遊戯王Wings「神に見放された決闘者」   作:shou9029

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ep40「核心の序章」

 

 

「…どういうこと?鷹矢に届いたモノと違う場所って…」

 

 

鷹矢がセントラル・スタジアムへと出発してすぐのこと。遊良の言葉を聞いたルキが、不可思議な感情を表に出した声でそう聞いてきた。

 

それは、つい先ほど同じタイミングで同じアドレスから届いた、遊良宛のメッセージを彼がたった今確認したところ…その中身が、鷹矢に届いた『敵はセントラル・スタジアム』と言う一言とは異なっていたからに他ならない。

 

その所為で、遊良もルキも、そして蒼人も驚いている様子を見せていて。

 

その内容を見るに、鷹矢を出発させてしまったことを早計だったかと誰もが後悔するも、回線がパンクしているために既に行ってしまった鷹矢に連絡など取れないのだから、『戻ってこい』と伝えることも出来ず。

 

鷹矢が向かったセントラル・スタジアムも、遊良に届いた『別の場所』へのメッセージにも…やはり罠なのかという不審感が再び彼らには募ってきている様子。

 

 

 

「…俺と鷹矢を離すための罠だったってことか?」

「どうするの?鷹矢はもう行っちゃったし…」

「…でも、天宮寺君がセントラル・スタジアムまで行ってくれれば、そこで哲と合流できるはずだから…すぐに戻ってくるように伝えよう。多分、天宮寺君なら絶対にセントラル・スタジアムまでは辿り付けるはずだから。」

 

 

 

いくら鷹矢の『勘』が働いて、また鷹矢にしか分からぬものの信用できる情報が集まったからとは言え…これはやはり、まだ不確かな憶測だけで打って出るタイミングではなかったということなのだろうか。

 

遊良達を混乱させるための、本物の罠。なぜ遊良と鷹矢なのか、その目的は全くの不明なれど、もし本当に敵が何かを企んで遊良と鷹矢を分断させようとしていたのならば、まんまと『罠』に引っかかってしまったということになるだろう…

 

どうする…そんな思いが誰の胸の内にも出てき始めた、そんな時…

 

遊良が、自身の端末を見たままで口を開いた。

 

 

 

「…泉先輩、俺、ここに行ってみようと思います。」

「え!?ど、どうしたんだい天城君!?」

「遊良まで急にどうして!?駄目だよ、罠かもしれなくて危険だって遊良も言ってたじゃん!」

 

 

 

先ほどの鷹矢に向けていた、『罠』かもしれないのに向かうことへの心配を遊良だってかもし出していたと言うのに…

 

その態度を変え、今度はあろうことか遊良まで指示された場所に向かうと言ったのだ。

 

それに対して、蒼人とルキが反対を示してもそれは当然であって…まさか遊良も、敵の目星を一つ一つ潰すために自ら危険な場所へと向かおうとしているのだろうか、と。

 

 

 

「…いや…ルキ、これ見てくれよ。」

「…え?」

 

 

 

しかし、鋭すぎる『直感』に頼った鷹矢とは違って、遊良には何やらこのメッセージから思い当たるモノがある様子。

 

自身の端末に届いたメッセージをスクロールさせ、たった一言の『場所』を示す画面から下に移動させると、それをルキへと見えるように差し出して。

 

そこには、たった一言…

 

 

 

―『任せた』

 

 

 

「…なにこれ?『任せた』って…まさか遊良、これだけで行こうって?」

「あぁ。怪しいことには変わりないけど、堂々とした誘い文句じゃなくて、わざわざ気付きにくい所に、頼むみたいに書いてあるだろ?…なんだか、気になってさ。」

「…確かに。誘い出すとかなら、もっとこちらが食いつく様にするだろうね。」

「それに、『この場所』は東地区の外れだ。街の中心部じゃないけど…こんな『いかにも』って場所を指定して来たんだ、まだ街の外側には敵は少ないみたいだし、確認してみるだけでも行ってみようって…」

「…でも…」

 

 

 

確かに遊良の言う通り、『雑兵』の数自体は鷹矢が向かった中心部と比べてもまだ少なく、示されている場所へと辿りつくこと自体は、今居るこの家からでも十分に行ける距離ではある。

 

また、街の壊滅まで時間が無いことを視野に入れると、確かに足踏みしている時間が勿体無いことは確か。

 

…ただでさえ鷹矢のことが心配なのに、遊良まで危険なことをしようとしているのかと言う事態に、ルキの顔は曇ったままではあるが。

 

 

 

「…僕も行こう。天宮寺君の事は哲に頼んだんだ、だったら、ここは僕と天城君の2人で見てくるのが得策かもしれない。…もちろん、危険なことには変わりないけれど…本当にこのメッセージに意味があるのなら、天宮寺君の方も『罠』では無いのかもしれないし。」

