勇者エリちゃん(憑依)勇者の旅へ出ます。 作:小指の爪手入れ師
一見関係ないと思われますが、今話の文字数驚異の14900字なのです。
いつもはノルマ5000字なのでだいたい3話分を凝縮しちゃってます。意地張った結果がこれだよ!
なので少しずつちょびちょびと読んでいただければ幸いです。
ㅤ大剣を担ぎ、長年培ってきた戦闘勘を用いてやって来た巨漢。名をフェルグス・マック・ロイという。かのクー・フーリンの養父にして螺旋剣"カラドボルグ"の担い手。
ㅤそんな男が今、超弩級メカエリチャンの前へと丸太のように太い2本の脚で立っている。
ㅤその顔は1人敵地に来た者の顔とはかけ離れており、まるでピクニックにでも来たかのように気楽なもの。だが彼が通った道には撃墜された残骸が幾つも残っている。
ㅤ対する私も後ろに清姫を立たせ、すっかり手に馴染んだ名剣エイティーンと名盾レトロニアを油断なく握りこんでいる。
「聞く必要もないけれど一応聞いておくわ。こんな所まで1人で来て、一体どうしようって言うの?」
「当然敵本拠地に強襲を掛けるのさ」
「1人で?」
「人使いの荒い女王様に頼まれたからな」
ㅤ眉間によるシワを見るにメイヴの奔放さに呆れてるのがひしひしと伝わってくる。クー・フーリン【オルタ】と言う一番欲しかった宝石を手に入れたメイヴの心中を察せばウキウキなのは一目瞭然なので当然だけど。
「じゃあ鞍替えでもしない? 世界を救う為に東奔西走の大立ち回りを演じるアットホームな職場よ!」
「魅力的な誘いに乗りたいのはやまやまなんだがな。こちらもそうもいかない、それに中身はアレでも身体は最高なんだなコレが」
「最後のセリフで全て台無しよ!!」
「ハッハッハ!!」
ㅤ流石に精力絶倫の男と歴史に残るだけはある。隙あらば直ぐに脳内ピンクだ。清姫の教育上よろしくないので早めに処理しよう。ただでさえその手の知識が偏りつつあるのにこんな爆弾放っておいたらどんな化学変化が起こるか分かったものじゃない。
「さて死合前の語らいは十分だろう。そろそろ……」
ㅤ互いに構えをとる。
「そうねこれ以上は剣を持って語らいましょう」
「応よ!」
ㅤ初撃はこちらから、大振りの一撃を叩き込みに掛かる。勿論魔力放出をフルパワーにして筋力と敏捷爆上げのゴリラ殺法。
「ほほぉ、随分と重い剣だ」
ㅤ矮躯に似つかわしくない一撃に関心を抱きつつも受け止めたフェルグス。だが余りにも容易く受け止めてみせた。
ㅤ直ぐにその余裕は打ち崩されるけど。
「ボェ〜〜」
ㅤ超近距離による防御不可のスーパーソニックブレス。竜族の肺活量による威力は最早殺人兵器。つまりフェルグスの鼓膜は死んだ。予備の鼓膜はアマゾネス・ドットコムに売ってるから買うことを勧める。
ㅤよろめいた隙を見て後方に飛び清姫を呼ぶ。
「灰燼と化せ」
「竜の焔よ」
──【
ㅤ清姫と私で行うコンビネーション技。必殺技っぽい名前を付けたものの同時にファイアブレスを対象にぶつけ即殺を狙うだけと言う華の無い技だ。悪ノリが過ぎるとこうなる。
「ぬぅん!!」
ㅤ轟々と燃え盛る炎はドリルの回転に絡め取られ、一振りによって掻き消える。耳から出血があるがそれ以外の目立った外傷はなし、寧ろニコニコ顔突っ込んでくる。
「生粋の戦士ってこれだから嫌!」
ㅤレトロニアでドリルを受け止め、清姫の焔で反撃。
「もう焔は通らん!」
「焔を喰らった後でドリルの回転で巻きとった!? なんてゴリ押し……」
ㅤ絡めとった焔はドリルを受け止めているレトロニアを越えて私に打ち返される。あの邪竜の炎をほぼ無傷で切り抜けた私にはそよかぜの様なものだが目眩しにはなった。
「セイァ!!」
ㅤならばフェルグスはその隙を逃さず私へ脳天直撃を狙うのは当然の事。苦し紛れにエイティーンを振ることで受け止めたけれど防げなければ間違いなくお陀仏。たんこぶじゃ済まなかったでしょう。良くて私の頭は地面にめり込む。
ㅤしかしこの攻撃を防いだのは幸運だった。フェルグスの腕は清姫の焔を受け止めた事で火傷を負っている。彼にとってこの奇策は捨て身の一撃に他ならないはず、はず!
