【完結】ポップになりました   作:しらいし

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32.卑劣なり魔王ポップ!

「闘魔傀儡掌!」

「え、ちょおおおお!?」

 

 

 マリンがいきなりやばい技打ってきたのでトベルーラで全力で避ける。捕まったらあかん奴だ。俺闘気使えないから脱出出来ないよ。

 

 

「オーラブレード!!!」

「おおっとお!?」

 

 

 避けた先に待ち伏せしていたノヴァが斬りかかる。こいつらガチで殺しにきてやがる。一体何がこいつらをそうさせているんだ!

 

 

「チッ、てめえらがその気ならやってやるぜ! 後悔してもおせえぞ! 俺の魔王っぷりを見せつけてやるぜ! くらえ魔王っぽい呪文! バシルーラ!」

「え!? きゃああああ!!」

「マリン!」

 

 

 強制離脱呪文。ドラクエ3で魔王が使うマジでむかつく呪文。この世界でいうとポップが作ったオリジナルだ。というかルーラを超雑にした呪文である。特に飛ばす場所をイメージせずただ魔力を込めて方向だけ決めて対象のみをルーラで適当に飛ばす、ルーラの失敗版である。こんだけ雑にすれば多少離れてても飛ばせるんじゃね? という適当な発想で作った、込める魔力で吹き飛ばす勢いと距離を変えられる超便利魔法である。

 

 

「ルーラ!」

 

 

 そしてポップはバシルーラで弾き飛ばしたマリンをルーラで先回りし空中でキャッチした。この男、なんだかんだ器用である。

 

 

「え? あ……きゃああああ!!!」

 

 

 キャッチされたマリンが悲鳴を上げる。ポップがマリンをキャッチしている体勢。それは五所蹂躙絡みの体勢。つまりはキン肉バスターの構えである。ようはパンツ丸見えである。どういうキャッチの仕方すればそうなるんですかね? マリンがじたばたすればするほどマリンのミニスカはふとももからめくれあがっていく。戦場の兵士達は皆マリン(の股間)に釘付けである。

 

 

「貴様ポップ! 女性を辱しめるような真似をよくも!」

「ここは戦場だ! 殺し合いをするところだぜ。男も女も関係ねェ、強い奴が生きて弱い奴は死ぬんだよ!! 傷つくのがイヤなら戦場に出てくるんじゃねぇ!!!」

「傷つく意味合いが違うだろうがあああ!」

 

 

 ノヴァの正論を原作フレイザードの台詞で返すポップ。しかし何故だろう。受けとる印象がまるで違うぞ。

 

 

「マリンがどうなってもいいのか! 降参しろ! このままキン肉バスターを撃てばなぁ……パンツ破れるぞ!」

「え!?」

「そうまでして勝ちたいか卑怯者め!」

「オレは戦うのが好きじゃねぇんだ……勝つのが好きなんだよォォッ!!! ほれほれどうするんだあ!? それになぁ……こいつのお腹の子がどうなってもいいのか!?」

「なぁ……!」

 

 いや嘘だし適当だけど。ポップははったりをかました。そういう関係なのかも知らない。ノヴァを動揺させようと適当に言っただけ。であったはずなのだが。

 

「嘘……誰にも言ってなかったのに何故貴方がそれを!」

「……へ?」

「マリン! 本当なのか!」

「え、ええ……私のお腹の中には貴方の子が……」

「なんて事だ……ポップ……貴様卑怯にも程があるぞおおお!!!」

 

 

 ノヴァ激おこである。むしろポップがこれに動揺している。そして自軍からの白い目が辛い。特にフレイザードちゃんからの白い目がとても辛い。いやほんとに知らなかったんやで。

 

 

「あ、いや、その……降参する?」

「くっくそおおお! わ、分かった……僕はどうなってもいい! マリンは……お腹に子供がいるマリンだけは助けてくれ!」

「あ、はい」

 

 

 ポップはマリンをそぉっと地面に降ろした。マリンはノヴァに駆け寄り抱き付いた。

 

 

「ノヴァ……ごめんなさい! 私のせいで!」

「いいんだマリン……君は悪くない」

 

 

 なんか二人の世界が始まっちまったぜ。何これ。

 そして背後をちらっと見るとフレイザードちゃんが腕組んで立ってます。おこ? おこなの?

 

 

「ポップ、いくら戦いを最小に納める為だって今回のやりかたはどうかと思う。身重の女性を盾にするなんて……最低」

 

 

 フレイザードちゃんの会心の一撃。ポップのメンタルは死んだ。向こうから手を出してきたとか、当てずっぽうに言った事が当たっただけとかそんな事置いといて死んだ。この後、ポップはしばらく引き籠る。なんとフレイザードちゃんが会いに来ても会わないくらいの引き籠りっぷりをみせる。フレイザードちゃんが言い過ぎたと謝りたくても会わないくらいに精神が死んだ。ポップにとって全てだったフレイザードちゃんからの会心の一撃だからしょうがないね。

 

 

 引き籠り魔王はどうでもいいとして、その後恙なくオーザムは併合されていった。併合なんてパプニカやカールを任されたフレイザードちゃんがいればどうとでもなる。つまりKOPなんていらんかったんや。身重のマリンはエイミが面倒を見る事になった。その際、ヒュンケルと出会い、警戒度マックスになったがヒュンケルとエイミの仲を見、また性格もイケメンだったヒュンケルに疑問を抱くも、きっとエイミがヒュンケルを改心させたんだろうとマリンは一人納得する事になる。お前その程度でええんか。

 

 ノヴァはダイ君と知り合いだった。色々吹き込んでたのお前かよ面倒だったんやでと言いたい。まあダイ君と知り合いなら別にいいか、そこそこ強い兵士くらいやろコイツって事でノヴァは自由に放置されているので、マリンと一緒に居ます。魔王軍適当過ぎ。

 

 

 原作で滅びる定めだった国オーザムは、城を破壊され新たにグレートマジンガー鬼岩城とかいう観光名所が設置された以外はほとんど被害無く魔王軍傘下となった。反共存組の上層部はザボエラが実験材料に回収した。後ついでに言えばアバンとレオナに使者を頼んでおいたロモスはほんと何事もなく魔王軍傘下になった。ロモス被害ゼロ。ロモス王シナナの英断である。これで戦争という意味では特に山場もなく、原作より遥かに被害も少なく全ての国が世界を人と魔が共存する国に作り替えた、世界の理を破壊した魔王KOPとかいうクソ野郎。これによってフレイザードちゃんの仕事が増える増える。ボカロ親衛隊もフレイザードちゃんを手伝う。フレイザードちゃん超忙しい。ポップ引き籠りで忙しい。

 

 

 望んだはずの世界になったはずなのに、ポップとフレイザードちゃんには距離が出来てしまった。




次で最終話です。今日の19:00投稿予約済みです。良ければ最後まで見て感想や評価頂けると嬉しいです。

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