「…じゃあ、私も一緒に…」

「いや、ルキはここに残っててくれ。虹村先輩たちもいるし、それに…ルキまで戦う羽目になったら…」

 

 

 

ルキが心配している理由だって、遊良はもちろん理解している。遊良が鷹矢にした心配のことを考えると、ルキだけに心配するなと言う方が酷で無理な話だろう。

 

だからこそ、ルキが着いてくると言っても、遊良はそれを遮って。遊良からすれば、鷹矢の心配とは別ベクトルでの心配がルキにはあるのだから。

 

そう、敵の数が中心部よりも少ないとは言え、それでも戦わなければいけない敵がこの先にいることには変わりなく。自分の身を守ることで手一杯になってしまえば、ルキとて自らが戦うしか道はない。

 

彼女の実力から言って、『雑兵』相手には『本気』を出さずに済むかもしれないものの…

 

街の外側に行けば、より強い敵と戦う可能性が高いらしいのだから、もしそんな手強い『駒』達が襲ってきてしまえば、彼女とて『本気』を出さないといけない状況が出現するかもしれない。

 

それが1度や2度程度ならばいいかもしれないが…もしも連戦を強いられでもすれば、万が一が起こるかもしれない、と。

 

それでも…

 

 

 

「遊良…私だって、戦えるよ?」

「…それは…わかってるけど。でも、もしルキが『本気』を出さなきゃいけなくなったら…」

「…決勝の前日に、鷹矢とずっとデュエルしてみたけど…私だって、前よりもかなり大丈夫になってたし…だから…」

「…駄目だ。」

「でも!」

「駄目だ!」

 

 

 

遊良とて彼女の気持ちは分かっているし、その実力も理解しているつもりではあるだろう。

 

…しかし、どうしても遊良には、ソレを許すわけには行かなかった。

 

幼い頃に、その目で見てしまったルキの『崩壊』。無論、師のおかげで大事に至る前に事態が収まったとは言え、自分自身でコントロールしきれないモノが彼女自身に危険を及ぼす怖さは、遊良とて二度と見たくは無いのだろう。

 

また彼女も、その力を抑えられるように今まで師に鍛えられては来たものの…限度を超えてしまえば、『最悪』の事態は簡単に彼女を襲うのだ。

 

少しでも事態の悪化を防ぐためだということは、ルキにだってわかってはいるものの、それでもお互いに譲れないのか、感情的な言葉が飛び出し始め…

 

 

 

「ま、まぁまぁ二人とも。ここで言い争ってる時間だって勿体無いんだ。それに、僕も高天ヶ原さんはここに残った方がいいと思う。」

「ど、どうして…」

「僕達に『もしも』のことがあった時に、哲たちに状況を伝えて、そして新しく手を考えて欲しいんだ。きっと哲達は無事に帰ってきてくれるし、その方が建て直しが効くことはわかるよね?」

「…はい。」

「もしそうなったら、今度は君達が僕達を助けて欲しい。もちろん、『そう』ならない様にするつもりだけど、これも万が一ってことなんだ。」

「…」

 

 

 

それを蒼人が冷静に制して。

 

常に最悪の状況を考えておかなければ、事態が悪化したときに手がつけられなくなってしまうのだ。少しでも対抗策を残しておこうと言う、客観的な見方をしての諭しをルキへと伝えて。

 

だが、彼女が聞きたいのはそんな言葉ではないのだろう。不満な顔を崩さず、また事態も理解はしていても…それを飲み込んで納得しろと言うには、まだまだ彼女も幼く…

 

だからこそ、暗く沈み始めた表情のルキをしっかりと見て、ソレに遊良がはっきりとした口調で応えた。

 

 

 

「大丈夫だ。必ず無事に戻ってくるから。」

「…むぅー…わかった。」

 

 

 

無論、彼女は納得などしてはいない。けれども、ここで遊良がはっきりと強い口調で『そう』伝えないと、ルキは何をしても着いて来てしまうことを知っているからこその、その言葉。

 

遊良とて、この状況で『必ず』だなんて約束出来ないはずなのに…それでも、単なる上辺だけの言葉ではなく、心から『無事に戻ってくる』ことを貫き通すと、言葉にして届けたのだ。

 

そんな遊良の気持ちを、彼女が理解出来ないはずがないだろう。…だからこそ、ルキもここは我慢することを選んだのか。

 

 

 

「…よし、じゃあ僕達も行こう天城君。」

「はい。」

 

 

 

そうして遊良と蒼人が、敵の居ない内に家を飛び出して。

 

遊良に届いた『その場所』が東地区の外れに位置していることから考えても、ここから向かうとしてもそう遠くはないだろう。

 

しかし、移動手段が自身の足しかないことと、何時どこで敵が現れるか分からない状況を考えると…それでもかなりの時間はかかってしまうことは必至。

 

