メッセージを確認した未来は、途中で見つけた自動販売機で缶コーヒーを買ってから集合場所へと向かう。
そして着いた先にあるドアには「飼育主任室」と書かれていた。
メッセージの内容をもう一度確認し、場所に誤りが無いことを確認してからドアを二回ノックして「失礼します。」と言う。
部屋に入るとそこには誰も居なかった。
奥には高そうな机と椅子、手前には事務机が二卓向かい合わせに並んでおり、それぞれに事務椅子が二脚ずつ置かれていた。
右にはロッカー、左には本棚と簡易ベット。
従業員の部屋としては凄く豪華だった。
未来は他の従業員が来るまで待つことにした。事務椅子に座り、さっき買ったばかりの缶コーヒーの蓋を開ける。
時は変わり集合時間、未来はまだかまだかと他の従業員を待つ。
しかし、10分待てど20分待てど従業員は一向に来ない。
30分経ったところでドアが開いた。
しかしそれは従業員ではなく、運営部の女性スタッフだった。
未来はスタッフに向かって挨拶をしてから尋ねる。
「すみません、私以外の従業員さんが来ないんですが...どうしたんでしょうか?」
するとスタッフは不思議そうな顔をして「何を言ってるの?ここは未来さんの個室よ?」
未来は驚く、それと同時に『こんな豪華な部屋が私の個室?!』と内心喜んだ。
困惑するスタッフに、未来は取り合えず「あっ、そうなんですね!」と返す。
するとスタッフは表情を笑顔にし、再び話し始めた。
「じゃあ、要件を伝えちゃうね。はい、まずこれがカードキー。」
そう言うとスタッフは、名前とidなどが書かれたカードを未来に手渡す。
「今は全室解除してあるけど、この説明が全室で終わった時点で部屋はオートロックされるから。このカードキーで開けて出入りしてね。あと、この部屋やさっきのホールなどがあるこの従業員棟に出入りする時にも必要になるからね。」
未来は「わかりました!」と言って、渡されたカードキーを制服の内ポケットにしまった。
「あとは...職務内容についてね。ジャパリパークはご存知の通り、新設された新しい動物園だから未来さんの様に新人ながら重役に就いている就いている子が何人か居るの、詳しい仕事はメッセージで送られるからそれを見てね。何か困ったときは私みたいな運営スタッフに聞いてくれれば答えるから、そんなに心配しなくても大丈夫よ。」
スタッフのその言葉を聞いて未来は、意気を込めて「はい、頑張ります!」と答えた。
するとスタッフは安心したような顔で「それじゃあ、メッセージを確認しておいてね。」と言い、ドアを開けて帰っていった。
未来はメッセージがまだ届いてないことを確認すると、荷物の整理を始めた。
机にはパソコンを、本棚には数冊の本を。
そして今まで書き溜めてきたスケッチブックは、大事に机の引き出しへとしまった。
未来が荷物の整理を終えると、端末から着信音の様なものが聞こえる。
端末を見てみると、メッセージが届いていた。
「ジャパリパーク園内の様々な場所に存在する案内ロボット、ラッキービーストとコンタクトを取った上で端末内機能である園内マップを参考に自分の担当フレンズの元へ向かいコンタクトを取ること。なお、従業員棟備品庫内に収納されているラッキービーストに関しては稼働前なので、コンタクトを取ることはできません。期限は今日中、終わり次第各自部屋に戻って待機するように。」
まるでイベントの様な面白い課題だ。
そう、まさに革新的である。未来は、これもれっきとした業務なんだと思うと笑いが込み上げて仕方がなかった。
未来はまず始めにしなければならない、ラッキービーストとのコンタクトをクリアするために従業員棟の外、つまりパーク園内へ向かうのだった。
毎度のことながら評価感想、お待ちしております。
ここから正式オープン編まで少し飛ばしながら書いていこうかなぁ...と考え中。
時間の進みが遅すぎる...?