ㅤだがフェルグスは笑っている。
ㅤこの男、余りにタフ過ぎる。
ㅤ脳筋っぷりに呆気に取られている間にフェルグスは大きく後ろに飛んだ。間合いを取るにも少し大きい。遠中距離の間合いならいざ知らずフェルグスは超近距離型。
ㅤ来るとしたら宝具。
「流石に盾持ちのサーヴァントは硬いな。ならそろそろ──真の虹霓をご覧に入れようか」
「清姫私の後ろに来て、宝具よ」
「はい」
ㅤ魔力の高まりと共に虹の波動に回転の音が響いいてくる。鳴動するドリルが一際輝きを放った時、フェルグスは思いっきり地面へと突き刺した。
「地を割ろうが空へ逃げれば関係ない!」
「敵を倒すだけが勝利じゃない。──『
ㅤこの螺旋剣は丘を3つほど雑に叩き切れる。ならば担い手がその力を正しく引き出し、行使した時の結果はどうなるか──
ㅤ──島程度なら地盤ごと破砕する。
ㅤフェルグスは私の問いに『敵本拠地に強襲を掛ける』と言った。その意味が、その対象が、私たちでなく拠点にあるのだとしたら。
「私は致命的な思い違いを……」
ㅤ皮肉な事に宙に浮いてるからこそよく理解出来た。亀裂が秒読みで深く、広く、切り開かれていくのが。
ㅤ間に合わない。防ぎ切れない。
ㅤ私の頭の中では既に超弩級メカエリチャンがクレバスに呑まれている。逃れられない結末が脳裏に過ぎり続ける。量産機は自動生産が進んでいるからまだ補填を考えることが出来る。
ㅤしかし実は超弩級メカエリチャンは私の手ずからコツコツ作った特別な機体。アマゾネス・ドットコムから少しずつパーツを買い入れて作ったのよ。ディア〇スティーニほどお手軽でもないのよ!
「わ゛た゛し゛の゛メ゛カ゛が!!」
ㅤ私には泣きながら責めて修理可能な状態で残るように祈る他ない。ここでなりふり構わず突撃する程の阿呆じゃない。いやしたいけど!!
「諦めるのは少しばかり早いんじゃない?」
ㅤ声のした方へ顔を傾ける。丁度矢らしき物が眼前を通過した。その軌道の先はフェルグスだった。
「グゥァ──アーチャーのサーヴァントか!?」
ㅤ着弾点はフェルグスの肩、僅かに急所を外している。サーヴァントにとってそれはまだまだ活動可能な状態にある。
「主役は遅れて登場するものよな」
「ッ!?」
ㅤ瞬きの間にフェルグスの背後を取るセイバーが居るらしい。更に巫山戯たことに恰好がウェディングドレスに似た何かを着ているセイバーらしい。
ㅤ嫁ネロは宝具を発動している無防備な背中に
「ゴフッ──また暗殺か。まぁ戦場で果てるのなら本望、よ」
ㅤ分解された光を確認した後すぐさま背後を確認した。亀裂は超弩級メカエリチャンの手前で止まっており、機体の左目付近には構えを解いたロビンフットが手を振っている。
「助かったぁ……」
ㅤマジで危なかった危うく天才軍師エリザの作戦が破綻するところだった。メカ特攻ホント怖い。
ㅤ安心したら身体の力抜けてきた。
「なんだエリザ腰が抜けたのか? しょうがないやつめ、うむしょうがないから余が背負って帰ってやろう」
ㅤ何がしょうがないのか分かんないです。
「いや別に清姫が居るから」
「そう遠慮するな──おりょ?」
ㅤ抱き上げようと手を伸ばした嫁ネロだったがすんでのところで清姫にかっ攫われる。清姫サン締め付けがきついですわよ。
ㅤ顔は角度的に見えないけど予想だと暗黒微笑なんだろう。
ㅤ玉藻は此処で引くけど、ネロは引かないのよなぁ。
「おぉ恋する乙女とはかくも美しい。なんだったら2人同時でも余は一向に構わんぞ!」
ㅤあれ、フェルグスの幻影が見える。
「旦那様の面倒を見るのは妻である私の仕事ですので。ねろさんこそ是非ご遠慮してくださいませ」
「余的には我慢とかしたくないのだが、まぁ良いか。コンサートもあるしな!」
ㅤサラッと恐ろしいこと言った?
ㅤ言葉のニュアンス的に自分がオンステージするみたいに聞こえたんですけど!?
「アンタはステージに上がることも歌うことも許す気は無いわよ。それに歌も踊りもアンタのパートを振り分ける余裕無いし」
「え?」
ㅤ如何にも信じられないと言った風体だ。口はポカーンとアホ丸出しだし、目も見開いている。この皇帝本当に参加する気だったようで。
ㅤいや絶対に出さんが?
ㅤ意地でも出さんが!!