しかし、行くと決めたからには行くしかない。少しでも、『何か』を掴まなければいけないのだから。…そうして、目的の場所へと向かうために遊良と蒼人は駆け出し始めた。

 

 

 

「…ホント、天城君には敵わないな。」

「え、泉先輩、何か言いましたか?」

「ううん、何でも無いよ。気をつけて行こう、罠かもしれないんだ。」

「…はい。」

 

 

 

静かにそう呟いた蒼人の言葉は、遊良には聞こえず。

 

その意味もその感情も、遊良には知る由も無いが…それでも、今はただひたすらに走るしかなく。

 

誰が、何のために自分と鷹矢にこんなメッセージを送ったのかを遊良はわからず。

 

また、これが罠なのか、それとも意味のあるものなのかもわからないままではあったものの…しかし、自分達のこの行動で、少しでも事態の改善が図れる可能性があるのならば一刻も早くそうしなければと、そう言わんばかりに彼らはその足を速めていくしかないのだろう。

 

敵の居ない場所は一目散に駆けて、最小限の敵は速攻で倒して、時間を食いそうであれば、捕まらないように回り込んで避けて。

 

…そして、足早に駆けぬけながら彼らは向かう。

 

鷹矢に届いたモノとは異なる場所が示されていた、『その場所』を目指して…

 

 

 

 

 

―『街外れの、古びたスタジアム』、へと。

 

 

 

 

 

 

 

―…

 

 

 

 

 

街の中心部に近づくにつれて、悲鳴の数よりも敵の呻きの方が大きくなってきている決闘市。

 

この『異変』が起こった時に、街の中心部に居た住人は全員既に『闇』に飲み込まれたのだろうか。夥しい数の『雑兵』が、徘徊するように中心街を蠢いてはいても…まるで持ち場を離れることを許されないかのように決まった範囲をはみ出さず。

 

また、何とか無事な人間達は、決して敵に近づかないようにして街の外へと逃げようとしているか、それともどこかに隠れるか…または、抵抗を続けている人間に守られながら、避難所へと駆け込むかしか出来ていなかった。

 

しかし、その抵抗も何時まで持つか。

 

増え続ける敵に圧倒され、『雑兵』の侵略を防いでいれば『駒』が現れるのだ。誰もが不安な気持ちに押し潰されそうになり、決して納まらぬ悲鳴が街の絶望となりて降りかかっていて…

 

 

 

「邪魔だ!蹴散らせ、【恐牙狼 ダイヤウルフ】!」

 

 

 

―!

 

 

 

―そんな悲鳴と被害の音に紛れることなく…決闘市の高速道路の一本を、猛スピードで駆け抜けていくバイクがあった。

 

紛れもない、先ほど出発した鷹矢が操るバイク。

 

デュエルディスクを着けたまま運転をしているらしい鷹矢のそれは、猛スピードの中だというのに、まるでそのままデュエルでも始めてしまいそうな装いにも見えるが…

 

高速道路に入り込んだらしい、中心部に近づくに連れてどんどん増えていく『雑兵』など一人ずつ相手などしていられない鷹矢は、実体化したモンスターに命じてソレを吹き飛ばしていて。

 

 

…こんな状況下で、敵が溢れる決闘市の中心部を目指している人間など他には居らず。

 

 

【決闘祭】の初日に、盛大にやらかした鷹矢を迎えに来た黒塗りの高級車で通った道ゆえか…迷うことなく鷹矢はセントラル・スタジアムを目指していた。

 

 

 

「…よし、確か、ここを降りれば…」

 

 

 

そうして、バイクに乗ったまま敵を蹴散らし、目的のインターへと辿りついた鷹矢。

 

目的のセントラル・スタジアムまで、一本道の直通道路になっているからか、既にソコは鷹矢の目でも見えているらしく…夥しい数の敵がいようとも一気に駆け抜けれそうな、そんな距離。

 

だからこそ、鷹矢はアクセルを吹かして、敵が自分に気付いて襲ってくる前に一気にかけぬけ始める。

 

予想通り、あちこちから敵が出現しては鷹矢を追いかけようとしてくるものの…加速の波に乗っているバイクに、自らの足で蠢く『雑兵』が追いつけるはずも無く。

 

…そのまま運良く囲まれることは無く、鷹矢は目的地であるセントラル・スタジアムの外側まで駆け抜けてきた。

 

 

―そしてすぐさまバイクを止め降りて、つい最近まで通い詰めだったスタジアムの入り口へと向かって。

 

 

じっとしていれば、敵はどこからでも湧いてくるのだ…ここまで来て、やられるわけには行かないのだと、そう言わんばかりに彼は走って。

 

 

 

「む…やはり敵が居ないわけがないか。しかし…やはりな…」

 

 

 

