ファイアーエムブレムif ~Darkside~【本編完結】   作:コッコ

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妖狐の山

カムイ達とラクスはイズモ公国を去ると、旅を続けた。

だが、その道中に多数の白夜の軍勢を発見したのだ。

 

「カムイ姉さん、大変だよ。この先に、白夜の軍勢が・・・!」

 

「あぁ。数千もの兵が街道を塞いでいる。このまま進めば・・・全滅は必至だろう」

 

「!まさか・・・」

 

「そうね。恐らく、先に戻ったリョウマ達が兵を配備したのだと思うわ。まぁ、私達の居場所が張れた以上、当然の措置だと思うけれど」

 

あの時、リョウマ達はカムイ達よりも早くイズモ公国を去っていた。

ラクスはこの為の早出だったのかと、舌打ちする。

 

「これでは王都までは辿り着けませんね・・・仕方ありません。一旦戻って、別の道を考えるしか・・・」

 

「・・・いいえ。此処からでも、行ける道は無い訳ではないわ」

 

「え・・・?」

 

アクアの言葉にラクスは疑問に思った。

そんな道があるのかとアクアの話に聞く。

 

「良い?この街道の西側に・・・白夜王国の者でも足を踏み入れない山が存在するの。そこなら白夜兵の手は届かない筈よ。・・・けれど、その山には狐に姿を変える種族、妖狐が棲む里があると言われているわ。もし彼らに見つかれば、生きて帰れるかは分からない」

 

「妖狐・・・」

 

ラクスはカムイを見て、決定を待った。

死ぬかもしれない戦いかもしれないが、カムイが命じるなら進むと、ラクスは考えていた。

 

「ねぇ、どうする?わざわざ危険を冒したくないのなら無理強いはしないけれど・・・時間が経てば経つ程、白夜の守りは強固になっていくわよ」

 

「・・・分かりました。その山を通りましょう。戦が長引くのだけは、何としても避けなければ。それに、私達は一刻も早く・・・」

 

「えぇ・・・貴方の言う通りね」

 

ラクスはカムイの最後の言葉を聞き取れなかった。

一刻も早く戦を終わらせたいのだろうかと、ラクスは考え気にしない事にした。

 

「(気にした所で何にもならんしな・・・)」

 

「じゃぁ、道案内は私に任せて」

 

アクアはそう言うと、歩き出す。

 

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カムイ達とラクスは山道を歩いていた。

ラクスは回りのペースに合わせる為に馬を引いて歩いており、それなりに疲労が出る。

 

「けっこう登るな・・・」

 

「だが、此所を進まなければ引き返すか、愚策だが数千の白夜兵と戦うかになる。それを避けたいなら此所を通るしかない」

 

「そうですね・・・流石に数千となれば勝つのは無理ですし、引き返すのもね・・・」

 

ラクスはマークスにそう言うと、広い場所に出た。

その場所は平地とまではいかないが、それでも平たい土地で木々も所々しかない。

 

「・・・此処は本当に山か?」

 

ラクスがそう呟くと、草むらが揺れた。

ラクスは馬の手綱から手を離してディアブロスを抜いて、構えた。

他の仲間も同じく武器を構えていると、奥から人が出てきた。

だが、尻尾や耳が生えており人とは思えなかった。

 

「・・・こいつはアクア様の言っていた妖狐か」

 

ラクスはそう言うと、妖狐はいきなり狐に変身して襲い掛かってきた。

ラクスは警戒する様にそう言った瞬間、多数の妖狐が草むらが現れた。

そして、その中に人の姿を取る妖狐がいる。

 

「・・・貴様は何者だ?」

 

「僕かい?僕はニシキ。この里の長をしてるんだ。ヨロシクね暗夜の人」

 

「・・・私達が暗夜王国側の人間だと何故、分かったの?」

 

ニシキの言葉にアクアが言うと、ニシキは笑顔で応える。

 

「着ている物と匂いで、何となく。僕、暗夜王国の人には何度もお世話になってるからね。里から出て迷子になった時も、皆優しくしてくれた・・・暗夜王国の人は大好きだなー」

 

「・・・」

 

「何だか思ったより友好的ですね出会ったら命はないようような言い方をされているみたいですけど、もしかしたら、それはただの偏見で、話せば分かって貰えるんじゃありませんか?」

 

「・・・いいえ。どうやらそれは、期待できそうにないわ」

 

アクアの言葉にカムイは疑問に抱く。

 

「ど、どうしてですか?」

 

「こいつらがかなり殺気立ってるからだよ・・・」

 

ラクスはそう言うと、明らかに歯を剥き出して唸る妖狐の群れだ。

ニシキは笑ってはいるが、目は笑っていない。

 

「えへへ、久々のお客さんだから嬉しいんだけど・・・残念だなぁ。この場所に来てしまったからには皆・・・死んでもらうしかないよ」

 

「何ですって・・・!?で、でもさっき、人間が好きだって・・・」

 

「それは、彼らが密猟にあっているからです。昔、私は密輸をしていた商人を捕縛した際にあったんです。・・・妖狐の皮が、それも大量に・・・」

 

ラクスの言葉にカムイは驚愕し、ニシキは笑顔から睨んでいる顔になっている。

 

「うん。僕は外の世界で会う人は好きなんだよ。でも、ここに来る人は危ない人が多いから信用したら毛皮を取られて殺される、ってそう言う言い伝えられてきてるんだ。そういう人が来たら、ちゃんと始末しておかないと。」

 

「ち、違います!私達はそんな事はしません!ただ此所を、通らせてほしいだけなんです!」

 

「うーん・・・信じてあげたいけど・・・僕は里の長だから、皆の事を守らないといけないんだ。大切な皆を死ない為には、余所者を簡単に信じる訳にはいかない。だから、悪いけど・・・」

 

ニシキにそう言って身構えた。

 

「待て」

 

「なに?」

 

「どうしたら信用して貰える?我々はお前達、妖狐と戦っても特はしないむろん、毛皮もいらん。此所を通るだけが目的なのにお前達を殺してまで行くなんて夢見の悪い事はしたくない・・・どうすれば通して貰える?」

 

ニシキは考える素振りを見せると、ラクスに提案する。

 

「じゃぁ、これならどうかな?」

 

ニシキは笑顔で条件を言うのだった。


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