「出たい出たい! 余も出ーたーいー!!」
ㅤ本当に出す気が無いのを理解したのか嫁ネロは子供のように愚図りだした。ええい鬱陶しい、出さないと言ったら出さないっての。
ㅤ取り敢えず適当に対応しようと無難な案を捻り出そうとしたが、どうにも超弩級メカエリチャンの方が騒がしい。
「えぇ!!?」
「……あぁやっちゃってますね、これ」
「凄いなアレ! 余も作っちゃおうかな」
ㅤ元々ライブ会場は超弩級メカエリチャンを使うつもりだった。胸部にあるラウンジの下、つまりアンダーバスト辺りから舞台ステージがせり出し、展開された魔術式に従い機材を召喚、装飾はより煌びやかで豪華絢爛となる。
ㅤそれが超弩級メカエリチャンの真の姿。
ㅤである筈なのだが──
ㅤ──なんで起動しちゃってるんです?
ㅤまるで目標まで貯まった貯金を勝手に使い込まれた気分なんですけど。しかも明らかに犯人が知り合いって言う最悪なパターン。顔が私と同じじゃなかったら顔をクレーターだらけにしてやったものを、可愛さは時に最強の盾になるのね。
「清姫!」
「承りましたわ」
「あれ、余より敏捷高くね?」
ㅤもう私たちのステなんて微塵も宛にもならない、最早詐欺だもの。
ㅤ帰還して直ぐに超弩級メカエリチャンに起動した人物を尋ねる。分かりきった答えが帰って来るだろうけど。
《オリジナル・エリザベートです艦長》
「なんで許可したのよ!?」
《現在オリジナル・エリザベートはゲスト扱いです。そしてゲストには現在一時的な命令権が認められます》
ㅤなんの為に人心回路と疑似人格を積んでると思ってるの。アイツには絶対渡しちゃ駄目でしょうよ命令権なんて、最初からロック掛けときなさいってぇ。
ㅤ別に同じエリザベートモデルだからってアホっぽい所は似なくて良いのに。
「今すぐロック。同時にアタシの所在をサーチして」
《オリジナル・エリザベートは現在ステージに居ます。
「笑えないジョークね。量産機に拘束させて」
ㅤ警備員役として配置した量産機はアタシに殺到する。自分が立つステージの豪華さに浮き足立っていたアタシ、あっという間に囲まれ一斉に掛かられたなら。
『キャーーーーーーーーーーーーッ!!?』
ㅤまぁそうなるよね、うん知ってた。
「逆さで運ばないでよ。頭に血が昇って……うぅぅ」
ㅤ雑に連行されたらしいお目目グルグルしてるし。
「ごきげんようお姉様」
「ちょっ、勇者なアタシ早く降ろし、気持ち悪ぅー」
「ライブ迄にはまだ時間があるんだけど、どうしてアレを起動したの? 打ち合わせの時に色々丁寧に教えたわよね? ねぇ!?」
ㅤ露骨に目を逸らす。
「いやでも、ほら所謂好奇心? 一時の気の迷いって言うか?」
「アタシのクセに口答えしてんじゃないわよ!」
「
ㅤ頬をぐにゃぐにゃとこねくり回す。いや流石アタシ、もっちもちである。
「まぁまぁおしおきはその辺でいいんじゃないっすか? 別に引っ込めれない訳でもないでしょ」
「出来るけどね。出来るんだけど……」
「出来るけど、何すか?」
「初出しでサプライズしたかったのに、一回引っ込めてもっかい出したら終わりじゃない! 驚き半分になっちゃうじゃない!!」
ㅤつまり引っ込みがつかない。
「え、じゃあどうするの?」
「どうしよう!?」
「知らねぇよ!」
ㅤそりゃそうだ。
しかし超弩級メカエリチャンは兵装含めコスパが超絶悪い。現状稼働しているだけの今でさえエリザベートが2騎居る状態でなおマイナス。ステージの起動をしてからまた戻してまた起動で無駄な燃料を使うのはサプライズ抜きに御免被りたい。
となると取れる行動は決まってくる。予定は前倒しになるが贅沢は言えない。時間との勝負だ。
「清姫準備なさい!」
「良いんですか?」
「是非も無し、よ」
量産機にアタシを解放させる。頭から落下して涙目の所悪いけれど自分でやらかしたツケはキッチリステージで返して貰いましょう。
「一度でもミスしたら鼻から紅茶を飲ませる」
「ひゃい」
鼻の頭に指を突き付け脅しを入れておくのは忘れない。熱々のお紅茶をぶち込むわ。ポットで丁寧にね。
ライブの内容は変わらず予定だけをずらして、超弩級メカエリチャンをワシントンへ移動させながら踊り歌う事になった。
ルートは統率機2体の情報から叩き出したから問題なくワシントンに到達出来るでしょう。定期報告から子ジカが既にエジソンの目を覚まさせたのが分かってるから上手く被れば同時に進軍するかも。前線は上げたし、野良サーヴァントは子ジカに回したのはこっちだけどアメリカ横断するの早すぎじゃない?
