ファイアーエムブレムif ~Darkside~【本編完結】   作:コッコ

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暗夜王との出会い

初仕事を無事に達成してから更に月日が経ち、ラクスは仕事を夜に終えて、帰宅した。

 

「ただいま。・・・何だこの物静な雰囲気は?」

 

ラクスは早足で自宅の奥に行くと、そこには師である男と血だらけになって無表情で立っているベルカだった。

 

「ベルカ・・・」

 

「ラクス。お帰りなさい」

 

ベルカは当然の様にラクスにそう言う。

ラクスはどうしても状況が飲み込めずにおり、ただ立っているだけ。

 

「・・・何で師匠が死んでるんだよ」

 

「私が殺した」

 

「何でだよ・・・何で殺した!」

 

「依頼だった。養父を殺す様に言われて私はそれを遂行しただけ」

 

ベルカは相変わらずそう言うが、ラクスは心の何処かにドス黒い感情を感じそこで、意識が失った。

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「ん・・・俺は、何を」

 

ラクスは気がつくと、部屋は荒れておりラクスは立ち上がると、辺りを見渡す。

散乱している家具以外に、男の死体を見つけ夢ではないと分かるとラクスはベルカを思い出した。

 

「ベルカは・・・ベルカは何処だ!」

 

ラクスは家の中を探し回ると、倒れているベルカがいた。

 

「ベルカ!」

 

ラクスは急いでベルカを抱き寄せると、息をしている事から気を失っているだけだと、気づき安堵する。

ラクスはベルカを無事だった寝室に運び込むと、ベルカを寝かせて考える。

 

「俺はベルカに何をしたんだ・・・」

 

ラクスをゆっくりと思いだそうとすると、記憶が鮮明に流れる。

ラクスは思い出したとばかりに、ベルカを見る。

 

「お、俺が・・・ベルカの、首を・・・!」

 

ラクスは震え上がり、外に出た。

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暫く、外の城下を歩き続けていたラクスは、その場にへたりこむ。

 

「俺は・・・何て事を・・・・・・!」

 

ラクスは後悔の念に囚われていると、ラクスの目の前に大きな影が現れた。

 

「おい、貴様」

 

声を掛けられ見上げると、そこにいたのは年老いた身分の高そうな男だった。

ラクスは不機嫌そうに、睨む。

 

「何だよ?上流の高貴な御方が何か御用でも?」

 

ラクスは嫌みを言う様に話すが、男は笑った。

ラクスはその男に疑問を浮かべると、同時に薄気味悪いと感じる。

 

「お前の様な若人が、何故ここで座っているのか気になってな。話しかけた」

 

「そうかよ。なら、ほっておいてくれ・・・」

 

ラクスはそう言うと、また俯くが男は何を思ったのかラクスと共に、地べたに座った。

 

「何で座るんだよ」

 

「何処に座ろうとわしの勝手だろ」

 

ラクスは舌打ちをして、俯く。

ベルカの首を絞めたラクスは途方もない罪悪間に苛まれていると、男はまた話し出す。

 

「お前、何か悩みがあるのか?」

 

「・・・」

 

「黙っていても分からんぞ。悩みがあるなら話せ。少しは楽になるだろう・・・」

 

「・・・実は」

 

ラクスは男に話した。

師である男が殺され、幼馴染みに対して首を絞めて殺そうとした事を。

男は静かに聞くと、考える素振りをする。

 

「成る程な・・・確かに落ち込む物だ」

 

「だろ?俺はこの罪悪感を何時まで持てば良いのか・・・」

 

「・・・何時までも持てば良いのではないか?」

 

「何?」

 

ラクスは男の言葉に戸惑う。

男は続ける。

 

「確かに師を殺されても怒りを抱くのは、無理もない・・・だが、お前は後悔をして反省している以上は、その罪悪感を胸に二度と引き起こさないと、抱いていけば良い・・・」

 

男はそう言うと、立ち上がって手を伸ばす。

 

「さぁ、立て。もう迷いは無いのだろ?」

 

ラクスは男の元に手を伸ばすと、引き上げられる様に立たされた。

ラクスはこの男の器の広さに咄嗟に聞いた。

 

「お前は何者なんだ・・・?」

 

「わしか?わしはガロン。この暗夜王国を治める王だ」

 

僅かな出会いの中で、ラクスはガロンに仕える切っ掛けになった出来事だった。

 

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「と、言った所だ」

 

「本当に壮絶な幼少期だったんですね・・・」

 

「そうだな・・・あの時の事はベルカとはもう和解している。ある意味、ガロン様との出会いは良かったのかも知しれないな・・・ん?もうこんな時間か。そろそろ戻って当番をするよ」

 

ラクスはそう言うと立ち上がる。

 

「お話を聞かせてくれて、ありがとうございます。また、お話を聞かせてください」

 

「あぁ・・・考えておきますよ」

 

ラクスはそう言うと、退出した。

 


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