しかし、スタジアム入り口へと繋がる、段数の多い階段を駆け上がった鷹矢は…勢い良く登っていたその急にその足を止め、階段の影にその身を隠して『見つからない』ようにして隠れてしまった。

 

…そう、彼が見たものは、紛れもない『敵』の姿。

 

それぞれ東西南北に複数個ある入り口を、まるで守っているかのごとく。蠢くことなくその場に立って、身じろぎ一つしないその『敵』の姿はまるで門番のようにも見えるだろう。

 

 

―それは、街中に溢れている『雑兵』達ではない。

 

 

 

「…【決闘祭】で見た奴もいるな。名前は思い出せんが。…しかし、どうするか…」

 

 

 

誰も彼も、決闘市ではそれなりに名の通った実力者達。

 

そんな人間達が、まるで侵入者をセントラル・スタジアムに入れないようにして立っているのだ。これでこの場所が怪しくないと言われても嘘にしか聞こえず…

 

また、鷹矢がこの場所へとたどり着いたときから感じている『モノ』も、セントラル・スタジアムで『当たり』だと、確かに彼に伝えていた。

 

 

無論、鷹矢が彼らの名前を覚えているわけがないが…見つからないように階段の影に隠れて、どうやって入り込もうかと鷹矢は画策している様子。そう、どこか一つの入り口から進入しようと走った所で、見つかって戦うしかなく…どうせその間に『雑兵』やら他の門番やらに囲まれてしまうことだろうから。

 

時間を食うだけでなく、厄介な相手にまで一斉に襲われれば、とてもじゃないが手が回らなくなりそうだと、そう理解して。

 

 

 

「…仕方あるまい。時間が無いのだ、一気に行くしか…」

 

 

 

しかし、彼とてこんな所に何時までも隠れているわけには行かないことなど理解しているだろう。

 

先ほど『雑兵』の中を無理やり突っ走ってきた所為で、敵がわらわらとセントラル・スタジアムへと向かってきているのだ、一刻の猶予もないからこそ、全力で一転突破をして中へと行くしかないのだと、そう覚悟を決めた…

 

 

―そんな時だった。

 

 

 

「待て、天宮寺。」

「…む?」

 

 

 

不意に聞こえた自身を止める声によって、今まさに出しかけたその足を無理やりに止めた鷹矢。

 

とっさに鷹矢が振り向くものの、その様子はまるで焦ってはおらず。その声を聞いた瞬間に、声をかけてきた人物の声と顔が、鷹矢の脳裏には映っていて。

 

そう、まともな人間の声など聞こえないこの決闘市の中心部で、この重々しく屈強な声の主を、鷹矢が聞き間違えることなどないだろう。人の顔と名前を覚える必要性を感じていない鷹矢が、自らの意思で『覚えた』人物なのだから。

 

 

 

「十文字か。…そういえば合流しろと言われていたな。」

「あぁ。」

 

 

 

…ウエスト校 3年、十文字 哲

 

 

 

昨年の【決闘祭】の優勝者、その実力と功績は言うに及ばず。この広い決闘市において、彼と言う決闘者を知らぬ人間など居ないことだろう。

 

そんな彼は、この混乱の中でも圧倒的強者の雰囲気を崩さず。寄せ来る敵の全てをなぎ払い、この『異変』と戦っていたのか。

 

傷一つなく、疲れてもおらず。

 

その鍛え抜かれた体と、何事にも動じない心を持った姿一つ見ただけで、彼がいかに場慣れしているのかを誰もが理解することだろう。

 

彼の重厚なるその佇まいは、それだけで周囲の人間に心強さを与えるのだ。無論、それは鷹矢とて同じことであって。

 

 

 

「スタジアムに入りたいのだ。」

「わかっている。だから囮になりに来た。お前は進め。」

「うむ。」

 

 

 

こんな場面におかれていると言うのに、彼らには余計な言葉を交わす必要も無く。最低限のやり取りだけで、何をするのかを即座に決定して。

 

自身が街で戦って得た情報と状況。そしてセントラル・スタジアムを守るようにして立っている門番達。ソレから導き出された結論を、哲も説明されずとも理解した様子を見せ…

 

後は、蒼人から来た連絡の通り、『何か』を感じ取っている天宮寺 鷹矢を、セントラル・スタジアムに入れてやるだけだと、そう言わんばかりの雰囲気をしていた。

 

 

 

「任せたぞ、十文字。」

「あぁ。」

 

 

 

哲の言った『囮』と言う言葉にも、迷うことなくソレを容認する鷹矢。

 

そう、哲の心配など、鷹矢は初めから感じもしていないのだ。

 

それは、数回顔を合わせた程度ゆえの、浅い仲から来る薄情な『切捨て』とか…自ら進んで囮になるという哲を『使い捨て』の道具として見ているとか…そんな陳腐で程度の低い弱者のような理由などでは断じてない。

 

 

