ファイアーエムブレムif ~Darkside~【本編完結】 作:コッコ
~秘境~
「・・・いつもそうよ。私は父さんと比べられてばかり。何で、誰も私を見てくれないの・・・・・・」
一人の少女が、暗闇の中で、そう呟く。
嘆きとも取れれば、怒りとも取れる言葉を呟いた。
「ここがラクスさんの娘、レーラさんがいる秘境ですか?」
「はい。だが、レーラがいないな・・・いつもなら来ても良い頃なんだが」
ラクスは疑問に思っていると、水色の髪をサイドテールに結び、ソシアルナイトの鎧を着た少女がやって来た。
「・・・お久し振りです。父さん 」
「あぁ。久し振りだな、レーラ」
ラクスは微笑むが、レーラは全く笑わずそれ所か敵意を出している。
ラクスはその敵意を感じると、疑問を浮かべレーラに聞く。
「どうしたんだ?そんなに殺気だって」
「うるさい・・・」
「ん?何だっ」
「うるさいって言ったの!」
レーラはラクスに向かって叫んだ。
これには、ラクスとカムイは驚く。
「・・・いつもいつも、私は父さんと比べられてばかり・・・もう、嫌よ!」
「おい!そっちに行くな!」
秘境の外へ続く道へレーラが走って行ってしまいラクスが慌てて追いかける。
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「・・・何で、あんな事を父さんに言ってしまったのかな」
レーラは一人、ラクスに対して言ってしまった事を激しく後悔した。
レーラは落ち込みながら、自分が秘境の外へ出てるとは気付かず歩いていると、巨体な緑の肌をした化け物ノスフェラトゥが現れた。
「何!?この化け物は?!」
「グオォォォォ!」
ノスフェラトゥは腕を降り下ろしてレーラに襲い掛かった。
レーラは咄嗟の事で反応できず、立ち尽くしている。
「レーラ!」
その言葉と共に、ノスフェラトゥは斬られ倒れた。
レーラは見てみると、そこにはラクスの姿があった。
「大丈夫かレーラ!?」
「は、はい・・・」
レーラは恐怖の余り、へたれ込んむ。
「はぁ・・・全く。いきなり秘境を飛び出したから焦ったぞ」
「え?秘境を出てしまっていたのですか?」
レーラの素っ頓狂な言葉に、ラクスは額に手を当てて呆れる。
「全く、秘境を出た事すら気づかない位に動転していたのか・・・まぁ、後で説教はするが。その前に・・・」
ラクスはディアブロスを構えると、多数のノスフェラトゥが現れた。
「こいつらを片付けてからだ・・・」
「ラクスさん!」
後からカムイがやって来て、ラクスの隣に立って夜刀神を構える。
「申し訳ございませんカムイ様。お手数をお掛けします」
「いいえ、それよりも今はノスフェラトゥを倒しましょう」
「はい」
カムイとラクスは、レーラを守りつつノスフェラトゥを倒して行く。
ノスフェラトゥを相手に戦う二人に、レーラを未だにへたれ込みながら見ていた。
「(父さんだけでなく、カムイ様まで迷惑を掛けるなんて・・・私はやっぱり・・・・・・!)」
「レーラ!」
レーラが自分を責めていると、ラクスがレーラを呼んだ。
「お前が何を考えているか分からんが、そんな顔をするな」
ラクスがそう言うと、涙を流しているレーラがいた。
「お前を必ず守ってやる・・・だがら、泣くな」
「父さん・・・」
レーラはラクスの背中を見ながら、覚悟を決めて立ち上がる。
レーラは立ち上がると、同時に剣を抜いてラクスの隣に立った。
「ん、何をしているレーラ?」
「・・・私も戦います。いえ、戦わせてください!」
「・・・無理をするなよ」
ラクスはレーラにそう言うと、ノスフェラトゥに向かっていく。
ラクスの剣技は、ノスフェラトゥ相手に圧倒する。
レーラも受け継がれた物なのか、ラクスの実力までとはいかないが、鋭い剣技を見せた。
「見ない内に随分と上達したな」
「父さんがいない間、鍛練を続けていましたから」
ラクスとレーラは背中を合わせて後ろを取られない様に、ノスフェラトゥを倒していく。
そして、ノスフェラトゥを殲滅し終えると、ラクスは腕を組ながらレーラの前に立っている。
「それで、今回の奇行に走った訳を言ってくれるな?」
「・・・私はいつも秘境で父さんと、比べられてきました。私は、何をしても父さんの娘だからとしか、見てくれなかくて・・・それで」
「今回の事になったのか?」
レーラは頷くと、ラクスは溜め息をついて、レーラの頭を撫でた。
「馬鹿だよお前は・・・お前はお前だろ?私の娘だからと言っても、お前のやり方がある。私はそれを尊重したいと思っている」
「うぅ、父さん・・・」
「はぁ・・・泣くなよ。全く」
泣き続けるレーラをラクスは微笑みなから、呆れる。
カムイも二人の親子に微笑む。
その後、泣き止んだレーラはラクスに提案した。
「父さん。私も一緒に戦わせてください」
「・・・何故だ?」
「私は今回の事で、自分の未熟さを痛感しました。私は父さんの元で強くなっていきたいんです!」
レーラの真剣な目に、ラクスは暫く考えてから口を開いた。
「分かった・・・だが、お前が弱音を吐けば秘境に戻すからな?」
「はい!」
ラクスはレーラの返事に微笑みながら、内心では。
「(ベルカにどう説明しようか・・・)」
と、考えるのだった。