新良の呼びかけと共にステージ横から、ひょいと一人の少女が出てきた。
いや...一人と呼んでいいのだろうか。と言うのもその少女の見た目は、人間がコスプレした様な見た目だったからだ。
周りが騒然としている中、未来は運営部に入った時に見たポスターをふと思い出した。
そう、あの時に見たポスターに描かれていた擬人化少女とこの少女は瓜二つだったのだ。
するとその少女は口を開く。
「私はサーバルキャットのサーバル!よろしくね!」
場の雰囲気に合わない、楽し気な口調で少女、いやサーバルは自己紹介をした。
すると場の空気を読んで新良が再び口を開く。
「サーバル、下がっていいよ。」
するとサーバルは「はーい!」とこれまた楽し気に返事をして舞台裏へと戻っていった。
少し間が空き、新良がマイクの前へ再び立つ。
「驚かれている方が大半だと思います。当たり前です。ですがさっきのサーバルは人間のコスプレでもなく、人工的な生物でもなく、未知の物質サンドスターと動物との融合によって生まれた新たな生命体なのです。これが、フレンズなのです。パークの中にはサーバルの他にも様々な動物のフレンズが居ます。このジャパリパークは動物と触れ合い、フレンズとも触れ合えるまさに革新的な動物園なのです。」
新良のその言葉に唖然としている人がほとんどだった。
それを見て新良がもう一度マイクに顔を近づける。
「先ほども言ったように、フレンズを見て働く気を失った方も居るでしょう。このホールの横に休憩室があります。今から30分間休憩の時間を取ります。従業員は全員休憩室に移動するようにしてください。但し、働く気を失った者は除きます。」
その言葉を聞いて大勢の従業員がホールを出ようと席を立ち始める。未来も困惑していたが、勿論ホールを出て休憩室に向かった。
その途中で未来は敢えて振り向かなかったのだ。休憩室に向かう従業員たちもそれは皆、同じであった。
場所は変わり休憩室、従業員たちの中には早速グループを作ってフレンズについて話し合っている者もいた。
未来はその輪には入らず、一人で今起こった出来事を一つ一つ整理していた。
今まで考えていたジャパリパークとは全く違う現実。
自分は本当にここで働いて行けるのか?
心の中での葛藤は続き、結局答えは出るはずもなく休憩は終わった。
ホールに戻ると新良は既にマイク前に立っており、従業員が席に着くのを待っているようだった。
未来が隣を見ると、最初に会釈を交わした女性は居なくなっていた。
周りを見回しても、ポツンポツンと空席が見られた。
従業員が座ったのを確認すると新良は話し始める。
「ここに残っている方は、これから先もジャパリパークで働くことを決心されたと見て、話を続けさせて頂きます。それでは役職と担当について連絡をさせて頂きます。まず初めに、従業員端末をお配りします。」
そう言うと、ホール後ろからあの時運営部に居たスタッフの方々が続々と出てきて、従業員に専用端末を配っていく。
全員に端末が行き届いたことを確認して、新良が再び話を始める。
「その端末はその従業員専用の端末です。皆さんの制服の帽子部分に付いてあるオレンジ色の羽に反応して動作します。因みに青い羽根は、案内ロボットであるラッキービーストの従業員認識用の羽です。皆さんの端末にそれぞれの従業員id、担当場所や役職、そしてこの後役職別に集合して頂く場所をお送りしました。それでは、ここで一旦お話は終了とさせて頂きます。自分の役職と担当を確認後、一時間後までに記載された集合場所へ向かってください。」
そういうと新良は、サーバルと同じように舞台裏へと戻っていった。
未来は早速端末を開き、メッセージボックスを開く。
「従業員id njsbjlbcbo 担当フレンズ:サーバル 役職:飼育主任」
役職を見て未来は驚く。
こんな自分にこんな重大そうな名前の役職が務まるか、そう思ったが面接をパスして合格した自分に自信をもってここは一度納得することにした。
そして未来は、メッセージに書かれていた集合場所へ向かうのだった。
きっと未来さんは相当筆記試験の結果が凄かったのかと()
感想評価、お待ちしておりまーす。
あ、従業員idは適当に考えました。
凄く単純ですが一応メッセージになってます。