…【決闘祭】で実際に戦って感じた、哲の『強さ』。

 

 

ソレを嫌と言うほど知っている鷹矢なのだからこそ、哲に心配などする必要すら無いというコトを、彼は知っている。

 

先の試合では無理やりに『壁』を超えた勢いで、何とかギリギリで鷹矢が勝てはしたものの…哲が鷹矢に『喝』を与える目的を持たず、何の躊躇もなく彼が向かってきてれば…鷹矢には、勝てる要素は皆無だったのだから。

 

 

―決闘市に轟く、十文字 哲の異名。

 

 

それを、こんな『闇』に飲まれた人間が打ち破れるはずがない。

 

 

 

「よし、行くぞ。」

「うむ!」

 

 

 

まずは哲が飛び出して、敵の注意を引く。

 

案の定、スタジアムに近づいてきた哲を発見して、即座に近くにいた『駒』が数人、哲へと向かっていって。

 

それを引き付けるようにして遠くへと走っていく哲へと、さらに他の場所の門番をしている『駒』もそれに引き寄せられていくその光景は…まさに『囮』そのものであって、やれと言われても誰にでも出来ることではないだろう。

 

 

―絶対防御、『鋼鉄』のデュエリスト…そう呼ばれる彼以外には、いくら鷹矢とて心から任せることなど出来ない策。

 

 

―!

 

 

そうして、やや時間を置いて、鷹矢が一番近い入り口へと突入して…その直後に戦いの音が聞こえてくるものの、何の心配もなく鷹矢は突き進むのみ。

 

 

 

 

 

 

「…やはり、スタジアムに入った途端に、【No.】がまた反応したぞ。」

 

 

そんな、扉を開けてその内部へと入りこんだ鷹矢が先ず感じたのは、自身のExデッキに仕舞いこんである、『闇』を喰い創造された【No.】の鼓動であって。

 

これではまるで、飢えから来る衝動の如く、自身の『餌』に喰らいつかんと振るえているようではないか。街に溢れる『雑兵』達が持つ、少量の『闇』になど興味が無いようで、…もっと大きなモノがこの場所あるのだと、確かに持ち主である鷹矢に伝えているよう。

 

だからこそ、鷹矢は走る。その鼓動が更に大きくなる、その場所を目指して。

 

 

 

…そう、もう何度そこに行ったことだろう。

 

 

 

つい最近まで、戦いに明け暮れていたその場所。自身の相棒と最高の勝負をした、『約束』の舞台となった場所。

 

重い扉を押し、二重になっている故に中との圧によって内部の嫌な空気が外へと漏れ出してくるその匂いは…紛れもない、悪意が漏れ出しているに違いなく。

 

 

 

 

 

―そこには…

 

 

 

 

 

「…こ、これは…」

 

 

 

その光景を見て、思わず息を呑んだ鷹矢。

 

それは、この世界的に見ても、類を見ない程に超巨大に建設されしセントラル・スタジアムの…収容人数10万人超のそのスタジアム内部に…

 

 

―圧迫しそうなほどに膨れ上がった、『黒い宝石』のような球体が一つ。

 

 

無論、観客席に他に人間など居らず。『黒い宝石』が響かせているらしい、金属を擦るような耳に響く嫌な音と…その真下辺りから、下品な笑い声のようなものが二つ、聞こえるだけ…

 

 

 

「む!?そこに誰か…」

 

 

 

だからこそ、鷹矢はソレらに向かって再度駆けて。

 

観客席を駆け下りて、かなりの高さがあるというのに手すりやフェンスを飛び越えて…

 

全身のバネを上手く使って、着地の衝撃を地面へと逃がしながらそのまま一階部分へと飛び降りた彼の行動は、高い場所から飛び降りたというのに、全くダメージを感じていないかのよう。

 

そのまま、中央に設置されているデュエルスタジアムへと向かってその足を向かわせるのみ。

 

…逃げる暇など与えない、ここまで来たからには一気に叩くと、そう言わんばかりの気概を持って。

 

 

―そして

 

 

 

「貴様らが黒幕か!ついに見つけたぞ!」

「て、天宮寺 鷹矢!?お前、一体どうしてここに!?」

「おい大治郎!東地区はお前の担当じゃねーか!何やってんだよ!」

「し、知らねーよ!大体、表には『駒』だって居るってのに…」

 

 

 

紫魔 亜蓮と、紫魔 大治郎。

 

ノース校に所属する3年生である彼らは、突如この場に現れた鷹矢を見て、信じられないモノを見たような顔をして驚愕を顕にしていた。

 

そう、街の中心部に来るには、『壁』の如く蔓延る夥しい数の『雑兵』達を相手にしなければならないはずだし、スタジアムの入り口には決闘市における手練れを『駒』として配置していたのだ。

 

