ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース   作:宇宙刑事ブルーノア

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第108話『デザート・ウォーです!』

『ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース』

 

第108話『デザート・ウォーです!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

みほと弘樹、そしてネフェティが其々の味方との合流を目指して、決死の砂丘越えを行っていた頃………

 

大洗機甲部隊は、クレオパトラ&スフィンクス機甲部隊から分散していたと思われる小規模隊の攻撃を受けた。

 

コレを退けたかに思われたが、何と!

 

砂の中からクレオパトラ&スフィンクス機甲部隊が出現!

 

大洗機甲部隊は、完全に包囲されてしまったのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦車道・歩兵道全国大会の第6回戦の試合会場………

 

海に面した広大な海岸砂丘………

 

「撃て撃てぇーっ!」

 

「敵を近寄らせるなぁっ!!」

 

ウサギさんチームのM3リーの周りに陣取ったハムスターさん分隊の面々が、スフィンクス歩兵部隊を近寄らせまいと弾幕を張っている。

 

「ぬあっ!」

 

「怯むなぁっ! 掛かれいっ!!」

 

「一点突破だぁっ!!」

 

「「「「「うおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーっ!!」」」」」

 

しかし、士気の高いスフィンクス歩兵部隊は怯まず、一塊の一団を作ったかと思うと、一点突破を掛ける。

 

「つ、突っ込んで来るっ!?」

 

「クッ! 榴弾で………」

 

「ハムスターさん分隊の皆、伏せて! 私達がやるからっ!!」

 

勇武がそう声を挙げると、誠也が九六式十五糎榴弾砲を撃とうとしたが、そこで梓のそう言う声が響き、M3リーの副砲塔が、突っ込んで来るスフィンクス歩兵部隊の一団に向けられる。

 

「紗希! キャニスター弾、装填!」

 

「…………」

 

梓の言葉を聞いた紗希が、副砲に対歩兵用の散弾………『キャニスター弾』を装填する。

 

「撃てっ!!」

 

「おりゃあっ!!」

 

あやが叫びを挙げて引き金を引くと、M3リーの副砲からキャニスター弾が発射!

 

発射されてすぐに、細かい小さな鉄球が広がる様にして、突っ込んで来るスフィンクス歩兵部隊の一団に襲い掛かった!!

 

「「「「「うわああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!?」」」」」

 

まるで鉄の雨を浴びた様な感触を感じながら、突っ込んで来ていたスフィンクス歩兵部隊の一団は全滅する。

 

「やったぁっ!」

 

「流石っす!!」

 

その光景に、あやと正義が歓声を挙げる。

 

だが、次の瞬間!!

 

風切り音が聞こえて来たかと思うと、上空から降って来る様に落ちて来た砲弾が、M3リーの車体後部………エンジンルームに直撃して爆発!

 

「「「「「うわああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!?」」」」」

 

間近に展開していた為、巻き込まれたハムスターさん分隊員達が悲鳴と共に戦死判定を受けるのと同時に、M3リーも砲塔上部から白旗を上げた。

 

「よっしゃあっ! 直撃だっ!!」

 

「見たかっ!!」

 

その爆発の正体………

 

『15cm自走榴弾砲ロレーヌ・シュレッパー』を駆っていたスフィンクス砲兵達が歓声を挙げる。

 

「ヴァイパー、よくやった! 次の目標を………」

 

戦闘室で砲発射を担当していたスフィンクス砲兵に、操縦手がそう言った瞬間………

 

15cm自走榴弾砲ロレーヌ・シュレッパーの近くを何者が通り過ぎ、戦闘室内に何かが投げ込まれた。

 

「ん?………」

 

それは、手榴弾だった。

 

「!? ヤバ………」

 

イと思った瞬間には時既に遅し!

 

手榴弾は爆発し、戦闘室内に在った砲弾にも誘爆!

 

「「「「「うわああああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!?」」」」」

 

15cm自走榴弾砲ロレーヌ・シュレッパーは花火の様に大爆発を起こした!

 

「ウサギさんチーム………仇は取りましたよ」

 

燃え盛る15cm自走榴弾砲ロレーヌ・シュレッパーを見ながら、手榴弾を投げ入れた人物………竜真がそう呟く。

 

「ロレーヌ・シュレッパーがっ!?」

 

「ええいっ! 撃て撃てぇっ!!」

 

とそこで、その竜真に狙いを定め、スフィンクス歩兵部隊の機銃掃射とクレオパトラ戦車部隊のⅢ号戦車N型からの榴弾砲撃が開始される!

