ファイアーエムブレムif ~Darkside~【本編完結】 作:コッコ
レーラとゾフィーの騒動の後、暫く留守にしていたカムイとアクアが戻ってきた。
その中に無限渓谷へ落ちた筈のギュンターもおり、ラクスを見て睨んでくる。
「ラクスか・・・」
「・・・お久しぶりです、ギュンター殿」
ギュンターにラクスは一礼すると、ギュンターが問いてきた。
「ラクス。お前は、カムイ様を陥れようとしたか?」
「・・・いいえ。むしろその逆でした。ガンズを加えた時点でカムイ様の危険を予期していましたが、守りきれませんでした」
「何故、言わなかった?」
「あの時はカムイ様の初任務。余計な負担を作る訳にはいかない。それに私は立場上、監視役みたいな物で下手に出れなかった」
ラクスの応えにギュンターは納得したと言う顔になった。
「成る程な。確かにお前の立場は元はガロン様の腹心の騎士。立場上、逆らう事は許されない、と言う事だろ?」
「はい。今はガロン様の手を離れているから此所まで行動しましたが、また一つ厄介な案件が来ました」
ラクスがそう言うと、一つの文をギュンターに見せた。
その内容は、白夜王国へ進攻せよと書いてあった。
「これは・・・」
「内容は書いてある通り、白夜王国に進攻する命をカムイ様は受けています。進攻の軍資金を珍しくマクベスが用意して準備が整い次第、進攻を開始する見たいです」
「・・・」
ギュンターは何とも言えないと、言う様な顔になりラクスを見る。
「王命である以上は従うしかない。カムイ様の為にも・・・」
ラクスはそう言うと、ギュンターから離れていく。
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暗夜海の港、カムイ達とラジオは白夜王国に向けての進攻準備に取り掛かっていた。
ラクスは船の上で物資とマクベスから受け取った軍資金の確認をしたりしてふいに、港の方を見ると、マークスが合流していた。
「・・・これで兄妹達が揃ったな」
ラクスはそう言うと、仕事に戻り作業の最終点検をし始める。
帆も以上がなく、船を動かす兵士にも影響はないと判断すると、カムイの元に向かっていく。
その後ろ姿を見る者に気付かずにだ。
「カムイ様。出航の用意が整いました」
「ん?お前は誰だ?」
ラクスを見たマークスは、ラクスとは気付かず他人だと思っている。
ラクスは無理も無いとマークスに名乗った。
「私はラクスです。マークス様お久しぶりです」
「なに!?・・・いや、失礼した。私は初めてお前の顔を見たので気付かなかった」
「いえ、お気になさらず・・・それよりもカムイ様。船は何時でも出航できるので、出航の際はお声をお掛けください」
「はい。ありがとうございます、ラクスさん」
ラクスは一礼すると、自身の持ち場へと戻っていく。
暫くして、カムイ達も乗り込み船が出航した。
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船が波に揺られる中、ラクスは甲板で海を見ていた。
何処までも広がる海に、ラクスは黙って見ている。
「珍しいわね。貴方が仕事をしていないなんて」
「ベルカか。粗方、仕事が終わってな。海を見て暇を潰そうと思って見ていた」
「そう」
ベルカはそう言うと、ラクスの隣に立った。
ラクスは首を傾げてベルカを見ると、ラクスの肩に持たれた。
「・・・暫くこのままでいて良い?」
「・・・あぁ」
ラクスは少し照れ臭そうに頬を指で掻きながら了承すると、二人に穏やかな時間が流れる。
その姿をこっそりと見ている野次馬はいる。
「結婚していたとは本当だったのか・・・」
「ちょっと、マークスお兄ちゃん。張れるから、もう少し隠れて・・・!」
「あらあら、ベルカがあんなに大胆になるなんてね・・・」
「私も結婚したいです・・・」
「え、カムイ姉さん・・・!?」
後ろから隠れて見るカムイ達にラクスは気付いているが、ここでツッコムとベルカとの時間が無くなると思い黙っている。
