【完結】ポップになりました   作:しらいし

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24.闘魔傀儡掌使えるようになりたい

「闘魔傀儡掌! ブラッディースクライド! ブラッディスクライドブラッディスクライドブラッディスクライドブラッディィィスクライドォォォォオオオ!!!」

「ぐわあああああー!!!」

 

 

 うわぁー。ブラッディースクライドがゲシュタルト崩壊するー。ヒュンケル対ハドラー、光の闘気が眠りっぱなしのヒュンケルの開幕闘魔傀儡掌からの一方的な串刺しショーが目の前にで行われている。

 

 

「……ポップ、ハドラー死んじゃうの?」

「んー、いや激情に刈られているようで心の底は冷静みたいだから殺さないんじゃないかな。脳と心臓は狙ってないし」

 

 

 軍団長全員で観戦していたらフレイザードちゃんから声を掛けられた。ヒュンケルとりあえず殺さないっぽいな。だからこそリンチ状態になってるんだけど。ハドラー死んだらフレイザードちゃんヤバくなったりしないよね? 急にそんな事思い出してドキドキし始めたんだけど。万が一とかないよね? 止める? 止めるべき? 

 

 

「ザボエラおじいちゃん、あれ治る?」

「……脳が無事ならばとだけじゃのう。正直身体を入れ替えたほうが早いかも知れん」

 

 

 なるほど。つまり頭狙いじゃなければいいと。死ななそうだしちゃんと蘇るならいいや。ヒュンケルどんどんやれ。あらあらと言った具合で笑顔で眺めてるメルルさんや。なんかうっとりしてないかな。何かに目覚めてないですよね? 複雑な表情のフレイザードちゃんとは対極だわ。怖い。

 

 

「……あれ、もう行くのバラン?」

「……つまらん」

「あ、そう」

 

 

 バランが離席した辺りでヒュンケルの手が止まった。珍しく肩で息をしている。ブラッディースクライド連発し過ぎ。そしてハドラーは……うわあ。頭から胴の中心以外グッチャグチャやん。でも脳と心臓は潰してないんだな。

 

 

「ヒュンケル、気が済んだか?」

「……フレイザードに免じて命だけは助けてやると言っておく」

 

 

 ヒュンケルに声を掛けたらやっぱり生かすつもりだったようだ。なんか約束したのフレイザードちゃん? それともフレイザードちゃんの生まれを気にしてかな。流石イケメンだぜ。横のフレイザードちゃんは複雑な表情のままだけど。命は助けるとか言ってもハドラー凄い事になってるけど。

 

 

「……そっか。じゃあクロコダイン、ザボエラおじいちゃん」

「おう」

「……やれやれ、今度はどう強化するかのお。いっそ虜獲したベンガーナの戦車と合体させてハドラータンク……いやロボ……超電磁コンハドラーV……」

 

 

 ゴミクズになったハドラーをクロコダインが持ち上げ、ザボエラと共にザボエラの研究室へ向かっていった。なんかザボエラが恐ろしい事言ってた気がしたが気のせいだと思います。……改造されて超電磁スピンとか超電磁ヨーヨーとかやりださないよう事を願っておこう。

 

 

「ま、これでヒュンケルもちったぁ気が晴れたかな。……フレイザードちゃんどうしたの?」

「ううん……なんでもない」

「あ、そ、そう?」

 

 

 絶対なんかあるよね? さっきからいつもの表情じゃないよ。でもそう言われてちゃったら聞けないよね? 俺心読めないんだよフレイザードちゃん。ハドラーのほう? ヒュンケルのほう? それともパプニカのレオナ? 困ってメルルをチラっと見たけど「あらあら」って微笑みで返されても更に困るだけなんですが。

 

 

 

「ポップ様! ベンガーナ軍がテランへ攻めてきました!」

 

 

 親衛隊のアークデーモンから一報が入る。

 

 

「……また? 面倒臭いなあ。じゃあうちの親衛隊と俺と……ミストのとこの軍で宜しく」

「……。」

「待って!」

 

 

 魔界からのテランへの移住は着々と進んでいるので、そろそろベンガーナも潰さないと面倒だなーと思いながら無言で頷いたミストを見て早速出撃したろと思ったらフレイザードちゃんに止められた。

 

 

「ポップ、私も出る」

「いや、フレイザードちゃんは留守番で」

「うちの軍だけ……私だけ一回も戦いに出てないよ!」

「そ、そうだったかな? いやメドローアあんだけ連発して山切り開いたんだから今回は留守番お願いしたいかな」

「でもっ! ……うん、分かった」

 

 

 あかん。絶対納得してない顔してる。誰が好き好んでベンガーナ軍とかいう弱いものいじめの現場にフレイザードちゃんを連れていきたがるというのか。こんな戦いなんかより新たな街道を切り開いた事のほうがよっぽど有意義だったし、その辺りはちゃんと説明してたはずなんだけど。あんな芸当出来るのフレイザードちゃんだけだよ。メドローア連発って。どんな魔法力してるのフレイザードちゃん。……まあ俺が前線に立ってるから、だろうなぁ。立たなくてもいいんだろうけど、前線にいるのが一番魔力上げれるから出来るだけ前線にいたいんだよな。別に人間を積極的に殺したいとかじゃないよ? そりゃ向かってくるならやるけど、正直ただのレベリング目的だし。やっと、かろうじて一発だけならメドローア撃てるようになりました。そして最前線で自ら圧倒的な力を振るう魔王として部下から大人気です。意図してない方向でドンドン人気出てます。ベタンで広範囲を圧殺していく時とか歓声が上がります。でろりん辺りはドン引きしてました。

 

 ていうか魔王ってなんやねん。種族ヒューマンだぞ俺。




おや?

フレイザードちゃんの様子が……

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