 

「っ!!」

 

竜真は砂の上を走り出し、回避行動を取る。

 

それを追う様に、スフィンクス歩兵部隊の機銃掃射とクレオパトラ戦車部隊のⅢ号戦車N型からの榴弾砲撃を続ける。

 

爆発と飛び交う銃弾の中を砂を撒き上げながら走り抜ける竜真。

 

「何だ、アイツ!? この砂の上をあんな速さで!?」

 

「陸上部員か何かか!?」

 

そんな竜真の様子を見たスフィンクス歩兵達は、竜真の事を陸上部員かと思い始める。

 

「このまま味方に合流を………」

 

「ヒューッ! そうは行かないぜーっ!!」

 

とそこで不意にそんな声が聞こえたかと思うと、竜真の近くの砂が爆ぜる。

 

「!?」

 

「中々の走りじゃねーか。しかーし! この『追撃のマンバ』様からは逃げられるかなぁ?」

 

驚いていた竜真に、爆ぜた砂の中から現れた人物………スフィンクス歩兵の『マンバ』

 

通称『追撃のマンバ』がそう言い放つ。

 

マンバは屈強な体躯の多いスフィンクス歩兵達の中では珍しく細身な体躯をしているが、腕が妙に長かった。

 

「クッ!!」

 

すぐさま走るペースを上げる竜真。

 

「ヒューッ! 良いねぇ! そうこなくっちゃっ!!」

 

しかし、マンバも更にペースを上げ、追い縋って来る。

 

「! 速いっ!」

 

「だけじゃないぜぇっ!!」

 

と、驚く竜真に向かって、マンバはその長い腕を伸ばす!

 

アッと言う間に、戦闘服の背中を掴まれる竜真。

 

「うわっ!?」

 

「ヒューッ!」

 

そしてそのまま、竜真の身体を片腕で抱え上げる様に持ち上げたかと思うと、背中から地面に投げつけた!

 

「ガハッ!」

 

「終わりだ、おチビちゃん」

 

砂の上に叩き付けられた竜真に、エンフィールド・リボルバーNo.2 Mk.Ⅰを向けるマンバ。

 

「!!」

 

竜真絶体絶命か!?

 

しかし、その時!!

 

銃声がしたかと思うと、マンバのエンフィールド・リボルバーNo.2 Mk.Ⅰが弾き飛ばされる。

 

「アウッ!?」

 

「やらせまセンッ!!」

 

銃口から硝煙の上がって居るFN ブローニングM1910を構えていたジェームズがそう言い放つ。

 

「ジェームズ!」

 

「この野郎~! テメェから先に片付けてやるっ!!」

 

竜真が叫んでいると、マンバは狙いをジェームズに変え、ダッシュで接近を試みる。

 

「!!」

 

それを見たジェームズは、マンバに背を向けて走り出し、追い駆けっこが始まる。

 

「ヒューッ! 言った筈だぜぇ! 俺様からは逃げられないってなぁっ!!」

 

すぐにジェームズに追い付き、竜真と同じ様に、その背に向かって腕を伸ばすマンバ。

 

そて、その手が遂にジェームズを捉える!

 

………かに思われた瞬間!!

 

「………ドウでしょうね!」

 

ジェームズがそう言い放ったかと思うと、更に走るスピードを上げた!!

 

「!? ん何ぃっ!!」

 

更にスピードを上げたジェームズに、今度はマンバが驚愕する。

 

自身もスピードを上げるが、追い付けない。

 

「馬鹿な! 俺様より………この追撃のマンバ様から逃げきれそうだと!? そんな事あって堪るかぁっ!!」

 

プライドを傷つけられたマンバは、意地になって後先考えず、全力で最高速を出す。

 

「………Forward Note(前方注意)」

 

するとその途端に、ジェームズはそう言い放って、横へと飛び退く。

 

ジェームズが飛び退いた先には、岩が在った。

 

「!? だあああっ!? 止まれねええええええぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーっ!?」

 

反応が遅れた事と最高スピードを出していた事で、マンバはその岩をかわす事が出来ず、頭から突撃!

