唐突な、一風変わった質問に未来は一瞬反応が遅れる。
「えっ」と戸惑ってから「...
するとサーバルは「そーなんだー!ヒトちゃんじゃ何かおかしいしなぁ...ミライちゃんって呼んでもいい?」
そう聞かれると未来は、「うん!」と元気よく答えた。
暫くの間サーバルと談笑し、時計を見れば時刻は午後6時を過ぎていた。
サーバルに別れを告げ、未来はじゃんぐるちほーへと戻っていく。
暫くすると、先ほどバスを降りた場所が見えてきた。
さばんなちほーとじゃんぐるちほーの境界である。
「バスを降りた場所...」
ラッキービーストと未来はバスを降りた場所をじっと見つめていた。
.......
「「バスがない」」
さっきまで大きなバスがあった場所には、何も無くなっていた。
ラッキービーストを見れば、お察しの通り検索中と言いながら円を描いて走っている。
そしてその後、いつも通りフリーズした。
未来は即座に端末を取り出し、本部へと電話をかけるのだった。
1コール、2コール。
そして3コール目で相手が受話器を取る音がした。
未来が「もしもし」と言おうとしたその時、やけにきらびやかな音と共に端末の電源は切れた。
もう一度電源を入れ直そうと試みるも、電源ボタンを押して出てくるのは要充電マークばかり。
ここは超広大な島、ジャパリパーク。
地図も、明かりも、頼りも無しに出歩くのは危険すぎる。
それはこれからガイドとなる未来が一番分かっている事だった。
しかし、行動しないことには始まらない。
未来は覚えている限り、バスが通ってきた道を引き返すことにしたのだった。
街灯はあるが、オープン前であるが故に明かりを一切灯してくれない。
月明りだけが頼りの森の道を未来はゆっくりと進んでいくのだった。
未来が覚えている限り、バスは殆ど直進してきた。
しかし、何回か曲がった覚えもある。
今のところは一本道が続くばかりで、歩みに迷いはなかった。
暫く歩くと、未来は改めてパークの広さを思い知らされる。
明かりもない、バスもないパークは朝よりももっともっと広く感じた。
それから30分程するとパークの上には雨雲がかかり、やがて大雨が降ってきた。
未来もそれに気づき、走って雨宿りができる場所を探す。
そして見つけたのはジャパリバスの停留所だった。
風を凌ぐ事はできないが、屋根とベンチが付いているだけで十分に体を休めることができた。
未来はベンチに横になり、防寒用のジャケットを着て眠りに着くのだった。
一方そのころ本部では、未来を除く殆どの従業員が従業員棟に戻り、各自の自室で休息を取っていた。
そして、未来だけが居ないことに気づいた新良は、急いで他の運営スタッフに連絡を入れる。
すると従業員棟からは数台の車が出庫し、それぞれ別方向へと走って行ったのだった。
新良はそれを見送ってから、自分も残りのスタッフと共に車へ乗り込んで走り出すのだった。
20分程して、従業員棟から送り出された車の一台が未来が居る停留所の前を通った。
が、道は暗く未来は睡眠に入っていたため、どちらも気づかず車はさらに奥へと走り去ってしまった。
遅れて出発した新良の元に、各車から無線連絡が入る。
しかしどれも、見つからないという内容のものだった。
新良は続けて探すよう命じ、自らの車を加速させた。
やがて未来が起きると、天候はさらに悪化しており雷までなっている程だった。
未来が様子を見るために停留所から出ると、横の木陰から何かが隠れたような「ガサッ」と言う音がした。
時間も時間で、天候も天候。
さらには光もない真っ暗闇の森。
そんな中でこんな音を聞いた未来は、少しビビりながらもその音がした方へ近づいていくのだった。
更新が遅れてしまいすみません。
今日から再び更新を続けていきます。
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