まぁ思わぬ成長があったんだと思っときましょうか。いやまさか子ジカも
「まっさかぁ……」
だとしたらシャレになんないもの、人類悪顕現しちゃう。
『音響、照明問題無し。何時でも行けますわエリザ』
「カウント」
3
準備はしてもしてもし足りなかった。
2
けど……
1
後悔だけはしたくない。
「最高にして最強にして最凶のライブでイかせて挙げる! 泣きなさい! 鳴きなさい! 哭きなさい! 全米の子ブタたち!!」
両サイドから中央に飛ぶ。私とアタシは同時に着地して背中を合わせ、マイクを口許に添える。
「「超弩級メカエリチャン発進!」」
《ピカーン!》
なんだその棒読みの効果音!?
超弩級メカエリチャンの飛行ユニットが無事機能した事に安堵した心に喝を入れ、同時にミュージックスタート。
作詞作曲全部私の『鋼鉄の鮮血姫』。
その内容は滾るリアクターよりも熱く。鋼鉄の研ぎ澄まされたボディよりも妖艶で、放たれるミサイルの雨よりド迫力のアメイジングソング。
普通に人間じゃサビを聞くだけで心臓が止まる。いや決して物理的威力は伴わない。本当に!
呼吸を忘れて気絶する人間は続出するでしょうけど。
見事なハーモニーと共に魅せるダンスはサーヴァントという身体が活かされた人間に不可能な超絶技巧。ステータスの全力全開で身体を動かし、時に霊体化を利用したパートスイッチで見るものを惹きつける。
そして何を隠そう。
この映像は全米に散らばる子ブタに生中継している。量産型メカエリチャンに映像投射と音に拘ったスピーカーによる圧巻のLIVE配信を皆様にお届けしているのだ。
お代はいらない、ただひたすら一心不乱に私たちに魅了されたらいい。
『無事エリザ粒子は予測値に届き、現在も上昇中です』
イヤカフから聞こえる清姫の声によれば順調らしい。
「子ブタたちはどうやら生で私たちに会いたいようね」
「いいじゃない派手に出迎えてあげましょう勇者なアタシ」
これだけアピールしていればケルト側も寄ってくるでしょう。なんせ自分たちから場所を知らせてるわけだし。幸いな事にエジソン側の機械兵は来ていないから子ジカが上手くやったって言うのは間違いないらしい。
ワラワラと何処からか湧いて出たケルト兵は焼却よとばかりに爆発に巻き込まれていく。ミサイルは超弩級メカエリチャンから無尽蔵に吐き出され、轟音が聞こえない時間が無い。
『あららマジでボタン1つであの大軍が吹き飛んだわ』
『しかし敵軍の数が凄まじいな。打っても打っても湧くぞ』
ロビンフッドと嫁ネロにはボタンをポチポチするだけの簡単作業をやってもらってる。装填が終わり敵軍にターゲットを絞ってボタンをポチるだけと説明してるので今もドンドンミサイルの雨が降っている。気分は地球防衛軍。
ミサイルもエリザ粒子から精製されるので私たちが歌い続ける限り無限。勝ったな!
『前方に極大の熱源反応を検知。恐らく魔神柱です!』
「思った以上に速い……」
メイヴの宝具、『
ラスボス謹製の聖杯から引き出した力で28体もの魔神柱を召喚するキモイ・汚い・ケルトの3K揃ったやべー代物である。
魔神柱一体につき特級のサーヴァントが1〜2体以上必要と考えたらそのヤバさも分かるだろう。必要数1体だとしてもバサクレス28体分である。全国のマスター連れて来い、ここに素材がいるぞ!
だがそんな相手に対策も無いなんてありえないでしょ勇者なら。なんのための超弩級メカエリチャンだと思ってるの!
量産型とは違うのよ量産型とは!
「宝具開帳!」
「誰の!?」
超弩級メカエリチャンの。
《了解よ艦長》
これより行われるのはただの蹂躙。ただの火力による暴力。
全兵装の一斉砲火。つまり超弩級メカエリチャンによる『
今回は相手が28体、対軍での使用となるがこれまた放つ存在も超弩級ゆえに破壊力は大魔王級。
「覚悟なさいアタシ、余波が凄いから……」
「じゃあ一時避難」
「バカなのライブは続行よ!?」
「!?」
お忘れだろうか、超弩級メカエリチャンは燃費がすこぶる悪い!
「死ぬ気で踊って、死ぬ気で歌いなさい!」
「聞いてないわァ!?」
「アンタのせいよこのアホ姉!」
途中でエネルギー切れになりかねない勢いでエリザ粒子は減るのよこの宝具。チェイテを長時間稼動する方が遥かに燃費が良い。
いや今のチェイテはダメ、正確には
まぁチェイテのことはもういいわ。
「問題はあの触手群がしぶといって事ね」
「ゼェ、ハァ……なんで息キレてないの、よぉ」
「勇者なら当然」
これはもう一押し必要ね。『
「清姫、プランBよ!」
『ではろびんさんを最上階に連れていきます』
『へぁ!?』
こんなこともあろうかと策は練ってあったのよね。天才軍師なので!