 

「きゅうう~~~~~………」

 

目の前で火花が散り、頭の上を鳥が飛び交っている様なイメージを感じながら、マンバは気絶して倒れる。

 

そしてそのまま、戦死と判定された。

 

「YES!」

 

ガッツポーズを取って歓声を挙げるジェームズ。

 

しかし、その直後、爆発音が鳴り響く。

 

「!?」

 

見ると、カメさんチームの38tが車体正面装甲に直撃弾を受けて煙を上げており、一瞬の間の後、白旗を上げる。

 

「やられた~~っ!」

 

「うわあああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!! もうお終いだああああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!!」

 

杏の呑気そうな声と、桃の絶望に満ちた叫びが木霊する。

 

「カメさんチームが!?」

 

「此方ワニさん分隊! 分隊員の半数が戦死判定!!」

 

「集中攻撃を受けてる援護してくれっ!!」

 

「誰かぁ! 左を守れっ!!」

 

「チキショーッ! 四方八方から攻めて来やがる!!」

 

更に、歩兵各分隊からも苦戦の報告が次々に挙がる。

 

元々圧倒的寡兵である大洗歩兵部隊にとって、包囲されて総攻撃を受けると言うのは最悪の状況である。

 

プラウダ&ツァーリ戦では、廃村内での戦いと言う事で、廃墟となっていた教会に立て籠もって持ち堪える事が出来たが、今回のフィールドは砂丘………

 

現在、大洗機甲部隊が居る場所には、何も遮蔽物が無かった。

 

こうなれば数と兵器の質で勝るクレオパトラ&スフィンクス機甲部隊が完全に有利である。

 

「駄目だ! この包囲網を如何にかしない限り、我々に勝ち目は無いぞ!!」

 

「だが、如何すれば良いんだ!?」

 

M10戦車駆逐車を1両撃破したⅢ突の中で、エルヴィンとカエサルがそう言い合う。

 

「! 正面、敵戦車ぜよっ!!」

 

とそこで、おりょうが操縦手用の覗き窓から見える正面に、クレオパトラ戦車部隊の戦車が飛び込んで来て、そう叫びを挙げる。

 

「!!」

 

すぐにエルヴィンがその戦車を確認すると、それは………

 

「!? ティーガーッ!!」

 

それは、クレオパトラ&スフィンクス機甲部隊のフラッグ車、ティーガーⅠであった。

 

「フラッグ車! 奴さえ撃破すればっ!!」

 

「! 待て、左衛門佐!」

 

それを聞いた左衛門佐が、ティーガーを撃破しようとするが、エルヴィンが止める。

 

しかし既に引き金は引かれ、三突の砲弾がティーガーⅠ目掛けて放たれる。

 

だが、Ⅲ突の砲弾はティーガーの防盾に命中したかと思うと、火花を散らしただけで弾かれ、明後日の方向へ飛んで行く。

 

「!? 馬鹿なっ!?」

 

「左衛門佐! もう1発だっ!!」

 

左衛門佐が驚愕するが、そこでカエサルがそう言い放ち、主砲に成形炸薬弾を装填してそう叫ぶ。

 

「クッ!」

 

即座に左衛門佐は発砲!

 

成形炸薬弾が、ティーガーⅠの砲塔正面の装甲に命中し、小さな爆発を上げる。

 

爆煙が晴れるとそこには………

 

命中部分の装甲が僅かに穿かれ、灰色に焦げているティーガーⅠの姿だった。

 

「! 成形炸薬弾でも駄目だと!?」

 

「流石ティーガーだ………並みじゃない」

 

左衛門佐が悲鳴の様な声を挙げる中、エルヴィンはコチラに向かって真ん丸に見ているティーガーⅠの砲門を見ながら、苦笑いと冷や汗を浮かべてそう言う。

 

直後にティーガーⅠが発砲!

 

砲弾はⅢ突を直撃!

 

一瞬の間の後に、Ⅲ突から白旗が上がる。

 

「!? カバさんチームもやられたぞ!!」

 

「神大歩兵隊長! 航空支援を要請しましょうっ!!」

 

その光景を見ていた俊がそう叫んだ瞬間、清十郎が迫信にそう進言する。

 

この状況を打開出来るのは航空機による支援攻撃しかないと考えたのである。

 

「………それしかないか。こちら神大! 航空支援を要請する!!」

 

一瞬の逡巡の後、迫信は通信機に向かってそう叫んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

迫信からの要請を受け、大洗学園艦と共に近くの港に停泊していた一航専の学園艦より、六郎の零戦二一型を中心とした護衛戦闘機部隊と共に、ハンネスの率いるスツーカ急降下爆撃機部隊が発進。

 

