ファイアーエムブレムif ~Darkside~【本編完結】 作:コッコ
王城に帰還したカムイ達とラクスはガロンに報告するべく王座の間まで足を運んでいた。
王座の間ではガロンが玉座に座っている。
「父上、ただいま戻りました」
「・・・マークスか。白夜王国でのお前の活躍は聞いているぞ。敵国での戦闘、ご苦労であったな」
「ありがとうございます」
ガロンがそう言うとマークスは微笑む。
そして、マークスはガロンにカムイの生存を伝える。
「それと、一つよい知らせが。死んだとされるカムイが無事に戻りました」
「カムイが・・・」
ラクスはガロンの僅かな反応を見逃さなかった。
明らかに眉間に皺を寄せている。
カムイが生きていたのは想定外的だと言わんばかりの表情だ。
「・・・お父様」
「何をしに戻ってきた」
「え・・・?」
カムイはガロンの言葉に困惑する。
「お、お父様・・・?どうしてそんな言い方・・・」
「よいか・・・カムイ。お前が行方不明になってから今まで白夜王城にいたと聞く。そこで白夜女王より出自を聞かされたであろう?自分が幼い頃に攫われた、白夜王国の王女だと。そして、我が暗夜王国が、憎き敵国であると。にも拘わらずこの城に戻ってきたのは何故だ?」
ガロンの言葉はカムイを疑う様な内容でラクスは反論するべきかと考えているとマクベスが割って入る。
「もしや・・・敵側に取り込まれ、ガロン様の暗殺を企てているのではないでしょうな?」
「ま、まさか・・・!私はそんな事・・・」
マクベスの言葉にラクスは黙ってはいなかった。
ラクスは前に出てマクベスに反論する。
「マクベス。カムイ様は自分の意思で戻ってきた。私が命に変えてもそれを保証しよう・・・」
「ふん、どうだか・・・」
ラクスの言葉にマクベスは諦めて縮籠る。
「うむ、ラクスはわしにとっては最も信頼できる騎士・・・だが、お前の発言でも信用には値できん」
「父上、カムイは白夜の手先ではありません」
「何故、そう言いきれる?」
マークスはガロンに対して怯まずに応える。
「白夜の手先ではない証拠にカムイは殆ど初陣であるのに拘わらず、先の戦いで・・・たった一人で白夜王国軍を撤退させました」
マークスの大胆な嘘に流石のラクスも焦りを見せる。
幾ら何でもやりすぎだろうとラクスは思っていると以外とガロンは気付いておらず表情が変わっていない。
顔を歪めるをラクスは見てマクベスは戦場に出てはいたが実際に前線に出てこずカムイの戦いなど見てはいないとラクスは推測する。
「マークス兄さん?私は」
「カムイ様。ここは合わせて・・・」
ラクスが悟られない様にカムイにそう言うとマークスは続ける。
「それにカムイは、私達の目の前で、この暗夜王国に戻ると決意しました。そのせいでリョウマ王子の怒りを買い、一時は殺されかけたのです。・・・もしカムイが白夜の手先なら、自分の命を顧みずにその様な行動をするでしょうか?」
マークスの言葉にガロンは考える素振りを見せ始めた。
しかし、マクベスがまた余計な事につかかってくる。
「ふむ・・・ですが、それが芝居であった事も考えられますな」
「黙れ、マクベス。あれは芝居などではなかった。その場にいなかったお前に何がわかる」
マークスの威厳ある言葉にマクベスは黙り混むとガロンが制す。
「もうよい、マークス。お前の言い分もわかった。それより、カムイよ。わしが渡した剣はどうしたのだ?」
「あれは・・・あの剣は、白夜王国で壊れました。・・・爆発したのです私の目の前で」
ラクスはガングレリに細工があったのかと考えているとカムイは続ける。
「母・・・いえ、白夜女王に庇われなければ私は死んでいたでしょう」
「ほぅ・・・それは災難であったな」
