未来動物園   作:ゆるる

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アニメ最終話、十二話目と区切りを迎えたのでこれからは題名を付けるようにします。
更新凄く遅くなりました。すみません!
今日と明日と明後日で三話連続更新予定です。
お楽しみに。


第十二話「おーぷん」

それから時は過ぎ、辛くも楽しくもあった研修は終わりいよいよジャパリパークはオープンの日を迎えた。

フレンズは皆、定位置でそれぞれくつろいでいる。

従業員もまた、起床時間である午前6時を迎えた後は各自それぞれ自由行動をとっていた。

オープンは午前十時、後約三時間後である。

従業員服に着替え、朝食を軽くとった未来は自室の机の引き出しを開け、紙を取り出す。

オープンセレモニーでの挨拶原稿だ。

未来はそれを取り出すと一人でぼそぼそと何度も声に出して読んだ。

 

やがて、部屋に新良が入ってくると未来はそちらを見て「こんにちは」と一礼をした。

新良も軽く礼を返すと「そろそろ時間です」とドアを開けて誘導する仕草を見せた。

未来はそれに従い、部屋を出て新良に付いていった。

案内された先は、お客さんが乗ってくる船が泊まる停泊所の前に設置された特別ステージ。

前にはマイクが置かれ、その後ろでは一部のフレンズや、多くの従業員が待機していた。

 

未来はマイクの前に立ち、何度か暗記した原稿を脳内で喋ってみたりした。

暫くすると会場内に新良の声が響き、「もうすぐ船が来る」とのアナウンスがされた。

それと同時に未来をはじめとする大抵の従業員はステージ裏に下がり、誘導役の従業員がお客さんが船から出てくる入口まで走っていった。

そして、やがて遠くから見えてくる超巨大客船「ジャパリ号」定員は5000人ほどで、一日に本土とジャパリパークを三往復する。

これでは全然人が入れないとじゃないか、思うかもしれないが、四日後には本土とジャパリパークを結ぶ海上道路が完成するので心配することは無い。

今日はあくまでも抽選で選ばれた10000人のみの先行入園なのだから。

 

そうこうしている内に船は目の前に停泊し、その大きさを改めて再確認することができた。

華々しく彩られた出入り口からは続々と人が出てくる。

一番最初に出てきたのはファミリーで、何やら記念商品を渡されているようだった。

お客さんは係員に誘導され、ステージ前に敷き詰められたイスに腰を掛ける。

 

全員が座るまでにかなり時間がかかった。

そして新良の声が再び会場内に響く。

フレンズによる園の説明や、ジャパリパークのテーマソングである「ようこそジャパリパークへ」の合唱など様々な発表が行われた。

反応は良好で、発表が終わるたびに盛大な拍手が沸き起こった。

そして次はいよいよ未来の挨拶だ。

未来は新良に呼ばれると、少しづつ歩みを進め、マイクの前へと立ち、一礼した。

「初めまして。ご紹介にあずかりました未来と申します。早速ですが、私の夢についてお話させて頂きたいと思います。私の家の近くには動物園があり、学校帰りに動物園へ行ってスケッチを取るのが日常の一部となっていました。そんな当時の私が目指したのは動物園の職員です。それから毎日勉強をして、この動物園で働くことを目標としていました。そして私は、念願のこの動物園で働けることが決まったのです。夢が、叶ったのです。この動物園は普通とはちょっと違いますが、フレンズのみんなも勿論動物のみんなも...私の大事な友達(フレンズ)です!私の夢は叶いましたが、今は別の夢があります。それはお客さんもフレンズも動物も従業員も、姿形は十人十色、それでもみんなが共通して楽しいと思える動物園を創ることです!みなさん、これからどうぞよろしくお願いします!!!」

未来がそう言って礼をすると今までにないほどの拍手が送られた。

未来はステージの去り際に、もう一度礼をした。

そしてステージ裏で元の原稿を取り出す。そこに書いてあったのは今の挨拶と全く別の内容であった。

つまり今の挨拶はアドリブであり、未来の心の底から出た気持ちだった。

 

未来は原稿をしまうと、これから本格的に始まるジャパリパークでの人生に対しての決意を心で誓った。

 




明日の更新をお楽しみに!

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