更にそこへ戦略爆撃機部隊として『一式陸上攻撃機』の編隊も参加し、試合会場へと飛んだ。

 

「コチラ、護衛隊長の坂井。スツーカ隊並びに一式陸攻隊。方位ヒトヒトマルマルへ」

 

「スツーカ隊、了解。方位ヒトヒトマルマルへ進路変更」

 

「一式陸攻隊、了解」

 

零戦二一型に取り囲まれている様な形で飛行を続けるスツーカ隊と一式陸攻隊。

 

「イワン共の戦車は無いらしいが、この際構わん。敵の戦車は全てスクラップにしてくれる!」

 

「結局、戦車を撃破出来るなら何でも良いんですね………」

 

今から戦車を撃破する事が楽しみで楽しみで仕方がないと言う様な様子のハンネスの声を聞いて、後部機銃座で後方と上空を警戒していたエグモンドは、呆れる様な声を漏らして一瞬ハンネスの方を振り返る。

 

と、再び視線を後方と上空に向けた瞬間………

 

太陽の中に、小さな黒い点が幾つも浮かんでいるのを目にする。

 

「! 敵機来襲っ!!」

 

それを見たエグモンドは、即座にそう声を挙げた。

 

「「「「「「「「「「!!」」」」」」」」」」

 

その報告は、忽ち航空部隊全員の耳に飛び込む。

 

だが、その直後に………

 

太陽の中から急降下して来た戦闘機………『F4F ワイルドキャット』の編隊による機銃が火を噴く。

 

「! 散開っ!!」

 

ハンネスが叫び、零戦隊とスツーカ隊は散開して回避行動を取る。

 

しかし、1機の一式陸攻が逃げ遅れて被弾。

 

撃墜と判定された為、離脱して行く。

 

「チイッ! やってくれたなっ!!」

 

「まだ来ますっ!!」

 

ハンネスがそう言った瞬間に、エグモンドが更にそう言い放つ。

 

直後に、再び太陽の中から今度は『ホーカー ハリケーン』が急降下して来て、スツーカ隊に襲い掛かる。

 

「チイッ! うっとおしい連中め! エグモンド! 後ろに張り付かせるなよ!!」

 

「分かってますっ!!」

 

ハンネスの声に、既に後部機銃を発砲し、1機のハリケーンを撃墜していたエグモンドがそう返す。

 

とそこで、ハンネスの目に、ワイルドキャットに狙われている隊のスツーカが飛び込む。

 

「! 6番機! 狙われているぞ! 回避行動を取れっ!!」

 

ハンネスからの通信を受けて、そのスツーカは慌てて回避行動を取り始める。

 

しかし、戦闘機と比べて遥かに鈍重な爆撃機では振り切る事は難しく、遂に機銃の射程内に納められる。

 

「貰った! 撃墜マーク1つ頂き!」

 

撃墜を確信したワイルドキャットのパイロットが、思わずそう声を挙げる。

 

だが、その直後に、機体を振動が襲う!!

 

「!? 何っ!?」

 

ワイルドキャットのパイロットが驚いた瞬間に、安全の為に航空機道用の小型機に取り付けられていた射出座席が作動。

 

パイロットが居なくなったワイルドキャットは、火を噴きながら墜落する。

 

「!!」

 

落下傘降下しているワイルドキャットのパイロットが見たのは、自分の真上を悠々と飛び越えて行く、零戦二一型の姿だった。

 

「ココは我々に任せろ! 爆撃機隊は直ちに戦場へ迎えっ!!」

 

そう言いながら、更にハリケーンを撃墜する六郎。

 

「分かってる! 全機! 敵戦闘機には構うなっ!! 護衛戦闘機部隊を信じて、戦場へ向かう事を優先しろっ!!」

 

ハンネスのそう言う指示が飛び、散開していたスツーカと一式陸攻の爆撃機部隊は再び集結。

 

試合会場を目指して飛ぶ。

 

「行かせんっ!!」

 

「ならばコチラはやらせんっ!!」

 

それを追おうとするクレオパトラ&スフィンクス戦闘機部隊に、六郎が率いる護衛戦闘機部隊が立ち向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させていただきました。

みほと弘樹が不在ながらも奮戦する大洗機甲部隊。
しかし、元々数と戦車の性能で劣っている為、徐々に押され始める。

頼みの綱の航空支援も、敵の迎撃戦闘機に阻まれる。
大洗機甲部隊の命運は風前の灯火。
果たしてこのまま負けてしまうのか?………

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。

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