ファイアーエムブレムif ~Darkside~【本編完結】 作:コッコ
ラクスはエリーゼと共に孤児院の椅子に座って院長の持て成しを受けていた。
エリーゼはそれなりに遠慮してはいるが。
「それでラクスはここへ来たのか?」
「はい。帰宅する家すら無いのに謹慎を受けてしまい暫く厄介になれないかと思って来たんだ」
「ほほほ、良いぞ。謹慎が解けるまで暫くここに住みなさい。子供達も喜ぼう」
「ありがとうございます」
ラクスは院長に礼を言って頭を下げる。
「頭は下げんくて良い。それより何故、兵士であるお前がエリーゼ様と・・・」
「あ、あぁ、それはエリーゼ様はお忍びで外に出て散歩したりするんだ。私はその付き添いの次いでで」
ラクスは苦笑いしながら誤魔化すと院長は首をかしげながらラクスを見てくる。
ラクスに小さな汗が流れているとエリーゼがここでホローに入った。
「そ、そうなの!いつも付いてきてくれてるから安心して散歩できるの!」
「そうですか。ラクスがお役にたてて光栄です」
「(危ねぇ・・・危うく張れる所だった)」
ラクスは冷や汗を流しながら出された紅茶を飲む。
ラクスとエリーゼ、院長の話は危うさもあったが盛り上がっていき遂に夜を迎えた。
「エリーゼ様。そろそろ王城へお帰りにならないと皆様が心配しますよ。私が送っていくので帰りましょう」
「うん。院長さんいろいろありがとう!また来ても良いですか?」
「ほほほ、エリーゼ様なら大歓迎ですよ」
ラクスはエリーゼを王城へ送ろうとして扉を開けた時、そこには黒い鎧と仮面を着ける暗夜兵が立っていた。
この暗夜兵はガロン王直下の親衛隊の兵士でラクスの伏せられた部下でもあった。
「ラクス殿はいるか?」
「ラクスは私だ。何のようだ?」
ラクスは孤児院にいる際のうちあわせで会話すると兵士が通達書らしき紙を広げてラクスに向けて読む。
「ガロン様からの通達書である。本日、シュヴァリエ市場で反乱発生の為、その反乱鎮圧の為にラクス殿の謹慎を解き鎮圧軍参加するようにとの命令である。直ちに準備をして現地に赴くように」
兵士は読み終えるとその場に立って返答を待つ。
ラクスは後ろを見るとそこには不安そうに見つめるエリーゼと院長、そして子供達だった。
ラクスは振り向くと笑って見せる。
「心配しないでくれ。私は必ず生きて帰ってくる。それまでまた待っていてくれ」
「でも、戦いなんでしょ!貴方でも死ぬかも知れないんだよ!」
エリーゼは泣きながらそう言うとラクスを抱き締める。
ラクスはエリーゼを抱き返し安心させる様に呟く。
「私を誰だと思っている。私は暗夜王の懐刀なんだぞ簡単には死なん。待っててくれるな?」
エリーゼは頷くとラクスは兵士にエリーゼを任せて兵士が用意した馬車に乗り込むと馬車に用意されていたラクスの鎧兜とディアブロスを身に付ける。
本当の顔である穏和で優しさのあるラクスから再び冷酷で残虐なラクスの顔へと変えたのだった。
全ては暗夜に暮らす大切な者を守る為に。
「もう、容赦はしない・・・狂気に飲まれると言うなら逆に此方が飲み干してやるまでだ」
ラクスがそう言うと体を包む様に黒い靄が包むのであった。