未来動物園   作:ゆるる

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前書き。


第九話

聞こえないふりをしていたラッキービーストにあえてそれを言わず、未来は「じゃんぐるちほー」への従業員入口のドアを開けた。

普段使われない場所だからか電灯の類は全くなく、頼りになるのは端末から発せられる光のみだ。

 

やがて十分も歩くと、出口のドアが見えてきた。

ラッキービーストは目を虹色に輝かせ、何かをしているようだった。

未来が出口の扉を開けると、そこには映画やテレビで見たまんまのジャングルが広がっていた。

正確に言うと、ジャングルを真似たモノだが。

 

未来がその地に足を踏み入れると、ラッキービーストが何食わぬ顔で未来の前を先導し始める。

「ココヲトオッテイクノガサイタンルートダヨ」

まるで道も間違ってないし、車もぶつけてないような態度を取るラッキービーストに未来は思わず笑いがこぼれる。

 

「キョウハマダ、オープンマエダカラフレンズガスクナイネ」

それを聞くと未来は、確かに。と周りを見渡して納得した。

正式オープン後にはここがどうなってるのか...楽しみで仕方がない。

暫く周りの景色を楽しみながら歩いていると、目の前にはまたジャパリバスが現れる。

若干の不安を抱きつつも、先ほどよりも広い道だという事もあり未来はラッキービーストに従ってバスに乗った。

 

バスの車窓は先ほどの地下道とは打って変わって、見ていて楽しい。大自然を感じられた。

暫くすると、ラッキービーストがバスを止める。

今度は事故は起こして無いようだった。

未来は安心してバスを降り、ラッキービーストの元へ歩いた。

するとラッキービーストは、「ココハ、チホートチホーノサカイメダヨ。サーバルハキョウカイヲコエタスグソコ二イルカラ、アルイテイコウカ」

そう言うとラッキービーストもバスを降りて、再び歩き出した。

 

歩いて暫くすると、「この先さばんなちほー」と書かれた看板が出てきた。

先を見れば、まるで世界が縫い合わせられたかの様に、今いるじゃんぐるちほーとは別世界の場所が見えた。

何とも不思議な光景である。

その光景に未来があっけに取られていると、後ろで「カサッ」と何かが動く音がした。

しかし、未来が振り返ってみてもそこには何も居なかった。

気が付けばラッキービーストが先に進んでいたため、未来は急いでそのあとを追った。

未来がじゃんぐるちほーとさばんなちほーの丁度境目に着くと、その向こう側にはあの時ホールで見たフレンズ、いや、サーバルが見えた。

木の上でごろんと横になっているようだった。

人間と同じ姿なのに、不思議な光景である。

 

未来はじゃんぐるちほーを出て、さばんなちほーへと足を踏み入れた。

さっきまで居たじゃんぐるちほーは二、三歩戻ればすぐの位置にあるのに、環境が全然違った。

空気も温度も、もちろん見た目もだ。

 

一面広がる大地を歩いて、さっき見た木へと向かう。

高低差が全くなく、先が見えているせいか普通より時間がかかった気がした。

 

が、そんなことを考えながら歩いているうちにいつの間にか木の下へ着いたのだった。

サーバルは相変わらず木の上で昼寝をしている。

起こすのも悪い思い、未来は木陰で少し休憩を取ることにしたのだった。

 

やがてサーバルが耳を立て、ひょいと木の上から降りてきた。

「はじめまして!私はサーバルキャットのサーバルだよ!よろしくね!」

そういうとサーバルは、続けて私に質問をしてきた。

 

「ところで...あなたは何のフレンズ?」




明日から数日間更新が途絶えます。
多分次更新は7日かなぁ...

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