いくら広大な決闘市の全てを把握しきれないとはいえ、まさか彼らもこんな場所をピンポイントに突き止めて乗り込んでくる奴など存在しないだろうと思っていたのだろう。

 

―そんなことなどお構い無しに、鷹矢は二人へと向かって叫ぶ。

 

 

 

「む?俺の名前を知ってるんだと?…どこかで見た顔だな。誰だ貴様らは!」

「誰だって…【決闘祭】で会ってるだろーが。」

「知らん!…だがまぁいい。これで貴様らが『闇』を使って『異変』を起こしていたのは明らかになったのだ!大人しくしてもらうぞ!」

「…はぁ?」

「…ぷっ!ぷぷっ、お、大人しくだってぇ?お、お前この状況が分かってそんなこと言ってるのかよ?」

 

 

 

しかし、単身乗り込んできた鷹矢に対して、驚愕から一転、余裕の態度を見せ始めた亜蓮と大治郎。

 

確かにこの場所へと乗り込んでこられたことは驚きでも、ソレは彼らにとっては痛手でも何でもないと言うのだろうか。

 

そう、このスタジアム内に充満しているこの『闇』の濃度は、街中に溢れているソレとは比べ物にならない比率で漂っていて…また、それに飲み込まれぬ亜蓮と大治郎には、この場所自体が、彼らにとって『とてつもなく安全な場所』だというコトを知っているのだ。

 

彼ら2人が持っている、『黒い宝石』へと掲げているその『黒い球』…『闇』の塊であるソレは、『闇』に飲まれた者を操ったり、また正常な人間へと『闇』を取り付かせることの出来る『闇の欠片』。

 

 

 

「ここまで来たことは褒めてやるよ。でもキャラがゲームマスターの部屋に来ちゃ駄目だろ?」

「ククッ、さしずめお前はバグってとこだ。だからお前も飲み込んで、『駒』として使ってやる。」

「…む?」

 

 

そうして、手前にいた亜蓮が、『黒い球』を頭上から鷹矢へと向けて。

 

この中枢となっている場所へと無作法に突っ込んできた、この礼儀知らずを飲み込もうとニヤニヤした顔を崩さず…スタジアム内部に漂っている純度の高い『闇』を、鷹矢へと憑かせようとしてるのか。

 

そして、鷹矢の足元に漂い来る『闇』が、彼に侵食しようとして昇ってきて…

 

今まさに、有無を言わせぬ深遠の『闇』へと彼を落とそうとした…

 

 

 

 

 

―その時だった。

 

 

 

 

 

「いい加減うざったい…喰え、【No.】!」

 

 

 

―!

 

 

突然鷹矢の周囲に起こった突風によって、彼を飲み込もうとしていた『闇』が四散して消え…

 

そう、瞬間的に鷹矢がディスクから取り出した、創造されし【No.】が、鷹矢に昇ってきていた『闇』を蹴散らしたのだ。

 

それは、この溢れる『闇』のあまりの純度に、飢えた獣が歓喜の咆哮を放ったようにも見え、スタジアム内部に漂っている闇が、少しずつ鷹矢の持っている【No.】に吸い込まれ始めているではないか。

 

 

 

「なっ!?なんで『闇』が消え…天宮寺!お前何したんだ!?」

「そ、そういえばコイツ!【決闘祭】でも『闇』で何かしてたんだ!で、でもあんな少量の『闇』しか持ってなかったお前が、何でそれより大きい俺たちに歯向かえるんだよ!?」

 

 

 

 

その予想外の出来事に、流石に驚きを禁じえない様子を見せ始める亜蓮と大治郎。

 

彼らとて、鷹矢が【決闘祭】の決勝において『闇』を使って『何か』をしたことは知ってはいたが…所詮、鷹矢が集めた『闇』など、彼らからしたらごく少量に過ぎず。

 

だからこそ、彼らの『黒幕』もそんなコトなど気にも留めずに計画を進めていたわけだというのに。

 

まさか、そんな男がこんな予想外のコトをしでかしてくれるだなんて、と。

 

 

 

「ふん、そんなことなど知らん!それより…コイツは腹が減っているらしいからな、そのデカイ『闇』を食わせろと言って聞かんのだ。だから餌になってもらおうか。」

「はぁぁぁあ!?テ、テメェ、自分が何言ってんのかわかってんのか!?」

「そ、そんなこと…やらせるわけねぇだろうが!」

 

 

 

その鷹矢の、あまりにも横暴かつ凶暴な『歯向かい』。

 

鉄仮面を崩さないその表情は、相手をしている者からすればかなりの圧力を感じるコトに違いないだろう。まさに大胆不敵、その堂々たる物言いに、亜蓮と大治郎が思わず鷹矢への警戒心が突如として大きくなった様子を見せていて。

 

鷹矢を飲み込めないことと、彼の持つ【No.】の危険性を、今更になって理解したのか。

 

