ファイアーエムブレムif ~Darkside~【本編完結】   作:コッコ

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暗夜ルート編
光を闇に求める者


「・・・退いてくださいリョウマ兄さん」

 

カムイの言葉にラクスは僅かな希望が実った気がした。

しかし、リョウマが簡単に諦めるような人物ではないとラクスは考える。

 

「まずいな・・・」

 

リョウマは神器雷神刀を構えカムイと対峙しており今にも戦いが始まりそうになっていた。

ラクスは馬を走らせカムイの元へと向かう。

リョウマの雷神刀がカムイを斬り裂こうと振り下ろされた瞬間、雷神刀は横から出た黒い剣に受け止められていた。

 

「ラクスさん!」

 

「武器を取れカムイ。今は戦うんだ」

 

ラクスはカムイの横に馬を着けるとディアブロスを構えリョウマと対峙しする。

リョウマは警戒しつつも雷神刀を構え一新即発だった。

 

「・・・わかりました。リョウマさん、私の意思は変えません。例えお父様が間違っていても暗夜にいる兄妹達を捨ててはいけない!」

 

「そうだカムイ。例え血の繋がりは無いがお前には絆と言う繋がりがある。それを忘れるな」

 

「カムイ。本当に戻ってきてくれて良かった・・・例えお前との血が繋がりは無いが私はお前を兄妹だと思っている」

 

ラクスとマークスはカムイにそう言うとカムイと共にリョウマと対峙する。

リョウマは流石に不利と考えたのか汗が一粒流れている。

 

「くッ、これは俺が不利か!」

 

リョウマがそう呟くと無限渓谷でラクスと戦ったサイゾウとサイゾウに知らせに来たカゲロウが現れた。

 

「リョウマ様。加勢に参りました」

 

「私も加勢します」

 

「すまないサイゾウ、カゲロウ!」

 

リョウマ、サイゾウ、カゲロウの三人を相手にラクスは顔を歪める。

 

「面倒なのが増えたな・・・あの二人は私が相手をします。マークス様とカムイ様はリョウマをお願いします」

 

「やれるのか?」

 

「舐めてもらっては困ります。私は貴方のお父上であるガロン様の臣下であり快刀なんですから」

 

ラクスはそう言うとディアブロスを片手にサイゾウとカゲロウに突っ込む。

サイゾウとカゲロウは素早く動きラクスを翻弄し始める。

 

「我々二人に一人とは舐められた物だ」

 

「白夜王スメラギ様の仇。今こそ取らせて貰う!」

 

サイゾウとカゲロウは手裏剣を手にラクスに斬り込むがラクスは絶妙な動きで避けサイゾウにディアブロスを振るう。

サイゾウはラクスの攻撃を避けると手裏剣を投げラクスはディアブロスで弾き返すと次はカゲロウが斬り掛かる。

ラクスはカゲロウの攻撃も防ぐと距離を取る。

 

「やはり中々の手練れだな。簡単には倒せはしないか」

 

「それはお前とて同じ事だろ?」

 

「二人同時にここまで戦えるとは化け物か」

 

カゲロウの言葉にラクスは少し傷つくがすぐに気を取り直す。

ラクスは油断無く身構えていると後ろから声が聞こえる。

ラクスは警戒しながらも振り替えるとそこにはカムイとマークスがおりリョウマはいなかった。

 

「ラクスさん。リョウマさんを退かせました!」

 

「今、加勢に行くぞ!」

 

カムイとマークスが走ってくるのを見たサイゾウとカゲロウは顔を歪める。

 

「リョウマ様は退かれたか・・・」

 

「サイゾウ。ここは退くぞ」

 

サイゾウとカゲロウは不利と悟るとすぐに撤退した。

ラクスはその光景を見ると構えを解いてマークスとカムイに体を向ける。

 

「此方も終わりました」

 

「まさかここまで強いとは・・・お前は本当に何者なんだ?」

 

「秘密です」

 

ラクスはそう言うと残りの白夜軍を倒す為に馬を駆けながら暗夜軍を鼓舞しに掛かる。

 

「暗夜軍よ!白夜軍総大将リョウマはカムイ様によって敗走した!この期に乗じて攻め立てろ!」

 

「「「「「「「「うおぉぉぉぉぉぉぉ!」」」」」」」」

 

ラクスの鼓舞し暗夜軍はリョウマが敗走したと聞くと士気を大幅に上げて白夜軍を押していく。

白夜軍は逆にリョウマの敗走で士気が下がり逃げ出す者さえ現れた。

 

「(勝敗は決したな)」

 

ラクスはそう思うと予想通り戦いは暗夜軍の勝利となった。

ラクスはマークス達もカムイの元に行くと今度の方針を話し合う。

 

「マークス様。現在、暗夜の遠征軍は兵糧が少なすぎます。しかもこの戦いで大幅に戦力を削れこれ以上の遠征は不可能と考えています。私は一度帰還する事を進言します」 

 

「・・・わかった一度帰還しよう。カムイの無事も報告したいしな」

 

マークスがそう言うとカミラ、レオン、エリーゼがカムイの元に向かう。

 

「無事で良かったわカムイ。お姉ちゃん泣いちゃったのよ」

 

「本当に世話が掛かるんだから・・・」

 

「無事で良かったよお姉ちゃん!」

 

「・・・皆さん」

 

ラクスはようやくマークス達が笑顔になれたと思い後始末の為に歩くとマークスに呼び止められる。

 

「待てラクス。・・・今回、お前がカムイを見つけ説得をしてくれたそうだな。ありがとうラクス・・・」

 

「・・・やめてください。私は感謝されるなんて、柄ではありません」

 

ラクスはそう言うと今度こそ後始末に向かった。


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