数日後、未来の携帯に一件の着信が入る。きっと社員研修の話だろうと、未来はすぐに電話に出た。
「もしもし」と未来が言うと相手は、「新良です。社員研修の件でお電話させて頂きました。」と返してきた。
やっぱりな、と思いながら楽し気な口調で新良に「はい!お願いします!」と返し、耳と肩で携帯を挟みながらメモを準備する。
メモが取れる準備が整ったジャストタイミングで新良は口を開いた。
「三日後、社員研修が始まります。これはまだ絶対に口外しないで欲しいのですが、ジャパリパークは海の孤島です。現地までは船で向かいますので、〇〇にある〇〇港に朝10時を目途に集合して下さい。」
その言葉に未来が「はい!」と相槌を打つと、新良は再び話し始めた。
「服装は自由で構いません。現地で制服に着替えてもらいますので。その他もこちらで用意するので、特に持ち物はありません。」
未来は新良の言うワード一つ一つに胸を躍らせながら「わかりました!」と答えた。
すると新良は「何か質問はありますでしょうか?」と訪ねてきた。
それに対して未来が「特にありません」と答えると、新良は「わかりました。では、よろしくお願いします。」と言い、電話は切られた。
未来は自分だけがジャパリパークの所在地などの秘密の情報を知っていることに益々喜びを感じた。
そして三日後、朝6時にセットしていた目覚まし時計が鳴る。
眠気と戦いつつも未来は目覚まし時計を止めて、起き上がった。
未来の家から伝えられた港までは電車と徒歩で一時間。こんな早く起きる必要はないのだが、もしもの時の為にと真面目な未来ならではの努力だ。
まず向かうのは洗面所、顔を洗って軽く髪を整える。
そして次に向かうのは台所、腹が減っては戦はできぬ。未来は毎日自分で朝食を作るのだ。
今日のメニューはキャベツの味噌汁とサラダと目玉焼きにベーコンとおにぎり。至って普通の食事と眠気覚ましのコーヒーを一杯。
食事を終えて時計を見れば、時刻は午前七時。未来は使い終わった食器を洗い、テレビに録画してあった映画を一本見始めた。
そして時間は過ぎ、午前8時30分。歯を磨いて身だしなみを整えてから未来は家を出た。
最寄りの駅まで三分歩き、電車に乗る。
「まもなく~〇〇港前~」
到着アナウンスを聞き、未来は電車を降りる。
改札を出て左にまっすぐ進み、港が見えてくる。
時刻は午前9時40分、丁度いい時間だ。
港を見れば、これからは同僚となる大勢の人々が集まっていた。目の前にはかなり大きな船が停泊している。
そして群衆の前に立っていた新良の元へ向かい「おはようございます」と挨拶をする。すると新良も「おはよう。」と返してから、続けて「船の出航は10時30分だ、後五分後には船に入ってもらうよ。」と未来に告げた。
未来は「わかりました!」と返し、その場を後にした。
聳え立つビルの様な大型客船を前に、未来は胸が大きく高鳴っていた。
何故ならこれから念願であった「ジャパリパーク」へ行けるのだから。
少し短めで切りました。
次からいよいよジャパリパークのパートです。
ここまでに四話も使ってしまったので自分の未熟さを痛感しました。
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