俺の幼馴染はコミュ力お化け   作:有象無象

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5話 幼馴染は女神かよ!

ガチャ───それは未知の迷宮のごとく危険で魅力的な事柄である。

 

 

ある男は言った。出るまで引くのがガチャだ。と

 

ある女は言った。課金は食事と同じだ。と

 

ある英霊は言った。その先は地獄だぞ。と

 

無論、無茶だと、身を滅ぼすと言う者もいるだろう。

しかし、俺は止まれない。ここまで来たら引き返せない。

 

この日、俺はその一歩を踏み出した。

 

口は滑らかにその呪文を紡ぐ。

 

 

 

 

 体は紙幣で出来ている。

 

 血潮は樋口で 心は諭吉。

 

 幾たびの召喚を越えて不敗。

 

 ただの一度も爆死はなく、

 

 ただの一度も理解されない。

 

 彼の者は常に独り 召喚の部屋で勝利に酔う。

 

 故に、生涯に意味はなく。

 

 その体は、きっと無限の紙幣で出来ていた。

 

 

 

イメージするのは常に引き当てる自分だ!!

 

 

 

 

 

しかし………ッ!

 

 

 

 

しかし………ッ!

 

 

 

 

現実は非情…………ッ!

 

 

現実が………ッ!

 

 

運の無さと言う現実がアキトを襲う………ッ!

 

 

諭吉を触媒に手に入れた聖晶石140個

 

特異点攻略により手に入れた聖晶石30個

 

合わせて170個─56回の召喚─

 

結果

 

麻婆豆腐×11

ぬいぐるみ×9

船の模型×10

求道者×9

黒鍵×14

虚数魔術×1

投影魔術×1

恋知らぬ令嬢×1

 

なんだこれは………ッ!

 

アイツは一発で新たなサーヴァント【源頼光】を当てたと言うのに………ッ!

 

俺はサーヴァントに掠りもッ!

しないッ!

 

 

 

 

爆死したよ。

燃え尽きたぜ、真っ白にな。

 

 

 

 

俺は食堂で突っ伏す。

 

心のダメージが抜けない!

 

しかし、そんな俺に声をかけるものはいない。

 

俺からかけることもない。

 

なぜなら。

 

皆忘れてそうだが俺がコミュ障だからだ!

 

俺の口は不味いことにコミュ障が発言までの時間稼ぎに使う「ぁ」をよりにもよって「あ"?」に変換する。

 

そして、自慢じゃないが俺の顔は怖い。体もデカイ。

 

故にただの「ぁ」は対人宝具(一般人特攻)の「あ"?」として機能する。

 

これがガテン系のお兄さん方ならなんてことはないのだろうが、カルデアの職員は基本がインドア派のもやし系だ。無論魔術師も数人いるが既にサーヴァントと契約している俺の敵になりたくないのか徹底して不干渉である。

連絡はアイツかマシュさん、ダ・ヴィンチちゃんかロマンを介してなされるのだ。

 

故に、友はいない!

 

泣いても良いか?

 

 

そんな俺の隣に座る奴がいた。両隣にえっちゃんズが座っている。向かって右がオルタ、左がXだ。

 

爆死した。

 

かろうじて口に出す、指示できないと今後死ぬ、ということで最近は二人とならなんとか簡単な会話ができるようになった。

 

え?なにさ、えっちゃん?

え?私の体には飽きたのかって?やめなさい変な誤解が発生するでしょう。えっちゃんが和菓子食べるときに膝に座って体擦り付けるだけでしょ。

あ、遅かった。職員が走っていく。明日から俺はヤるだけヤって女を捨てるクズとして裏で語られそうだ。

 

え?なにさ、X。

自分達を引いておいて新しいサーヴァントを望むとか、全世界のマスターに殺される?なんでさ。

 

 

いやさ、俺だってえっちゃんズが過ぎた宝なのは知ってるよ!でもな、俺はブーディカさんが引きたいんだ。防御系のサーヴァントが欲しいいんだよ!

 

それに。

 

それにな!

 

ブーディカさんは俺の母親になってくれるかもしれない女性なんだよ!

 

 

そんな事を考えていたら対面にアイツが座った。すぐ後ろには絶対母親になるウーマン【源頼光】が控えている。この人苦手なんだよなぁ、俺の事射殺さんばかりに睨んでくるし、えっちゃんズもピリピリしだすし。なにさ、俺をアイツに付く悪い虫かなんかだと思ってんの?つーかこの人召喚されたばっかだよね?もうそんな仲良くなったん?相変わらずのコミュ力ですね。

 

え?なんだよ?爆死したのかって?そうだよ!爆死したんだよ!手元には聖晶石が2個しか残って無いんだよ。

 

え?なに、その聖晶石?え?余った?そらお前一発で引いてたしね。

 

え?くれんの?1個あげるから残ったのと合わせて引いてこい?

 

お前、女神かよ!初めてお前が可愛く見えたわ。すみませんすみません調子乗りました。有り難く頂戴します。代わりに後で柏餅?「太るぞ?」すみませんすみません口が滑りました。

 

あの、皆さん、その、女に金貢がせるクズ男を見る目をやめてもらえませんか?

 

私達はただ柏餅を聖晶石で売買しただけでして、頼光さんやめて!

柄に手をかけないで!

えっちゃんズも臨戦態勢に入らないで!

 

それじゃ、行ってきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

勢いよく食堂を飛び出すあいつを見る。慌てて二人が追っていった。

 

あ?頼光さん?え?ああいう悪い男は斬るのが一番だって?大丈夫大丈夫。これでも幼馴染だからって油断してないよ。そういうのはちゃんと後で取り立てるよ。今回たまたまあいつに貸したけど私が借りることもあるし、持ちつ持たれつかな?

 

さてと、私も様子を見に行こうかな。ついてきてくれるよね?頼光さん。

 

 

 

 

 

 

 

なんだこれはどうなっているのだ!

 

 

召喚部屋に入った私は思わず叫んだ。

 

中にいたのはえっちゃんズともう一人、えっちゃんズにそっくりな、冬木で私達の前に立ち塞がった黒いアーサー王。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「メリー、煙突から失礼。召喚に応じ参上したサンタクロースのお姉さんだ。貴様が私のトナカイだな?」

 

 

それがサンタコスしてパンパンの白い袋背負って、そんな事を言いながらあいつに迫っている光景だった。

 

 

 

とりあえず一言、クリスマスはまだ先だ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ちなみにこの幼馴染ども柏餅の下り以外は目線だけで会話しています。

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