ファイアーエムブレムif ~Darkside~【本編完結】 作:コッコ
白夜王国領の白夜平原へと侵攻にしたマークス率いる暗夜軍は気高い丘を陣取り白夜軍を迎え撃つ構えを取る。
ラクスは副官としてマークスの補佐をしていたがカムイの死を切っ掛けにマークスからあまり信用されてはいなかった。
「(不利な状況で戦争が始まるとは・・・だが、やるしかなきか)」
ラクスは覚悟を決めた様に迫り来る白夜軍を見つめる。頭数は意外にも同等で将らしき者達も多数いる。
まともにぶつかれば両者共に甚大な被害になるだろう。
「マークス様。ご指示を」
「あぁ、全軍攻撃!」
マークスの指示で遂に開戦を迎え両軍突撃を開始した。
激しい怒声と足跡が鳴り響く中で白夜王国の赤い鎧を着た侍が部隊を率いて暗夜軍に襲い掛かかっていた。
鋭い剣劇と華麗な動きで次々と暗夜軍を突破してくる。
「我が名は白夜王国第一王子リョウマ!暗夜軍の将よ、一騎討ちを申し込む!」
まさかの大将がラクスの目の前にいた。
ラクスはディアブロスに手を掛けてリョウマと対峙しようとした時にマークスに遮られる。
「私が相手をする。お前は軍の指揮を」
「わかりました」
マークスはラクスにそう言うとリョウマの方へ体を向けた。
「暗夜王国第一王子マークス。一騎討ち受けよう・・・我が剣の露と消えるがいい。はぁ!」
マークスは馬を走らせ丘を勢いよく駆け降りていきマークスを討たんとした白夜兵はマークスの神器ジークフリートによって斬り裂かれていく。
リョウマとマークスはお互いの邪魔者を打ち倒した事で二人は激突した。
「はあぁぁぁぁぁ!」
「うおぉぉぉぉぉ!」
リョウマとマークスの一騎討ちは激しい物で誰も介入を許す者はおらずただ、邪魔をしないようにするしかなかった。
「白夜軍を一気に叩くぞ。私に続け!」
ラクスも白夜軍に攻撃する為に馬を駆けて白夜兵に攻撃する。
大軍同士の戦いは熾烈を深めていく。
「はぁ!」
ラクスは白夜兵を斬り捨てて行くなかで赤い短髪の女天馬武者に攻撃を仕掛けられラクスは攻撃を防ぐ。
「何者だ?」
「白夜王国第一王女ヒノカ!これ以上は好き勝手はさせん!」
まさかの白夜の王族が勝負を仕掛けてきた。
ラクスは油断の無い構えでヒノカと向き合う。
「良いだろう相手をしてやる・・・こい!」
「はぁ!」
ヒノカは天馬を飛ばし素早い動きで迫り薙刀をラクスに振るう。
ラクスヒノカの薙刀を避けてディアブロスでヒノカを攻撃するが防ぐ。
「成る程な。少しはできるようだ・・・」
「女だと思って舐めているとその口・・・黙らせてやるぞ」
ラクスは別にヒノカが女だからと言って舐めてはいなかった。
暗夜でも多くの女の兵士や騎士がいるのだ。
舐めてたら暗夜では身が持たない。
「舐めてはいないが、そろそろ終わらせてやる」
ラクスはそう言うとヒノカに剣先を向けて技を放つ仕草を見せた。
「・・・消え失せろ」
ラクスはそう言うと暗夜の基本の技である月光をヒノカに当てるべく馬を駆け迫る。
ヒノカはラクスの月光を避けようとするが運悪く暗夜側の矢が飛んできてヒノカは反射的に避けてすぐにはラクスの月光を避ける事はできなかった。
「しまった!」
「終わりだ」
ラクスがディアブロスをヒノカに当たろうとした時に黄金の剣がラクスの攻撃を防いだ。
ラクスは防がれたと同時に距離を取って誰が邪魔をしたのか観察したらそこには信じられない人物が立っていた。
銀髪の赤い瞳の死んだと思われた人物が今、ラクスの目の前にいるのだ。
「カムイ・・・様?」
「やめてくださいラクスさん!何故白夜を攻めてきたんですか!」
ラクスは戸惑いつつもカムイの言葉を返す。
「・・・ガロン様の命だ。騎士の俺は主君の命令には逆らえない」
「そんな・・・」
カムイはラクスの言葉に絶望した様な声を出して立ち尽くすが立ち直ったヒノカがカムイの前に立つ。
「カムイ下がってろ!こいつは手強い相手だ。私が押さえている間に逃げろ!」
「話の邪魔をするな。カムイ様。どうして白夜にいるのですか?貴方は暗夜の人間の筈です。どうか早く戻ってマークス様達に」
「騙されるなカムイ!お前は白夜の人間で私達の兄妹だ。奴等がした事をお前はもうわかっている筈だ」
ヒノカの言葉を聞いたラクスは動揺が走った。
カムイは既に白夜の者達によって幼い頃の記憶を取り戻しているかもしれないとラクスは考えたのだ。
カムイはうつ向きながらラクスに向けて恐れていた言葉をラクスに向けた。
「ラクスさん・・・貴方は私の父を殺したのですか?」
「・・・」
「応えてください、ラクスさん!」
「・・・そうだ。俺が、殺した」
「ッ!?」
ラクスの言葉にカムイは確信に至った顔になり悲痛な表情を見せる。
ラクスは兜の下ではカムイと同じ様に悲痛な表情をしているがそんな事が周りにわかる訳もなくヒノカから殺気が出ている。
「お前が、父様を殺したのか!」
「あぁ、そうだ」
ラクスはもう自棄になりつつもカムイの方へ手を伸ばす。
「だが、暗夜での貴方様の兄妹には関係ない。例え血が繋がらなくても兄妹は兄妹だ。戻ってほしい・・・どうか」
「私は・・・」
「まだ迷いがある様ですね。ならば、戦場の中央に来てください。そこでどちらに来るか決めて貰います」
ラクスはそう言うと戦場の中央へと馬を走らせて去っていく。
後ろからヒノカの大きな声が聞こえるがラクスには関係は無くそれよりも大きな問題があった。
"カムイが記憶取り戻した可能性である"
その可能性は有り得る物でその証拠にスメラギを殺害した本人の姿を思い出していたのだ。
「希望は薄いか・・・」
ラクスは一握りの希望を抱きつつカムイの帰還を望むのだった。