『オレに何をしろって言うの!? 正面切ってとか無理無理、オレそういうサーヴァントじゃねぇから!!』
「知ってるわ。大丈夫よただ彼処に宝具を連発してくれればいいから」
『正気かオタク! オレの魔力が持たないっての』
在庫ならまだあるからノープロブレムね。
『どうぞ』
『何この薬……』
「エリクサー」
ゲームで馴染みのあるエリクサー。HPとMPを全回復させるスペシャルアイテム。まぁ化粧水を作ろうとしたら出来ちゃっただけだけど。
「という事で、お願いね」
『やるよ、やればいいんでしょ!!』
不憫だなぁ緑茶。でもラスボス系後輩よりマシだと思って頑張って。
『
速射されていく『
さらにそこにミサイルが環境破壊は気持ちいぞいとばかりに爆破爆破爆破。これは果たして特異点を修復したとして正史に戻るのだろうか、とかは一切考えてはいけない。
『これは酷い』
『いつもこんなものですが……そんなに酷いでしょうか?』
『正直ドン引きですわ。はいはいイー・バウイー・バウ』
解せぬ。
そうして抵抗も一切許さず私以外ドン引きの作戦で魔神柱はハメ殺された。最後の方は命乞いがあった気がしなくも無かったが、恐らく気の所為だろう。素材が喋る筈ない。
《艦長、エネルギー残量が》
「え、なんでってあぁ……」
隣りを見たら納得の事実。
「燃え尽きたわ、真っ白に……」
アタシ、燃え尽きる。
最後までマイクを手放さず満足気に座り込んでいた。人間だったら即死コース。
「完全にノビてるわ。なんか全部出し尽くしたって感じ」
《このままじゃホワイトハウスに打ち込める程のエリザ粒子は捻出出来なそうね》
「目と鼻の先なんだけど」
『一応言っとくけどオレも無理。疲れた色々……』
ロビンフッドも燃え尽きたと。
『余も無理!』
嫁ネロはボタン連打で爪が逝ったと。
『私は余裕ですわ』
「生き残りは2人だけと」
あれ、もしかしてボスダンジョン直前で詰んだ?
何処で計算を間違えたの!?(困惑)
《オリジナルの起用は立派なミスなのでは?》
「うーんそれはそう……」
なんとラスボスを前にして2人にまで減った勇者一行。
限界まで身体と喉を酷使した本家本元元祖エリザベート・バートリー。
限界まで宝具をぶっぱなし続け、エリクサーでお腹をいっぱいにさせた苦労人常識人ロビンフッド。
限界まで指と爪をボタンで削った連射名人ネロ・クラウディウス・カエサル・アウグストゥス・ゲルマニクス【ブライド】、これに関してはなんで手動にしたのか!
残ったのはたったの2人。果たして勇者一行はラスボスを倒し人理を守りきれるのか。次回「ぶちかませ
「こんな感じ行くわよ!」
《いや全く分からないわ》
「肝心の残った私たちには言及しないのですね」
「まぁそういう訳で超弩級メカエリチャンの最後の見せ場よ。派手にほら拳を打ち込みなさいよ!」
《被害総額をみればどちらが敵なのかパンチ!!》
果てしなく緩く長い技名のパンチは映画なら賞を貰える迫力と威力をもって異界化したホワイトハウスに襲い掛かる。
匠によってホワイトハウスが開放的にリフォームされました。
「行くわよ清姫」
「いよいよ決着ですねエリザ」
突撃隣りのホワイトハウス。
そしてそこにはキングサイズの天蓋付きベッド。その上では裸の女が半裸の男に馬乗りに──
「ってなんじゃこりゃー!」
「いやこっちのセリフなんだけど。これからクーちゃんとお楽しみタイムだったのに」
「いやしねぇっての」
「あーん、クーちゃんのいけずぅ。でもそこも好き!」
片手で顔を掴み押しのけられるメイヴは嬉しそうに身体を抱きしめクネクネ。これにはオルタニキも溜め息が隠せない。なんかとても親近感が湧いた。
「? なにか?」
「いやなんでも」
あんまりにもしつこかったのか何処ぞのワカメみたいに裏拳で吹き飛ばされてる。壁にめり込んだけどメイヴは元気なもよう。やっぱり親近感が湧く。
「で、ここに来たってことは殺りあいに来たんだろ」
「勿論よ、決着つk「駄目です!」て、は?」
「初めての相手は私がっ!?」
隣りに居たピンクも無事壁にめり込む。
「お互い相方運がなかったみてぇだな」
「……うん」
「んじゃあまぁ、そろそろ死合うか。邪魔はするなよメイヴ」
「んもうクーちゃんが楽しんでるのに水なんて差さないわよ」
「楽しむ、ねぇ」
オルタニキは無感情に魔槍を一回転させて穂先をこちらに晒す。まるで楽しそうに見えないのはきっと気の所為じゃない、その目には愉悦の色なぞ皆無だから。
対して私もここでふざける事はしない。だって治癒不可の呪いとか因果逆転の秘術とかそんな屁理屈捏ねても殺しにくるのはちょっと困る。なんか理論武装されて論破されてる気分になる。
あとイジりにくい!