頭上に掲げたその手と『黒い球』は降ろさず、しかし雰囲気だけは焦ったモノを孕ませて…

 

 

 

「け、けどよ…どうせデュエルで負ければお前も『闇』に飲み込まれるんだ…」

「そうだぜ、こんな大事な場所には、最も良い『駒』を配置するもんだろうが…」

 

 

 

それでも、彼らは鷹矢を排除できることに疑いを持たず。

 

手に持つ『黒い球』と、その頭上にある巨大な『黒い宝石』に念を込め…幾重にも張った防衛網、なんとしてでも己の身と『黒い宝石』を守るのだと、そう言わんばかりに諦めの悪い声でそう言って、とある『駒』を呼ぶのか。

 

物言わぬ従順なる『下僕』、それがいくら自分達の手に負えないデュエリストでも、それを超える『存在』に飲み込んでもらった、守らせる『駒』を。

 

それを視界に入れた鷹矢が、その『男』を見て珍しく声を大きく漏らし…

 

 

そうして、現れるは…

 

 

 

「む!?き、貴様は!」

 

 

 

 

 

―竜胆 大蛇

 

 

 

無残にも心を無理やり落とされた彼が…虚ろな目で、鷹矢へと向かってきていた。

 

 

 

 

 

―…

 

 

 

 

 

…決闘市の東地区の郊外に位置する、街外れにある古びたスタジアム。

 

セントラル・スタジアムが建設される前までは、このスタジアムが決闘市におけるデュエルの最大拠点として運営されていて…

 

かつて数多くのデュエリスト達がこのスタジアムで激闘を繰り広げていたことから、決闘市に長年住んでいる者達の中には、ここでの思い出が数多くある者も多いだろう。

 

そんな、栄枯盛衰をその姿で現しているこのスタジアムも、長年激闘をその内に留めたことからか老朽化が進み、立ち入り禁止となって既に行く年月…取り壊すには惜しいとの声もあり、今の若い世代が生まれるよりも前に閉鎖だけしていて。

 

 

 

「こっちだ天城君!ここに隠れて!」

「は、はい!」

 

 

―!

 

 

そんな、かつての夢の跡へと、自らに届いたメッセージを信じて、敵の間を潜り抜けてきた遊良と蒼人が…スタジアムの敷地内に入った途端、急に数が増えた敵から、物陰に身を隠して敵を見ていた。

 

まだスタジアム内へ入るには敵の多い外側を駆けなければならないし、スタジアムの正面入り口には門番のようにして立っている敵もいることから、戦いは避けられず…その怪しさとメッセージの信憑性が上昇し、ソレに応じて遊良の心臓の鼓動も大きくなっていく。

 

 

 

「はぁ…はぁ…や、やっぱりここ、怪しいですね。街の外側だっていうのに敵が多いし、それに、中に入れないようにして敵も立って…」

「うん、それに、スタジアムの正面入り口に立っているあの人を見て。…サウス校の獅子原さんじゃない?」

「ほ、本当だ!なんであの人が!?」

 

 

 

その人物の姿を視界に入れて、驚きの声を漏らした遊良。

 

蒼人の言う通り、遊良も【決闘祭】で戦ったからこそ、その姿を見間違えることは無いだろう。視線の先、正面入り口に門番の如く立っていたのはサウス校3年、獅子原 エリに間違いはなく。

 

元プロ『烈火』の孫娘、昨年度の【決闘祭】の第4位…今年は惜しくも2回戦で遊良に敗北して姿を消していたが、それでも遊良にとって強敵だったことは事実であって。

 

試合の時、どこか焦った様子を見せていた彼女。もしも彼女に焦りが無く、攻め急がずに遊良の出方を冷静に見極められていたら…その勝敗はまさに、やってみなければわからなかっただろう。

 

そんな、サウス校でもトップの実力を持っている獅子原 エリが、まさか敵として現れるだなんて。彼女の実力ならば、街に溢れる『雑兵』程度に敗北を喫したとは考え辛く…一体いつ彼女が『闇』に囚われたのかなど知らない遊良からすれば、その驚きも当然とも言え…

 

 

 

「…仕方ない、ここは僕が引きつけるから、その間に行くんだ天城君。」

「え!?で、でも泉先輩一人じゃ!」

「ここに何かがあるのは確実だ。じゃなきゃ、こんな場所にこんな守りはしないよ。だからこそ、君一人でも『何か』を知らなきゃいけない。無駄足で二人ともやられるわけにはいかないんだ。」

 

 

 

それ以上に驚きを禁じえない言葉が、蒼人の口から飛び出して。

 

確かに蒼人の言う通り、このままここで立ち止まって隠れたままでは、二人とも囲まれて逃げるのも困難になることは必至。

 

