「! 敵の巡航戦車が先行して来ます!!」

 

「マズイ! 3両だけでも、今のウチに取っちゃ大戦力だぞ!」

 

清十郎の報告に、俊がそう声を挙げる。

 

「…………」

 

その報告を聞きながら、みほはキューポラのペリスコープ越しに、コチラに向かって来る3両のクルセイダーMk.Ⅲを見据える。

 

すると、その時!!

 

突如として、アヒルさんチームの八九式と、サンショウウオさんチームのクロムウェルが、横滑りする様にして停止。

 

「!?」

 

みほが驚いていると、更にその周りに随伴歩兵分隊であるペンギンさん分隊とタコさん分隊の面々が展開する。

 

「皆さん! 何を………」

 

「西住総隊長!」

 

「行って下さいっ!!」

 

「ワイ等は此処で………」

 

「敵を食い止めるっ!!」

 

みほの声を遮る様に、典子、聖子、大河、エースからそう言う声が挙がったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させていただきました。

遂に合流を果たした弘樹とみほ。
しかし、大洗機甲部隊の戦力は半減しており、敵の総隊長であるネフェティも戻る。
航空支援も再度要請に時間が掛かり、戦況は絶望的。
だが、みほはある事を思い付き、部隊に移動を命じる。
それを追撃するクレオパトラ&スフィンクス機甲部隊だが………
その前に、アヒルさんチームとペンギンさん分隊、サンショウウオさんチームとタコさん分隊が立ちはだかるのだった。

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。

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