「そうイジりにくいのよアンタ!」
「あぁ?」
「なにその顔、ムスッとしちゃってさ。目の前に誰がいると思ってんの! 勇者エリザベートよ!」
普通は握手なりサインなり求めて挙句の果てに会った瞬間に泣き落ちるのが常識でしょうよ。ましてや無表情無感情ノーリアクションってなに?
「何言ってんだお前?」
「だから!」
左手に持つレトロニアを前へ、右手に持つエイティーンを後ろに。重心を前へ移し魔力を内と外へと放出。爆発的な推進力。剣を振り上げ─
「その仏頂面の頬をふん掴んで無理矢理にでも笑わせるって言ってんのよ!」
「ハッ、上等だ!」
力任せの一振はにべもなく打ち払われる。それを皮切りに得物同士の応酬が行われ、キンキンと高く鋭い音が場を支配する。その間隔は一合毎に短くなっていき、間を与えなくなっていった。
打ち合えてはいる。
だけど余裕が一切ない。だって穂先は勿論、槍を振るう腕も、細やかな自重移動を行う脚でさえ視認が難しいから。
攻勢に出れないのは予想通り、ヘラクレスと並ぶような大英雄なんだからこうなるでしょうよ。ランサーの時でさえギルガメッシュと半日死闘を演じ消耗させるとかどっかで聞いた気がするし、ステ的にも上でスカサハ師匠を再起不能にさせたりゲイボルクが心臓に当たったりするし。
──チートでは!?
「こんのォ!!」
力で押そうと流され、技で隙を作ろうとすればより一層堅固に守られてしまう。浮き上がる瓦礫を弾丸にして放とうと、火を吐きつけようと、フェルグスへの有効打だったスーパーソニックを放っても流される、若しくはルーンによって治癒される。
継戦能力の高さとはどんな事態にも対応が出来るのと同義なのだと身を持って味わっている。
「なかなか悪くなかったぜ」
威圧感が増す。
脈動し紅黒いオーラが魔槍から漏れ出すのを見て私の本能がけたたましく警鐘を鳴らした。
──「放たれば待つのは死だ」と
『
即座に名盾レトロニアを正面に構え魔力を注ぎ込む。
「これなる盾は勇者の心の在り方、不屈の闘志の形。光の御子クー・フーリンよ貴様が破るのは盾ではないと知れ!」
初邂逅にも同じ技を受けたと思っていた。でも全然違った。あの時に放たれたゲイ・ボルクとは威力が段違いに高い。
「押され……グ、オオオオオオオ!!」
『
踏ん張りが効かない、地面を抉りながら後退させられる。魔力放出込みでこれだ、きっと素のステータスじゃ対応出来ないどころか速攻で潰される。
「ガハッ──!」
まさか私まで壁にめり込むことになるとは。脳内ピンクになった覚えはないんだけど。
「けど防いだわ!」
魔槍の魔力が尽きるまで耐え切った。既に盾に掛かる圧力は消えている。ならこっちもやっと攻勢に──
余りに平坦な声だった。まるで死刑宣告を突きつけられたようなそんな背中が汗ばむ感触。
まず腕が引きちぎれるまで過剰な強化をして放つ宝具を連発ってそんな非常識が許されるはずない。
「クーちゃんがんばえー!」
そんなはずあったわ!
あの女、聖杯を令呪代わりにしてブーストしてる。魔力供給に留めておけよ。何ちゃっかり再臨してかっこいいローブ着てるんだ。いいよね再臨して衣装替えするサーヴァントは!
「言ってる場合じゃないっての」
「エリザ!」
「アンタはNPでも稼いでなさい!」
清姫にはあぁ言ったものの、どうしよ。
受けてもあっちは何度も宝具を使用してくるし、そもそも防御間に合わなそうだし、だったらライフで受けるしかないし、でも受けたら受けたで心臓が吹き飛ぶか臓器8割以上は持っていかれる。
詰みなのでは?
