ファイアーエムブレムif ~Darkside~【本編完結】   作:コッコ

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裏切りの魔窟~前編~

カムイ達とラクスは無事に海を渡れ、歩いていた。

現在はフウマ公国辺りを進んでおり、桜の木が生い茂げその桜の花びらが美しく乱れる道を進んでいた。

 

「ふぅ・・・無事、海を渡れましたね」

 

「お待ちしておりました!カムイ様!」

 

突然、現れた忍らしき男にカムイは応える。

 

「えっ、貴方は?」

 

「はい。私はフウマ公国の公王、コタロウと申します。貴殿方を歓迎する為、お迎えに上がりました」

 

「!フウマ公国・・・アシュラさんの言っていた国ですか・・・」

 

カムイの言葉にコタロウは疑問を浮かべる様に顔を歪めた。

 

「え?我が国が何か?」

 

「あ、いえ・・・少し聞きたい事があった物で、でも、フウマ公国は白夜王国の領内にあるのでしょう。私達暗夜軍に味方して、大丈夫なのですか?」

 

「ご心配には及びません。我が国は昔から暗夜王国と友好関係にございます。もともと、有事の際ひは貴殿方、暗夜王国にお味方するつもりでおりました」

 

コタロウの言葉にカムイは笑顔で応える。

 

「そうですか。ありがとうございます」

 

「ではさっそく、白夜王国王都へ攻め入る為の道を案内しましょう。さ、此方です」

 

コタロウはそう言うと、道案内する。

他の仲間も着いていくが、ラクスはコタロウの行動に不審に思った。

 

「(王都までの道を白夜側が放置しているのか?白夜にも忍びがいる筈、何故そんな道があるなら潰さない・・・)」

 

ラクスは歩きながら考えるのだった。

 

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コタロウの案内で人気の無い道までカムイ達とラクスは来ていた。

コタロウは笑顔で道案内を続けている。

 

「此方ですカムイ様。この街道が、白夜王国に攻め入る為に最も適した道でございます」

 

「ありがとうございます、コタロウさん」

 

「いえ、本来ならば城にお招きしてゆっくりと休んで頂きたいのですが、先を急ぐ旅との事ですので道案内のみとなり、恐縮です」

 

「そんな・・・やはりお陰でとても助かりました」

 

カムイはコタロウに礼を言うが、ラクスはコタロウに対する疑いがどうしても晴れない。

 

「(悪い事が起きなければ良いが・・・)」

 

ラクスはそう願っていると、一人のフウマの兵が現れコタロウに報告する。

 

「ほ、報告です!!コタロウ様!」

 

「!何だ、取り乱して。カムイ様の御前だぞ」

 

「す、すみません・・・至急の伝令でございまして。先程、白夜王国の忍びがフウマ公国に侵入し、森の洞窟内で戦闘が起こっているとの事です!」

 

「なに・・・!?白夜の忍だと・・・?」

 

伝令の言葉を聞いたラクスはサイゾウを思い出す。

サイゾウは白夜の忍びでは、かなりの手練れに当たるとラクスは考えた。

 

「(もしかして・・・サイゾウか?)」

 

ラクスがその答えに行き着くと、伝令の話が終わったのかフウマ兵が消えた。

 

「・・・えっと。今のは・・・」

 

「はい・・・戦争が始まってからと言う物、こうして頻繁に白夜王国の者が我が国に攻め入ってきているのです。我々は、白夜王国に攻撃した事など無いと言うのに・・・」

 

「それはもしかして、この国が暗夜王国と友好関係にあるからですか?」

 

カムイの問いにコタロウは応える。

 

「恐らく、そうでしょうね。ですが連日の襲撃により、今の我々には手配できる兵が少ないのです。・・・カムイ様。とても心苦しいのですが・・・貴方様方のお力を貸してくだされば、心強いのですが」

 

「分かりました。貴方達が私達に味方しているせいで苦しい目に遭っているのなら、暗夜軍として、それを助けるのは当然です。すぐにその洞窟に向かいましょう」

 

「ありがとうございます・・・!!」

 

コタロウは笑顔でカムイに礼を言うと、すぐに洞窟に案内する。

ラクスはコタロウの不審が気のせいである事を祈って進む。

 

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洞窟に着くと、すぐに白夜軍の掃討が始まった。

数は然程、少なくない為、すぐに決着が着いた。

 

「此方の白夜兵は全て戦闘不能にしたぞ。カムイ」

 

「私の方も、何とか片付いたわ」

 