「(全く何やっているんだか・・・)」
ラクスは呆れていると、大きな爆発が起きた。
「何事だ!?」
「ご報告します!賊が船を襲撃、船にある軍資金を略奪しております!」
「・・・辺りに船が無いと言う事はこの船に潜入していた?だとすると、私が気付かない様な賊だとは厄介な相手だな」
ラクスは軽く舌打ちすると、ディアブロスを引き抜き兵士に命じる。
「襲撃している賊を撃破せよ!それと、賊にしては連繋が取れている事から賊の将が兵士に紛れている可能性もある。炙り出して見つけろ!」
「は!」
ラクスの指示に兵士は聞くと、すぐに行動を開始する。
その後にカムイ達がやって来た。
「ラクスさん!」
「カムイ様。ご無事でしたか」
「ラクスさん。賊の将は恐らく」
「やはり、紛れている、かと」
カムイの考えを先に言うと、カムイは頷く。
「紛れているのは分かりますが、問題はここから。その将は何処にいるのかです・・・」
「ふむ、やはり兵士一人々を尋問するしかないか・・・」
「やむおえないかと・・・」
マークスの言葉にラクスが応えると、カムイは指示を出した。
「ここは皆で分担して将を探しましょう。ラクスさんとマークス兄さん達は前を、私とカミラ姉さんとレオンさんは後ろをお願いします!」
全員頷くと、すぐに持ち場に向かっていく。
ラクスも向かおうとすると、ベルカに呼び止められた。
「ラクス」
「何だ?」
「・・・気を付けて」
「あぁ・・・」
ラクスはベルカにそう笑いかけると、マークスと共に船の前へ向かう。
マークスと共にラクスは走っていると、数人の賊が攻撃してきた。
「邪魔だ」
「ふん!」
ラクスとマークスの攻撃は凄まじく、向かってくる賊を次々と倒していく。
やっと、船の前まで来ると、さっそく兵士を尋問する。
「そこのお前。お前を今から尋問するから動くなよ」
「待って、イタタタッ!?何で顔を引っ張るんですか!?」
「ふむ、違うか・・・すまなかったな」
ラクスが兵士に謝ると、マークスがやって来た。
「此方は本物だった。そっちは?」
「此方も白だ・・・残るは」
ラクスが船の後ろを見ると、マークスは察する。
賊の将は船の後ろにいると、マークスは考えると、ラクスはマークスの考えが分かる様に頷く。
「急ぐぞ、ラクス!」
「はい!」
ラクスはマークスの言葉を聞くと、船の後ろまで走っていく。
だが、やはり賊が阻み、ラクスとマークスは足止めを受けた。
「くッ、やはり簡単には行かせてはくれないか」
「いったい何処に戦意を持っているのやら・・・」
ラクスがそう呟くと、賊が一斉に斬り掛かってくる。
ラクスは軽く避けて賊を倒していき、マークスもラクスと同じぐらいの速さでジークフリートを振るう。
「流石は暗夜王国一の騎士ですね。惚れ惚れしますよ」
「お前こそ、中々の腕だ」
二人はそう言って笑い合うと、賊に突っ込む。
賊を次々と斬っては刃の露にしていき、二人の戦いを見て賊は恐れをなし始めた。
「何だよ、こんなの聞いてねぇぞ!」
「強すぎる!」
「賊共、我々が乗る船を襲ったからには生きては帰れないと思え!!!」
怯えきった賊にラクスが威嚇する様に声を上げると、賊は悲鳴を挙げ始めた。
「やり過ぎではないか?」
「マークス様。賊に手加減してはいけませんよ」
ラクスはそく言うと、賊を斬ろうとしたら、兵士が走ってきた。
「申し上げます!カムイ様が賊の将を捕らえました!カムイ様はこれ以上の戦いは無用だと仰っております!」
ラクスはその知らせを聞くと賊達を見る。
震え上がり、もう戦う意志が無いと分かると、ラクスは降伏を呼び掛ける。
「聞いての通り、お前達の将を捕らえた。ここで選択をやる・・・ここで死ぬか、それとも生きるかだ。さぁ、選べ」
ラクスの言葉を終えると同時に、賊は次々と武器を落として手を挙げる。
ラクスは降伏の意志と判断し、兵士に拘束させて賊との戦いを終息させた。