「やれやれ、私が一番槍と思っていたのだが」
深紫色の影が落ちた。
「まぁ良しとしよう」
何この人怖い。超涼しい顔で私がヒーヒー言ってた宝具止めてる。これだから原初のルーンは頭おかしい。
「そのような雑なルーンは教えた覚えがないぞクー・フーリン」
「スカサハか……」
「それにしても随分とイメチェンしたな。似合わんぞ」
「ぁ、それ私の趣味!」
「いつもの防具で良いだろう」
さりげなく命を救われそれとなく空気にされた。
「あとお前の歌、私の耳にも入ったぞ勇者とやら」
「あ、どうだった?」
「うむ、不思議と力が湧いたな。具体的に攻撃力と宝具威力が20%程!」
どうやら私の歌に感動してこっち側に呑まれかけている感じが、どことなくコハエ……いやなんでもない。
「スカサハだろうと勇者だろうと、道を阻むんなら殺すだけだ」
「つまらん男に成り下がりおって」
吐き捨てる様に言葉を零すスカサハは眉を八の字に曲げる。その心情は弟子の現状に少々の同情や憐憫の色が見える。
「して、お主はまだやれるのか?」
「余裕よ余裕!」
「ならば立て。勇者の名は伊達ではないと私に見せろ」
どうやら一緒に戦ってくれるらしい。正直助かるが少しばかり意外でもある、てっきり自分一人で始末を付けたいと言い出すと思っていたけど。
「業腹だが、私一人では手に余る」
「それ2本とも打ち込めばいいんじゃないの? あっち1本だし」
「こちら2本があちらにとっての1本と同じ計算だ。お主もあの馬鹿弟子の技を受けて威力を感じただろう?」
やっぱりあの過剰強化分は大きいと。いや刺しと投げボルクをほぼ同時に放つのも十分大きいと思うけど。
でもそれなら私の作戦は役立つかもしれない。
「考えがあるわ」
「ほう」
「天才策略家エリザベートに任せなさい!」
少しばかり無理矢理だけど見た目は同じに見えたし、スカサハならその無理矢理も通る気がする。
「随分と面白い事を考える。思いついてもやらんだろうに」
「じゃあやらない?」
「いややろう。興味もある」
「終わったか?」
完全に傷を癒し、最終再臨を迎えたオルタニキが魔槍を突き立てながら睨めつけてくる。ラスボスかな?
「あぁでは行くぞ!」
スカサハは二槍のゲイ・ボルクを握りしめ疾走、私も後に続き翔ける。先程まで防戦一方だった戦いとは違い私は護り、スカサハが攻めと役割りを分けたことで打ち合いではこちらに分がある。
ならばオルタニキが打つ手は宝具に限定される。
「チッ、 『
「それを待っていたぞ!
魔槍同士のぶつかり合いは同じ軌道の中で起こり、互いに宿る魔力を喰らい合いやがて相殺される。本来そこで終わり、再びぶつかり合うだろう。
だが此処には私がいる。
「受け取れぇ!!」
筋繊維がブチりと弾ける音を聞きながら私は気合いの雄叫びと共にソレをスカサハ目掛け投擲する。──何をって?
ゲイ・ボルクを。
相殺された後で拾ったのかって? 違うそれじゃ遅すぎるし、スカサハがルーンで回収した方が速い。かと言ってオルタニキの宝具を強奪した訳でもない。そんなバサロットみたいな事はしない。
ルールブレイカー? 知らない子ですね。
あるでしょこの異界化したホワイトハウスにはもう一本ゲイ・ボルク
ホワイトハウスの前に刺さってるどデカい槍を。
無理矢理で無茶苦茶?
だからどうした私はエリザベートよ!(天下無敵)
「その心臓貰い受ける!『
巨大なゲイ・ボルク似の槍を重さなど無いかのように振るうスカサハは渾身の一撃を見舞う。その顔には汗一つ無く、緊張も無く、完璧に役割りを果たした結果を見せる。
「ッ!? …宝具封印、全呪開放
獣の咆哮をあげ、両腕の爪を胸の前で重ね防御姿勢。あの一撃を受けるようだ。傍から見れば勝負が直ぐにつくと思われるだろうがあの形態はオルタニキの切り札、スカサハも知らない
事実受け止めている。筋力パラメータEXはやっぱり凄かった。
「けどそれも本命じゃない!」
「流石の私も我慢の限界です。久しぶりにキレてしまいました! 『転身火生三昧』──!!」
私には一級サーヴァントを倒しきる高火力はない。いつだって何かしら自分以外の場所から力を持ってきていた。
けど別に私が倒す必要はないのよ。火力なら相棒に頼ればいい。
清姫の宝具ランクは
何かにキレて居たらしい清姫は竜に転身し燃え盛る焔そのものとなってオルタニキを包み、噛み付き、爆ぜる。
「今日はより一層激しいわね」
残ったのは爪を砕かれ、兜を半壊させたクー・フーリン【オルタ】の姿。その様子だとまともにルーンも使えず治癒も不可、あとは消滅を待つのみといったところ。
「ボロボロになっちゃったわね」
「……メイヴ」
「砕かれた霊核もここまでだと修復は無理か。どうだった楽しかった?」
オルタニキはメイヴの質問に悪どいが笑顔で答えた。
「かもな」