そうこうしている内に決闘市は壊滅してしまうだろうし、下手をすれば自分達までやられてしまうことは容易に想像できるのだ。

 

このスタジアムが街の外側で、ただでさえ人が立ち入ることは無いと言うのに…敵の数の多さと、そして中に入れないようにして入り口を守っている敵までいるという状況が、怪しくないと言われても嘘としか思えず。

 

だからこそ、遊良とて進まなければいけないことは理解しているし、その役目はこういった混乱に慣れている蒼人の方が向いているのでは無いかと言った表情をしていて。

 

 

 

「だ、だったら先へ行くのは泉先輩の方が適任じゃ…」

「…約束してただろう?高天ヶ原さんに、無事に帰るって。だったら、君は何が何でも無事に帰ろうとしないと。」

「…泉…先輩…」

「行くんだ。慣れているからこそ、僕が引きつける役をする方がいい。…それに、僕だってやられるつもりなんて無いから、君は君のやるべきことを。僕もソレをするだけさ。」

 

 

 

それでも、どこまでも蒼人の決意は固く。

 

有無を言わせないほどの決意によって彼の口から出てくる言葉には、優しさがあっても反論を許さないほどに強く…

 

並大抵の『強さ』では出来ない、心身ともに相当なモノを持っている彼だからこそ、何の躊躇もなく策を打てるのだ。

 

蒼人は真っ直ぐな目で、悪意に塗れていた時からは考えられないほどに透き通ったその目で…未だ不安な表情をしている後輩をしっかりと見据えて…

 

 

 

「…だから、頼んだよ、『遊良』君。」

「…ッ!は、はい!」

 

 

 

その、たった一言によって、遊良の迷いを確かに吹き飛ばした蒼人。

 

そう、唐突ではあるが、強い意思ではっきりと自分の名を呼ばれたことで…その決意を無駄にするわけにはいかないことを、自分がこの人に『認めて』もらっているということを、心の底から遊良も理解したのだ。

 

この状況下では皆、自分が第一に助かろうとして逃げ回っていると言うのに…

 

赤の他人のためにここまで言い切れる蒼人の『強さ』を、裏切るわけにはいかないのだ、と。

 

並大抵の精神ではない。ここまではっきりと言い切れる芯の強さ…本当に、『強い人』なのだということを。

 

 

 

「…はい、『蒼人』先輩も…ご無事で…」

「うん。…じゃあ、行こう!」

 

 

 

―!

 

 

 

だからこそ、敵をひきつけるために飛び出した蒼人から、しかと目を離さない遊良。

 

認められているからこそ…その決意に応えるために、幼馴染や師以外に、始めて遊良も『他人』に心を開いたのだろうか。

 

…きっと、この正面入り口だけではなく、他の入り口にだって門番をしている『駒』は存在するはず。また、それが分からぬ蒼人では無いだろうし、それを想像していても自ら囮を買って出たのだ。

 

―その蒼人の思いを、無駄にするわけにはいかず。

 

蒼人が真っ先に正面入り口に駆け、そのまま『駒』となっていた獅子原 エリを引き寄せ…他の『雑兵』達と共に蒼人を追って、一瞬スタジアムの正面入り口が手薄になるこの瞬間…

 

即座に飛び出した遊良は、手薄になった正面入り口目掛けて駆け抜け…そのまま飛び込むようにしてスタジアム内部に入り込んだ。

 

 

―!

 

 

その直後に戦闘を知らせる衝撃音が外から聞こえてきて、蒼人が戦いを始めたのだということがソレで分かったものの…だからと言って、助けに行くわけには行かず。

 

…ここまで連れてきてもらって、『何もわかりませんでした』では話しにならない。

 

ならば、少しでも早く、『何か』を掴まなければと、そう言わんばかりに逸る気持ちを抑えて入り口すぐにある正面エントランスを素早く見回し始めた遊良。

 

幸い、スタジアム内部に侵入者が入ることは想定していなかったのか、外のような敵の姿は中には無い様子。

 

そうして、更なる行動を起こそうとした遊良が正面エントランスから、メインスタジアムへと向かおうとした…

 

 

 

―その時だった。

 

 

 

「…あら、ここに侵入してくる者がいるなんて、思いもしませんでしたわ。」

「…ッ!?」

 

 

 

エントランスの奥、メインスタジアムの客席へと繋がる階段の上から『その人物』の声が、遊良の耳に確かに届いて。

 

間違えるわけがない。代表選抜戦の時も、決闘祭の時も…どこか高飛車を装うその声は、いつだって自分以外に向けた『敵意』を放って、その口から飛び出ていたのだから。

 

 

 

―紫魔 ヒイラギ

 

 

 

「ホホホ、下民風情が一体どういったご用件かしら。」

「紫魔…先輩…」

 

 

 

遊良達が辿りついていた、最も怪しい人物の一人が…

 

 

 

―そこには、居た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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