「此方も終わったよーっ。カミラお姉ちゃんとレオンお兄ちゃんが大活躍立ったんだから!」

 

「私も白夜軍を戦闘不能にした」

 

「ありがとうございます、皆。・・・それにしても、殆ど私達だけで、片付けてしまいましたね。フウマ公国の兵はそれほどまでに足りていないのでしょうか・・・」

 

カムイの疑問の声にラクスもフウマ兵の異様な少なさに不気味に思えてきた。

 

「お父様に進言して、警備兵をつけて貰う事も考えた方が・・・」

 

「危ない、カムイ様!!」

 

「え・・・!?」

 

スズカゼがそう言うと、手裏剣で敵の攻撃を弾いた。

 

「くッ・・・!!カムイ様を狙うとは卑怯な・・・!?貴方は・・・ 

 

「!スズカゼ・・・?」

 

カムイに攻撃してきたのはサイゾウだった。

ラクスはカムイの前に出て、守る。

 

「兄さん・・・」

 

「これも宿命か・・・双子同士というのは、厄介な物だな・・・」

 

「はい・・・本当に・・・」

 

スズカゼとサイゾウは手裏剣を手に対峙し、お互い大きな威圧感を放っている。

 

「・・・退け、スズカゼ。俺はフウマ公王に用がある」

 

「いいえ・・・!そう言う訳にはいきません。私は暗夜王国の兵として、友好国の公王を守る義務があります」

 

「なに?お前、本気で言っているのか・・・?お前が敵側につこうと、俺の事を殺しに掛かろうと構わん。だが、彼奴に・・・コタロウ、従う事だけは、このサイゾウが決して許さんぞ!!」

 

サイゾウはそうスズカゼに怒鳴ると、スズカゼはいつものサイゾウでは無い事を見抜いた。

 

「どうしたんですか・・・兄さん・・・」

 

「お前は何も分かっていない!あの男・・・コタロウが父上にした仕打ちを!彼奴の卑怯なやり方を!・・・今だって、彼奴はカゲロウを人質に白夜兵に降伏を求めているんだ!お前はそんな奴に味方をするのか!!」

 

「何ですって・・・!?」

 

サイゾウの話を聞いたカムイ達も含め、スズカゼは驚くと、向こうからコタロウが現れた。

 

「おやおや、遂に敵の親玉を誘き出されたのですか。流石カムイ様の部隊。素晴らしい実力の持ち主の様だ」

 

「・・・コタロウさん。」

 

「あぁ、私の事は気にせず続けてください。其奴を殺せば、この戦は決します」

 

「そうはいかん・・・」

 

コタロウの言葉を聞いてラクスは、ディアブロスをコタロウに向けた。

 

「何の真似です?」

 

「コタロウさん。一つ聞きたい事があるのです。彼奴はカゲロウさんを人質に、白夜兵を降伏させようとしたのですか?」

 

「いえ、とんでもない、あの忍びがでたらめを言っているだけですよ。」

 

コタロウの言葉にサイゾウが怒りの声で怒鳴る。

 

「くそッ!惚けるな、卑怯者!お前だけは、この俺が殺してやる!」

 

「兄さん!落ち着いてください!」

 

「では、貴方の言う事が真実で、あの忍びが嘘をついていると言うなら、今から牢屋の中を見せてくれませんか。一つずつ、全てです。」

 

カムイのコタロウの意表を突いた言葉にコタロウは徐々に本性を現しているのか、顔を歪ませている。

 

「はぁ・・・牢の中を、ですか・・・?」

 

「もし貴方にやましい事が無いのなら・・・この申し出を受けられる筈ですよね?暗夜王国に属する者として、貴方が正しいのだと、私達に証明してください」

 

「カムイ様・・・」

 

コタロウは黙り込むと、遂に本性を現した。

 

「ふん、拾われ子の王女風情が、偉そうに・・・」

 

「え・・・?」

 

「そうだ、私は人質を使って白夜兵を脅していた・・・でも、それが何だと言うのだ?貴方が暗夜王国側の人間なら、むしろ私を褒めて頂きたいぐらいだ」

 

「貴様・・・」

 

ラクスはディアブロスを向けたまま、怒りを露にする。

コタロウは指を鳴らすと、フウマ兵が現れ取り囲んだ。

 

「お前達には死んで貰う・・・例え暗夜王族でも、私の野暮に立ちはだかる者は許さん!」

 

「・・・なら、相手をしましょう。皆さん行きますよ!」

 


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