クー・フーリン【オルタ】は立ったまま消滅。
「私も楽しかった。私だけのクーちゃん……」
メイヴもそれに応えるように笑う。
「勝負ありだと思うんだけど、聖杯渡してもらえる?」
「うーん、正直クーちゃんがいないんじゃこの聖杯持ってる意味も無いんだけど。それはそれだと思うのよねぇ」
「じゃあ戦う?」
「戦わないわよ。私は、だけど!」
メイヴは手に持つ聖杯を胸へと宛てがう。すると姿は輪郭を失い、ドロドロとした液体へと変貌する。そして再構成される時、その姿は柱を形成した。
「七十二柱の魔神が一柱。序列三十八。軍魔ハルファス。
この世から戦いが消えることはない。
この世から武器が消えることはない。
定命の者は螺旋の如く戦い続けることが定められている」
魔神柱が現れた。けどさっき腐るほど見た。
「嫌がらせだけはキッチリしていったな」
「ここに来て魔神柱は面倒だわ」
そう飽くまで気分的に乗らない。こちとらラスボス倒してスタッフロール流れてるんだけど。
次の瞬間私の視界が白く染った。
魔神柱は出オチって決まってるのかな。
あとホワイトハウス消滅……危うく味方の宝具で蒸発しそうだった。ありがとうマシュ。
いや本当にえげつない。最低ランクAの宝具祭りだよ。そんな酷いこと私でもしない。うわ、クレーターの表面ガラスになってるよ。
「おつかれ清姫。悪いんだけどマシュと一緒に聖杯探しに行ってあげて」
「……帰ったらお話ですよ」
ひえ、まだキレてる。
「随分おかしな星の元で生まれたようだな」
「おつかれスカサハ。ってかどういう意味?」
「いや抑止が仕立てる勇者にしてはと思ってな。どういう人選か」
そんな心底謎だと首を傾げられても困る。と言うかそれあんまり周りに聞かれたくないんだけど。
「大丈夫だ音を絶っている。周りには聞こえんよ」
「お気遣いどうも。でもわかるものなのね抑止云々とか」
「まぁな、特に未完の勇者となれば私の鼻が効かんわけが無い」
「未完って……」
どういうことなのプロデューサー!
「まぁこれはちょっとした老婆心。ラッキー程度に受け取るといい」
そう肩に手を乗せた後、何処へやら走っていった。これといった変化はない。
「エリちゃんー!」
「子ジカ!?」
「どうしてなのエリちゃんー!!」
「せ、先輩落ち着いてください。エリザベートさんの目が回ってしまいます!」
もう回ってるっての。なんで此奴がいつもいつも会った途端振り回し始めるんだ。何処ぞの鬼いちゃんと蝸牛か!
「下ろせっての!」
「あいたー!?」
加減しながら本気でツッコむの難しいんだぞこの。
頭擦りながらえへへと笑う子ジカに私は苦笑する。特に外傷もなく元気みたいで一安心だ。
「それで、何がどうしてなの?」
「そ、そうだよ! なんでエリちゃんは私たちと合流してくれないの! なんで一緒に行動しないのさー!」
ガオーと吠える子ジカ。
いやこればかりは特に理由はない。一刻も早く特異点修復を行う為に最短を目指した結果だし。必要だったら必要で合流はするつもりではあった。
「いやでもエジソンの件とか、ハルファスの件とか二手の方が優位なこともあったし、ね?」
「うう、そうだけどさぁ。寂しかったんだよ?」
本当に泣かなくてもいいのにとは口が裂けても言えない。あんな宝具飽和攻撃仕掛けたマスターには見えないな。
あぁよしよし、ごめんねぇ。私が悪かったよー(棒)
《聖杯の回収確認終わったよ。直ぐに修復が行われるからレイシフトするからね》
ロマニの発言の通り空間が不安定になってきた。
「清姫帰るわよ」
「はい」
「じゃあまたね子ジカ」
「エリちゃーん」
泣くな泣くな。
このマスターこんなメンタル弱かったかな。
◇◆◇
慣れた空間へと戻った私はスカサハに言われた言葉を思い返す。
「未完……受け取るって何を──」
「……エリザ」
背後の気配にゾクリと思わずつんのめる。
「今回は一段と危なかったですね」
「そ、そうね。でも最後は快勝よ!」
ニコニコと微笑む清姫の顔がピシリと歪む。
「何が、何処がとは言えませんが嘘の香りがします」
「え?」
そんなタブー侵した覚えはない。いや本当に!
「逃がしませんわ。私に対して嘘を吐いたのですから。キリキリ話して頂きます!」
壁に追いやられる私。
追いやる清姫。
「戦闘中にあんなに我慢したのですから」
「もう我慢しなくても、良いですよね?」
本当に身に覚えがない!
私もね途中分けりゃいいと思ってたんです。
でも気付いたらこうなってました。
自分なりに熱い戦闘を考えたんですがこんなんで大丈夫でしょうかね?
如何せんギャグ重視なので何とも……
次回はいよいよキャメロットですか、やっとですね。
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