ファイアーエムブレムif ~Darkside~【本編完結】   作:コッコ

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王女カムイ

~北の城塞~

 

もう廃墟とも呼べる北に位置する城塞に、ラクスは少女を抱えてやって来た。

ラクスは少女を抱えて城塞内に入ると、そこは埃まみれでとても人が住めそうにない場所だ。

 

「こんな所に住まわせるのか・・・」

 

ラクスはそう呟きながら手頃でましな部屋を探す。

暫く歩き回った後、ようやく丁度良い部屋を見つけてカムイは一時的に床に置いて、ベットを整えてから少女を寝かせた。

その後にもう使えない木材の家具を使って暖炉を使った。

 

「少し汚れているが・・・まぁ、ましだろ。雪も降るようなこんな寒い季節じゃな」

 

ラクスは椅子に座って窓の外を眺めていると、雪が降ってきた。

 

「・・・眠いな」

 

ラクスは目が少しずつ重くなるのを感じ、遂に眠ってしまった。

 

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ラクスは眠っていると、揺すられる感覚を感じ目が覚めると、そこには気を失っていた少女がいた。

 

「ん?目が覚めたのか。具合はどうだ」

 

「・・・あの、此所は何処ですか?」

 

「此所は北の城塞だ・・・それより私が怖くないのか?」

 

「・・・お兄ちゃん。カムイの知り合い?」

 

「ッ!?」

 

少女カムイはラクスの前で信じられない事を口にした。

目の前で、自分の父を殺した相手の顔を忘れている。

ラクスの考えられる事は一つしかなかった。

 

「(記憶喪失・・・まさか父を殺されたショックで)」

 

「お兄ちゃん?」

 

「あ、あぁ・・・知り合いみたいな所です。何たって貴方は暗夜王国の王女なのですから」

 

「王女?」

 

カムイは首を傾げながらラクスを見る。

 

「そうです。貴方様は訳あってこの城塞で暮らす事になりました。今はボロボロですが、きっと住み心地の良い場所にして見せますから・・・」

 

ラクスはそう言うと、カムイの頭を撫でた。

カムイは頭を撫でられて嬉しそうに笑う姿に、ラクスは更に罪悪感に苛まれた。

 

「どうしたの?」

 

「いえ、何でもありません・・・それよりお腹空いてませんか?何か作りますよ」

 

「うん!」

 

ラクスはカムイを連れて食堂に行きカムイを座らせると、キッチンに向かうがまともな食材が一つもない。

一様、備蓄はされているが何れも質が悪い。

 

「・・・何とかするか」

 

ラクスは食材を手に取ると、調理を開始した。

包丁を使ってリズムよく切ると、鍋を使って調味料を加えた後で食材を煮込む。

更にラクスは包丁で食材を切っていると、前でカムイが見ていた。

 

「何してるの?」

 

「料理をしているんです」

 

「料理?」

 

「はい、料理です」

 

ラクスはそう言うと、フライパンで炒めていく。

カムイはラクスの料理を静かに見ていると、ラクスは炒めおえ、事前に洗っておいた皿に盛り付けていく。

カムイはそれをキラキラ、と目を光らせてお腹を鳴らす。

 

「はい、野菜炒めができましたよ。それとコーンスープも入れますから暫く待っていてくださいね」

 

ラクスはそう言うと、鍋を開けてコーンスープを器に入れて運ぶと、カムイが野菜炒めを食べていた、それも素手で。

 

「カムイ様」

 

「はッ!ご、ごめんなさい・・・」

 

「もう、食べるのは良いですが素手はいけません。はいフォークです」

 

ラクスはそう言うと、フォークをカムイに渡した。

カムイはフォークを興味津々に回したりして見ている。

ラクスはその光景に疑問を浮かべたが、カムイが白夜の人間である事を思い出した。

白夜はフォークやナイフ、スプーン等は使わず、箸を使って食べる。

生憎、北の城塞には箸は当然、無いのでラクスは一から使い方を教える。

 

「カムイ様。フォークはこう使うんです」

 

ラクスはカムイからフォークを受け取ると、野菜を刺して食べる。

ラクスはそれを見せてからフォークをカムイに渡すと、カムイはラクスの見せた通りにフォークを使って食べる。

 

「美味しいてすか?」

 

「はい!」

 

「それは良かった。では、スープも持ってきますね」

 

二人の楽しい夕飯はカムイは平らげて眠ってしまった。

 

「・・・ごめんな。私がお前の親を殺したばかりに」

 

ラクスはカムイの頭を撫でながらそう言うと、カムイの小さな手がラクスの手を掴む。

カムイの顔は笑っておりどんな夢を見ているのかとラクスは考えていると、いつのまにか微笑んでいた。

 

「・・・ふ、もう暫くいるか」

 

ラクスはそう微笑みカムイの側にいた。

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「ラ・・・クス・・・ラクスさん!」

 

「ッ!?は、はい!何でしょう!?」

 

「どうしましたか?貴方が声も聞こえない位に遠くを見つめているなんて・・・」

 

カムイは心配する素振りを見せると、ラクスは笑顔で答えた。

 

「少し昔を思い出していただけですよ」

 

ラクスはそう笑うとカムイは首を傾げる。 

ラクスはその動作に幼い頃も首をよく傾げて聞いてきたな、と思い出しながら微笑んだ。


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