「あの・・・お父様。一つお聞きしたい事があります。あの剣は白夜王国を攻撃する為の物だったのですか?」
「カムイ様・・・!」
ガロンに対するカムイの言葉にラクスは慌てた。
カムイの言っている事はまるでガロンがカムイを駒として白夜王国に自爆させに行ったと言っている様な物だ。
「おい、カムイ。今その話は・・・」
「いえ、今聞いておきたいのです。犠牲になった白夜王国の人達の為にも」
マークスが止めようとするがカムイは止まらない。
「・・・お父様、お答えください。あの爆発は、お父様の企てた事ですか?私は白夜王国にあの剣を持ち込む為に、その為に、ここで育てられたのですか!?」
カムイの悲痛な叫びが響く王座の間でラクスは兜を片手で覆う。
やってしまった・・・
その言葉がラクスの頭に繰り返し響く。
ガロンが怒っているか見ると以外にも平然としている姿がラクスの目に映りホっとする。
「さて・・・?爆発の事など、知らぬぞ。あの剣は、ただの剣だ。」
「ですか・・・!」
「知らぬと言っておろう!」
流石のガロンも怒りを露にしてカムイを怒鳴り付ける。
カムイはガロンの怒鳴り声に怯みあがった。
「まだ王の事を疑われるとは・・・やはり白夜で何か吹き込まれた様ですな?ガロン様、やはりこの者は白夜の手先である可能性が高いかと」
「違うな。カムイ様は気が動転してお疲れの様なのだ。こう言ってしまうのは無理なしからぬ事」
「しかし、ラクス殿。いくら気が動転していても」
「まぁ、待て。ここはハイドラ神様にカムイの処遇を問うて見る事にする」
ガロンはそう言うと立ち上がり両手を上げる。
「ハイドラ神様よ・・・我に神託を・・・・・・」
ガロンがそう言うと黙り混み静かになっていたがすぐにガロンの口が開いた。
「・・・たった今、御告げがあった。その言葉に従い・・・カムイを、暗夜王国に受け入れよう」
ガロンの言葉にマークス達とラクスは安堵の溜め息をついた。
しかし、ガロンは予期せぬ事言った。
「だが、一つ条件がある」
「条件・・・?」
「そうだ。カムイには反乱を企てている氷の部族の平定に行って貰う。それがハイドラ神様の御告げだ」
ガロンの言葉にラクスは胡散臭そうに聞いて黙っていた。
ここで余計な事を言えばどうなるかわからないからだ。
「暗夜王国の王族として見事その任を果たした暁には、お前を以前と同じ様に、わしの子として迎え入れてやろう」
「反乱の平定・・・わかりました。その任、必ず果たしましょう」
カムイは任務を受けるとマークスが割ってはいる。
「心配するな、カムイ。反乱を平定するなら私が軍を出す。人手さえあればそれ程難しい任務ではないだろう」
「うんうん、もし怪我した時の為に、私も付いて行ってあげるね」
マークスとエリーゼがそう言った瞬間、ガロンがまたしてもとんでもないない事を口にした。
「それはならぬ。ハイドラ神様は。軍隊を連れずにたった一人で任を果たせと仰っている」
「ッ!?お待ちくださいガロン様!一人で反乱平定など不可能です!」
ラクスは咄嗟にガロンに反論するがガロンは動じない姿勢でラクスに言う。
「これはカムイのハイドラ神様からの試練だ。それにお前もかつて反乱平定に行った際に一人で平定して参った時があったではないか?」
「それは・・・私の行動を悟らせない様に一人で行動し兵に罠を張らせたからなせた事で」
「とにかく、カムイ。お前一人で氷の部族の村に向かわせる。良いな?」
ガロンはラクスの反対を押しきりカムイに問いかける。
「大丈夫ですラクスさん。私一人でも、何とかなりますよ」
「では、行け。カムイよ・・・」
ガロンはそう言うとカムイは王座の間から出ていきラクスはその姿を静かに見て一つの考えを打ち出すのだった。